東武鉄道100系スペーシアで気になること

岸田法眼 | レイルウェイ・ライター

特急スペーシア100系「粋」基調

特急スペーシア〈けごん〉〈きぬ〉一部運休

東武鉄道(以下、東武)によると、特急スペーシアの100系に車両故障が発生した。1990年6月1日にデビューして23年、車両故障による数日間の運休は就役以来初と思われる。

なお、東武は車両故障の理由を明らかにしていない。

この影響で、2013年9月21~23日については、一部列車の車両を変更する(特急〈きりふり〉用の300系で運転)。

●2013年9月21日

特急スペーシア〈けごん7号〉〈きぬ115・128号〉

●2013年9月22日

特急スペーシア〈けごん7・20号〉〈きぬ121・132号〉

●2013年9月23日

特急スペーシア〈けごん7・20号〉〈きぬ132号〉

上記列車については、特急券の発売を中止しているほか、前売り特急券(個室利用の場合は、その料金も含む)を購入した方には手数料なしで払い戻す。

代走特急

東武鉄道300系は6両編成。なお、4両編成は350系である。
東武鉄道300系は6両編成。なお、4両編成は350系である。

代走特急は、上記列車の前売り特急券を購入した方のみ乗車できる。6号車は、特急スペーシアの個室席をイメージした向い合せにセッティング、1~5号車の座席は進行方向に向いている。ただし、座席はリクライニングしない回転式クロスシートで、車内販売もない(一部号車に清涼飲料水の自動販売機を設置)。

なお、100系と代走車両とは性能が異なるため、時刻通りの運行にならないことを御承知いただきたい。

100系の車両リニューアルで気になったこと

特急スペーシア100系「サニーコーラルオレンジ」基調
特急スペーシア100系「サニーコーラルオレンジ」基調

100系は2011年秋から2012年夏にかけて、全9編成の車両リニューアルが行なわれた。通勤形電車(8000系、10000系など)の修繕工事に比べると簡素だ。元々質が高い車両なので、車体塗装(雅基調、粋基調、サニーコーラルオレンジ基調の3種類)の変更、シートモケット、カーペット、デッキとビュッフェの壁紙の更新にとどまっている。一般席の足のせ、トイレ、洗面所などは“据え置き”だ。

気になったのは、制御装置の更新をしなかったことである。100系は私鉄の有料特急形電車では初めてVVVFインバータ制御を採用したが、今となっては旧式のタイプで、しかもうるさい。外から見た場合、まるでジェット機の離着陸を連想させるような轟音である(設計当初から客室の防音対策に力を注いでいたので、過ごしにくいことはない)。

VVVFインバータ制御同士の更新が進む

VVVFインバータ制御の「VVVF」とは、「Variable Voltage Variable Frequency control」の略で、主電動機の交流モーターを制御する方式の電気車だ。チョッパ制御(電機子、界磁など)、抵抗制御等に比べ、保守が容易という利点がある。加えて、消費電力の低減にもつながっている。

VVVFインバータ制御装置を更新した大阪市交通局2代目20系。
VVVFインバータ制御装置を更新した大阪市交通局2代目20系。

日本の鉄道におけるVVVFインバータ制御は進化を続けており、現在では車両の延命対策として、車内リニューアルばかりではなく、機器の更新や換装も進んでいる。

東武では、2006年から2007年にかけて、10080系のVVVFインバータ制御を更新、2013年度から10030系の修繕工事メニューに、界磁チョッパ制御からVVVFインバータ制御への換装を追加した。

特急スペーシア100系「雅」基調
特急スペーシア100系「雅」基調

100系もVVVFインバータ制御を新型に更新させ、“静かになった特急スペーシア”として、末永い活躍を期待したい。

★備考

Railway Island.「大人140円、子供70円のミニトリップ」

岸田法眼

レイルウェイ・ライター

旅、鉄道、小説、時事問題をテーマに執筆。2007年1月、『Yahoo!セカンドライフ』の選抜サポーターでライターデビュー。以降『TRAIN MODELING MANUAL』(ホビージャパン刊)、『鉄道のテクノロジー』(三栄書房刊)、『鉄道ファン』(交友社刊)、『エキサイティングマックス!』(ぶんか社刊)などに寄稿している。

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