JR北海道:レール幅拡大1年放置 他にも8カ所

毎日新聞 2013年09月21日 21時27分(最終更新 09月22日 00時26分)

貨物列車の脱線現場で、復旧作業に当たる作業員ら=北海道七飯町で2013年9月21日午後0時43分、鈴木勝一撮影
貨物列車の脱線現場で、復旧作業に当たる作業員ら=北海道七飯町で2013年9月21日午後0時43分、鈴木勝一撮影

 北海道七飯(ななえ)町のJR函館線大沼駅構内で19日、貨物列車が脱線した事故で、JR北海道は21日、昨年10月と今年6月の定期検査で現場のレールの幅が社内の整備基準値より広がっていたことを把握したのに補修せず、放置していたと明らかにした。補修の放置が事故につながった可能性は「否定できない」としている。検査記録を調べた結果、レール幅が基準値を超えていたのに補修しなかった場所は、脱線現場以外に計8カ所あったという。

 JR北海道によると、定期検査は年2回。昨年10月の検査で、レール幅の規格(1067ミリ)より20ミリ広がっていることを確認。さらに今年6月7日の検査では25ミリに拡大していることを確認した。

 レールの幅は列車の重みと振動で広がることがある。同社の内規では、その広がりは規格から19ミリ未満なら許容されるが、これを超えると、検査から15日以内に枕木にくぎを打ち直すなど補修をすることになっている。しかし、担当の函館保線所大沼保線管理室(七飯町)は補修していなかった。脱線の危険が生まれる幅の広がりの限界は理論上43ミリというが、事故当時の状態は不明。

 また、20日に管内の線路の検査記録を点検した結果、レール幅が整備基準値を超えて広がっていたのに補修していなかった場所が脱線現場以外に▽函館線、日高線各3カ所▽室蘭線、石北線各1カ所−−の計8カ所あり、すべて駅構内だった。規格超過は最大28ミリで、いずれも今年5月末から7月にかけて確認したが放置しており、今回の点検後に全て補修した。

 笠島雅之・取締役工務部長は21日の記者会見で謝罪し、「社内で決められたルールが守られていなかった。大変重大なことだと認識しており、しっかり経緯を調べてこういうことが起きないよう対策をとっていきたい」と述べた。

 レール幅の基準値超過は21日午前、現地調査した国土交通省運輸安全委員会が明らかにした。赤坂幸広・鉄道事故調査官は取材に「一般的にレール幅の広がりで脱線することはありうる。整備状況を調べたい」と話した。

 脱線事故は19日午後6時5分ごろ発生。大沼駅の上り副本線(待避線)を発車直後、17両編成の貨車の5〜8両目が時速約20キロで走行中に脱線し、本線に入る切り替えポイント通過後に緊急停止した。

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