June 08, 2004
ブライアン・オールディス『ヘリコニア３部作』
『ヘリコニアの春』『ヘリコニアの夏』『ヘリコニアの冬』のスレです。
私が持っている写真の本は英国版の合本。
『春』は既読。
『夏』を飛ばして『冬』を読み、後で気が向いたら『夏』を読むことにします。
なお、『ヘリコニアの春」を読んでいた昨年１２月から今年３月（！）にかけての私の日記を以下にまとめておきます。参照用に。
『ヘリコニアの春』読書日記より再録（復習用）
私が持っているのは春、夏、冬の合本版である（どうせなら秋も書いて４部作にすりゃあよかったのに）。しゃれにならないぐらい分厚いが、仕方あるまい。春が３６２ページ、夏が３９８ページ、冬が２８２ページ。巻末にヘリコニア世界の解説がついており、至れり尽くせりの内容である。全部足すと１０００ページを超える。活字も結構細かいので、普通のペーパーバックに直すともっと厚いかもしれない（ちょっと大判の変則ペーパーバックである、サイズ的には四六版てやつだ）。
ヘリコニアの春は、序章と１５章からなる本章。序章が結構長くて７４ページある。しかし、英国でベストセラーになったほどの人気作だから、きっと面白いのだろう。
そう思って読み始めたら実際面白い。
序章は「ユーリ」と題されているがこのユーリはヘリコニア人の少年である。父とともに雪の中を狩りに出かけるが、イエルクの死体の解体作業中にファゴールに襲われて、父は連れ去られ奴隷にされてしまう。
まず何と言っても寒そうな惑星上の情景描写がたまらない。しかもこの世界には太陽が２つもあるのだ。だからこの星の四季の変遷は非常にユニークなのだが、その辺りの解説は巻末に詳細に記されているので、後日採り上げる。
それと、奇妙な動物たちの生態。こういった才能は、既に名作「地球の長い午後」などでも証明済みであるが、その実力が遺憾なく発揮されている。例えば、一部のファゴールが移動に利用するイエルクという動物は、ほ乳類であるが、性交後、雌の体内でウジ虫大の幼生が母の胃を食べて成長し、動脈内で分裂増殖、母の体を食べて喰い殺す。その後、幼生同士が共食いしながら生存競争を繰り返し、２、３匹になり十分成長したところで、体外に出る。ユーリたちは、このイエルクの死体から幼生を取り出し（爪ほどの大きさ）、食べたり、鞄の装飾に使ったりする。
またファゴールはユーリたち（ハンター）とは別種の知的動物である。角の生えた牛のような容貌であるが、集団で地下に穴を掘って生活しており、ハンターを捕えては奴隷としてこき使っている。
文字数オーバーしそうなのでこの辺で切り上げるが、とにかくこういったディテール描写がすばらしい。特に「地球の長い午後」の好きな者には、たまらない作品である。
ユーリが橇を奪ってある町を訪れる。そこで商人夫婦に面倒を見てもらい、自分も店を持つため聖職者ギルドに入ろうと努める。アカー神をあがめる教団がこの町を統治しており、聖職者になるのは至難の業だ。
というのがだいたい３０ページぐらいまでのストーリー。
今日中に序章だけでも読み終わらないと。実は、ハイペリオンの没落と併読なんだけど。なんか今日は超眠い。年越しぐらいまでは起きていたいけど超つらい。布団の誘惑……。いかん。掃除もしないといかんし……。外で読んでくるか。眠気覚ましにカフィーでも飲みつつ。
ユーリはカイアルらの反対を押し切って、牧師になろうとするが、その最後の関門でキャプテン・エブロンより、商人２人を殺害し橇を奪った容疑を告げられる。ユーリは否認し幽閉されるが、独房で３日煩悶の末、遂に自白をし、聖職ギルド入りを認められる。この地域では、聖職者階級の構成員の多くが罪人出身であり、牧師と囚人の違いはあまりない。ユーリはまず就任式の前に様々な儀式に参加をする。他の牧師の話から、死者と話す能力を持つ者がいることを知る。父がファゴールに捕えられて死んだと思っているユーリは、相手から「死者と意思を通じられるようになれば父が死んだかどうかはわかる」と言われる。やがて、ユーリは就任の儀式を経て、正式に牧師の職を与えられる。だがインターン期間があり、最初は、監獄地区で囚人の世話をすること、次は保安部員の専属牧師、この段階を経て、初めて民間で牧師として活動を許される。監獄に配属になった際、ユーリはカイアルらの息子で反逆罪で捕えられたウシリクが、事故で養殖池に落ちたかどで拷問されるのを目撃する。ユーリはウシリクに援護を申し出るがほっといてくれと拒否される。やがてユーリは保安部に異動になる。この仕事はいやな仕事だが、水に合っていた。ユーリは危険のないときを見計らってウシリクと接触を続けた。
以上で５１ページまで。
正月中に序章を終えるのがノルマなので、今日中に達成可能な状況になった。後は予定通り掃除をしたい。
下記事情（注・体調不良）のため進まず。
６８ページまでやっときた。
ウシリクの仲間のイスカドル（美女）とスコローを連れて脱出。谷間にさしかかり、イスカドールが弓矢を使って紐を向かいの岩に引っ掻かけ、反対側に渡る。谷間にユーリは、湖などのある「もう一つの世界」を垣間みる。
だるい。序章が終わるかどうかすら微妙になってきた。
序章終了。
山道を進み小穴で寝ていると何かが近づいてくる、巨大な二匹の虫。ウトラの虫か？ ４人は隙を見て逃げ出す。その後キノコや鳥をとって食べたり、ヤギの乳を搾ろうとして失敗したりしながら進み、ついにウトラの町につく！ ときは春分近く。４人は町で暮らすことにする。外見や言葉が違う点を除くと彼らは受け入れられた。近隣のドーツィンの攻撃を受けるが、弓矢で撃退。ユーリはイスカドルと子をもうけ、ウシリクはイシクと、スコローはフィティと結婚。疫病で王を失ったドーツィンに請われてユーリらはドーツィンに移住し湖畔に住む。彼はその湖をオルドランドと呼んだ。今にも春が訪れつつあった。
本章「エンブラドック」
序文
シェイ・タルの言葉
太古の災厄を忘れてはならぬ！
はっきりいって、こいつは面白い。何で訳されていないのか疑問。英国でベストセラーになったんだから一般受けする内容なんだし、売れないからというのは説明になっていない。
この先の展開が楽しみ。
本章
第１章 祖父の死
ユーリの曾孫の孫、レインタル・アイ（７歳＝今年成人）が視点の中心。祖父の「リトル・ユーリ」が死にかけているとのことで、ボンドーロンガノン神父の訪問を受け、祖父の屋敷へ向かう。神父から角付き犬のミニチュア彫刻をもらったアイは喜ぶ。祖父は息を引き取り、葬儀が催される。祖母は悲嘆に取り乱す。葬儀後に酒宴が行われ、仕事を終えた神父は去る。
第１章のラストで、ヘリコニア上空にヘリコニアを観察する地球人の船が浮かんでいることが判明する。彼らの目的は何なのか？
第２章 夢のようだった過去
酒宴の席で、エンブルドック住民たちは、ユーリからの代々の歴史を口承で語り始める。序章から本章に至るストーリーの断絶部分をつなぐ（説明する）パートである。現在、途中まで呼んだ。続きは次回。
本作は、ヒロイックファンタジイ風の内容でありながら、惑星生態系や２つの太陽の描写、上空で観察を続ける地球人の船等、ＳＦの要素をしっかり持っており、「新しい太陽の書」「雪の女王」等と同様のいわゆる「サイエンス・ファンタシイ」に分類されるものと思われるが、そこはオールディス、一筋縄でいかないはずだ、この先の展開が楽しみである。
第２章 夢のごとき過去
小ユーリの死の床で、部族民たちが伝承を語り継ぐ。ユーリ末裔のドレシルと小ユーリがたちがエンブラドックを攻略し占拠。この地に住み着き、旧領主ウォール・アインと提携。小ユーリはロイルを紹介され、ロイルの謎めいた言動に魅惑される。両部族は合同し防備を強化、ファゴールは一時襲ってこなくなる。彼らは共同作業で盃や剣を作った。
第３章 塔からの跳躍
ロイルが孫のレインテル・アイに語る話。小ユーリとロイルは結婚した。ドレシルは刀杜氏の娘ドライ・ホイン・デンと結婚。ユーリはロイルの多大な影響を受ける。ロイルはユーリに「死人（父、祖父など）との交信の方法を教える」と言い、ユーリは特訓を受け外出しないようになる。アサータル・デンがユーリを特訓のため北東地方に連れて行く。だがユーリは父と交信できない。ロイルの見解では「地程」（ランドオクターウ゛）が合わないためだという。２年後ドレシルにナークリが、ロイルにも娘ロイラナンが生まれる。やがてファゴールが来襲するも撃退さる。１人のファゴールは村内に突入し塔に登り、部族民が取り囲む中飛び降りて観衆の子一人を殺し暴れたあげく倒れる。その後、奇病が流行する。他方、ヘリコニア軌道上で、地球観測船アウ゛ァーナス上の地球人はヘリコニアの観測を続ける。
第４章 好ましい気温の漸変
ロイラナンは彼氏を作るが、男は獣に襲われ死す。彼女は妊娠。その子がレインテル・アイ。
他方、氷河地帯のイプート率いる救世軍がオルドランドへの進軍を続ける。
ドレシルは、部族の若者の無礼さに忸怩たる思い。合同暦１７年、妻ホイン死す。
ウトラとアカの対決神話が語られる。
ドレシルの子のナークリとクリルス兄弟が領主の跡継ぎとなる。
少し開いたが再開。次は第５章「二重の日没」である。
第５章 二重の日没
ナークリ＆クリルス兄弟がエンブラドクの新領主となり、会議を開く。ロイラナンは「レインタルが成人するまで自分が役を果たす」と叫ぶが「女には任せられない」と拒否される。しばらくはこの兄弟の治世が続く。狩人の頭領のアオズ・ルーンはブラシミプス旧領主ウォール・アインの叔父の末裔であったが、家族に反発し離れた塔内でエリーン、ファラリン、タンスらと暮らしていた。アオズの娘がオイアであった。アオズはレインテル・アイとともに狩りをした。あるときボーリエンからクツィンツ地方（北）に向かってきた商人８人を捕え、うち一人（カラリー）を奴隷にする。製造ギルドのダスカという若者が仕事に嫌気をさしやめさせてくれと言い出す。領主兄弟は難色を示すがアオズの進言で狩人に転職し、レインテルと仲良くなる。夫を亡くして以後ぼけ老人状態であったロイルはある日獣に食われて死ぬ。ロイラナンは、夫人ギルドに働きに出て皮の加工や料理などの業務に従事する。ある夜ロイラナンはシェイ・タルを訪ね、「ロイルと交信した、ロイルは知恵を尊重せよと説教をした」と語る。２人はそのまま仕事に出る。やがてロイラナンは病死するが、病床でシェイらに「学院を設立し、領主兄弟に対抗せよ」とアドバイスする。シェイ・タルは領主兄弟らの前で「知恵こそ貴重なり」との演説をぶつ。レインテルは成人（９歳）に達し、狩りの合間、オイアとともに辺境を探検する。ある日レインテルは外を探検中に獣の穴（罠）に足を踏み落とし、獣と交戦する。苦戦のあげくこれを倒し、村に凱旋する。折しも２つの太陽が同時に沈む「二重の日没」の祭りを控えており、たまたま正月にもあたっていた。その祭りで生け贄の儀式が行われるのだが、カラリーがウトラに生け贄に捧げられることになった。領主兄弟は臆病にも斧で奴隷の首をはねられず群衆からブーイングを浴び、代わってアオズが首をはねる。帰りにアオズは前もってカラリーに酒を飲ませていたので幸せな気持ちで逝ったはずだとレインテルに語る。レインテルは微かな恋情の芽生えたオイアに「獣を倒した話で俺に惚れたかい？」ときくが、オイアは舌を出し「あんた馬鹿みたいって思ったわよ」とにべもない。
ここでちょっと一休み、この合本版は冒頭に作者の「ヘリコニア３部作が生まれるまで」の創作秘話が載っている。それによると、このシリーズはまずはじめに編集者から「何か本を書いてくれ」と頼まれた作者が「地球に似ているが季節のものすごく長い星の話を書きたい、その星の名はヘリコニア」と答えたことから始まった。最初に題名が決まり、その後にディテールを決めていった。彼は当時、一世を風靡した「ガイア」概念を基本にヘリコニア世界を構築し、特に植物相については苦労をしたが、ある日イギリス国内を旅しているときみた工場の煙突の様子を見て思いついた。また、当時「３つの世界の相克」を描いた「西部での生活」という小説が好評だったため同じテーマを入れようとも考えたが断念し、「３つの大陸」だけが残った。とのことである。
巻末にはヘリコニア世界についての解説が載っており、これはこの合本版用の書き下ろしである。これについては後日。
第６章 「もし私がビファドックならば……」
レインタルはアオズ、ナークリらとともに鹿狩りに出かけ、囮の鹿を使って鹿の群れに近づく。その過程でファゴールとでくわしたアオズはファゴールを倒す。彼らが数頭の鹿の獲物を携えて村に帰ると女たちが彼らを迎える。しかし、ダスカとアオズを迎える女はない。アオズはシェイを探し、なぜ迎えに来ないのだと訪ねるが、彼女は学院の仕事で忙しい、知識の方が重要だからと答える。アオズはシェイに自分を愛せよ、学院をやめろと迫るが受け入れられない。夜の宴会で酔って塔に登ったアオズは、追い出しにきたクリルスをよった勢いで塔から突き落として殺害してしまう。更にダスカが呼んできたナークリも同様に突き落として殺す。この様を目撃したレインタルやオイアは口止めをされる。
他方、２つの太陽のうちフライヤーは徐々にヘリコニアに近づき大きくなる。地球の船はヘリコニア地上のデータを正確に記録し、地球に送っている。
アオズは殺人の罪悪感に苛まれる。２つの死体を互いに喧嘩して死んだように見せかけるため寄せた後、塔に登り、毛皮を脱ぐ。全身に燃えるような模様が現れている。
地球観測船の一部の乗員は、ヘリコニアに降りて暮らしてみたいと考え始める。
アオズは領主となるための会議を催し、７つのギルドの長を招集し、レインタルとダスカを首席補佐官にすると宣言し反発を買う。その後、アオズはオイアに命じてオイルを全身に塗らせる。
オルドランド近辺にいたマディ族の家族がヨール・ガー・ウィリーク（クツァーン族）の一味に殺害される。クツァーンの救世軍は「フライアの子」の都市に向かって進軍を続ける。
この先、オルドランドとクツァーンの命運が相まみえることになるとはどちらも想像すらしていない……。
読んでないといいながら、ちょっとずつは読んでるんっすよ、ねえさん。
いよいよファゴールの軍団とオルドランドの住民が対戦……なんと、ファゴール連中が凍りついてしまった！ ウトラの神の仕業？ 面白くなってきた。って、やっぱりまとまった時間を取って一気に読むのが一番面白いんだけどね。なんか忙しくてさあ・・・（中略）・・・その時にじっくり読むつもりだけんど。
前回要約した「ファゴールが湖で凍った」は第７章「ファゴールへの冷たい歓待」。
第８章「黒曜石にくるまれて」
ダスカは自分の倒した巨大なスタンジバグをブライに見せ、解体作業が始まる。ダスカとブライは、スタンジバグを魅きつけた巨大なブラシミプの木に登り、側面の穴から幹の中央の空洞となった管の中におりてゆき、冬眠中の小動物（グロッシイ、冬眠明け後はホクスニイと呼ばれる）を発見する。村に戻ったブライにシェイ・タルはある実験をすることと、母のゴッシイと交信をすること、その後オルドランドを離れ旅に出ることを告げる。グロッシイは冬眠から目覚めるとすぐ死ぬ。シェイはファゴールを水に入れて凍るか否かの実験をするが、そのような現象は起こらず、奇跡の原因は突止められない。次の委員会で、レインタル・アイは学院を支援するよう求めるが、アオツ・ルーンは拒否する。委員会では彼らの歴史上の連続性について議論がなされる。シェイ、ブライ、オイアらは数日後、星の動きを議論し、星が動くのではなく地面が動いているのではないか、また「ワンダラー」（惑星）やカイドー（特に速く動く星）はもっと近くにあるのではないか、などの推測を述べる。
実は、「カイドー」とは地球観測船アウ゛ァナスのことであった。ヘリコニアの星系においては、ヘリコニアはバタリスク（Ｂ星）の周囲を４８０日（１小年）かけて回り、バタリスクがフライア（Ａ星）の周囲を１８２５小年（１大年）かけて回る。つまり、Ｂ星をめぐる小さな季節のサイクルと、Ａ星をめぐる大きな季節のサイクルが存在し、大きなサイクルは１８２５小年もの巨大なサイクルなのである。
いまわの際にある老婆アミム・リムは、塔の下の前任領主兄弟の遺体が離れて落ちていたのを目撃したことから、二人が争って一緒に落ちたのでなく誰かに突き落とされたこと、その犯人はアオツ・ルーンと思われることをシェイらに告白する。シェイは母のゴッシイと交信する。気温は上昇し、３大陸上の生き物たちの生死も活発化する。シェイはブライとともに寺院を訪れウトラの偶像を見上げる。母のゴシイが言ったように、それはファゴールの姿であった。
次回は第９章「ホクスニイの毛皮の内外で」。話が動いてきたよ。
あかん。本格的に英語が読めなくなってきた。意味が頭に入って来ない。脳が受容を拒絶しているようだ。それとファンタジー、特にヒロイックファンタジーが日本語でも全く読めない。頭が拒絶反応を示して、先に進まないのだ。やっぱり苦手なものを無理に読もうとするからか。困ったもんだ。
てなわけで、フードのついてる服好きな人！違った。ヘリコニア９章が読めねえ。１週間でたった１４ページ。まあ１ページに小さい活字で詰め込んであるから普通より遅いのはしょうがないとしても、いくらなんでもこれは・・・３９分程度で読まなきゃならんページ数。この章やけに長くて４０ページぐらいあるとはいえ、これはあんまりだよ。
いちおう読んだ分だけね。
第９章 ホクスニイの毛皮を着ては脱ぎ
２つの太陽の蝕現象が起こる。それを宇宙船から地球人が観測する。洪水が起こり彼らはボラル川に橋を架ける。彼らは多様な穀物を育て、星を語る。シェイは地球が太陽の周りを回っていると考える。シェイは石打師範のところへ行き、歴史書を調べ、かつてファゴールがオルドランドを治めていたと確信する。彼らはホクスニイを狩って、その毛皮を使う。気候は暖かくなった。男たちはホクスニイを狩り、毛皮を持ち帰る。シェイはヘリコニアが２つの太陽をいかに回るかの考察を深める。オイアとブライは全裸で泳ぐ。アオツがゴイヤと話しながらダスカと進む。アイはオイアと話す。あの奇跡の夜からファゴールは襲って来ない。
ここで２２６ページ 疲れる。
第９章 ホクスニイの毛皮の着脱
気候は暖かくなり男たちはホクスニイを狩りその毛皮を女たちは着る。シェイはヘリコニアの公転についての推論を語る。オイアとブライは泳ぐ。アオツはゴイヤと語りつつダスカと狩りに出る。アイとオイアは初めて性交する。アオツはダトニルを処刑する。アイはアオツの殺人の事実を指摘しようとして殴られ、破門される。地球人の観測船はヘリコニアの気温の上昇のデータを採取し地球に送る。氷が溶けて川になる。祝宴中に侵入者の報が入り、アオツは厳戒態勢を命じ現地に赴き、カイドーに乗ったファゴルを倒す。アイはオイアに約束した「偉大な振る舞い」としてカイドーを綱で捕え、村に連れ帰る。
ヘリコニアの春 第１０章 レインタル・アイの功績 （引用）
「草原は見渡す限り、いかなる人間も、いかなる二足歩行動物も目の届かない彼方まで、咲き乱れる花におおわれていた。白、黄、橙、青、淡緑、桜色の花弁の嵐が地図にない何マイルもの距離を越えてオルドランドの壁に吹きつけ、色の竜巻の中に村をつつみこんだ。
雨が花を運び、そして雨は消えた。花は残り、熱い帯となって輝く地平線まで、距離そのものが春に汚されたかのように、咲き広がっていた。
この壮大な景観の一部分だけが柵に囲まれていた。
レインタル・アイとダスカは仕事を終え、友人たちとともに成果を確認していた。
若木と棘の木で柵を建造したのだ。剣からしたたった樹液が手首に滴り落ちるまで、若木を切り倒した。若木は切りそろえられ、柵の横木として、地面に平行に据えつけられた。縦横に束ねた枝や棘の木が組み込まれた。できあがったものは頑丈で、人の背丈ほどの高さがあった。この柵は一ヘクタールほどの地面を囲んでいた。
この新たな囲い地の中央にカイドーが立っていたが、人が乗るのを拒んでいた。
カイドーの女主人であるギロットは、慣習に従い、倒れた場所で腐るに任されていた。わずか三日後にマイクほか二名の奴隷が埋葬のために派遣されたが、既に死体は臭い始めていた。
花がカイドーの唇からよだれのごとくぶら下がっていた。ピンクの花を口いっぱいほおばったのだ。捕われた状態で食べても本来の味が感じられないのか、この偉大で不気味な動物は、頭を高くして立ち、柵のてっぺんから外を眺め、食うことをすっかり忘れていた。時々数ヤード脚を高く上げて移動しては、元の見晴らしの良い場所に戻り、白目を剥いた。・・・」
冒頭だけ引用してみました。こんな感じの内容です。章読み終わり次第要約。多分、アイがカイドーを乗りこなすようになるんだろうな、だいたい想像がつく。
第１０章 レインタル・アイの功績
アイは捕えたカイドーを柵で囲い、手なづけようとするがうまくいかない。ファゴールの毛皮をかぶって近づき、乗ることには成功するが、主人でないことに気づいたカイドーは暴れた上、自らの心臓に角を突き立て自害する。アイらは、やむなくホクスニイを手なづけて乗ることに成功する。ホクスニイの家畜化によって、労働の省力化が飛躍的に進み、「ホクスニイ革命」と称される。かれらは騎馬隊を組織し、隣村のヴァンリアンを征服する。かれらは更に南方、シボーナルに進軍する。だが、アイはまたもオイアにふられる。
第１１章 シェイ・タルのゆくとき（冒頭）
オルドランドの文明はボラルの川向こうにまで拡張する。アオツは学問、宗教を軽視し、これを重視すべきとするシェイ・タルとの対立を深める。
これ、期待したほど面白くないんだよな。何か話の展開がゆったりし過ぎ。しかも、先が読めてしまうし。ヘリコニア人ってのは恐らく大昔植民した地球人の末裔とかいう設定なんだろきっと。異常にサイクルの長い季節っていう設定は、アシモフ「夜来る」とかとかぶるネタだし、長い冬で退化した文明が春の訪れとともに復活するというテーマも、ホロコーストものでよく見かけるテーマを異星に置き換えただけ的な見方も出来る。意外な要素がないんだよな、だからぐいぐい引き込む力がない。
出てくる動植物がもっと奇抜だったり、地球と月が巨大な蔓でつながってる的な大ネタがあれば、「地球の長い午後」みたいにハマれるんだが、それもパワー不足。
つまり、奇麗にまとまり過ぎなのだ。「いいんだけどすぐ忘れてしまう」と山形氏も評していたが、まさにそんな感じ。
あまり多くは望まず完読だけを目指すことにします。
第１１章 シェイ・タル出発のとき
ホクスニイの家畜化により、オルドランドの部族は勢力を増し、ボラル川を越えて版図を広げる。ここに至り、宗教／知識無用論者のアオズとシェイ・タルの対立は激化する。彼らは南方へ進軍をはじめる。折しもマディたちは、気温の上昇とともに骨熱菌を繁殖させた状態で人間たちに捕まる。
こいつらが病気をうつすんだろうな、きっと。人とファゴールはどっかで衝突するんだろうし。意外な要素がないんだよな、先の予想がついてはらはらしない。
残り２５ページ。
ファゴルと衝突して川の中の島に乗り上げ、骨熱の発作を起こしたルーンだったが、何と生きていた！ しかも、ファゴルと友情を育んでいたとは（笑）。一方、レインタル・エイは、領主宣言をせよというダスカの提言を断り、オルドランドを出て南へ。骨熱に感染しながら生き延び、ボレリアンの町で職を貰う。この町で門番と仲良くなり、一緒にオルドランドに戻ろうとしている矢先にルーンと再会、ルーンも一緒に戻ることとなる。折しも大「救世軍」が北へ向かって行く。エイらはこの後を追ってオルドランドへ向かう。
ＳＦとは言いながら、内容は完全にヒロイック・ファンタジイ。ただ、「骨熱」だの「肥死病」といったファゴルの寄生虫が媒介するウイルス性疾患が、ヘリコニアの季節サイクルと相まって、ヘリコニア上の人口調節作用を営んでいるという説明などに「サイエンス」の要素が垣間見える。この星を軌道上から観測し、地球にデータを送っている地球人の存在が謎のまま。この辺りの謎が明かされればＳＦに移行するのかもしれないが……。
第１３章「０・５ルーン貨幣からの眺め」第１４章「針の目をくぐる」第１５章「焼ける匂い」で「ヘリコニアの春」をようやく読み終える。
骨熱に襲われ混乱するオルドランドの領主代行として、副官らを手なづけたり辱めた上、就任演説を行おうとしたダスカは、思わぬ反発にあい、ルーンの悪行を暴露するも、暴動を巻き起こし敗走する。ダスカをかくまったブライは、急遽機転を利かせ、自ら「２０回の蝕の最後の蝕が訪れても、それはただの天体現象にすぎないからパニックを起こす必要はない」ことを理詰めで説く。他方、ルーンらとともにオルドランドへ向かっていたアイは、途中でファゴルの一団と遭遇し戦闘となるも、その最中にラジャバラルの木が爆発し巨大な種をまき散らす。仰天したファゴルは逃走する。門番らと別れてオルドランドへ向かったルーンとアイは、最後の蝕を経て、レイニル（金作り師）と再会を果たす。更に進んだアイらは、子供を連れたドルとオイアに劇的再会を果たす。アイはオイアとともに、オルドランドへ向かう。ファゴルから仲間たちを救うために……。ここで第１巻は幕を閉じる。
第２巻の「ヘリコニアの夏」は恐らく数世代後の話だろうから、アイとオイアのこの後の運命は結局語られずじまいとなり、そりゃないよというところだが、ドラマティックな幕引きで面目を保った。
正直なところ、あまりにもヒロイックファンタジイ色が強すぎて、「ＳＦとしてはどうかな……」というところだが、純粋に物語として楽しめばなかなかのもの。登場人物は多彩だし、その権力抗争、権謀術数は見応えがある。オルドランドの緩やかな文明の進展と政治抗争、そして「地動説の発見」と、「二重の公転によって２種類の季節が存在する惑星」という壮大な舞台で展開するゆったりした物語は確かに人気を博したのもうなずけるところ。そして、軌道上から地球にデータを送るアウ゛ァーナス号の謎は……？ これは「夏」以降にお預けのようだが、これで次作以降を読む楽しみが出来たというものだ。
『春』は既読。
『夏』を飛ばして『冬』を読み、後で気が向いたら『夏』を読むことにします。
なお、『ヘリコニアの春」を読んでいた昨年１２月から今年３月（！）にかけての私の日記を以下にまとめておきます。参照用に。
『ヘリコニアの春』読書日記より再録（復習用）
私が持っているのは春、夏、冬の合本版である（どうせなら秋も書いて４部作にすりゃあよかったのに）。しゃれにならないぐらい分厚いが、仕方あるまい。春が３６２ページ、夏が３９８ページ、冬が２８２ページ。巻末にヘリコニア世界の解説がついており、至れり尽くせりの内容である。全部足すと１０００ページを超える。活字も結構細かいので、普通のペーパーバックに直すともっと厚いかもしれない（ちょっと大判の変則ペーパーバックである、サイズ的には四六版てやつだ）。
ヘリコニアの春は、序章と１５章からなる本章。序章が結構長くて７４ページある。しかし、英国でベストセラーになったほどの人気作だから、きっと面白いのだろう。
そう思って読み始めたら実際面白い。
序章は「ユーリ」と題されているがこのユーリはヘリコニア人の少年である。父とともに雪の中を狩りに出かけるが、イエルクの死体の解体作業中にファゴールに襲われて、父は連れ去られ奴隷にされてしまう。
まず何と言っても寒そうな惑星上の情景描写がたまらない。しかもこの世界には太陽が２つもあるのだ。だからこの星の四季の変遷は非常にユニークなのだが、その辺りの解説は巻末に詳細に記されているので、後日採り上げる。
それと、奇妙な動物たちの生態。こういった才能は、既に名作「地球の長い午後」などでも証明済みであるが、その実力が遺憾なく発揮されている。例えば、一部のファゴールが移動に利用するイエルクという動物は、ほ乳類であるが、性交後、雌の体内でウジ虫大の幼生が母の胃を食べて成長し、動脈内で分裂増殖、母の体を食べて喰い殺す。その後、幼生同士が共食いしながら生存競争を繰り返し、２、３匹になり十分成長したところで、体外に出る。ユーリたちは、このイエルクの死体から幼生を取り出し（爪ほどの大きさ）、食べたり、鞄の装飾に使ったりする。
またファゴールはユーリたち（ハンター）とは別種の知的動物である。角の生えた牛のような容貌であるが、集団で地下に穴を掘って生活しており、ハンターを捕えては奴隷としてこき使っている。
文字数オーバーしそうなのでこの辺で切り上げるが、とにかくこういったディテール描写がすばらしい。特に「地球の長い午後」の好きな者には、たまらない作品である。
ユーリが橇を奪ってある町を訪れる。そこで商人夫婦に面倒を見てもらい、自分も店を持つため聖職者ギルドに入ろうと努める。アカー神をあがめる教団がこの町を統治しており、聖職者になるのは至難の業だ。
というのがだいたい３０ページぐらいまでのストーリー。
今日中に序章だけでも読み終わらないと。実は、ハイペリオンの没落と併読なんだけど。なんか今日は超眠い。年越しぐらいまでは起きていたいけど超つらい。布団の誘惑……。いかん。掃除もしないといかんし……。外で読んでくるか。眠気覚ましにカフィーでも飲みつつ。
ユーリはカイアルらの反対を押し切って、牧師になろうとするが、その最後の関門でキャプテン・エブロンより、商人２人を殺害し橇を奪った容疑を告げられる。ユーリは否認し幽閉されるが、独房で３日煩悶の末、遂に自白をし、聖職ギルド入りを認められる。この地域では、聖職者階級の構成員の多くが罪人出身であり、牧師と囚人の違いはあまりない。ユーリはまず就任式の前に様々な儀式に参加をする。他の牧師の話から、死者と話す能力を持つ者がいることを知る。父がファゴールに捕えられて死んだと思っているユーリは、相手から「死者と意思を通じられるようになれば父が死んだかどうかはわかる」と言われる。やがて、ユーリは就任の儀式を経て、正式に牧師の職を与えられる。だがインターン期間があり、最初は、監獄地区で囚人の世話をすること、次は保安部員の専属牧師、この段階を経て、初めて民間で牧師として活動を許される。監獄に配属になった際、ユーリはカイアルらの息子で反逆罪で捕えられたウシリクが、事故で養殖池に落ちたかどで拷問されるのを目撃する。ユーリはウシリクに援護を申し出るがほっといてくれと拒否される。やがてユーリは保安部に異動になる。この仕事はいやな仕事だが、水に合っていた。ユーリは危険のないときを見計らってウシリクと接触を続けた。
以上で５１ページまで。
正月中に序章を終えるのがノルマなので、今日中に達成可能な状況になった。後は予定通り掃除をしたい。
下記事情（注・体調不良）のため進まず。
６８ページまでやっときた。
ウシリクの仲間のイスカドル（美女）とスコローを連れて脱出。谷間にさしかかり、イスカドールが弓矢を使って紐を向かいの岩に引っ掻かけ、反対側に渡る。谷間にユーリは、湖などのある「もう一つの世界」を垣間みる。
だるい。序章が終わるかどうかすら微妙になってきた。
序章終了。
山道を進み小穴で寝ていると何かが近づいてくる、巨大な二匹の虫。ウトラの虫か？ ４人は隙を見て逃げ出す。その後キノコや鳥をとって食べたり、ヤギの乳を搾ろうとして失敗したりしながら進み、ついにウトラの町につく！ ときは春分近く。４人は町で暮らすことにする。外見や言葉が違う点を除くと彼らは受け入れられた。近隣のドーツィンの攻撃を受けるが、弓矢で撃退。ユーリはイスカドルと子をもうけ、ウシリクはイシクと、スコローはフィティと結婚。疫病で王を失ったドーツィンに請われてユーリらはドーツィンに移住し湖畔に住む。彼はその湖をオルドランドと呼んだ。今にも春が訪れつつあった。
本章「エンブラドック」
序文
シェイ・タルの言葉
太古の災厄を忘れてはならぬ！
はっきりいって、こいつは面白い。何で訳されていないのか疑問。英国でベストセラーになったんだから一般受けする内容なんだし、売れないからというのは説明になっていない。
この先の展開が楽しみ。
本章
第１章 祖父の死
ユーリの曾孫の孫、レインタル・アイ（７歳＝今年成人）が視点の中心。祖父の「リトル・ユーリ」が死にかけているとのことで、ボンドーロンガノン神父の訪問を受け、祖父の屋敷へ向かう。神父から角付き犬のミニチュア彫刻をもらったアイは喜ぶ。祖父は息を引き取り、葬儀が催される。祖母は悲嘆に取り乱す。葬儀後に酒宴が行われ、仕事を終えた神父は去る。
第１章のラストで、ヘリコニア上空にヘリコニアを観察する地球人の船が浮かんでいることが判明する。彼らの目的は何なのか？
第２章 夢のようだった過去
酒宴の席で、エンブルドック住民たちは、ユーリからの代々の歴史を口承で語り始める。序章から本章に至るストーリーの断絶部分をつなぐ（説明する）パートである。現在、途中まで呼んだ。続きは次回。
本作は、ヒロイックファンタジイ風の内容でありながら、惑星生態系や２つの太陽の描写、上空で観察を続ける地球人の船等、ＳＦの要素をしっかり持っており、「新しい太陽の書」「雪の女王」等と同様のいわゆる「サイエンス・ファンタシイ」に分類されるものと思われるが、そこはオールディス、一筋縄でいかないはずだ、この先の展開が楽しみである。
第２章 夢のごとき過去
小ユーリの死の床で、部族民たちが伝承を語り継ぐ。ユーリ末裔のドレシルと小ユーリがたちがエンブラドックを攻略し占拠。この地に住み着き、旧領主ウォール・アインと提携。小ユーリはロイルを紹介され、ロイルの謎めいた言動に魅惑される。両部族は合同し防備を強化、ファゴールは一時襲ってこなくなる。彼らは共同作業で盃や剣を作った。
第３章 塔からの跳躍
ロイルが孫のレインテル・アイに語る話。小ユーリとロイルは結婚した。ドレシルは刀杜氏の娘ドライ・ホイン・デンと結婚。ユーリはロイルの多大な影響を受ける。ロイルはユーリに「死人（父、祖父など）との交信の方法を教える」と言い、ユーリは特訓を受け外出しないようになる。アサータル・デンがユーリを特訓のため北東地方に連れて行く。だがユーリは父と交信できない。ロイルの見解では「地程」（ランドオクターウ゛）が合わないためだという。２年後ドレシルにナークリが、ロイルにも娘ロイラナンが生まれる。やがてファゴールが来襲するも撃退さる。１人のファゴールは村内に突入し塔に登り、部族民が取り囲む中飛び降りて観衆の子一人を殺し暴れたあげく倒れる。その後、奇病が流行する。他方、ヘリコニア軌道上で、地球観測船アウ゛ァーナス上の地球人はヘリコニアの観測を続ける。
第４章 好ましい気温の漸変
ロイラナンは彼氏を作るが、男は獣に襲われ死す。彼女は妊娠。その子がレインテル・アイ。
他方、氷河地帯のイプート率いる救世軍がオルドランドへの進軍を続ける。
ドレシルは、部族の若者の無礼さに忸怩たる思い。合同暦１７年、妻ホイン死す。
ウトラとアカの対決神話が語られる。
ドレシルの子のナークリとクリルス兄弟が領主の跡継ぎとなる。
少し開いたが再開。次は第５章「二重の日没」である。
第５章 二重の日没
ナークリ＆クリルス兄弟がエンブラドクの新領主となり、会議を開く。ロイラナンは「レインタルが成人するまで自分が役を果たす」と叫ぶが「女には任せられない」と拒否される。しばらくはこの兄弟の治世が続く。狩人の頭領のアオズ・ルーンはブラシミプス旧領主ウォール・アインの叔父の末裔であったが、家族に反発し離れた塔内でエリーン、ファラリン、タンスらと暮らしていた。アオズの娘がオイアであった。アオズはレインテル・アイとともに狩りをした。あるときボーリエンからクツィンツ地方（北）に向かってきた商人８人を捕え、うち一人（カラリー）を奴隷にする。製造ギルドのダスカという若者が仕事に嫌気をさしやめさせてくれと言い出す。領主兄弟は難色を示すがアオズの進言で狩人に転職し、レインテルと仲良くなる。夫を亡くして以後ぼけ老人状態であったロイルはある日獣に食われて死ぬ。ロイラナンは、夫人ギルドに働きに出て皮の加工や料理などの業務に従事する。ある夜ロイラナンはシェイ・タルを訪ね、「ロイルと交信した、ロイルは知恵を尊重せよと説教をした」と語る。２人はそのまま仕事に出る。やがてロイラナンは病死するが、病床でシェイらに「学院を設立し、領主兄弟に対抗せよ」とアドバイスする。シェイ・タルは領主兄弟らの前で「知恵こそ貴重なり」との演説をぶつ。レインテルは成人（９歳）に達し、狩りの合間、オイアとともに辺境を探検する。ある日レインテルは外を探検中に獣の穴（罠）に足を踏み落とし、獣と交戦する。苦戦のあげくこれを倒し、村に凱旋する。折しも２つの太陽が同時に沈む「二重の日没」の祭りを控えており、たまたま正月にもあたっていた。その祭りで生け贄の儀式が行われるのだが、カラリーがウトラに生け贄に捧げられることになった。領主兄弟は臆病にも斧で奴隷の首をはねられず群衆からブーイングを浴び、代わってアオズが首をはねる。帰りにアオズは前もってカラリーに酒を飲ませていたので幸せな気持ちで逝ったはずだとレインテルに語る。レインテルは微かな恋情の芽生えたオイアに「獣を倒した話で俺に惚れたかい？」ときくが、オイアは舌を出し「あんた馬鹿みたいって思ったわよ」とにべもない。
ここでちょっと一休み、この合本版は冒頭に作者の「ヘリコニア３部作が生まれるまで」の創作秘話が載っている。それによると、このシリーズはまずはじめに編集者から「何か本を書いてくれ」と頼まれた作者が「地球に似ているが季節のものすごく長い星の話を書きたい、その星の名はヘリコニア」と答えたことから始まった。最初に題名が決まり、その後にディテールを決めていった。彼は当時、一世を風靡した「ガイア」概念を基本にヘリコニア世界を構築し、特に植物相については苦労をしたが、ある日イギリス国内を旅しているときみた工場の煙突の様子を見て思いついた。また、当時「３つの世界の相克」を描いた「西部での生活」という小説が好評だったため同じテーマを入れようとも考えたが断念し、「３つの大陸」だけが残った。とのことである。
巻末にはヘリコニア世界についての解説が載っており、これはこの合本版用の書き下ろしである。これについては後日。
第６章 「もし私がビファドックならば……」
レインタルはアオズ、ナークリらとともに鹿狩りに出かけ、囮の鹿を使って鹿の群れに近づく。その過程でファゴールとでくわしたアオズはファゴールを倒す。彼らが数頭の鹿の獲物を携えて村に帰ると女たちが彼らを迎える。しかし、ダスカとアオズを迎える女はない。アオズはシェイを探し、なぜ迎えに来ないのだと訪ねるが、彼女は学院の仕事で忙しい、知識の方が重要だからと答える。アオズはシェイに自分を愛せよ、学院をやめろと迫るが受け入れられない。夜の宴会で酔って塔に登ったアオズは、追い出しにきたクリルスをよった勢いで塔から突き落として殺害してしまう。更にダスカが呼んできたナークリも同様に突き落として殺す。この様を目撃したレインタルやオイアは口止めをされる。
他方、２つの太陽のうちフライヤーは徐々にヘリコニアに近づき大きくなる。地球の船はヘリコニア地上のデータを正確に記録し、地球に送っている。
アオズは殺人の罪悪感に苛まれる。２つの死体を互いに喧嘩して死んだように見せかけるため寄せた後、塔に登り、毛皮を脱ぐ。全身に燃えるような模様が現れている。
地球観測船の一部の乗員は、ヘリコニアに降りて暮らしてみたいと考え始める。
アオズは領主となるための会議を催し、７つのギルドの長を招集し、レインタルとダスカを首席補佐官にすると宣言し反発を買う。その後、アオズはオイアに命じてオイルを全身に塗らせる。
オルドランド近辺にいたマディ族の家族がヨール・ガー・ウィリーク（クツァーン族）の一味に殺害される。クツァーンの救世軍は「フライアの子」の都市に向かって進軍を続ける。
この先、オルドランドとクツァーンの命運が相まみえることになるとはどちらも想像すらしていない……。
読んでないといいながら、ちょっとずつは読んでるんっすよ、ねえさん。
いよいよファゴールの軍団とオルドランドの住民が対戦……なんと、ファゴール連中が凍りついてしまった！ ウトラの神の仕業？ 面白くなってきた。って、やっぱりまとまった時間を取って一気に読むのが一番面白いんだけどね。なんか忙しくてさあ・・・（中略）・・・その時にじっくり読むつもりだけんど。
前回要約した「ファゴールが湖で凍った」は第７章「ファゴールへの冷たい歓待」。
第８章「黒曜石にくるまれて」
ダスカは自分の倒した巨大なスタンジバグをブライに見せ、解体作業が始まる。ダスカとブライは、スタンジバグを魅きつけた巨大なブラシミプの木に登り、側面の穴から幹の中央の空洞となった管の中におりてゆき、冬眠中の小動物（グロッシイ、冬眠明け後はホクスニイと呼ばれる）を発見する。村に戻ったブライにシェイ・タルはある実験をすることと、母のゴッシイと交信をすること、その後オルドランドを離れ旅に出ることを告げる。グロッシイは冬眠から目覚めるとすぐ死ぬ。シェイはファゴールを水に入れて凍るか否かの実験をするが、そのような現象は起こらず、奇跡の原因は突止められない。次の委員会で、レインタル・アイは学院を支援するよう求めるが、アオツ・ルーンは拒否する。委員会では彼らの歴史上の連続性について議論がなされる。シェイ、ブライ、オイアらは数日後、星の動きを議論し、星が動くのではなく地面が動いているのではないか、また「ワンダラー」（惑星）やカイドー（特に速く動く星）はもっと近くにあるのではないか、などの推測を述べる。
実は、「カイドー」とは地球観測船アウ゛ァナスのことであった。ヘリコニアの星系においては、ヘリコニアはバタリスク（Ｂ星）の周囲を４８０日（１小年）かけて回り、バタリスクがフライア（Ａ星）の周囲を１８２５小年（１大年）かけて回る。つまり、Ｂ星をめぐる小さな季節のサイクルと、Ａ星をめぐる大きな季節のサイクルが存在し、大きなサイクルは１８２５小年もの巨大なサイクルなのである。
いまわの際にある老婆アミム・リムは、塔の下の前任領主兄弟の遺体が離れて落ちていたのを目撃したことから、二人が争って一緒に落ちたのでなく誰かに突き落とされたこと、その犯人はアオツ・ルーンと思われることをシェイらに告白する。シェイは母のゴッシイと交信する。気温は上昇し、３大陸上の生き物たちの生死も活発化する。シェイはブライとともに寺院を訪れウトラの偶像を見上げる。母のゴシイが言ったように、それはファゴールの姿であった。
次回は第９章「ホクスニイの毛皮の内外で」。話が動いてきたよ。
あかん。本格的に英語が読めなくなってきた。意味が頭に入って来ない。脳が受容を拒絶しているようだ。それとファンタジー、特にヒロイックファンタジーが日本語でも全く読めない。頭が拒絶反応を示して、先に進まないのだ。やっぱり苦手なものを無理に読もうとするからか。困ったもんだ。
てなわけで、フードのついてる服好きな人！違った。ヘリコニア９章が読めねえ。１週間でたった１４ページ。まあ１ページに小さい活字で詰め込んであるから普通より遅いのはしょうがないとしても、いくらなんでもこれは・・・３９分程度で読まなきゃならんページ数。この章やけに長くて４０ページぐらいあるとはいえ、これはあんまりだよ。
いちおう読んだ分だけね。
第９章 ホクスニイの毛皮を着ては脱ぎ
２つの太陽の蝕現象が起こる。それを宇宙船から地球人が観測する。洪水が起こり彼らはボラル川に橋を架ける。彼らは多様な穀物を育て、星を語る。シェイは地球が太陽の周りを回っていると考える。シェイは石打師範のところへ行き、歴史書を調べ、かつてファゴールがオルドランドを治めていたと確信する。彼らはホクスニイを狩って、その毛皮を使う。気候は暖かくなった。男たちはホクスニイを狩り、毛皮を持ち帰る。シェイはヘリコニアが２つの太陽をいかに回るかの考察を深める。オイアとブライは全裸で泳ぐ。アオツがゴイヤと話しながらダスカと進む。アイはオイアと話す。あの奇跡の夜からファゴールは襲って来ない。
ここで２２６ページ 疲れる。
第９章 ホクスニイの毛皮の着脱
気候は暖かくなり男たちはホクスニイを狩りその毛皮を女たちは着る。シェイはヘリコニアの公転についての推論を語る。オイアとブライは泳ぐ。アオツはゴイヤと語りつつダスカと狩りに出る。アイとオイアは初めて性交する。アオツはダトニルを処刑する。アイはアオツの殺人の事実を指摘しようとして殴られ、破門される。地球人の観測船はヘリコニアの気温の上昇のデータを採取し地球に送る。氷が溶けて川になる。祝宴中に侵入者の報が入り、アオツは厳戒態勢を命じ現地に赴き、カイドーに乗ったファゴルを倒す。アイはオイアに約束した「偉大な振る舞い」としてカイドーを綱で捕え、村に連れ帰る。
ヘリコニアの春 第１０章 レインタル・アイの功績 （引用）
「草原は見渡す限り、いかなる人間も、いかなる二足歩行動物も目の届かない彼方まで、咲き乱れる花におおわれていた。白、黄、橙、青、淡緑、桜色の花弁の嵐が地図にない何マイルもの距離を越えてオルドランドの壁に吹きつけ、色の竜巻の中に村をつつみこんだ。
雨が花を運び、そして雨は消えた。花は残り、熱い帯となって輝く地平線まで、距離そのものが春に汚されたかのように、咲き広がっていた。
この壮大な景観の一部分だけが柵に囲まれていた。
レインタル・アイとダスカは仕事を終え、友人たちとともに成果を確認していた。
若木と棘の木で柵を建造したのだ。剣からしたたった樹液が手首に滴り落ちるまで、若木を切り倒した。若木は切りそろえられ、柵の横木として、地面に平行に据えつけられた。縦横に束ねた枝や棘の木が組み込まれた。できあがったものは頑丈で、人の背丈ほどの高さがあった。この柵は一ヘクタールほどの地面を囲んでいた。
この新たな囲い地の中央にカイドーが立っていたが、人が乗るのを拒んでいた。
カイドーの女主人であるギロットは、慣習に従い、倒れた場所で腐るに任されていた。わずか三日後にマイクほか二名の奴隷が埋葬のために派遣されたが、既に死体は臭い始めていた。
花がカイドーの唇からよだれのごとくぶら下がっていた。ピンクの花を口いっぱいほおばったのだ。捕われた状態で食べても本来の味が感じられないのか、この偉大で不気味な動物は、頭を高くして立ち、柵のてっぺんから外を眺め、食うことをすっかり忘れていた。時々数ヤード脚を高く上げて移動しては、元の見晴らしの良い場所に戻り、白目を剥いた。・・・」
冒頭だけ引用してみました。こんな感じの内容です。章読み終わり次第要約。多分、アイがカイドーを乗りこなすようになるんだろうな、だいたい想像がつく。
第１０章 レインタル・アイの功績
アイは捕えたカイドーを柵で囲い、手なづけようとするがうまくいかない。ファゴールの毛皮をかぶって近づき、乗ることには成功するが、主人でないことに気づいたカイドーは暴れた上、自らの心臓に角を突き立て自害する。アイらは、やむなくホクスニイを手なづけて乗ることに成功する。ホクスニイの家畜化によって、労働の省力化が飛躍的に進み、「ホクスニイ革命」と称される。かれらは騎馬隊を組織し、隣村のヴァンリアンを征服する。かれらは更に南方、シボーナルに進軍する。だが、アイはまたもオイアにふられる。
第１１章 シェイ・タルのゆくとき（冒頭）
オルドランドの文明はボラルの川向こうにまで拡張する。アオツは学問、宗教を軽視し、これを重視すべきとするシェイ・タルとの対立を深める。
これ、期待したほど面白くないんだよな。何か話の展開がゆったりし過ぎ。しかも、先が読めてしまうし。ヘリコニア人ってのは恐らく大昔植民した地球人の末裔とかいう設定なんだろきっと。異常にサイクルの長い季節っていう設定は、アシモフ「夜来る」とかとかぶるネタだし、長い冬で退化した文明が春の訪れとともに復活するというテーマも、ホロコーストものでよく見かけるテーマを異星に置き換えただけ的な見方も出来る。意外な要素がないんだよな、だからぐいぐい引き込む力がない。
出てくる動植物がもっと奇抜だったり、地球と月が巨大な蔓でつながってる的な大ネタがあれば、「地球の長い午後」みたいにハマれるんだが、それもパワー不足。
つまり、奇麗にまとまり過ぎなのだ。「いいんだけどすぐ忘れてしまう」と山形氏も評していたが、まさにそんな感じ。
あまり多くは望まず完読だけを目指すことにします。
第１１章 シェイ・タル出発のとき
ホクスニイの家畜化により、オルドランドの部族は勢力を増し、ボラル川を越えて版図を広げる。ここに至り、宗教／知識無用論者のアオズとシェイ・タルの対立は激化する。彼らは南方へ進軍をはじめる。折しもマディたちは、気温の上昇とともに骨熱菌を繁殖させた状態で人間たちに捕まる。
こいつらが病気をうつすんだろうな、きっと。人とファゴールはどっかで衝突するんだろうし。意外な要素がないんだよな、先の予想がついてはらはらしない。
残り２５ページ。
ファゴルと衝突して川の中の島に乗り上げ、骨熱の発作を起こしたルーンだったが、何と生きていた！ しかも、ファゴルと友情を育んでいたとは（笑）。一方、レインタル・エイは、領主宣言をせよというダスカの提言を断り、オルドランドを出て南へ。骨熱に感染しながら生き延び、ボレリアンの町で職を貰う。この町で門番と仲良くなり、一緒にオルドランドに戻ろうとしている矢先にルーンと再会、ルーンも一緒に戻ることとなる。折しも大「救世軍」が北へ向かって行く。エイらはこの後を追ってオルドランドへ向かう。
ＳＦとは言いながら、内容は完全にヒロイック・ファンタジイ。ただ、「骨熱」だの「肥死病」といったファゴルの寄生虫が媒介するウイルス性疾患が、ヘリコニアの季節サイクルと相まって、ヘリコニア上の人口調節作用を営んでいるという説明などに「サイエンス」の要素が垣間見える。この星を軌道上から観測し、地球にデータを送っている地球人の存在が謎のまま。この辺りの謎が明かされればＳＦに移行するのかもしれないが……。
第１３章「０・５ルーン貨幣からの眺め」第１４章「針の目をくぐる」第１５章「焼ける匂い」で「ヘリコニアの春」をようやく読み終える。
骨熱に襲われ混乱するオルドランドの領主代行として、副官らを手なづけたり辱めた上、就任演説を行おうとしたダスカは、思わぬ反発にあい、ルーンの悪行を暴露するも、暴動を巻き起こし敗走する。ダスカをかくまったブライは、急遽機転を利かせ、自ら「２０回の蝕の最後の蝕が訪れても、それはただの天体現象にすぎないからパニックを起こす必要はない」ことを理詰めで説く。他方、ルーンらとともにオルドランドへ向かっていたアイは、途中でファゴルの一団と遭遇し戦闘となるも、その最中にラジャバラルの木が爆発し巨大な種をまき散らす。仰天したファゴルは逃走する。門番らと別れてオルドランドへ向かったルーンとアイは、最後の蝕を経て、レイニル（金作り師）と再会を果たす。更に進んだアイらは、子供を連れたドルとオイアに劇的再会を果たす。アイはオイアとともに、オルドランドへ向かう。ファゴルから仲間たちを救うために……。ここで第１巻は幕を閉じる。
第２巻の「ヘリコニアの夏」は恐らく数世代後の話だろうから、アイとオイアのこの後の運命は結局語られずじまいとなり、そりゃないよというところだが、ドラマティックな幕引きで面目を保った。
正直なところ、あまりにもヒロイックファンタジイ色が強すぎて、「ＳＦとしてはどうかな……」というところだが、純粋に物語として楽しめばなかなかのもの。登場人物は多彩だし、その権力抗争、権謀術数は見応えがある。オルドランドの緩やかな文明の進展と政治抗争、そして「地動説の発見」と、「二重の公転によって２種類の季節が存在する惑星」という壮大な舞台で展開するゆったりした物語は確かに人気を博したのもうなずけるところ。そして、軌道上から地球にデータを送るアウ゛ァーナス号の謎は……？ これは「夏」以降にお預けのようだが、これで次作以降を読む楽しみが出来たというものだ。
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1. 英国SF協会賞 [ 馬とＳＦの日々 ] June 11, 2004 15:40
ここらでまとめておく。
この記事へのコメント
1. Posted by silvering June 09, 2004 14:08
「冬」から読もうと思ったが、気が向いたので、「夏」から読むことにする。
でも斜め読みだけど。ストーリーが大体分かればいいという読み方で、辞書も引かん。１日最低１００ページ読むようにすれば４日で読み終わるはず。無理やり内容が頭に入らなくても最低音読はするべし。
でも斜め読みだけど。ストーリーが大体分かればいいという読み方で、辞書も引かん。１日最低１００ページ読むようにすれば４日で読み終わるはず。無理やり内容が頭に入らなくても最低音読はするべし。
2. Posted by ｼﾙﾊﾞﾘﾝｸﾞ June 09, 2004 17:24
ヘリコニアの夏
第１章 ボーリアンの海岸 読了
「春」よりだいぶ時間が経っていると思われる。王から離縁された女王が浜辺で遊泳中に死体を見つけ、町の解剖屋に売りに行かせる。死体を買った解剖屋キャラバンシティは、この死体がデジタル腕時計をしているのを見つける。
「春」がただのヒロイックファンタシイで終わったことを考えると、やっとＳＦらしくなってきたなという感じ。いいぞ、その調子だ。
今日中に１００ページ逝く予定。つうことは、第６章までか。
第１章 ボーリアンの海岸 読了
「春」よりだいぶ時間が経っていると思われる。王から離縁された女王が浜辺で遊泳中に死体を見つけ、町の解剖屋に売りに行かせる。死体を買った解剖屋キャラバンシティは、この死体がデジタル腕時計をしているのを見つける。
「春」がただのヒロイックファンタシイで終わったことを考えると、やっとＳＦらしくなってきたなという感じ。いいぞ、その調子だ。
今日中に１００ページ逝く予定。つうことは、第６章までか。
3. Posted by ｼﾙｳﾞｧﾘﾝｸﾞ June 09, 2004 18:44
今『ヘリコニアの春」の日記を読み返して気づいたんだけど、ボブ･ショウの「襤褸の宇宙飛行士」って、「ヘリコニア」からのぱくりが結構多いね。二重の太陽を二重の惑星にしたりはしてるが、惑星状の生態系（特に、伝染病の話と、爆発する樹の話はほとんどかぶる）、遅れた文明が徐々に発展する設定、中世的なチャンバラ活劇の多用など、あまりにも似すぎている。そういえば、惑星から惑星へ気球で渡るという発想は、植物の鞘で地球から月に渡る「地球の長い午後」と通ずる。
でも面白いから、いいけど。もともとボブ・ショウは、ヴォクトなどの古典作をモチーフにしたオマージュ的作品が結構多いだけに、二重惑星シリーズも多分、意図的にオールディスへのオマージュとして書いた可能性がある。それでつまらなければただの盗作野郎だが、面白いから許す。
閑話休題。夏読みます。
でも面白いから、いいけど。もともとボブ・ショウは、ヴォクトなどの古典作をモチーフにしたオマージュ的作品が結構多いだけに、二重惑星シリーズも多分、意図的にオールディスへのオマージュとして書いた可能性がある。それでつまらなければただの盗作野郎だが、面白いから許す。
閑話休題。夏読みます。
4. Posted by silvering June 10, 2004 03:28
第２章 宮廷の訪問者たち
ボーリニエン（オルドランドの南東、川下にある国。地図によると首都から海まで川が流れ、河口にオタッソルが所在する）の王ジャンドルアンガノル（２５歳と１〜２テナー。テナーとはtenからきた月に該当する時間単位だが、数え方が違う）は、追放したボーリエン王妃マーデムインガラ（男女一人ずつ子をもうけた）に正式な離婚書（教会の最高権威聖セサルの認可をもらったもの）を届けに、首都マトラシルから川づたいに港都オタッソルに立ち寄り、そこから海路で、王妃の追放先のグラババガリニエンに赴く予定であった。王は、ユーリというファゴルを伴い宮廷を出発する。そして川を下る途中、オソイリマに立ち寄りアカナバの神の神殿に詣でる。（夏を迎えたヘリコニアのこの地域の国々は、宗教が最上位であり、国王は皆信仰に厚い。）儀式を終えた国王は再び船に乗る。やがて船はオタッソルに着く。当地では「国を破綻させた」と揶揄される国王よりむしろ追放された王妃の方が国民の信望が厚い。したがって国王はこの町が好きでない。国王は出迎えられてオタッソルの宮廷に入る。国王の先代ウ゛ァーパルアンガノルが各地に宮廷を建てたのだ。だが息子は気に入らなかった。３歳の頃宮廷に侵入者があったが撃退され、以後警備がきつくなった。王は宮廷で神に祈りを捧げた後、しばらく当地に滞在し、（聖パノバラン帝国の）法王キランダー９世の特使（アラム・エソンバー。２年間のパノバラン修道院への滞在時に知り合った）と会見するなどしてから出発の予定であった。エソンバーは王妃の使いの者から手紙を渡され、宮廷への到着が遅れた。王の船が来たとあって、市民が前庭に殺到し謁見を求めた。その中にキャラバンシティもいた。３人目にキャラバンシティが通され会見した（キャラバンシティの師匠のサートルアーブラッシュも王に仕えた）。王は彼に気温の異常な上昇について尋ね、キャラバンシティは「１８２５年周期の大年が一巡りし、大きな太陽のフライヤーに近づいているためだ、カイドーは星ではなくヘリコニアを回る円盤だ」と科学的説明をするが、信じてもらえない。王は、別の国から王妃をめとる予定を語る。またキャラバンシティは死体から外した腕時計を王に売ろうとするが、時計は奪われ、不信心を詰られ、自分のチーフアドバイザーにならないかと誘われる。キャラバンシティは考える時間をくれと答える（結局オーケーする）。その後王は、エドンバーから法王に宛てた王妃の手紙を見せられる。そこには王の王妃への接触を禁じるよう王の仕打ちを告発する文面が綴られていた。王は「何とかせねば」といい、エドンバーは任せろという。王は、キャラバンシティらとともにボーリアンに向かう。
このヘリコニア上の動きをカイドー（アウ゛ァーナス号）は地球に中継放送している。ヘリコニアの１大年は地球の２５９２年にあたる。そのうち夏は地球の２と３分の１世紀である。今まさに２６００地球年に一度の「短い」夏が始まろうとしている。
今日はいろいろ他にすることがあったので、ここまで。
ボーリニエン（オルドランドの南東、川下にある国。地図によると首都から海まで川が流れ、河口にオタッソルが所在する）の王ジャンドルアンガノル（２５歳と１〜２テナー。テナーとはtenからきた月に該当する時間単位だが、数え方が違う）は、追放したボーリエン王妃マーデムインガラ（男女一人ずつ子をもうけた）に正式な離婚書（教会の最高権威聖セサルの認可をもらったもの）を届けに、首都マトラシルから川づたいに港都オタッソルに立ち寄り、そこから海路で、王妃の追放先のグラババガリニエンに赴く予定であった。王は、ユーリというファゴルを伴い宮廷を出発する。そして川を下る途中、オソイリマに立ち寄りアカナバの神の神殿に詣でる。（夏を迎えたヘリコニアのこの地域の国々は、宗教が最上位であり、国王は皆信仰に厚い。）儀式を終えた国王は再び船に乗る。やがて船はオタッソルに着く。当地では「国を破綻させた」と揶揄される国王よりむしろ追放された王妃の方が国民の信望が厚い。したがって国王はこの町が好きでない。国王は出迎えられてオタッソルの宮廷に入る。国王の先代ウ゛ァーパルアンガノルが各地に宮廷を建てたのだ。だが息子は気に入らなかった。３歳の頃宮廷に侵入者があったが撃退され、以後警備がきつくなった。王は宮廷で神に祈りを捧げた後、しばらく当地に滞在し、（聖パノバラン帝国の）法王キランダー９世の特使（アラム・エソンバー。２年間のパノバラン修道院への滞在時に知り合った）と会見するなどしてから出発の予定であった。エソンバーは王妃の使いの者から手紙を渡され、宮廷への到着が遅れた。王の船が来たとあって、市民が前庭に殺到し謁見を求めた。その中にキャラバンシティもいた。３人目にキャラバンシティが通され会見した（キャラバンシティの師匠のサートルアーブラッシュも王に仕えた）。王は彼に気温の異常な上昇について尋ね、キャラバンシティは「１８２５年周期の大年が一巡りし、大きな太陽のフライヤーに近づいているためだ、カイドーは星ではなくヘリコニアを回る円盤だ」と科学的説明をするが、信じてもらえない。王は、別の国から王妃をめとる予定を語る。またキャラバンシティは死体から外した腕時計を王に売ろうとするが、時計は奪われ、不信心を詰られ、自分のチーフアドバイザーにならないかと誘われる。キャラバンシティは考える時間をくれと答える（結局オーケーする）。その後王は、エドンバーから法王に宛てた王妃の手紙を見せられる。そこには王の王妃への接触を禁じるよう王の仕打ちを告発する文面が綴られていた。王は「何とかせねば」といい、エドンバーは任せろという。王は、キャラバンシティらとともにボーリアンに向かう。
このヘリコニア上の動きをカイドー（アウ゛ァーナス号）は地球に中継放送している。ヘリコニアの１大年は地球の２５９２年にあたる。そのうち夏は地球の２と３分の１世紀である。今まさに２６００地球年に一度の「短い」夏が始まろうとしている。
今日はいろいろ他にすることがあったので、ここまで。
5. Posted by silvering June 10, 2004 03:32
それにしても、固有名詞長過ぎ。覚えられんし発音できんよ。
今日２章しか読めなかったので、明日１５０ページまで行く。
今日２章しか読めなかったので、明日１５０ページまで行く。
6. Posted by silvering June 10, 2004 22:50
第３章 早過ぎた離婚
王の船は西へ進むが、その途上、王の具合が悪くなる。しかし船がガラババガリニエン港に着くと回復し、エソンバーを伴って降りる。一行は徒歩で寂れた宮殿に着く。そこで王妃と会う。王妃は、「今ここには私とタトロマンアダラ王女しかいない。殺しても誰にもばれない」と言う。エソンバーは「そのつもりはない、離婚の認可を得た旨を知らせ、自分が証人になるだけだ」という。王妃はどのような根拠で離婚を認めたかと尋ねると、エソンバーは認可状を読み上げる。「王妃は禁じられた海の国に入り何度も裸で泳ぎ、教会の禁忌に違反した」と理由を告げ、王妃は王に「あんたは私を侮辱し自分を奴隷以下に貶めることでしか離婚できないのか」と難詰する。しかしエソンバーの指揮で離婚式は終了する。
（注）この離婚式が面白い。夫婦が結婚状を両側から持ち、それを牧師が刀でまっ二つに切るという儀式である。実際にやってみたい。
すると雨が降り始める。エソンバーは、「既に王妃でなくなった元王妃の侍女たちがもてなしてくれるはず」と要求し、失意の元王妃は部屋を去る。エソンバーは椅子を二つ持ってきて王と座り、王がパノヴァルの王女シモダ・タルと結婚した後の戦略を話し合う。
（注）パノヴァルとは、カンパンラク大半島の北岸に位置する国。オルドランドを挟んで北東に位置する。
エソンバーの戦略では、パノヴァルと契りを交わした後、ここを拠点に北極を取り巻くシボーナル大陸に対する防衛体制を固められる。シボーナルはカンパンラク大半島との宗教的相違が大きいため、戦闘は困難を極めるとエソンバーは予想する。またパノヴァルと結べば、その間にあるオルドランドを味方につけることができ、その西方にあるケイス国も和平を申し入れてくると予想される。ケイスとオルドランドはファゴルやマジ族のような半人間の東西にわたる重要な交易路を構成する（実はシモダの母も半人間種である）。ケイスとボーリエンが和平を結べば、ケイスをランドナン（ケイスの南方にある国）侵攻に協力させることができるのだ。王は「モードリアト問題」（注、詳細不明。分かったら後で記す。）に専念できる。しかし、王は不安を感じている。侍女たちは王や戦士たちを酒や魚でもてなす。王はワインと銀鯛を喰う。屋根から雨漏りが始まる。王は、元王妃と話したいというが、エソンバーは止める。娘は明日出発するときに引き取るから、と説得する。そこで、エソンバーは、ポケットから刺繍のある箱を王に取り出す。再婚相手の母（？？）であるオルドランド女王バスカーネット手製の贈り物だという。開けると、シモダ・タルの肖像画だ。１１歳の誕生日に描いたもの。マジ族特有のはっきりした目鼻立ちである。ヴァルボラル川のほとりの城の模型を持っている。エソンバーは「彼女めちゃめちゃ可愛いですよ」と薦める。「まじうらやましいっす。でも実は妹のミルア・タルちゃんもっとカワイイ！！！」と褒める。「学はあるのか？」と王。「そりゃ無理ってもんですよ、前の王様の真似をすれば別ですけど」とエソンバーはいい、二人で笑い転げながらメートルを上げる。
以上、とりあえず前半の要約実況でした。
後で後半も実況します。
王の船は西へ進むが、その途上、王の具合が悪くなる。しかし船がガラババガリニエン港に着くと回復し、エソンバーを伴って降りる。一行は徒歩で寂れた宮殿に着く。そこで王妃と会う。王妃は、「今ここには私とタトロマンアダラ王女しかいない。殺しても誰にもばれない」と言う。エソンバーは「そのつもりはない、離婚の認可を得た旨を知らせ、自分が証人になるだけだ」という。王妃はどのような根拠で離婚を認めたかと尋ねると、エソンバーは認可状を読み上げる。「王妃は禁じられた海の国に入り何度も裸で泳ぎ、教会の禁忌に違反した」と理由を告げ、王妃は王に「あんたは私を侮辱し自分を奴隷以下に貶めることでしか離婚できないのか」と難詰する。しかしエソンバーの指揮で離婚式は終了する。
（注）この離婚式が面白い。夫婦が結婚状を両側から持ち、それを牧師が刀でまっ二つに切るという儀式である。実際にやってみたい。
すると雨が降り始める。エソンバーは、「既に王妃でなくなった元王妃の侍女たちがもてなしてくれるはず」と要求し、失意の元王妃は部屋を去る。エソンバーは椅子を二つ持ってきて王と座り、王がパノヴァルの王女シモダ・タルと結婚した後の戦略を話し合う。
（注）パノヴァルとは、カンパンラク大半島の北岸に位置する国。オルドランドを挟んで北東に位置する。
エソンバーの戦略では、パノヴァルと契りを交わした後、ここを拠点に北極を取り巻くシボーナル大陸に対する防衛体制を固められる。シボーナルはカンパンラク大半島との宗教的相違が大きいため、戦闘は困難を極めるとエソンバーは予想する。またパノヴァルと結べば、その間にあるオルドランドを味方につけることができ、その西方にあるケイス国も和平を申し入れてくると予想される。ケイスとオルドランドはファゴルやマジ族のような半人間の東西にわたる重要な交易路を構成する（実はシモダの母も半人間種である）。ケイスとボーリエンが和平を結べば、ケイスをランドナン（ケイスの南方にある国）侵攻に協力させることができるのだ。王は「モードリアト問題」（注、詳細不明。分かったら後で記す。）に専念できる。しかし、王は不安を感じている。侍女たちは王や戦士たちを酒や魚でもてなす。王はワインと銀鯛を喰う。屋根から雨漏りが始まる。王は、元王妃と話したいというが、エソンバーは止める。娘は明日出発するときに引き取るから、と説得する。そこで、エソンバーは、ポケットから刺繍のある箱を王に取り出す。再婚相手の母（？？）であるオルドランド女王バスカーネット手製の贈り物だという。開けると、シモダ・タルの肖像画だ。１１歳の誕生日に描いたもの。マジ族特有のはっきりした目鼻立ちである。ヴァルボラル川のほとりの城の模型を持っている。エソンバーは「彼女めちゃめちゃ可愛いですよ」と薦める。「まじうらやましいっす。でも実は妹のミルア・タルちゃんもっとカワイイ！！！」と褒める。「学はあるのか？」と王。「そりゃ無理ってもんですよ、前の王様の真似をすれば別ですけど」とエソンバーはいい、二人で笑い転げながらメートルを上げる。
以上、とりあえず前半の要約実況でした。
後で後半も実況します。
7. Posted by silvering June 10, 2004 22:55
その前に、上の訂正。「前の王様の真似をすれば別ですけど」は、「前の王様の例にならえば、それはありえない」の間違いです。
8. Posted by silvering June 10, 2004 23:32
さあて！ じゃあ後半の実況いっちゃうよ〜〜〜〜ん！
バタリクスが沈み嵐もやむ。酒池肉林のどんちゃん騒ぎも終わり、酔くろうた兵士やファゴルが辺り構わず眠りこける。王も侍女の膝枕で寝てしまう。ゲロを吐く音や胸焼けにもだえ苦しむ声だけになりみんな寝静まったころ、元王妃は侍女をさがらせ、目を覚ましたまま娘の身を案じる。ノックの音がして、エソンバーがにやけながら入ってくる。元王妃「出てってよ。あんたと話したくないわ、うぜーーんだよ！ 警備員呼ぶよ！」と怒る。「みんな酔っぱらってるよ。ぼくちゃんですらちょっと酔っぱらってるよ〜〜ん」そしてドアを蹴って閉め、王妃をソファに突き飛ばす。「奥さん、冷たくしないでよ。僕は奥さんの味方だ。あんたの元旦那はあんたを殺そうとしてるから、警告しにきただけだ。もし僕に優しくしてくれるなら、僕が奥さんも娘さんも守ってあげる」怖がる王妃を無理矢理抱きしめる（こいついいｷｬﾗしてるわ）。「あとで？ あとであとでって、女の人はいつもそういうんだな。男と女の違いかな？ 僕は待てないんだ。今あなたを抱きたい。お願い、エッチさせて。絶対に後悔はさせない」王妃平手打ち。「いいかな？ 貴女は王に殺されるという手紙を法王に送ったよね？ 実はメッセンジャーはあんたを裏切ってその手紙を王に渡したのさ。王はそれを見て激怒！」（注／いうまでもなく、手紙を王に見せたのはエソンバー自身です。）「スカフバーが裏切るなんてあり得ない！」エソンバーは王妃の腕をつかむ。「貴女は自分の立場をよく解っていらっしゃらないようだ。貴女の味方は誰もいないんだよ？ 僕を除いてね」王妃泣き出す。「王は私をまだ愛してるの。あの人の気持ちは解ってる」「いいやあんたを憎んでる。今はシモダ・タルちゃんとやりたくてたまらないのさ」そして遂に服を脱がす。王妃ピンチ！
と、そのときドアが開く！ ナイフを持ったキャラバンシティ登場！！！ エソンバー、あわててズボンを上げ、出て行けとわめく。がキャラバンシティは一歩も引かぬ！ 「弱い者いじめはもうやめるんだ！ そんなことしてる場合じゃない。この宮殿は今守りは誰もいない。北から軍隊が迫っているんだぞ！」「ｶﾝｹｲないね」「緊急事態だ！ 皆殺しにされるぞ！」
エソンバー仕方なしにキャラバンシティに着いて出る。バルコニーから見下ろすと森の中を火が近づいて来るのが見える。キャラバンシティは「俺が様子を見てくるからあんたは見張っててくれ」と言い残し降りていく。やがてキャラバンシティに呼ばれ降りていくと、二人の訪問客がいる。一人が言う、「オルドランド王セイレン・スタンドの命で参りやした。王様にメッセージがござる」「寝てるよ」「悪いニュースでござる」王のところに連れてくと王はびっくりして剣を構えて跳び上がる。「驚かせてすみません。大変なニュースです」「何だ？」「シモダ・タルお嬢様が殺されますた。マジ族にです」「マジで？」沈黙。エソンバー笑い転げる。
いやあ、ヒロイックファンタシイ調全開ですな。こおりゃあ面白いかも。ｸﾞﾌﾌ……。願わくばもっとＨにしてくれ。
バタリクスが沈み嵐もやむ。酒池肉林のどんちゃん騒ぎも終わり、酔くろうた兵士やファゴルが辺り構わず眠りこける。王も侍女の膝枕で寝てしまう。ゲロを吐く音や胸焼けにもだえ苦しむ声だけになりみんな寝静まったころ、元王妃は侍女をさがらせ、目を覚ましたまま娘の身を案じる。ノックの音がして、エソンバーがにやけながら入ってくる。元王妃「出てってよ。あんたと話したくないわ、うぜーーんだよ！ 警備員呼ぶよ！」と怒る。「みんな酔っぱらってるよ。ぼくちゃんですらちょっと酔っぱらってるよ〜〜ん」そしてドアを蹴って閉め、王妃をソファに突き飛ばす。「奥さん、冷たくしないでよ。僕は奥さんの味方だ。あんたの元旦那はあんたを殺そうとしてるから、警告しにきただけだ。もし僕に優しくしてくれるなら、僕が奥さんも娘さんも守ってあげる」怖がる王妃を無理矢理抱きしめる（こいついいｷｬﾗしてるわ）。「あとで？ あとであとでって、女の人はいつもそういうんだな。男と女の違いかな？ 僕は待てないんだ。今あなたを抱きたい。お願い、エッチさせて。絶対に後悔はさせない」王妃平手打ち。「いいかな？ 貴女は王に殺されるという手紙を法王に送ったよね？ 実はメッセンジャーはあんたを裏切ってその手紙を王に渡したのさ。王はそれを見て激怒！」（注／いうまでもなく、手紙を王に見せたのはエソンバー自身です。）「スカフバーが裏切るなんてあり得ない！」エソンバーは王妃の腕をつかむ。「貴女は自分の立場をよく解っていらっしゃらないようだ。貴女の味方は誰もいないんだよ？ 僕を除いてね」王妃泣き出す。「王は私をまだ愛してるの。あの人の気持ちは解ってる」「いいやあんたを憎んでる。今はシモダ・タルちゃんとやりたくてたまらないのさ」そして遂に服を脱がす。王妃ピンチ！
と、そのときドアが開く！ ナイフを持ったキャラバンシティ登場！！！ エソンバー、あわててズボンを上げ、出て行けとわめく。がキャラバンシティは一歩も引かぬ！ 「弱い者いじめはもうやめるんだ！ そんなことしてる場合じゃない。この宮殿は今守りは誰もいない。北から軍隊が迫っているんだぞ！」「ｶﾝｹｲないね」「緊急事態だ！ 皆殺しにされるぞ！」
エソンバー仕方なしにキャラバンシティに着いて出る。バルコニーから見下ろすと森の中を火が近づいて来るのが見える。キャラバンシティは「俺が様子を見てくるからあんたは見張っててくれ」と言い残し降りていく。やがてキャラバンシティに呼ばれ降りていくと、二人の訪問客がいる。一人が言う、「オルドランド王セイレン・スタンドの命で参りやした。王様にメッセージがござる」「寝てるよ」「悪いニュースでござる」王のところに連れてくと王はびっくりして剣を構えて跳び上がる。「驚かせてすみません。大変なニュースです」「何だ？」「シモダ・タルお嬢様が殺されますた。マジ族にです」「マジで？」沈黙。エソンバー笑い転げる。
いやあ、ヒロイックファンタシイ調全開ですな。こおりゃあ面白いかも。ｸﾞﾌﾌ……。願わくばもっとＨにしてくれ。
9. Posted by silvering June 11, 2004 00:10
ついで、第４章「コスガットの技術革新」。
まず、ヘリコニア地上の出来事を地球に実況中継しているアウ゛ァーナス号の説明があります。エソンバーの笑い声までリアルタイムで実況するなんて、いったいどんな技術を使っているんでしょうかね。
アウ゛ァーナス上には人がいて、生まれながらにヘリコニアの研究以外の仕事はない。そのかわり生活は保障されている。このステーションの直径は１０００メートルしかない。外殻の内側に大半の人は住んでいる。ここの住人の典型像がビリー・シャオ・ピンという人。表面的には世間体を繕って普通人ぶっているが、内心は「ヘリコニアに降りたい！ 超降りたい！」と思っている。地表は１５００キロ下。しかもこいつ、超マーデムインガラ王妃萌えで、エッチしたいと思っており、毎晩エッチな夢を見ている。
で、この中継を見ている地球上の人びとは、この離婚で、離婚の原因となった５テナー（２４０日、半小年）前のコスガット（首都マトラッシルの東にある）の戦いに逆戻りするのではと危惧している。この戦いで王は怪我をして精神的にも参ったのだった。ドライアト部族ごときにこてんぱんにやられたことで。あるいは、その技術革新によって。いやそれは王と王妃の生活を変えただけではない、人びと全ての生活を変えたのだ、その発明とは……「銃」である。
うーん、なんかいかにも「文明の進歩」を描くこの手のＳＦの典型ぽくなってきたけど、まあいいか。
本文の実況はまたちょっとしてから書き込みます。
まず、ヘリコニア地上の出来事を地球に実況中継しているアウ゛ァーナス号の説明があります。エソンバーの笑い声までリアルタイムで実況するなんて、いったいどんな技術を使っているんでしょうかね。
アウ゛ァーナス上には人がいて、生まれながらにヘリコニアの研究以外の仕事はない。そのかわり生活は保障されている。このステーションの直径は１０００メートルしかない。外殻の内側に大半の人は住んでいる。ここの住人の典型像がビリー・シャオ・ピンという人。表面的には世間体を繕って普通人ぶっているが、内心は「ヘリコニアに降りたい！ 超降りたい！」と思っている。地表は１５００キロ下。しかもこいつ、超マーデムインガラ王妃萌えで、エッチしたいと思っており、毎晩エッチな夢を見ている。
で、この中継を見ている地球上の人びとは、この離婚で、離婚の原因となった５テナー（２４０日、半小年）前のコスガット（首都マトラッシルの東にある）の戦いに逆戻りするのではと危惧している。この戦いで王は怪我をして精神的にも参ったのだった。ドライアト部族ごときにこてんぱんにやられたことで。あるいは、その技術革新によって。いやそれは王と王妃の生活を変えただけではない、人びと全ての生活を変えたのだ、その発明とは……「銃」である。
うーん、なんかいかにも「文明の進歩」を描くこの手のＳＦの典型ぽくなってきたけど、まあいいか。
本文の実況はまたちょっとしてから書き込みます。
10. Posted by silvering June 11, 2004 01:04
本文実況に入ります。
王はドライアット族に負けたのを超恥じている。なぜなら、みんなやつらを人間ではあるがそれ以上でもないただそれだけ、と馬鹿にしているからだ。もっと正確に言うと、このヘリコニアにおいて人間と人間以下の区別の基準は不明確で、知性の有無ではなくその生活態様によって区別される。自由に生きるのが人間、奴隷が人間以下。森で生きるのは人間以下、タダの動物。遊牧生活を営むマジ族は人間と非人間の境界の半人間。ドライアット族はその境界をやっと超えて人間に入ったばかりというレベルである。要するに、
普通人＞ドライアット＞（人間）＞マジ族＞（非人間）＞ファゴルその他
ということか。ドライアッドはスリブリアト（ボーリエン南東、タキッサを超えたところ）の草原に住んでる。そこでイエルク、バイイエルクの遊牧生活を営む。彼らは野蛮な風習を持つために他民族から敬遠されてる。
＝家族を過酷なテストにさらし、失敗した無能なやつを見せしめに殺す。このせいで悪名高いのだが、実際は戦争が嫌い、というか、頭が悪いので戦い方を知らない。そこで各国が連合を組み、アンドレイド・ザ・ハマーの指揮のもと、ンクトリーク（カンパンラク大半島東部の総称）南方への征伐を試みた。このためドライアットは谷間に移住。ダービシュ・ザ・スカル将軍がドライアットを訓練し、３つの部隊に分け、コスガットに派遣。その目的は……マトラッシル陥落！
当時、ボーリエンは不評な西部戦争で手一杯。イーグル王ですら、ランドナンやケイスに勝てない。山が多く、たとえ勝っても統治するのは無理。
しょうがなく、王は第５軍をケイスから引き上げコスガットに派遣。戦争というほどのものではないと思われたが、ケイスよりも首都に近いからマジで戦わざるを得ない。実はダービシュの父はボーリエンの男爵だったが、領土争いで、父が王に手をかけられたことを恨んでいた。その戦いでダービシュは父の軍とともに敗走した。１１年後に復讐の機会をうかがっていたダービシュが遂に挙に出たというわけだ。彼は「鷹がわが名を讃える！」と絶叫し（完全に狂ってる）攻撃を命じた。
当時離婚するかどうか悩んでいた王は自分で前線にいかねばならないはめになり、しかもドライアットなんぞを倒しても何の報酬も得られそうにないため兵士がぶーたれて行くのをいやがる。結局、フォゴルに「頑張れば土地と自由をやる」と約束してフォゴルを前線につけるはめになる。
第５軍（コロブエクトファ指揮）は東進するが、ドライアッドは隠れて真昼と夜に奇襲を仕掛ける。谷とジャングルと変な動物だらけで進軍は遅々として進まぬ。コルブエクトファは王に、「やつは我々を首都から切り離し襲うという古い作戦をやっているが、対策は万全でっせ」と語る。翌日ダーブリシュが攻撃してきた。谷をはさんでの戦い。ブルという有能な軍人が「あれは囮ですよ、古い手だ」と言い捨てる。またブルは、「敵軍に女がいないから襲う価値がない。どっかに隠しやがったな」という。コロブは「向こうの方が人数が倍だし、接近戦ではホクスニイとイエルクでは分が悪い」という。だが王は「臆病者めが」と怒る。
以上がとりあえず前半部です。あと１０ページぐらいあるので、ちょっと休んでから。
王はドライアット族に負けたのを超恥じている。なぜなら、みんなやつらを人間ではあるがそれ以上でもないただそれだけ、と馬鹿にしているからだ。もっと正確に言うと、このヘリコニアにおいて人間と人間以下の区別の基準は不明確で、知性の有無ではなくその生活態様によって区別される。自由に生きるのが人間、奴隷が人間以下。森で生きるのは人間以下、タダの動物。遊牧生活を営むマジ族は人間と非人間の境界の半人間。ドライアット族はその境界をやっと超えて人間に入ったばかりというレベルである。要するに、
普通人＞ドライアット＞（人間）＞マジ族＞（非人間）＞ファゴルその他
ということか。ドライアッドはスリブリアト（ボーリエン南東、タキッサを超えたところ）の草原に住んでる。そこでイエルク、バイイエルクの遊牧生活を営む。彼らは野蛮な風習を持つために他民族から敬遠されてる。
＝家族を過酷なテストにさらし、失敗した無能なやつを見せしめに殺す。このせいで悪名高いのだが、実際は戦争が嫌い、というか、頭が悪いので戦い方を知らない。そこで各国が連合を組み、アンドレイド・ザ・ハマーの指揮のもと、ンクトリーク（カンパンラク大半島東部の総称）南方への征伐を試みた。このためドライアットは谷間に移住。ダービシュ・ザ・スカル将軍がドライアットを訓練し、３つの部隊に分け、コスガットに派遣。その目的は……マトラッシル陥落！
当時、ボーリエンは不評な西部戦争で手一杯。イーグル王ですら、ランドナンやケイスに勝てない。山が多く、たとえ勝っても統治するのは無理。
しょうがなく、王は第５軍をケイスから引き上げコスガットに派遣。戦争というほどのものではないと思われたが、ケイスよりも首都に近いからマジで戦わざるを得ない。実はダービシュの父はボーリエンの男爵だったが、領土争いで、父が王に手をかけられたことを恨んでいた。その戦いでダービシュは父の軍とともに敗走した。１１年後に復讐の機会をうかがっていたダービシュが遂に挙に出たというわけだ。彼は「鷹がわが名を讃える！」と絶叫し（完全に狂ってる）攻撃を命じた。
当時離婚するかどうか悩んでいた王は自分で前線にいかねばならないはめになり、しかもドライアットなんぞを倒しても何の報酬も得られそうにないため兵士がぶーたれて行くのをいやがる。結局、フォゴルに「頑張れば土地と自由をやる」と約束してフォゴルを前線につけるはめになる。
第５軍（コロブエクトファ指揮）は東進するが、ドライアッドは隠れて真昼と夜に奇襲を仕掛ける。谷とジャングルと変な動物だらけで進軍は遅々として進まぬ。コルブエクトファは王に、「やつは我々を首都から切り離し襲うという古い作戦をやっているが、対策は万全でっせ」と語る。翌日ダーブリシュが攻撃してきた。谷をはさんでの戦い。ブルという有能な軍人が「あれは囮ですよ、古い手だ」と言い捨てる。またブルは、「敵軍に女がいないから襲う価値がない。どっかに隠しやがったな」という。コロブは「向こうの方が人数が倍だし、接近戦ではホクスニイとイエルクでは分が悪い」という。だが王は「臆病者めが」と怒る。
以上がとりあえず前半部です。あと１０ページぐらいあるので、ちょっと休んでから。
11. Posted by silvering June 11, 2004 01:54
ｺﾞﾒﾝ、風呂はいった後、実況忘れて読みふけってた。
遂に両軍対決ですよ。王とダービシュが罵りあう場面のセリフがすごい。こんな感じ。
「きこえねえのかジャンドル、ここな耳に毛の生えた甲虫のウンコ野郎。オヤジの左の内股からひり出されたようなオナラ野郎が、何を血迷っておれたち本物の男の前にしゃしゃり出てきたかな？ おめえら怖がって同士討ちしてんじゃねーの？ ウンコちびりながら這って逃げなボケが」
「ああ聞こえるともお前の女の腐ったような声がな、コエダメ野郎ダービシュちゃんよ。その３つ脚の動物どもが真の男とかぬかしやがってるのがな。真の男ならそんな連中の助けなんて借りないっつーの。お前超クセエ、お前の臭いに耐えられるのはその動物どもぐらいなんだろうが」
「だまらっしゃいこのウンコをかぶったゴキブリ野郎めが」
ヒデー。
ちょいと実況中断して、読んだ後で粗筋を簡単に紹介するね。
遂に両軍対決ですよ。王とダービシュが罵りあう場面のセリフがすごい。こんな感じ。
「きこえねえのかジャンドル、ここな耳に毛の生えた甲虫のウンコ野郎。オヤジの左の内股からひり出されたようなオナラ野郎が、何を血迷っておれたち本物の男の前にしゃしゃり出てきたかな？ おめえら怖がって同士討ちしてんじゃねーの？ ウンコちびりながら這って逃げなボケが」
「ああ聞こえるともお前の女の腐ったような声がな、コエダメ野郎ダービシュちゃんよ。その３つ脚の動物どもが真の男とかぬかしやがってるのがな。真の男ならそんな連中の助けなんて借りないっつーの。お前超クセエ、お前の臭いに耐えられるのはその動物どもぐらいなんだろうが」
「だまらっしゃいこのウンコをかぶったゴキブリ野郎めが」
ヒデー。
ちょいと実況中断して、読んだ後で粗筋を簡単に紹介するね。
12. Posted by silvering June 11, 2004 03:09
太陽は照りつけ、いよいよ決戦のときとなる。王は敵軍がやはり囮と判断し両サイドから攻めると部下に指令。そしてフォゴルたちに、人間と非人間の両方に通じるシボーナルに源を発する言語、「ハードゥ語」で語りかける（このハードゥ語の説明が結構詳しくしてあるが、あっさり省略する）。
んでいよいよ戦いが始まり、槍が投げられ、指令の声が罵りあいに、やがて悲鳴に変わる。女好きのブル軍曹は、近くに女がいるんじゃねえかと疑い始める。でこっそり崖を登り辺りを見回し女の集落を見つけ、こっそり降りていく途中で、フォゴルの群衆がなだれ込み戦場になる。ブルは部下に支援を命じる一方で、自分は女のところへ降りていき、その一人の腕を折り、ものにしようとする。ところが銃を持った二人に銃撃され、肩に一発くらい、女に槍で腹を刺される。ドライアッドは次々と銃でボーリエン軍を壊滅に追い込み、王は敗走する。コロブは果敢にも崖の上の銃撃兵を虐殺するが、結局多勢に無勢で最後は皆殺しにされる。
場面は変わり、マトラシル郊外の家で氷商人クリリオ（３４歳）が娼婦（現地妻、情婦）メティ（２９歳）と目覚める。メティは既に年を取って引退し、今は商人の女房気取りだ。クリリオは昨夜母国ヘスパゴラト（南極を取り巻く大陸）のロードリアードリーから積み荷船できた。鷹の海を通り、オタッソルから川を上ってきた。引っ込み思案の息子ディブに世間というのはこういうものなのだと教えるために連れてきていた。メティはディブのために生娘を用意していた。西部戦争の戦災孤児の娘だった。クリリオはメティにあんたの娘はどうしたと尋ねる。メティは、あの子はオタッソルに行くってきかなくてねえ。何にもないよというんだけどいうこときかずに今じゃ一人暮らしさ、パトロン見つけて南にいっちまいそうだよ。若いし、可愛いし。
そのパトロンは誰さ。
実はね……（ごにょごにょ）
まじ？
だが二人はもう年なのでその程度のことでは驚かない（つーか、誰なんだよそりゃ？）。
親父クリリオは、夕べ息子の筆おろしに立ち会い父の務めを果たしたことを思い返すが、その満足感よりもむしろ、自分が性欲を抑えたことに「俺も年を取ったなあ、昔は土下座してでもやらしてくれというぐらい女好きだったのに」と寂しく思う。ヘスパゴラトは宗教が必要なのに存在しない。だがこの宗教腐れしたコンパンラトの真似をしちゃダメだ。メティのおまんこのほうが神より力強く思えるのは何でなんだ。
クリリオは教会に出掛けるメティを送り出し、窓から見下ろしていると、怪我をした男がメティに近づく。慌てて駆け下り、「近づくな！ 危ない！」男の顔を見ると……「げっ、王様！！！！！！！」
王の軍は壊滅状態で、生きて帰った者はほとんどなかった。
この惨敗がきっかけとなって、王は、聖パノバラン帝国と同盟を結ぶしかないという結論に至った。特にその中の、オルドランドとパノバル。そしてあの奇天烈な武器（銃）を手に入れなくてはならぬ。そして側近と話し合った結果、「政略結婚以外ない」との結論に至り、王妃との別居→離婚、息子の失踪に至った次第である。その矢先、婚約相手の娘が、マジ族に殺された……という次第なのだ。
王様可哀想だなあ……この王様好きになっちゃったよ。
しかしこれ、ＳＦの面白さじゃなく、完全にヒロイックファンタシイの面白さだよなあ。
ヘリコニアの北や南の大陸、商人や一般庶民の生活のディテールもだんだん明らかになってきて、非常に面白くなってきたね。
んでいよいよ戦いが始まり、槍が投げられ、指令の声が罵りあいに、やがて悲鳴に変わる。女好きのブル軍曹は、近くに女がいるんじゃねえかと疑い始める。でこっそり崖を登り辺りを見回し女の集落を見つけ、こっそり降りていく途中で、フォゴルの群衆がなだれ込み戦場になる。ブルは部下に支援を命じる一方で、自分は女のところへ降りていき、その一人の腕を折り、ものにしようとする。ところが銃を持った二人に銃撃され、肩に一発くらい、女に槍で腹を刺される。ドライアッドは次々と銃でボーリエン軍を壊滅に追い込み、王は敗走する。コロブは果敢にも崖の上の銃撃兵を虐殺するが、結局多勢に無勢で最後は皆殺しにされる。
場面は変わり、マトラシル郊外の家で氷商人クリリオ（３４歳）が娼婦（現地妻、情婦）メティ（２９歳）と目覚める。メティは既に年を取って引退し、今は商人の女房気取りだ。クリリオは昨夜母国ヘスパゴラト（南極を取り巻く大陸）のロードリアードリーから積み荷船できた。鷹の海を通り、オタッソルから川を上ってきた。引っ込み思案の息子ディブに世間というのはこういうものなのだと教えるために連れてきていた。メティはディブのために生娘を用意していた。西部戦争の戦災孤児の娘だった。クリリオはメティにあんたの娘はどうしたと尋ねる。メティは、あの子はオタッソルに行くってきかなくてねえ。何にもないよというんだけどいうこときかずに今じゃ一人暮らしさ、パトロン見つけて南にいっちまいそうだよ。若いし、可愛いし。
そのパトロンは誰さ。
実はね……（ごにょごにょ）
まじ？
だが二人はもう年なのでその程度のことでは驚かない（つーか、誰なんだよそりゃ？）。
親父クリリオは、夕べ息子の筆おろしに立ち会い父の務めを果たしたことを思い返すが、その満足感よりもむしろ、自分が性欲を抑えたことに「俺も年を取ったなあ、昔は土下座してでもやらしてくれというぐらい女好きだったのに」と寂しく思う。ヘスパゴラトは宗教が必要なのに存在しない。だがこの宗教腐れしたコンパンラトの真似をしちゃダメだ。メティのおまんこのほうが神より力強く思えるのは何でなんだ。
クリリオは教会に出掛けるメティを送り出し、窓から見下ろしていると、怪我をした男がメティに近づく。慌てて駆け下り、「近づくな！ 危ない！」男の顔を見ると……「げっ、王様！！！！！！！」
王の軍は壊滅状態で、生きて帰った者はほとんどなかった。
この惨敗がきっかけとなって、王は、聖パノバラン帝国と同盟を結ぶしかないという結論に至った。特にその中の、オルドランドとパノバル。そしてあの奇天烈な武器（銃）を手に入れなくてはならぬ。そして側近と話し合った結果、「政略結婚以外ない」との結論に至り、王妃との別居→離婚、息子の失踪に至った次第である。その矢先、婚約相手の娘が、マジ族に殺された……という次第なのだ。
王様可哀想だなあ……この王様好きになっちゃったよ。
しかしこれ、ＳＦの面白さじゃなく、完全にヒロイックファンタシイの面白さだよなあ。
ヘリコニアの北や南の大陸、商人や一般庶民の生活のディテールもだんだん明らかになってきて、非常に面白くなってきたね。
13. Posted by silvering June 11, 2004 10:14
第５章 マジ族の生き方
父母の別居とともに失踪した王子はマジ族に混じって放浪生活を行いながら、マジ族の生活様式を身につけようとしている。彼らの言語は歌に似た素朴なもので、主要な単語はウールと水。それらがかれらにとって有用なものなのである。一方、政略結婚相手に死なれたボーリエン王は、結局別れた王妃と暮らしながら、爛れた生活を送っていた。王妃は２４歳になるがまだ十分に美しい。妻を失った３６歳の男サートリアーブラシュの出入りを許し、彼に娘の守をやらせている。娘タトロは彼に本を読んでもらうのが好きだ。ある日彼は魔女の魔法の力を借りて国を統べる王の話を読んでやる。王の暴虐に眉をひそめていた王妃がある日、王がフォゴルの魔女と通じていることを知り、王妃は殺される。王は魔女を倒し、王の暴虐は終わる。
マジ族はある日オルドランドの首都オルドランドに立ち寄る。昔、マジ族の娘がセイレン・スタンドの宮殿に居着いてしまったことがあった。娘は当時の王に見初められ、結婚する。しかし言葉は歌に似た言語しか話せなかった。一人目は頭の二つある奇形児で、すぐに死亡。その下に二人の娘が生まれた。上がシモダ、下がミルア。
王子ロベイデイアンガノル（ローバと名乗る）は、マジ出身の王妃バスカーネットシーに謁見を申し出る。許しを得て、女王の部屋に向かう途中で、父のボーリエン王とすれ違う。父は息子に気づきすらしない。王妃にそのことを告げると、王妃は歌う、ボーリエン王は国を強くすることに頭を痛め、ここに通っているのだ、妻すら犠牲にするかも知れない、と。王子はマジ族を離れ森を彷徨う。リッキイバックという動物を見つけたり、山火事に火の神の姿を見、水の中に眠りこけたりしながら、父への復讐を思ったりする。そして遂に、自由の心境に達し、マジ族になりきる。
頭上のアウ゛ァーナスでは、ローバのいかれた所業を地球人の観測民たちが見守っている。アウ゛ァーナスに閉じ込められて生きるしかないかれらにとって、ヘリコニア人は自由であり、憧れの的だ。ヘリコニア上のウイルスに免疫がない（このウイルスは夏の一時期を除きヘリコニア人には無害である）ため、地球人はヘリコニアに降りるとこのウイルスにやられ、突然死する。それでも人びとはヘリコニアに降りることに憧れ、夏の間抽選で１０年の一度、くじ引きをする。当たった者はヘリコニアに降り「名誉の突然死」を遂げる権利を得るのだ。
もともとアウ゛ァーナス号は、遥か昔の地球の「星間飛行時代」の賜物だった。この偉大なフライヤ・バタリクス、その惑星中にあるヘリコニアはその偉大な発見だった。そこでは存在学的に地球と酷似したヘリコニア人らの知的生命が並行進化していた。その多彩な言語、文化は地球人にとって「エデンの園」。アウ゛ァーナス号の住民はもはや他に行くあてもなく、ただこの「エデンの園」を観察調査し、データを地球に送る以外に生き甲斐はなかった。
そして、あるくじ引きで、ビリー・シャオ・ピンが当選する。彼はもちろん権利を行使した。彼の望みは、ボーリエン首都に降りること──そして死ぬ前に、憧れのボーリエン王妃に会うことだった。
はっきりいって、面白い！ そーこなくちゃ。いよいよ地球人とヘリコニア人が接触ですよ。遂にＳＦになってきたね！
父母の別居とともに失踪した王子はマジ族に混じって放浪生活を行いながら、マジ族の生活様式を身につけようとしている。彼らの言語は歌に似た素朴なもので、主要な単語はウールと水。それらがかれらにとって有用なものなのである。一方、政略結婚相手に死なれたボーリエン王は、結局別れた王妃と暮らしながら、爛れた生活を送っていた。王妃は２４歳になるがまだ十分に美しい。妻を失った３６歳の男サートリアーブラシュの出入りを許し、彼に娘の守をやらせている。娘タトロは彼に本を読んでもらうのが好きだ。ある日彼は魔女の魔法の力を借りて国を統べる王の話を読んでやる。王の暴虐に眉をひそめていた王妃がある日、王がフォゴルの魔女と通じていることを知り、王妃は殺される。王は魔女を倒し、王の暴虐は終わる。
マジ族はある日オルドランドの首都オルドランドに立ち寄る。昔、マジ族の娘がセイレン・スタンドの宮殿に居着いてしまったことがあった。娘は当時の王に見初められ、結婚する。しかし言葉は歌に似た言語しか話せなかった。一人目は頭の二つある奇形児で、すぐに死亡。その下に二人の娘が生まれた。上がシモダ、下がミルア。
王子ロベイデイアンガノル（ローバと名乗る）は、マジ出身の王妃バスカーネットシーに謁見を申し出る。許しを得て、女王の部屋に向かう途中で、父のボーリエン王とすれ違う。父は息子に気づきすらしない。王妃にそのことを告げると、王妃は歌う、ボーリエン王は国を強くすることに頭を痛め、ここに通っているのだ、妻すら犠牲にするかも知れない、と。王子はマジ族を離れ森を彷徨う。リッキイバックという動物を見つけたり、山火事に火の神の姿を見、水の中に眠りこけたりしながら、父への復讐を思ったりする。そして遂に、自由の心境に達し、マジ族になりきる。
頭上のアウ゛ァーナスでは、ローバのいかれた所業を地球人の観測民たちが見守っている。アウ゛ァーナスに閉じ込められて生きるしかないかれらにとって、ヘリコニア人は自由であり、憧れの的だ。ヘリコニア上のウイルスに免疫がない（このウイルスは夏の一時期を除きヘリコニア人には無害である）ため、地球人はヘリコニアに降りるとこのウイルスにやられ、突然死する。それでも人びとはヘリコニアに降りることに憧れ、夏の間抽選で１０年の一度、くじ引きをする。当たった者はヘリコニアに降り「名誉の突然死」を遂げる権利を得るのだ。
もともとアウ゛ァーナス号は、遥か昔の地球の「星間飛行時代」の賜物だった。この偉大なフライヤ・バタリクス、その惑星中にあるヘリコニアはその偉大な発見だった。そこでは存在学的に地球と酷似したヘリコニア人らの知的生命が並行進化していた。その多彩な言語、文化は地球人にとって「エデンの園」。アウ゛ァーナス号の住民はもはや他に行くあてもなく、ただこの「エデンの園」を観察調査し、データを地球に送る以外に生き甲斐はなかった。
そして、あるくじ引きで、ビリー・シャオ・ピンが当選する。彼はもちろん権利を行使した。彼の望みは、ボーリエン首都に降りること──そして死ぬ前に、憧れのボーリエン王妃に会うことだった。
はっきりいって、面白い！ そーこなくちゃ。いよいよ地球人とヘリコニア人が接触ですよ。遂にＳＦになってきたね！
14. Posted by silvering June 23, 2004 13:37
しばらく出版と京ポンにはまってご無沙汰だったが、久々に読み始めた。
第９章「贈り物を携えた使節」
王が招いたパノヴァルの高官がくる。彼らはフォゴルと共存しているボーリエンに苦言を呈する。王は、前の戦いで敵が携えていた銃の恐るべき威力を強調し。フォゴルを使って実演（フォゴルを一人実験で殺害）。
ランチの後、今や王妃の座に返り咲いているマーデムインガラが王に呼ばれる。
以上が前半部。この章は結構長い。
銃で大騒ぎしているなんてほとんど時代小説のノリだ。
第９章「贈り物を携えた使節」
王が招いたパノヴァルの高官がくる。彼らはフォゴルと共存しているボーリエンに苦言を呈する。王は、前の戦いで敵が携えていた銃の恐るべき威力を強調し。フォゴルを使って実演（フォゴルを一人実験で殺害）。
ランチの後、今や王妃の座に返り咲いているマーデムインガラが王に呼ばれる。
以上が前半部。この章は結構長い。
銃で大騒ぎしているなんてほとんど時代小説のノリだ。
15. Posted by silvering June 23, 2004 13:39
上は第６章の誤りだった。
とほほ、ローマ数字も読めなくなってきたか……
とほほ、ローマ数字も読めなくなってきたか……
16. Posted by silvering June 26, 2004 06:37
ということでやっと第６章を読み終わった、無理やり。
中断したのでストーリー忘れていた。
どこかの国の大使が殺される、王妃がオルドランドの娘（姉妹の生き残ったほう？）と知り合う、パノヴァルの申し出を受けるかどうかにつき官房長に相談するが自分で決めろと王が言われる、王が引退した父に離婚＆再婚するかどうか相談する、というような筋。ゴメンまじめに読んでません上の空だった。人物関係図リセットされた空白の頭で読んでしまったので。
この週末で夏を読み終わるのが目標。部屋の掃除と。ちょいと頑張るぞ。
次は第７章 王妃、死者と生者を訪ねる。
暑いから冷房の効いた喫茶店で粘るか、今日は。家の冷房壊れてるし。
中断したのでストーリー忘れていた。
どこかの国の大使が殺される、王妃がオルドランドの娘（姉妹の生き残ったほう？）と知り合う、パノヴァルの申し出を受けるかどうかにつき官房長に相談するが自分で決めろと王が言われる、王が引退した父に離婚＆再婚するかどうか相談する、というような筋。ゴメンまじめに読んでません上の空だった。人物関係図リセットされた空白の頭で読んでしまったので。
この週末で夏を読み終わるのが目標。部屋の掃除と。ちょいと頑張るぞ。
次は第７章 王妃、死者と生者を訪ねる。
暑いから冷房の効いた喫茶店で粘るか、今日は。家の冷房壊れてるし。
17. Posted by silvering June 26, 2004 20:56
7 女王死者と生者を訪ねる
翌日
家族ドーム 教会 氷会社本部
マーデムインガラ ヤンドルアンガノル
官房長、精霊、マイ・トルラムケチネト クリリオ・ムントラス（氷会社） 王の側近
兄の死に直面し、精霊と交信。
その後友人の妹にお忍びの農民服を用意させ、友人へ手紙をもち町へ。教会の地下に入る。アカナバの儀式。氷会社本部の倉庫に入る。クリリオに面会申し込む。そして手紙を託す。
宮殿では王がパノヴァルの申入れに決断を迫られる。（＝王妃と別れ、シモダタルと結婚せよ）王はついにこの申入れを受諾し、王妃の南岸宮殿への追放を宣言する。
(要するに回顧のパートであった）
第８章
神話あるところで
アヴァナス ヘリコニア
ビリーシャオピン
くじに当選したビリーがローズを捨て、ヘリコニアに降りる決意をする。
翌日
家族ドーム 教会 氷会社本部
マーデムインガラ ヤンドルアンガノル
官房長、精霊、マイ・トルラムケチネト クリリオ・ムントラス（氷会社） 王の側近
兄の死に直面し、精霊と交信。
その後友人の妹にお忍びの農民服を用意させ、友人へ手紙をもち町へ。教会の地下に入る。アカナバの儀式。氷会社本部の倉庫に入る。クリリオに面会申し込む。そして手紙を託す。
宮殿では王がパノヴァルの申入れに決断を迫られる。（＝王妃と別れ、シモダタルと結婚せよ）王はついにこの申入れを受諾し、王妃の南岸宮殿への追放を宣言する。
(要するに回顧のパートであった）
第８章
神話あるところで
アヴァナス ヘリコニア
ビリーシャオピン
くじに当選したビリーがローズを捨て、ヘリコニアに降りる決意をする。
18. Posted by silvering June 26, 2004 20:57
以下、ジョルナダにメモを取りながら読み進む。
都度、メモをアップ。
都度、メモをアップ。
19. Posted by silvering July 05, 2004 03:55
第８章
ビリーはアドバイザ−や婚約者の制止もきかず、ヘリコニアに降り立ち、お付きのアンドロイドを宇宙船でアウ゛ァナスに戻す。そして、フォゴルたちの集落に行き、マトラッシルへの道を尋ねる。彼はやがてマトラッシルに着き、「遠い国から使節として来た」と偽り王妃に謁見を願い出るが、サートリアーブラシュに「王妃はたった今、僻地に追放された」と告げられ泣き出す。
久々にこの本に戻った。急いで夏を読み終わり冬に行かないと。
ビリーはアドバイザ−や婚約者の制止もきかず、ヘリコニアに降り立ち、お付きのアンドロイドを宇宙船でアウ゛ァナスに戻す。そして、フォゴルたちの集落に行き、マトラッシルへの道を尋ねる。彼はやがてマトラッシルに着き、「遠い国から使節として来た」と偽り王妃に謁見を願い出るが、サートリアーブラシュに「王妃はたった今、僻地に追放された」と告げられ泣き出す。
久々にこの本に戻った。急いで夏を読み終わり冬に行かないと。
20. Posted by silvering July 05, 2004 23:56
第９章 官房長の悩みごと
前半だけ読んだ。
王が王妃を海辺の離れの宮殿に追放。その最後の面会で、国のため仕方がないとか教会の意向だからどうにもならないとか、言い訳をするが、王妃は納得しない。結局、『あなたは私に憎まれたいんでしょ」と言い王妃は部屋を去る。
王は、王妃派の連中を幽閉し、失火に見せかけて焼き殺したあと、会合を開いて、王妃追放＆その兄を屠った嘘の理由を告げる（王妃兄弟がシボーナル特使の暗殺を謀ったという）も、誰も納得しない。官房長は『早いとこ式を挙げてしまえば、幼な妻の可愛さにみんな気が紛れますぜ」というが、王は内心自分の役割にうんざりし忸怩たる思いである。
この後、多分王はどこかで切れるだろう。ビリーという不確定要素も入って、先が読めなくなってきた。楽しみだ。
前半だけ読んだ。
王が王妃を海辺の離れの宮殿に追放。その最後の面会で、国のため仕方がないとか教会の意向だからどうにもならないとか、言い訳をするが、王妃は納得しない。結局、『あなたは私に憎まれたいんでしょ」と言い王妃は部屋を去る。
王は、王妃派の連中を幽閉し、失火に見せかけて焼き殺したあと、会合を開いて、王妃追放＆その兄を屠った嘘の理由を告げる（王妃兄弟がシボーナル特使の暗殺を謀ったという）も、誰も納得しない。官房長は『早いとこ式を挙げてしまえば、幼な妻の可愛さにみんな気が紛れますぜ」というが、王は内心自分の役割にうんざりし忸怩たる思いである。
この後、多分王はどこかで切れるだろう。ビリーという不確定要素も入って、先が読めなくなってきた。楽しみだ。
21. Posted by silvering July 06, 2004 02:37
第九章 官房長の苦境
（部分訳）
マトラシルの城に住む全ての者に緊張が走った。もっとも、期待というものに対する免疫のある神経系統を有するフォゴルを除けばだが。 とはいえ、そのフォゴルすら気持ちは落ち着かない。あらゆるものに火の余韻が残っているからだ。
王は顔をしかめて、自室に下がった。戸口の外で、第一級セクションのフォゴルたちが立哨をしており、 ヤンドルアンガノルが施設教会堂内で王室牧師とともに祈りを捧げている間、 ユーリもかれらとともに外で待機していた。 自らひれ伏して祈りを捧げながら、王は烈しい苦悩を感じた。
入浴し、侍女たちの世話を受けながら、王は官房長を呼び戻した。三度使いを出し、ようやくサートリアーヴラシュが現れた。インクに汚れた花飾り付きのチャーフラルを着、イグサのスリッパを履いていた。老人は悲嘆にくれた表情で、鬚を撫でながら、黙って王の前に立った。
「悩んでいたのか？」ヤンドルアンガノルはプールから声をかけた。老人は少し離れた場所に座り、口を開いた。
「わたしは年寄りです、閣下。今日はひどい困難に耐えなければなりませんでした。休息をとっていたのです」
「いまいましい歴史の本でも書いていたのではないか」
「休息をとり、殺された六一人のことを悲しんでおりました。これは事実です」
王は手のひらで水面を叩いた。「そなたは無神論者だ。宥めるべき良心などあるまい。気に病む必要はないぞ。わたしに任せておけばよい」
サートリアーヴラシュは、用心深く歯を見せた。
「わたしは、閣下のために何をすればよいのでしょうか」
ヤンドルアンガノルは立ち上がり、侍女たちは王をタオルでくるんだ。王はプールから歩き出た。
「そなたは十分仕えてくれたではないか」王は、あの暗く輝かしい表情で、アーヴラシュを見やった。「そなたを牧場へ出すときがきたと思う。そなたの愛する、あの年老いたホクスニイたちのようにな。わたしは、よりわたしの考え方に合った助言のできる者を探すつもりだ」
女たちは洗い水を運んできた陶器の水差しのそばで身を寄せ合いながら、このドラマに興味津々と耳を傾けた。
「閣下の望むとおりに考えているふりをする者は、ここにはたくさんおります、閣下。そのような者たちに信をおくことをお好みであれば、それは閣下がお決めになることです。わたしがなぜ閣下の機嫌を損ねたのかを、お話しいただけますでしょうか。わたしの助言は、閣下のご計画にそぐわないものでしたでしょうか」
王はタオルを振り払い、裸のまま、荒々しく部屋を歩き回った。その視線は歩き方と同じぐらいせわしなかった。ユーリは王に同情して鳴いた。
「わたしの耳に入るトラブルの数々を見るがいい。財政破綻。王妃は失う。国民には不人気で、信用がない。議会では口答えされる。オルドランドのあの小娘をもらったからといって、わたしが大衆の人気を回復するなどと言うでない。そなたの助言に従ってわたしは行動してきたが、もうそなたの助言にはうんざりなのだ」
サートリアーヴラシュは壁にもたれ、歩き回る王のじゃまにならないようにした。そして疲れ果てたように、両手を組み合わせた。
「言わせていただけるなら……わたしは閣下にも、その前に閣下のお父上にもお仕えしました。閣下のために嘘もつきました。今日、嘘をついたのです。閣下のために、わたし自らが、この恐ろしいマーデム派の犯罪にかかわったのです。閣下が選ばれるいかなる官房長候補者たちとも違って、わたしには政治的な野心はありません──閣下は、わたしに水をおかけになってもかまわないのですよ！」
「犯罪か！ そなたの君主は犯罪者なのか？ わたしはほかにどうやって、連中の反乱をしずめることができたというのだ」
(引用ここまで）
ということでサートリアーヴラシュ、王の怒りを買い、首になる。
（部分訳）
マトラシルの城に住む全ての者に緊張が走った。もっとも、期待というものに対する免疫のある神経系統を有するフォゴルを除けばだが。 とはいえ、そのフォゴルすら気持ちは落ち着かない。あらゆるものに火の余韻が残っているからだ。
王は顔をしかめて、自室に下がった。戸口の外で、第一級セクションのフォゴルたちが立哨をしており、 ヤンドルアンガノルが施設教会堂内で王室牧師とともに祈りを捧げている間、 ユーリもかれらとともに外で待機していた。 自らひれ伏して祈りを捧げながら、王は烈しい苦悩を感じた。
入浴し、侍女たちの世話を受けながら、王は官房長を呼び戻した。三度使いを出し、ようやくサートリアーヴラシュが現れた。インクに汚れた花飾り付きのチャーフラルを着、イグサのスリッパを履いていた。老人は悲嘆にくれた表情で、鬚を撫でながら、黙って王の前に立った。
「悩んでいたのか？」ヤンドルアンガノルはプールから声をかけた。老人は少し離れた場所に座り、口を開いた。
「わたしは年寄りです、閣下。今日はひどい困難に耐えなければなりませんでした。休息をとっていたのです」
「いまいましい歴史の本でも書いていたのではないか」
「休息をとり、殺された六一人のことを悲しんでおりました。これは事実です」
王は手のひらで水面を叩いた。「そなたは無神論者だ。宥めるべき良心などあるまい。気に病む必要はないぞ。わたしに任せておけばよい」
サートリアーヴラシュは、用心深く歯を見せた。
「わたしは、閣下のために何をすればよいのでしょうか」
ヤンドルアンガノルは立ち上がり、侍女たちは王をタオルでくるんだ。王はプールから歩き出た。
「そなたは十分仕えてくれたではないか」王は、あの暗く輝かしい表情で、アーヴラシュを見やった。「そなたを牧場へ出すときがきたと思う。そなたの愛する、あの年老いたホクスニイたちのようにな。わたしは、よりわたしの考え方に合った助言のできる者を探すつもりだ」
女たちは洗い水を運んできた陶器の水差しのそばで身を寄せ合いながら、このドラマに興味津々と耳を傾けた。
「閣下の望むとおりに考えているふりをする者は、ここにはたくさんおります、閣下。そのような者たちに信をおくことをお好みであれば、それは閣下がお決めになることです。わたしがなぜ閣下の機嫌を損ねたのかを、お話しいただけますでしょうか。わたしの助言は、閣下のご計画にそぐわないものでしたでしょうか」
王はタオルを振り払い、裸のまま、荒々しく部屋を歩き回った。その視線は歩き方と同じぐらいせわしなかった。ユーリは王に同情して鳴いた。
「わたしの耳に入るトラブルの数々を見るがいい。財政破綻。王妃は失う。国民には不人気で、信用がない。議会では口答えされる。オルドランドのあの小娘をもらったからといって、わたしが大衆の人気を回復するなどと言うでない。そなたの助言に従ってわたしは行動してきたが、もうそなたの助言にはうんざりなのだ」
サートリアーヴラシュは壁にもたれ、歩き回る王のじゃまにならないようにした。そして疲れ果てたように、両手を組み合わせた。
「言わせていただけるなら……わたしは閣下にも、その前に閣下のお父上にもお仕えしました。閣下のために嘘もつきました。今日、嘘をついたのです。閣下のために、わたし自らが、この恐ろしいマーデム派の犯罪にかかわったのです。閣下が選ばれるいかなる官房長候補者たちとも違って、わたしには政治的な野心はありません──閣下は、わたしに水をおかけになってもかまわないのですよ！」
「犯罪か！ そなたの君主は犯罪者なのか？ わたしはほかにどうやって、連中の反乱をしずめることができたというのだ」
(引用ここまで）
ということでサートリアーヴラシュ、王の怒りを買い、首になる。
22. Posted by silvering July 06, 2004 03:24
アーヴラシュ、自室に戻り王をいさめる手紙を書くも「ここまで書いたら反感を買って殺される」と思いとどまり、もっと温和な内容に書き換えてお付きのフォゴルに持って行かせる。そのあと、秘密の独房に閉じ込めたビリーを尋問する。ビリーは最初、遠国の市長と偽っていたが、信じてもらえず、正直に『この世界の上からきた」と告白したのだが、アーヴラシュは信じずに尋問を続ける。ビリーは二重星系の仕組みを語って聞かせるが、アーヴラシュは理解できない。アーヴラシュはフォゴルに引き続きビリーの監視を命じ、この男を王に捧げようかなどと考える。この模様を見ているアヴァナス上の人々から、ビリーを助けよという嘆願がなされるが規則に反するため却下される。
この模様は、遥か後世の地球に中継される。地球上では氷河期で衰退した人類が、再び氷河の後退で盛り返し、為政者が現れつつあった。しかし人々は基本的に無気力な生活を送っており、ヘリコニアの実況中継こそが最大の気晴らしであった。
……ようやく話がＳＦらしくなってきて、『春』より間違いなく好みだ。
この模様は、遥か後世の地球に中継される。地球上では氷河期で衰退した人類が、再び氷河の後退で盛り返し、為政者が現れつつあった。しかし人々は基本的に無気力な生活を送っており、ヘリコニアの実況中継こそが最大の気晴らしであった。
……ようやく話がＳＦらしくなってきて、『春』より間違いなく好みだ。
23. Posted by silvering July 06, 2004 03:55
第10章
ビリーは丘の地下の奥深くにある聖堂に連れて行かれ、フォゴルらに尋問を受ける。しかし彼らにも理解されない。それどころか、フォゴルはオルドランドでのフォゴルの待遇の悪さを知っているため、王のオルドランドとの友好関係を嫌っており、ビリーを生贄にして引き換えに断念させようとすらしている印象を受ける。ビリーは独房に戻され、泣きながら眠りに落ちる。
今日はここまで。おやすみなさい。
ビリーは丘の地下の奥深くにある聖堂に連れて行かれ、フォゴルらに尋問を受ける。しかし彼らにも理解されない。それどころか、フォゴルはオルドランドでのフォゴルの待遇の悪さを知っているため、王のオルドランドとの友好関係を嫌っており、ビリーを生贄にして引き換えに断念させようとすらしている印象を受ける。ビリーは独房に戻され、泣きながら眠りに落ちる。
今日はここまで。おやすみなさい。
24. Posted by silvering July 07, 2004 01:02
第１０章 ビリー、保護者を変える
氷商人クリリオがボーリエンに来る途上で、崖から川に飛び込むフォゴルの集団を目撃、一人を助け上げ、マトラッシルに向かう。
マトラッシルの宮殿では、行方不明でマジ族とともに放浪していた王子が王を訪ねてくる。王は側近に王子をとらえさせようとするが、逃げられてしまう。
次いで王は、首にした官房長が監禁していた囚人（ビリー）の話を聴き、尋問をする。そこへちょうどクリリオが居合わせる。ビリーは王に、アウ゛ァナスのこと、宗教は子供には必要だが自立した大人には不要であることなどを説き、腕時計を見せるが、王はさほど興味を示さない。クリリオは氷商人を息子のディウ゛の代に譲ることを告げ、どういうわけかビリーを連れ帰ることになる。王は議会に出て、サートリアーウ゛ラシュの指示でマーデム派を殺害したことを告白する。議員たちは王に同情するどころか、むしろ王の弱みにつけ込もうと考える。
王妃は南の浜で無為の日々を送る。
今日の目標は第１２章まで。
氷商人クリリオがボーリエンに来る途上で、崖から川に飛び込むフォゴルの集団を目撃、一人を助け上げ、マトラッシルに向かう。
マトラッシルの宮殿では、行方不明でマジ族とともに放浪していた王子が王を訪ねてくる。王は側近に王子をとらえさせようとするが、逃げられてしまう。
次いで王は、首にした官房長が監禁していた囚人（ビリー）の話を聴き、尋問をする。そこへちょうどクリリオが居合わせる。ビリーは王に、アウ゛ァナスのこと、宗教は子供には必要だが自立した大人には不要であることなどを説き、腕時計を見せるが、王はさほど興味を示さない。クリリオは氷商人を息子のディウ゛の代に譲ることを告げ、どういうわけかビリーを連れ帰ることになる。王は議会に出て、サートリアーウ゛ラシュの指示でマーデム派を殺害したことを告白する。議員たちは王に同情するどころか、むしろ王の弱みにつけ込もうと考える。
王妃は南の浜で無為の日々を送る。
今日の目標は第１２章まで。
25. Posted by silvering July 07, 2004 12:51
第１１章 北の大陸への旅
泣く泣く著書を焼き捨て、宮殿を後にしたサートリだが、途中、王子に助けられ、シボーナル人の一団と合流し、協力を求められる。サートリは同意し、彼らと北の大陸へ向かう。王子は途中で、両親への復讐があるといい別離し南に戻る。サートリらは北岸から船でシボーナル大陸に渡る。そこは金属が普及した異なる文化圏だった。言語は現在形と未来形が混沌とした独特のものだった。サートリは歓迎の宴に招かれ、紹介を受ける。
第１２章 川下の旅客取引
ビリーらを連れて川を船で下る氷商人のパートである。
泣く泣く著書を焼き捨て、宮殿を後にしたサートリだが、途中、王子に助けられ、シボーナル人の一団と合流し、協力を求められる。サートリは同意し、彼らと北の大陸へ向かう。王子は途中で、両親への復讐があるといい別離し南に戻る。サートリらは北岸から船でシボーナル大陸に渡る。そこは金属が普及した異なる文化圏だった。言語は現在形と未来形が混沌とした独特のものだった。サートリは歓迎の宴に招かれ、紹介を受ける。
第１２章 川下の旅客取引
ビリーらを連れて川を船で下る氷商人のパートである。
26. Posted by silvering July 07, 2004 14:35
第１２章
氷商人は中継港でビリーらをおろし、ビリーになじみの娼婦の娘をあてがう。ビリーはこの娘にぞっこんになる。その後、彼らは『偉大な石』に登り周囲の森の景色を見渡す。ビリーは更に南下し、友人の検死学者キャラバンシティのいる港で娘を学者に預け、口止めをする（ここで息子と合流）。この娘の口から、娼婦からきいた娘のパトロンの「さる大物」が、シボーナルの特使で、姦通疑惑で失踪した男だったことを聞き出す。キャラバンシティは、商人の船でいっぱいやろうと着いてくるが、商人はビリーを見られたくないため断る。キャラバンシティは、失踪した前官房長をかくまっているのだろうと独り合点して納得し、一人で飲む。やがて船は海を超えてヘスパゴラト大陸に着く。
その様子をみているアウ゛ァーナスの人びとは、ビリーの成果がまずまずでありながらも、肝心の王や官房長にアウ゛ァナスの存在を信じらせられなかったことに失望している。また遠く地球ではヘリコニアにおける宗教の重要さに同情と共感が相半ばする。またそれらに無関心なフォゴルへの賞賛。アウ゛ァナスでは、次の当選者は彼ら二足歩行動物を率いて人類の偶像を廃棄すべきだという結論になる。
話がダイナミックにつながってきて、スケールも大きくなり、いよいよ面白くなってきた。
さて、ここらで飯を食いにいってくるか。
氷商人は中継港でビリーらをおろし、ビリーになじみの娼婦の娘をあてがう。ビリーはこの娘にぞっこんになる。その後、彼らは『偉大な石』に登り周囲の森の景色を見渡す。ビリーは更に南下し、友人の検死学者キャラバンシティのいる港で娘を学者に預け、口止めをする（ここで息子と合流）。この娘の口から、娼婦からきいた娘のパトロンの「さる大物」が、シボーナルの特使で、姦通疑惑で失踪した男だったことを聞き出す。キャラバンシティは、商人の船でいっぱいやろうと着いてくるが、商人はビリーを見られたくないため断る。キャラバンシティは、失踪した前官房長をかくまっているのだろうと独り合点して納得し、一人で飲む。やがて船は海を超えてヘスパゴラト大陸に着く。
その様子をみているアウ゛ァーナスの人びとは、ビリーの成果がまずまずでありながらも、肝心の王や官房長にアウ゛ァナスの存在を信じらせられなかったことに失望している。また遠く地球ではヘリコニアにおける宗教の重要さに同情と共感が相半ばする。またそれらに無関心なフォゴルへの賞賛。アウ゛ァナスでは、次の当選者は彼ら二足歩行動物を率いて人類の偶像を廃棄すべきだという結論になる。
話がダイナミックにつながってきて、スケールも大きくなり、いよいよ面白くなってきた。
さて、ここらで飯を食いにいってくるか。
27. Posted by silvering July 07, 2004 16:49
第１３章 軍備増強への道
王、２度目の銃実験に失敗し幽閉した先代王に相談、そこで、失踪した姦通特使がここから王妃の裸を覗き、王妃とも通じていたらしいときき憤慨する。同時に、銃に関しては今使っている指導者を処刑し、褒美を与えよときく。さっそく王は神聖な工場に押し入り、古いシステムの金属精錬場を破壊し、新しいものを作れと命ずるとともに、王を殺せと逆上した指導者らを公開処刑し生首をさらす。また、隣国に技術者派遣を要請するとともに、シボーナル人の残党を頼み、フォゴルの部落に入りその助力も請う。遂に、新しい金属が完成し銃が作られる。王はフォゴルを率いて復讐の戦に乗り出し、勝利し、つかの間名誉を回復する。
ところがこれを見るアウ゛ァナス人は、王の軍国主義に懸念を示し、ヘリコニアを侵略すべきとの意見が勃発する。アウ゛ァナス建造のために作られた他の惑星場の基地を使って侵略の準備をしようと考える一派が現れる。ただし女性たちは王の逆襲に喜び、王の側につくとの意見。
遠く後世の地球では王の逆襲に喜ぶ意見が大半。
王、２度目の銃実験に失敗し幽閉した先代王に相談、そこで、失踪した姦通特使がここから王妃の裸を覗き、王妃とも通じていたらしいときき憤慨する。同時に、銃に関しては今使っている指導者を処刑し、褒美を与えよときく。さっそく王は神聖な工場に押し入り、古いシステムの金属精錬場を破壊し、新しいものを作れと命ずるとともに、王を殺せと逆上した指導者らを公開処刑し生首をさらす。また、隣国に技術者派遣を要請するとともに、シボーナル人の残党を頼み、フォゴルの部落に入りその助力も請う。遂に、新しい金属が完成し銃が作られる。王はフォゴルを率いて復讐の戦に乗り出し、勝利し、つかの間名誉を回復する。
ところがこれを見るアウ゛ァナス人は、王の軍国主義に懸念を示し、ヘリコニアを侵略すべきとの意見が勃発する。アウ゛ァナス建造のために作られた他の惑星場の基地を使って侵略の準備をしようと考える一派が現れる。ただし女性たちは王の逆襲に喜び、王の側につくとの意見。
遠く後世の地球では王の逆襲に喜ぶ意見が大半。
28. Posted by silvering July 07, 2004 16:51
そろそろ夕飯を食いに行き、外で300ページまで読んで来る予定。
29. Posted by silvering July 07, 2004 23:32
１４
サートリ、失踪したシボーナル大使と会う。王妃の話となり大使は王妃を褒めるが、サートリがその兄は友人だったというと黙る。
船は西北に進む。旧アスキトシュを過ぎパーセキュション湾に入る。フォゴルに似たフラムブレグという動物の生息する島に停泊。この辺りは流氷が流れている。この島は昔、罪人を放置し、罪人が原住民と交わり生き延びた。彼らはフラムブレグを数頭食用に狩る。イェセラタバーはサートリに橇で島を案内すると申し出る。だが途中で動物の集団の大移動と雷雨に巻き込まれ数日立ち往生し、橇は壊れる。彼らは徒歩で戻る。彼らは船で西へ進む。イェセラタバーはサートリに自分の仮説を語る、フォゴルは進化したフラムブレグではないか、天敵の蝿を避けるため穴に隠れたり、二足歩行して手で道具を使うなどして、知性を発達させたのではないかと。それがこの両種族の１小年に一度の繁殖期という奇妙な符合を説明する唯一の手段でなかろうか。
イジビビル港で大望号が加わり、黄金の友情号、連合号と３隻になる。更にもう１隻が加わり、南に向かい、クリメント海に入り、フィンドウェル岬を越え、船を修理。船員(女が多い）は裸で泳ぐ。イェセラバーはボーリエン征服の目的が王妃を支配することだと語る。
１５章 石きり場の囚われ人
ジャングルでボーリエン第二軍の敗残兵を組織しうっ屈した日々を送るトルラムケティネットに氷商人の一員が手紙を携える。王妃の封印。トルラムは王妃追放を知り愕然とする。
ボーリエンに隣接するランドナン人は万物聖霊視していたが、東進しボーリエンの砂漠で現地人と紛争となる。ボーリエン人は彼らをジャングルに追いこむがジャングルにはボーリエン人の免疫のない病が蔓延している。王は彼らとともに侵略の野望を進める。
王はジャングルの複雑さに悩み、離婚の許可状を待ちわびる。王はパノヴァルから逃げてくるフォゴルを保護し、コスガットで手柄を立てれば土地をやると約束し軍役に就かせ利用する。ある日父の死体を発見し反狂乱になった後、女医師に埋葬を指示し、翌日葬儀が行われる。議員たちは出ないと何をされるかわらないのを恐れて妻とともにいやいや参列する（先代を悼むより今の王への嫌悪が強い）。王は埋葬儀式の最中に父を罵って馬で走り去り、笑い者にされる。ちょうど近くで見ていた王子は父を追う。王はホクスニイを止め、石切り場に入る。今やサートリが追放され寂れ果てている。アザー、ノンダッド、マジ、人の捕虜の檻があり、サートリ交配妊娠の可否の実験をし、クライン理論を開発していた。王は、サートリから学びたいとここに来たのだった。そこで息子と出くわし、抱きしめる。王によるとサートリの妻はここで檻を破った捕虜に殺された。王は王子に戻れと迫り、王子は下がろうとして檻によりかかり腕を掴まれ指をかまれる。指を落としたまま王子は走り去る。王はここへ、マジの女はどうやって性交するのかを見に来たのだった。看守によるとマジは正常位もするが多くはバックである。またキスをするのは人だけである。前戯のオーラルセックスは４つの種族に共通である。とのこと。王は目的を達したといい釈放を指示し、宮殿に戻ると離婚許可状が届いていた。
サートリ、失踪したシボーナル大使と会う。王妃の話となり大使は王妃を褒めるが、サートリがその兄は友人だったというと黙る。
船は西北に進む。旧アスキトシュを過ぎパーセキュション湾に入る。フォゴルに似たフラムブレグという動物の生息する島に停泊。この辺りは流氷が流れている。この島は昔、罪人を放置し、罪人が原住民と交わり生き延びた。彼らはフラムブレグを数頭食用に狩る。イェセラタバーはサートリに橇で島を案内すると申し出る。だが途中で動物の集団の大移動と雷雨に巻き込まれ数日立ち往生し、橇は壊れる。彼らは徒歩で戻る。彼らは船で西へ進む。イェセラタバーはサートリに自分の仮説を語る、フォゴルは進化したフラムブレグではないか、天敵の蝿を避けるため穴に隠れたり、二足歩行して手で道具を使うなどして、知性を発達させたのではないかと。それがこの両種族の１小年に一度の繁殖期という奇妙な符合を説明する唯一の手段でなかろうか。
イジビビル港で大望号が加わり、黄金の友情号、連合号と３隻になる。更にもう１隻が加わり、南に向かい、クリメント海に入り、フィンドウェル岬を越え、船を修理。船員(女が多い）は裸で泳ぐ。イェセラバーはボーリエン征服の目的が王妃を支配することだと語る。
１５章 石きり場の囚われ人
ジャングルでボーリエン第二軍の敗残兵を組織しうっ屈した日々を送るトルラムケティネットに氷商人の一員が手紙を携える。王妃の封印。トルラムは王妃追放を知り愕然とする。
ボーリエンに隣接するランドナン人は万物聖霊視していたが、東進しボーリエンの砂漠で現地人と紛争となる。ボーリエン人は彼らをジャングルに追いこむがジャングルにはボーリエン人の免疫のない病が蔓延している。王は彼らとともに侵略の野望を進める。
王はジャングルの複雑さに悩み、離婚の許可状を待ちわびる。王はパノヴァルから逃げてくるフォゴルを保護し、コスガットで手柄を立てれば土地をやると約束し軍役に就かせ利用する。ある日父の死体を発見し反狂乱になった後、女医師に埋葬を指示し、翌日葬儀が行われる。議員たちは出ないと何をされるかわらないのを恐れて妻とともにいやいや参列する（先代を悼むより今の王への嫌悪が強い）。王は埋葬儀式の最中に父を罵って馬で走り去り、笑い者にされる。ちょうど近くで見ていた王子は父を追う。王はホクスニイを止め、石切り場に入る。今やサートリが追放され寂れ果てている。アザー、ノンダッド、マジ、人の捕虜の檻があり、サートリ交配妊娠の可否の実験をし、クライン理論を開発していた。王は、サートリから学びたいとここに来たのだった。そこで息子と出くわし、抱きしめる。王によるとサートリの妻はここで檻を破った捕虜に殺された。王は王子に戻れと迫り、王子は下がろうとして檻によりかかり腕を掴まれ指をかまれる。指を落としたまま王子は走り去る。王はここへ、マジの女はどうやって性交するのかを見に来たのだった。看守によるとマジは正常位もするが多くはバックである。またキスをするのは人だけである。前戯のオーラルセックスは４つの種族に共通である。とのこと。王は目的を達したといい釈放を指示し、宮殿に戻ると離婚許可状が届いていた。
30. Posted by silvering July 08, 2004 13:12
16章 氷河を掘った男
ビリーは氷商人の故郷へ着くと死肥病に倒れる。妻や娘に看病されるがそのかいなく、次第に衰弱していく。氷商人はこのランドリアンドリで人夫を使い、氷河を掘り氷を切り出してはコンパンラトへ売っている。氷商人の息子はビリーから、父の情夫の娘の居場所を聞き出し（なぜビリーが知っているのか不明、隠していたはずでは？）、家出する。氷商人は息子失踪でやむなく妻や娘婿の弁護士に代理を務めさせざるを得ない。娘は父の浮気を疑い、ビリーから出張先での女の事を訊く。また、病気について、ビリーはこの娘に死肥病と骨熱が同じウイルスによる病気で季節により発現の仕方が違うこと、ヘリコニアの厳しい気候の変化に耐えられるようにするための（病を乗り切って太ったり痩せたりすることで次の季節に耐えられる体にする）自然のメカニズムであることを語り驚嘆される。給料日に氷商人は人夫たちに、宇宙からの訪問者がいることを紹介するが、その矢先にビリーは息を引き取る。
ビリーは氷商人の故郷へ着くと死肥病に倒れる。妻や娘に看病されるがそのかいなく、次第に衰弱していく。氷商人はこのランドリアンドリで人夫を使い、氷河を掘り氷を切り出してはコンパンラトへ売っている。氷商人の息子はビリーから、父の情夫の娘の居場所を聞き出し（なぜビリーが知っているのか不明、隠していたはずでは？）、家出する。氷商人は息子失踪でやむなく妻や娘婿の弁護士に代理を務めさせざるを得ない。娘は父の浮気を疑い、ビリーから出張先での女の事を訊く。また、病気について、ビリーはこの娘に死肥病と骨熱が同じウイルスによる病気で季節により発現の仕方が違うこと、ヘリコニアの厳しい気候の変化に耐えられるようにするための（病を乗り切って太ったり痩せたりすることで次の季節に耐えられる体にする）自然のメカニズムであることを語り驚嘆される。給料日に氷商人は人夫たちに、宇宙からの訪問者がいることを紹介するが、その矢先にビリーは息を引き取る。
31. Posted by silvering July 08, 2004 16:38
１７ 死の飛行
トルラム、部下を率い海の船に。銃を運んでいる氷商人の船。ランドナンの浜辺。船で川を島に渡り、山に登る.
そこから４隻の船を見つけ、向かっていく。
他方、シボーナルの船はコンパンラト西岸を回りこみランドナン海上を東へ。ディエヌとサートリはかつて、今は列島となっている島々がかつてつながっていたという仮説を検証するため島へ降り、そこで黒いフォゴルを捕らえ証明したと考える。このフォゴルは女でメンスの血を流し、ついには嵐の魔除けに海へ落とされる。嵐がやみ船はボーリエン西端の河口の港町に近づく。
そして砲撃戦が始まった。ところが年に一度の大津波（二つの太陽の引力による）とアサタシという鋭い骨を持つ魚の集団自殺(死の飛翔）が重なりシボーナル船団は大打撃。船は傷つき沈み始め、陸へ渡ろうとしていた兵士は魚に突き刺され次々と死ぬ。この魚はイエルク同様、子が親の死肉を食べて生まれるのだ。サートリはオディを助け浜に着き、トルラムと再開、トルラムは彼らを連れ船を奪って逃げる。別の船がこれを追う。
他方、王子はオルドランドへいく途中、キャラバンシティの世話になり、そこでアバシーと再会しセックスに溺れる。ところが氷商人の息子が乱入し、王子はディブを殺してオルドランドへ。ディブの死体は川に投げ込まれ王妃のいる町に流れつき、時計を持った死体は発見される。
夏至のアサタシ『死の飛翔』の祭は終わり、南岸の人々は小船に灯を灯して海へ流す……。
これまでの中でベストの章だな。ストーリー展開がダイナミックで、敵味方入り乱れ、いろんなサブキャラが絡み合って面白い。と同時に発端部分と話の輪がつながった。それと何より、『死の飛翔』というアイデアが見事で、書き片も迫力がある。章の終わりの情感溢れるシーンも最高。
『春』は人間ドラマ主体でＳＦ味は薄かったが、『夏』は人間ドラマだけでなく、ヘリコニアの生態の書き込みもすばらしいし、ストーリーもダイナミックでより面白い。更にアヴァナス号からの干渉という変数も入って、先の展開を読めなくしている。
最初にストーリーの中途の場面からはじめ、発端から語り直し中盤までで輪をつなげるという変則プロットも、興味を惹く巧い構成で成功している。
これから終盤が楽しみ。
トルラム、部下を率い海の船に。銃を運んでいる氷商人の船。ランドナンの浜辺。船で川を島に渡り、山に登る.
そこから４隻の船を見つけ、向かっていく。
他方、シボーナルの船はコンパンラト西岸を回りこみランドナン海上を東へ。ディエヌとサートリはかつて、今は列島となっている島々がかつてつながっていたという仮説を検証するため島へ降り、そこで黒いフォゴルを捕らえ証明したと考える。このフォゴルは女でメンスの血を流し、ついには嵐の魔除けに海へ落とされる。嵐がやみ船はボーリエン西端の河口の港町に近づく。
そして砲撃戦が始まった。ところが年に一度の大津波（二つの太陽の引力による）とアサタシという鋭い骨を持つ魚の集団自殺(死の飛翔）が重なりシボーナル船団は大打撃。船は傷つき沈み始め、陸へ渡ろうとしていた兵士は魚に突き刺され次々と死ぬ。この魚はイエルク同様、子が親の死肉を食べて生まれるのだ。サートリはオディを助け浜に着き、トルラムと再開、トルラムは彼らを連れ船を奪って逃げる。別の船がこれを追う。
他方、王子はオルドランドへいく途中、キャラバンシティの世話になり、そこでアバシーと再会しセックスに溺れる。ところが氷商人の息子が乱入し、王子はディブを殺してオルドランドへ。ディブの死体は川に投げ込まれ王妃のいる町に流れつき、時計を持った死体は発見される。
夏至のアサタシ『死の飛翔』の祭は終わり、南岸の人々は小船に灯を灯して海へ流す……。
これまでの中でベストの章だな。ストーリー展開がダイナミックで、敵味方入り乱れ、いろんなサブキャラが絡み合って面白い。と同時に発端部分と話の輪がつながった。それと何より、『死の飛翔』というアイデアが見事で、書き片も迫力がある。章の終わりの情感溢れるシーンも最高。
『春』は人間ドラマ主体でＳＦ味は薄かったが、『夏』は人間ドラマだけでなく、ヘリコニアの生態の書き込みもすばらしいし、ストーリーもダイナミックでより面白い。更にアヴァナス号からの干渉という変数も入って、先の展開を読めなくしている。
最初にストーリーの中途の場面からはじめ、発端から語り直し中盤までで輪をつなげるという変則プロットも、興味を惹く巧い構成で成功している。
これから終盤が楽しみ。
32. Posted by silvering July 09, 2004 02:02
１８ 深淵からの訪問者
王が到着した後、婚約相手の死亡の報が流れ、王はキャラバンシティに相談。キャラは王妃とよりを戻せというが王の逆鱗に触れ、殺されかける。そこで教会牧師が王妃を襲ったのを助けたと叫び、王は我に帰り立ち去る。王は父の霊に相談の上、牧師とオルドランドに向かう。キャラは王妃に引きとめられ残る。王妃が海で泳ぎ、イルカの内なる宮殿で心を癒していると、船が接近。手紙を送ったトルラムやサートリと再会。その夜王妃はサートリと結ばれる。翌日、これを追ってきたシボーナル船二隻が接近！！！ しかしイルカの一団とその率いる二匹の「ウトラの虫」が船を撃退する。ウトラの虫は、幼生時はスカパーフィッシュと呼ばれるが（大年に合ったライフサイクル）、やがて陸にあがりウトラの虫となる。しかし、王妃のメンスの血に反応したイルカに呼ばれて海の血が騒ぎ、戻ってきたのだ。やはりこの地は呪われていると、シボーナルの船はほうほうの体で逃げ出す。
戦闘会議を開き、敵の動きは東岸から上陸し女王を攻めてくる予想。女王はサートリらに行くように指示。サートリは新発見をオルドランドに報告するので娘の絵本を貸してくれと頼み、王妃はこの瀬戸際に何をのんきなと怒りつつ許す。
サートリとオディは北へいく途中、古戦場跡を掘り返しラジャバラルの実を食らって死んだ古い戦士やフォゴルの遺体を掘りだすキャラに挨拶をしようとするが、キャラは国に災厄をもたらしたサートリに冷たい。サートリは自分の発見によればフォゴルは仲間でなく人類を滅ぼすから倒すべきだというが、キャラは相手にしない。むしろキャラはサートリの災厄で「望遠鏡を覗く」楽しみすら人々から奪うと怒る。二人は折り合わぬまま、サートリは泣きながら去る。
１９章 オルドランド
オルドランドは好戦的なレイスと紛争状態だが押され気味で、王は長女を殺され鬱気味だった。王妃からボーリエン王をどうもてなすかきかれても「あいつは文化レベルが低いし金もないからフォゴルを雇っている。フォゴルで国を守って向こうが楽しませてくれるさ」と相手にしない。
ヤンドルがすごい勢いでオルドランドに急ぐので牧師は音をあげる。そこでヤンドルは「俺は強い。環境に適応する。もしお前が王妃を寝取ろうとしたなら殺していた」と脅す。そしていきなり走ってジャンプし牧師の横に立つ。怯える牧師に離婚状を必ず届けよといい残し先に行ってしまう。
王は、二日後オルドランドまで数マイルの場所でとまる。そこは幅広い道がオルドランドとボーリエンを分かち、動物たちもこの道を越えることはない。そしていま、ラスティヨニク火山が噴火し溶岩流が流れている。王は何とか道を渡り、オルドランドに着く。
ここは宗教と交易の都。交易の中心は北西から東南に走る。国民の多数がアカナバに仕える。そこで捕らえたマジや動物を売る。王はオルドランド王に迎えられるが、その王の嫌悪を感じ少しショックを受ける。
もうちょいで読み終わる。
王が到着した後、婚約相手の死亡の報が流れ、王はキャラバンシティに相談。キャラは王妃とよりを戻せというが王の逆鱗に触れ、殺されかける。そこで教会牧師が王妃を襲ったのを助けたと叫び、王は我に帰り立ち去る。王は父の霊に相談の上、牧師とオルドランドに向かう。キャラは王妃に引きとめられ残る。王妃が海で泳ぎ、イルカの内なる宮殿で心を癒していると、船が接近。手紙を送ったトルラムやサートリと再会。その夜王妃はサートリと結ばれる。翌日、これを追ってきたシボーナル船二隻が接近！！！ しかしイルカの一団とその率いる二匹の「ウトラの虫」が船を撃退する。ウトラの虫は、幼生時はスカパーフィッシュと呼ばれるが（大年に合ったライフサイクル）、やがて陸にあがりウトラの虫となる。しかし、王妃のメンスの血に反応したイルカに呼ばれて海の血が騒ぎ、戻ってきたのだ。やはりこの地は呪われていると、シボーナルの船はほうほうの体で逃げ出す。
戦闘会議を開き、敵の動きは東岸から上陸し女王を攻めてくる予想。女王はサートリらに行くように指示。サートリは新発見をオルドランドに報告するので娘の絵本を貸してくれと頼み、王妃はこの瀬戸際に何をのんきなと怒りつつ許す。
サートリとオディは北へいく途中、古戦場跡を掘り返しラジャバラルの実を食らって死んだ古い戦士やフォゴルの遺体を掘りだすキャラに挨拶をしようとするが、キャラは国に災厄をもたらしたサートリに冷たい。サートリは自分の発見によればフォゴルは仲間でなく人類を滅ぼすから倒すべきだというが、キャラは相手にしない。むしろキャラはサートリの災厄で「望遠鏡を覗く」楽しみすら人々から奪うと怒る。二人は折り合わぬまま、サートリは泣きながら去る。
１９章 オルドランド
オルドランドは好戦的なレイスと紛争状態だが押され気味で、王は長女を殺され鬱気味だった。王妃からボーリエン王をどうもてなすかきかれても「あいつは文化レベルが低いし金もないからフォゴルを雇っている。フォゴルで国を守って向こうが楽しませてくれるさ」と相手にしない。
ヤンドルがすごい勢いでオルドランドに急ぐので牧師は音をあげる。そこでヤンドルは「俺は強い。環境に適応する。もしお前が王妃を寝取ろうとしたなら殺していた」と脅す。そしていきなり走ってジャンプし牧師の横に立つ。怯える牧師に離婚状を必ず届けよといい残し先に行ってしまう。
王は、二日後オルドランドまで数マイルの場所でとまる。そこは幅広い道がオルドランドとボーリエンを分かち、動物たちもこの道を越えることはない。そしていま、ラスティヨニク火山が噴火し溶岩流が流れている。王は何とか道を渡り、オルドランドに着く。
ここは宗教と交易の都。交易の中心は北西から東南に走る。国民の多数がアカナバに仕える。そこで捕らえたマジや動物を売る。王はオルドランド王に迎えられるが、その王の嫌悪を感じ少しショックを受ける。
もうちょいで読み終わる。
33. Posted by silvering July 09, 2004 02:03
「王妃はサートリと・・・」でなく「トルラムと結ばれる」に訂正。欝だ。
34. Posted by silvering July 09, 2004 15:30
２０ かくて正義は為される
オルドランド王は、フォゴルを重んじアカナバはかつてフォゴルに似ていたとまで言うヤンドルを嫌い娘との結婚を阻止するため、法王の前で婚礼を行うように言う。法王は３日後来る予定。パノヴァルの王も来る。実はパノヴァル王とミルアをオルドランド王は結婚させたかった。ヤンドルは拉致したサートリを隠しており、オルドランド王はこれを必死で探している。王の側近は、｢ヤンドルは国で人気がない、私がボーリエンを征服します」と語り、王はにんまりする。また側近によると離婚書が法王の手に戻るまでは王の離婚は成立せず、再婚も違法であるとのこと。
ある日地震が起き、ミルアと避難の最中、王は囚人が運ばれるのを目撃。翌日王はシモダタル殺害容疑で逮捕される。法廷での起訴事実は、息子に指示しフォゴルの角で刺したというもの。前日の囚人が連れてこられ息子であることが判明。息子が否認すると、今度はアバシイが証人に登場。息子がディブといるところに乱入しディブを殺し川に捨てた、その死体がキャラに戻り、腕時計を王がキャラから奪ったから間違いないと一部偽証する。また娘はシボーナル人と通じていたことも証言。王は時計を持参していたため不利に。婚約の贈り物に持参したと弁解するもそのために息子に指示し奪わせたとされる。息子はシモダ殺害、王はその指示の容疑で死刑判決を受けようとしたところ、息子が父を困らせるためにシモダを殺したと自白。王は無罪、息子は絞首刑を言い渡される。
いくら何でも面白すぎる。この法廷シーンは春夏通じてのベストシーンだろう。
この章で本書の評価が一気に上がりました。
オルドランド王は、フォゴルを重んじアカナバはかつてフォゴルに似ていたとまで言うヤンドルを嫌い娘との結婚を阻止するため、法王の前で婚礼を行うように言う。法王は３日後来る予定。パノヴァルの王も来る。実はパノヴァル王とミルアをオルドランド王は結婚させたかった。ヤンドルは拉致したサートリを隠しており、オルドランド王はこれを必死で探している。王の側近は、｢ヤンドルは国で人気がない、私がボーリエンを征服します」と語り、王はにんまりする。また側近によると離婚書が法王の手に戻るまでは王の離婚は成立せず、再婚も違法であるとのこと。
ある日地震が起き、ミルアと避難の最中、王は囚人が運ばれるのを目撃。翌日王はシモダタル殺害容疑で逮捕される。法廷での起訴事実は、息子に指示しフォゴルの角で刺したというもの。前日の囚人が連れてこられ息子であることが判明。息子が否認すると、今度はアバシイが証人に登場。息子がディブといるところに乱入しディブを殺し川に捨てた、その死体がキャラに戻り、腕時計を王がキャラから奪ったから間違いないと一部偽証する。また娘はシボーナル人と通じていたことも証言。王は時計を持参していたため不利に。婚約の贈り物に持参したと弁解するもそのために息子に指示し奪わせたとされる。息子はシモダ殺害、王はその指示の容疑で死刑判決を受けようとしたところ、息子が父を困らせるためにシモダを殺したと自白。王は無罪、息子は絞首刑を言い渡される。
いくら何でも面白すぎる。この法廷シーンは春夏通じてのベストシーンだろう。
この章で本書の評価が一気に上がりました。
35. Posted by silvering July 09, 2004 18:14
２１ アカナバ虐殺
スタンドはサートリに秘密の研究成果を公表させる。すなわちヘリコニアにはかつて月があったがフライヤー星の引力に捕らえられた際、月（テヌアーと童話で呼ばれる）が引力で飛んでいった、それと同時に人類がやってきた。それ以前はフォゴルがヘリコニアを支配しており、多くの語がフォゴル語に起源を持つ。冬に強いフォゴルは大冬の間人を奴隷として使う、人は大夏の短い間だけ栄える。フォゴルは今奴隷に甘んじているが、高原では冬が来るのを待っている。フォゴルはフラムブレグの進化した種であり、人はアザーズの進化した種である。だから人は仲間割れしている場合でない、団結してフォゴルと戦え！ 彼は童話でかつてフォゴルが人の参謀だったが月がなくなってフォゴルを殺したという童話と、黒フォゴルの女の生理周期がテヌアーと呼ばれ発音が似ており童話の月の周期と同じだったことから気づいた。ここまでしゃべると僧侶たちが冒涜と怒り、暴動を起こしサートリは殺される。しかし噂はすぐ市民に広がり「人はフォゴルの奴隷でフォゴルの神を信仰していたのなら自分たちは奴隷の奴隷ってことかよ！」と怒りやる気をなくする。法王が到着し演説をぶつが効果なし。どさくさにまぎれてボーリエン王はミルアと正式に挙式する。その夜、地震で宮殿が炎上、王は助けに行こうとするがフォゴル兵に阻まれる。法王らが死んで教会の権威が落ちれば、自分らがボーリエンとオルドランドを支配しても意味がないと信心深い王は落ち込むが、エソンバーらに慰められる。なお、オルドランド王は一足先に王が式をあげたことにショックを受けながらも義理の孫を縄にかけるのはできんと、王子を釈放していた。
終章
イオは王妃らの読み通り東岸から攻めてくるが、王妃は死んだという芝居で騙して乗りきる。王妃は娘と北へ向かっていた、息子と会うため。
最後にヘリコニア生態系の真相が語られる。かつて黒フォゴルがペゴビンで長寿文明を誇りアザーズなどを家畜にしていたが、突然変異で白フォゴルが生まれ、東に移住する。そのころフライヤー星が現れ、次第に近づく。気温があがりついにその周りを回るようになる。それによって高温に適合するアザ―が活発になりオロネット語を話し始める。熱で水位が増しコンパンラトとヘスパゴラトが離れる。フォゴルは各地の印の石にフォゴル像を刻む。アザ―は長い冬と夏の繰り返しの中で低住生活で進化し人が分かれる。以来、冬にフォゴル、夏に人が栄える繰り返しとなった。そのサイクルは余りに長いため、人もフォゴルも前に栄えた季節のことが記録に残っていない。
読み終えた。
この作品、ヤバイよ。マジで凄い。この夏は、春を大きく引き離して大傑作だな。
ただ、テナーの語源が、何で英語なんだっつー謎がとうとう解かれないままだったが。ただの偶然の一致なのか？ オールディス先生がそんな手抜きをするはずはないがな。冬で脅威のどんでん返しがあることを期待します。
スタンドはサートリに秘密の研究成果を公表させる。すなわちヘリコニアにはかつて月があったがフライヤー星の引力に捕らえられた際、月（テヌアーと童話で呼ばれる）が引力で飛んでいった、それと同時に人類がやってきた。それ以前はフォゴルがヘリコニアを支配しており、多くの語がフォゴル語に起源を持つ。冬に強いフォゴルは大冬の間人を奴隷として使う、人は大夏の短い間だけ栄える。フォゴルは今奴隷に甘んじているが、高原では冬が来るのを待っている。フォゴルはフラムブレグの進化した種であり、人はアザーズの進化した種である。だから人は仲間割れしている場合でない、団結してフォゴルと戦え！ 彼は童話でかつてフォゴルが人の参謀だったが月がなくなってフォゴルを殺したという童話と、黒フォゴルの女の生理周期がテヌアーと呼ばれ発音が似ており童話の月の周期と同じだったことから気づいた。ここまでしゃべると僧侶たちが冒涜と怒り、暴動を起こしサートリは殺される。しかし噂はすぐ市民に広がり「人はフォゴルの奴隷でフォゴルの神を信仰していたのなら自分たちは奴隷の奴隷ってことかよ！」と怒りやる気をなくする。法王が到着し演説をぶつが効果なし。どさくさにまぎれてボーリエン王はミルアと正式に挙式する。その夜、地震で宮殿が炎上、王は助けに行こうとするがフォゴル兵に阻まれる。法王らが死んで教会の権威が落ちれば、自分らがボーリエンとオルドランドを支配しても意味がないと信心深い王は落ち込むが、エソンバーらに慰められる。なお、オルドランド王は一足先に王が式をあげたことにショックを受けながらも義理の孫を縄にかけるのはできんと、王子を釈放していた。
終章
イオは王妃らの読み通り東岸から攻めてくるが、王妃は死んだという芝居で騙して乗りきる。王妃は娘と北へ向かっていた、息子と会うため。
最後にヘリコニア生態系の真相が語られる。かつて黒フォゴルがペゴビンで長寿文明を誇りアザーズなどを家畜にしていたが、突然変異で白フォゴルが生まれ、東に移住する。そのころフライヤー星が現れ、次第に近づく。気温があがりついにその周りを回るようになる。それによって高温に適合するアザ―が活発になりオロネット語を話し始める。熱で水位が増しコンパンラトとヘスパゴラトが離れる。フォゴルは各地の印の石にフォゴル像を刻む。アザ―は長い冬と夏の繰り返しの中で低住生活で進化し人が分かれる。以来、冬にフォゴル、夏に人が栄える繰り返しとなった。そのサイクルは余りに長いため、人もフォゴルも前に栄えた季節のことが記録に残っていない。
読み終えた。
この作品、ヤバイよ。マジで凄い。この夏は、春を大きく引き離して大傑作だな。
ただ、テナーの語源が、何で英語なんだっつー謎がとうとう解かれないままだったが。ただの偶然の一致なのか？ オールディス先生がそんな手抜きをするはずはないがな。冬で脅威のどんでん返しがあることを期待します。
36. Posted by silvering July 10, 2004 01:05
いよいよ「冬」に入る。
序章
ルテリン
山脈近く
病気から回復した少年がホクスニイで家に戻る。気候が変わりホクスニイは冬眠し、イエルクが活動し始める。少年は教会に入る。インシル・エシカナンチが水差し持ってくる。許嫁だ。地域の二大家系の政略結婚。女は両親と兄がいるが儀式に出ている。兄フアビンは自殺を図った。ルテリンの母は病弱で毎日両親とポウクしているが少年は父から禁じられている。少年がインシルとキスしようとしたとき戸棚が開き友人のウマトが飛び出し助けると叫び格闘。少女は逃げる。ルテリンは、彼女がお膳だてしたと思いつつ、家路に着く。途中アイスン宿屋に立ち寄る。宿屋ではオリガーチの門限令などへの不平が語られる。家に着くと、奴隷が秘書に会うように言う。父は外出した、狩りに。烏似の秘書、父の置き手紙を読む。それにはルテリンが父の代わりに｢車輪の守り手」に召集されるだろう、家名のために頑張れとかいてあった。金は秘書に渡した。生まれてすぐ教会の教皇の祝福を受けた、だからついているはず。兄弟もみんな召集されている。ルテリンは喜ぶ。壮行の仮面劇が催される。
１ 最後の戦い
ステップの川近くを６人の男が動物を連れて歩いている。逃げるように。廃墟を通る。ハチツの国境。橋。川向に車輪型キャンプあり。イツリアチャ。そこの兵士に迎えられる。真中に農場。ハブの位置に教会を取り巻くバラック風事務所。
序章
ルテリン
山脈近く
病気から回復した少年がホクスニイで家に戻る。気候が変わりホクスニイは冬眠し、イエルクが活動し始める。少年は教会に入る。インシル・エシカナンチが水差し持ってくる。許嫁だ。地域の二大家系の政略結婚。女は両親と兄がいるが儀式に出ている。兄フアビンは自殺を図った。ルテリンの母は病弱で毎日両親とポウクしているが少年は父から禁じられている。少年がインシルとキスしようとしたとき戸棚が開き友人のウマトが飛び出し助けると叫び格闘。少女は逃げる。ルテリンは、彼女がお膳だてしたと思いつつ、家路に着く。途中アイスン宿屋に立ち寄る。宿屋ではオリガーチの門限令などへの不平が語られる。家に着くと、奴隷が秘書に会うように言う。父は外出した、狩りに。烏似の秘書、父の置き手紙を読む。それにはルテリンが父の代わりに｢車輪の守り手」に召集されるだろう、家名のために頑張れとかいてあった。金は秘書に渡した。生まれてすぐ教会の教皇の祝福を受けた、だからついているはず。兄弟もみんな召集されている。ルテリンは喜ぶ。壮行の仮面劇が催される。
１ 最後の戦い
ステップの川近くを６人の男が動物を連れて歩いている。逃げるように。廃墟を通る。ハチツの国境。橋。川向に車輪型キャンプあり。イツリアチャ。そこの兵士に迎えられる。真中に農場。ハブの位置に教会を取り巻くバラック風事務所。
37. Posted by silvering July 11, 2004 00:52
１ 最後の戦い
ステップの川近くを６人の男が動物を連れて歩いている。逃げるように。廃墟を通る。ハチツの国境。橋。川向に車輪型キャンプあり。イツリアチャ。そこの兵士に迎えられる。真中に農場。ハブの位置に教会を取り巻くバラック風事務所。一人（武器係）が辺りを観察する。イエルクで荷物を運ぶ集団。八本指。顔は犬ないしアザーズに似ている。ノンダッドである。率いるのはフォゴル。穴から出てくる。そして銃を構えた武器係の男にぶつかってくる。銃で撃つがしぶとく組み付いてくる。銃床で激しく殴り、やっと殺す。ノンダッドは地下の「８０の暗闇」に逃げてしまった。男はホクスニイで慌てて仲間を追う。
パノバルに始まる遠征はイツリアチャを残すのみ。
居留地同士の結束悪く、シボーナル他の庇護を受けているがフォゴルの攻撃が数を増している状況。
コンパンラットの一番強い国はパノバル、他の国々も争っている。北に敵国シボーナル。
イツリアチャでシボーナルとコンパンラトの最後の戦いが近づく。
季節は長い大年の秋が終わり冬が近づいている。
肥死病で人類の人口はヘリ、フォゴルは逆に増える。
パノバルとシボーナルのアスキトシュが対立。イツリアチャはシボーナルの軍事拠点。パノバル連合軍には、「モードリアト、ケイス、ボードラン’（オルドランドとボーリエン）など。
総帥（チーフマーシャル）の下に、ボードランの指揮官バンダル・エイス・ラ―ル。妻トレス。医者で総帥の衛生管理に批判的。バンダルは総帥に会いに行くが明日に回せといわれ、援軍が来る前に敵を倒さないとマズイと伝言。フォゴルも高原から降りてくるしイツリアチャも難航不落で兵士たちは一致団結しつつも恐怖で酒色に溺れる。人の流れ。
オルドランドの火災でオルドランド王と法王が死に、パノバルの教会権威が落ちて以来、この国は多数のカルト信仰でいっぱい。コンパンラトはイツリアチャに近づくが手前の橋を渡るのに苦労。川に落ちた兵器係が肥死病に感染。
ウスクチ軍とともに聖職軍人のアスペラマンカが行く。みなに恐れられている男だ。
シベニンキとブリバーが敵と戦っているとき、今日は勝てると思った彼はウスクチ軍の参戦を遅らせ手柄を取らせる。シベニンキを率いているのはあのルテリンである。彼は兄をなくした影があり、父の威光で地位を得たと陰口を言われている。シボーナルは川に橋をかけ奇襲をかけ平地に展開。３度の戦闘。三度目は後方補給舞台が襲われルテリンが勝った（フォゴルを使う）。ルテリンは戦闘意欲で味方を未了し敵を撃破、家名を高める。コンパンラトはパノバルが自滅する前に援軍が次々と敗走。ボールドランは途中、ルテリンの軍にぶつかり敗北、長はルテリンの手で射殺される。ルテリンは長の妻を手に入れる。気候の変化でコンパンラトは宗教的混乱に陥って統一を欠いていた。一時「手に取る者」が栄えたが、敗北を重ねるこの時代には「鉄の形成」こそふさわしい。
このパノバルの草原にも人知れず食物連鎖が存在し、その頂点に高原の上に生息する野生？のフォゴルがいた。彼らは冬が近づくとカイドに乗り、徒党を組んで降りてくる。ある荷馬車がある夜襲われる。この事件で人々は冬が訪れフォゴルの伝説が帰ってきたこと、肥死病が戦場に蔓延しつつあることを実感した。しかしこれは勝利の夜明けに過ぎなかった。
２ 静かなる存在
ルテリンは敵の妻をゲットし、満足と不安を感じつつとどめの戦いに臨む。士気の低いコンパンラトはあっさり敗走。戦場に死体が散らばり、死肥病の兵士たちが死肉を食う。かの兵器係もそうだったが敵兵に射殺さる。戦勝記念碑を作った石工たちは敗戦し石を壊し川に流す。だが勝ったシボーナル兵たちは何のための戦闘か疑問を持つ。アスペラカンカは不満を沈めるため宴を企画する。敵兵の死体と戦利品を肴に酒盛り。アゾイアクシクの神に感謝！！！ 「恐るべき平和」の教会に幽閉された子供たち解放。町の長老がアスカラマンカに感謝し、兵を配備してくれ最後の砦だからと頼む。将軍は、今は小年の夏だが気候が悪くなればきついだろう、_いい気候を祈るというが配備には難色。将軍はルテリンの意見を求め、ルテリンは｢重すぎる、将軍の決めること｣といい，将軍は「無理だ物資がない。ここより南は敵にあらされ肥死病が蔓延。時代は我々に味方しない。今日は勝ったが明日は負ける。退却だ。ここは廃止すべきだ。きたいやつは二日以内についてこい。残るやつは死ね」と言い放つ。
住人は大半がいやいや北に向かう。家畜のフォゴル，マジ，ドライアドが駆り出され荷造り。やがて出発の宴。足手まといの奴隷は殺すか解放せよと言い渡され逆らった者の奴隷は処刑される。住民たちは奴隷を人間に偽装するなどしてかくまう。性的に使われるものは特に。ルテリンも敵の妻をかくまう。将軍はルテリンの部下に王への手紙を託す。もっとも王は国中にスパイがおりとっくに状況を聞いていたのだが。病気の蔓延ぶりとか。
別れを経て出発。ルテリンに長老の一人が付きまとう。老人は「君だったら残ろうといいたかったんじゃないか？目が語っていたよ。これは屈辱的な退却だ，我々は残るべきだった。きっと１，２年で愛国心のあるやつが援軍を出すさ」と挑発。ルテリンは現実的になれと怒る。
旅路のキャンプでルテリンは捕虜の妻に欲望をいだく。そこで南下する前の最後の休暇で町に繰り出さずデュートロスコピストの店で宇宙人の品や長虫を見せられ、俺は英雄になれるかと聞いたら英雄になるか罪人になるかどっちかだ、どっちだ？ どっちも勇気がいるのさ、あんたは勇気があるとの会話を思い出す。友人に捕虜の女とどうだといわれ何を言う！といいつつルテリンは女のテントに入る。やろうとしたところで女がなぜ戻るのかきき、物資がないことを昏々と説き聞かせる。女は二テナー下だった。その日数人病死するが，翌日何事もなかったように出発。途上，先に行ったメッセンジャーの一人の死体を発見。将軍はフォゴルを殺せという。文句をいうルテリンに将軍は「お前が王に伝えろ」と命じ，ルテリンは従う。
３ 居住法による個人規制
コリアンチュラは古い文化が残っている。軍隊も町の性格を壊せない。だからオディム一家は住んでいる。波止場で働いている(貿易）。ベシという孤児もこの町。結婚したが相手はすぐ死んだ。オディムはベシを保護。第一夫人にする。夫イーダプ帰る。ある日ハービンという軍人がきて惚れ、散歩に誘う。しかし情事を楽しんだ後この男はアスキトッシュ出身で戻ってきたシボーナル軍を倒すため配備されたときき、ベシはびびる。(病を防ぐため？）病気を防ぐため４人以上で公共の場で会うことは禁止。ウスクリ人以外は２平米に一人しか住めない。イーダブはそのポスターを引き裂きベシはびっくり。職場の陶器輸出事務所に着くと国王の直属軍人が関係者リストを見せろといい、イーダブ従う。彼の会社が外国貿易で大きな利益あげていたが、軍人は防疫のため貿易を即刻禁止と告げる。そして隣の倉庫に事務所を構えた部下に毎日報告を命じる。イーダブは落ち込みつつ従わざるを得ず、ベシに彼を懐柔せよと告げる。
ちなみに、この要約ただのメモで相当いい加減なので、真に受けないように。
ステップの川近くを６人の男が動物を連れて歩いている。逃げるように。廃墟を通る。ハチツの国境。橋。川向に車輪型キャンプあり。イツリアチャ。そこの兵士に迎えられる。真中に農場。ハブの位置に教会を取り巻くバラック風事務所。一人（武器係）が辺りを観察する。イエルクで荷物を運ぶ集団。八本指。顔は犬ないしアザーズに似ている。ノンダッドである。率いるのはフォゴル。穴から出てくる。そして銃を構えた武器係の男にぶつかってくる。銃で撃つがしぶとく組み付いてくる。銃床で激しく殴り、やっと殺す。ノンダッドは地下の「８０の暗闇」に逃げてしまった。男はホクスニイで慌てて仲間を追う。
パノバルに始まる遠征はイツリアチャを残すのみ。
居留地同士の結束悪く、シボーナル他の庇護を受けているがフォゴルの攻撃が数を増している状況。
コンパンラットの一番強い国はパノバル、他の国々も争っている。北に敵国シボーナル。
イツリアチャでシボーナルとコンパンラトの最後の戦いが近づく。
季節は長い大年の秋が終わり冬が近づいている。
肥死病で人類の人口はヘリ、フォゴルは逆に増える。
パノバルとシボーナルのアスキトシュが対立。イツリアチャはシボーナルの軍事拠点。パノバル連合軍には、「モードリアト、ケイス、ボードラン’（オルドランドとボーリエン）など。
総帥（チーフマーシャル）の下に、ボードランの指揮官バンダル・エイス・ラ―ル。妻トレス。医者で総帥の衛生管理に批判的。バンダルは総帥に会いに行くが明日に回せといわれ、援軍が来る前に敵を倒さないとマズイと伝言。フォゴルも高原から降りてくるしイツリアチャも難航不落で兵士たちは一致団結しつつも恐怖で酒色に溺れる。人の流れ。
オルドランドの火災でオルドランド王と法王が死に、パノバルの教会権威が落ちて以来、この国は多数のカルト信仰でいっぱい。コンパンラトはイツリアチャに近づくが手前の橋を渡るのに苦労。川に落ちた兵器係が肥死病に感染。
ウスクチ軍とともに聖職軍人のアスペラマンカが行く。みなに恐れられている男だ。
シベニンキとブリバーが敵と戦っているとき、今日は勝てると思った彼はウスクチ軍の参戦を遅らせ手柄を取らせる。シベニンキを率いているのはあのルテリンである。彼は兄をなくした影があり、父の威光で地位を得たと陰口を言われている。シボーナルは川に橋をかけ奇襲をかけ平地に展開。３度の戦闘。三度目は後方補給舞台が襲われルテリンが勝った（フォゴルを使う）。ルテリンは戦闘意欲で味方を未了し敵を撃破、家名を高める。コンパンラトはパノバルが自滅する前に援軍が次々と敗走。ボールドランは途中、ルテリンの軍にぶつかり敗北、長はルテリンの手で射殺される。ルテリンは長の妻を手に入れる。気候の変化でコンパンラトは宗教的混乱に陥って統一を欠いていた。一時「手に取る者」が栄えたが、敗北を重ねるこの時代には「鉄の形成」こそふさわしい。
このパノバルの草原にも人知れず食物連鎖が存在し、その頂点に高原の上に生息する野生？のフォゴルがいた。彼らは冬が近づくとカイドに乗り、徒党を組んで降りてくる。ある荷馬車がある夜襲われる。この事件で人々は冬が訪れフォゴルの伝説が帰ってきたこと、肥死病が戦場に蔓延しつつあることを実感した。しかしこれは勝利の夜明けに過ぎなかった。
２ 静かなる存在
ルテリンは敵の妻をゲットし、満足と不安を感じつつとどめの戦いに臨む。士気の低いコンパンラトはあっさり敗走。戦場に死体が散らばり、死肥病の兵士たちが死肉を食う。かの兵器係もそうだったが敵兵に射殺さる。戦勝記念碑を作った石工たちは敗戦し石を壊し川に流す。だが勝ったシボーナル兵たちは何のための戦闘か疑問を持つ。アスペラカンカは不満を沈めるため宴を企画する。敵兵の死体と戦利品を肴に酒盛り。アゾイアクシクの神に感謝！！！ 「恐るべき平和」の教会に幽閉された子供たち解放。町の長老がアスカラマンカに感謝し、兵を配備してくれ最後の砦だからと頼む。将軍は、今は小年の夏だが気候が悪くなればきついだろう、_いい気候を祈るというが配備には難色。将軍はルテリンの意見を求め、ルテリンは｢重すぎる、将軍の決めること｣といい，将軍は「無理だ物資がない。ここより南は敵にあらされ肥死病が蔓延。時代は我々に味方しない。今日は勝ったが明日は負ける。退却だ。ここは廃止すべきだ。きたいやつは二日以内についてこい。残るやつは死ね」と言い放つ。
住人は大半がいやいや北に向かう。家畜のフォゴル，マジ，ドライアドが駆り出され荷造り。やがて出発の宴。足手まといの奴隷は殺すか解放せよと言い渡され逆らった者の奴隷は処刑される。住民たちは奴隷を人間に偽装するなどしてかくまう。性的に使われるものは特に。ルテリンも敵の妻をかくまう。将軍はルテリンの部下に王への手紙を託す。もっとも王は国中にスパイがおりとっくに状況を聞いていたのだが。病気の蔓延ぶりとか。
別れを経て出発。ルテリンに長老の一人が付きまとう。老人は「君だったら残ろうといいたかったんじゃないか？目が語っていたよ。これは屈辱的な退却だ，我々は残るべきだった。きっと１，２年で愛国心のあるやつが援軍を出すさ」と挑発。ルテリンは現実的になれと怒る。
旅路のキャンプでルテリンは捕虜の妻に欲望をいだく。そこで南下する前の最後の休暇で町に繰り出さずデュートロスコピストの店で宇宙人の品や長虫を見せられ、俺は英雄になれるかと聞いたら英雄になるか罪人になるかどっちかだ、どっちだ？ どっちも勇気がいるのさ、あんたは勇気があるとの会話を思い出す。友人に捕虜の女とどうだといわれ何を言う！といいつつルテリンは女のテントに入る。やろうとしたところで女がなぜ戻るのかきき、物資がないことを昏々と説き聞かせる。女は二テナー下だった。その日数人病死するが，翌日何事もなかったように出発。途上，先に行ったメッセンジャーの一人の死体を発見。将軍はフォゴルを殺せという。文句をいうルテリンに将軍は「お前が王に伝えろ」と命じ，ルテリンは従う。
３ 居住法による個人規制
コリアンチュラは古い文化が残っている。軍隊も町の性格を壊せない。だからオディム一家は住んでいる。波止場で働いている(貿易）。ベシという孤児もこの町。結婚したが相手はすぐ死んだ。オディムはベシを保護。第一夫人にする。夫イーダプ帰る。ある日ハービンという軍人がきて惚れ、散歩に誘う。しかし情事を楽しんだ後この男はアスキトッシュ出身で戻ってきたシボーナル軍を倒すため配備されたときき、ベシはびびる。(病を防ぐため？）病気を防ぐため４人以上で公共の場で会うことは禁止。ウスクリ人以外は２平米に一人しか住めない。イーダブはそのポスターを引き裂きベシはびっくり。職場の陶器輸出事務所に着くと国王の直属軍人が関係者リストを見せろといい、イーダブ従う。彼の会社が外国貿易で大きな利益あげていたが、軍人は防疫のため貿易を即刻禁止と告げる。そして隣の倉庫に事務所を構えた部下に毎日報告を命じる。イーダブは落ち込みつつ従わざるを得ず、ベシに彼を懐柔せよと告げる。
ちなみに、この要約ただのメモで相当いい加減なので、真に受けないように。
38. Posted by silvering July 11, 2004 14:33
４ 軍歴
イーダブはパウクで父と話す。ガーデテラーク合理主義者。部下ファシュナルギドは情緒的。兄嫁に手を出し逃げ出す。父が家を守るためオリガーキと契約し自分を軍にうったと思っている。オリガーキの前の王はオープンだったがオリガーキがヒミツシュギで姿見たものない、蜘蛛のイメージ，怪物のイメージ。ファシュはコリアンチュラで南征軍の歓待のため配備されるがその伝令がファットデスで死んだことから軍を皆殺しせよの指令に変更されショック受ける。ベシを利用しこの軍務から逃れようと決意し、先に来たルテリンと女に真相を告げ、自分は船で逃げる、来たければ来いと告げ去る。
この世界は実は人工世界。アヴァナスはたくさんのミニプローブを出しデータ収集し地球に送る。自然と分離した人間の象徴。自己完結し人間の組織より複雑な神経機構。だが地球に捨てられた、奴隷の奴隷はいやだという気運が起こり風紀と治安が乱れ、実験ミュータントがつくられる。次の世代と世代間戦争。長い戦争が続き２つの部族に分かれて対立が続く。タン族とピン族。
イーダブはパウクで父と話す。ガーデテラーク合理主義者。部下ファシュナルギドは情緒的。兄嫁に手を出し逃げ出す。父が家を守るためオリガーキと契約し自分を軍にうったと思っている。オリガーキの前の王はオープンだったがオリガーキがヒミツシュギで姿見たものない、蜘蛛のイメージ，怪物のイメージ。ファシュはコリアンチュラで南征軍の歓待のため配備されるがその伝令がファットデスで死んだことから軍を皆殺しせよの指令に変更されショック受ける。ベシを利用しこの軍務から逃れようと決意し、先に来たルテリンと女に真相を告げ、自分は船で逃げる、来たければ来いと告げ去る。
この世界は実は人工世界。アヴァナスはたくさんのミニプローブを出しデータ収集し地球に送る。自然と分離した人間の象徴。自己完結し人間の組織より複雑な神経機構。だが地球に捨てられた、奴隷の奴隷はいやだという気運が起こり風紀と治安が乱れ、実験ミュータントがつくられる。次の世代と世代間戦争。長い戦争が続き２つの部族に分かれて対立が続く。タン族とピン族。
39. Posted by silvering July 14, 2004 01:18
５ ２，３の追加規制
ルテリンらはベシの待つボートに行く。ルテリンはファットデスを発病する。ファシュナルギドとベシらはイーダブの元へ行き相談、イーダブはコリアンチュラを捨て遠い親戚のいるシベニンクに行く決意をし、家と会社を売る。隣人芸術家ジェセラベイに父の故郷の時計を与える。出発の日ガーデテラークが逃亡したファシュ隠匿容疑で事務所に来たのでイーデムは彼を竃に突き落とし焼き殺す。そして船でシベニンクに向かう。ファシュは指名手配される。
６ G4PBX／４５８２−４−３
野蛮人化したアヴァナス人達は共食いを始め、ミュータントまでも食う。地球へのデータ送信はシャロンを中継点として続いていたが、アヴァナスへの指示は既に地球上で不必要と決定され途絶えていた。
２１世紀に地球ではたびたび戦争が勃発したが、一部の国が恒星間飛行を開始して以来，攻撃本能が外へ向き、核戦争は免れていた。船はまずアルファケンタウリの惑星の一つに着き中継基地を作り，先に進んだ。事故で船団が全滅したこともあった。ついに生命のいるヘリコニアが発見されるとこの二重星系はタイトルの記号を付与され、自動調査ステーション建造船が派遣され、調査が開始された。このニュースは地球に大きな衝撃を与えた。地球は一大企業がすべてを支配している状態で他の惑星に小さな国が乱立している程度だった。ある日高官の失言から核戦争が勃発し地球は核の雲で覆われ氷河期が到来、ヘリコニアで一度は沸いた恒星間飛行への希望も廃れ、今や地球上を数マイル単位で旅する時代に逆行していた。
いっぽう、新しい季節号ではファットデスが広がり，ルテリンが回復したときには捕虜の妻も発病。甲板には何物かに食われた死体があった。
７ 黄色縞蝿
アスキトシュへの伝令，ファットデスで死亡。後続との間で戦闘開始。感染した部隊を排除せよとのポスターが全土に配られる。コンパンラトではフォゴル復興。極冠地帯では蝿がフレムブラグに寄生し生息。アスパラマンカの部隊ははじめフォゴルら動物を片端から殺していたが、武器が尽きるとフォゴルの奴隷にされた。フォゴルは新しい季節号を狙って近づく。船では奴隷の妻が回復しルテリンと喜びあいセックスする。その後，妻は他の乗員を見に行く。女二人回復，３人が発作中。ベシらは死亡。奥でライフルや陶器発見。浜にフォゴルがいる。襲われる可能性あるので早く出発すべき。フレムブラグの群。フォゴルは船に向かう。しかし氷の下の水を恐れて退却する。ファシュナルギド生存。船長と部下生存。オディム生存。オディムはフォゴルを騙すため陶器のプレートを落としたことに怒るが納得。妻死亡，子も末っ子以外死亡。
ヘリコヴィルスは、二重星系に捉えられ知性を発達させた人を保護する生態系の仕掛けで、人口調節と生存に適切な体重調節を行う。フレムブラグに蝿が必要なのと同じである。
８ 犯された母
ロライ通過。ウスクトシュクとブリバールの不和はまだ続いていた。彼らはどこかで上陸しようと考える。ヘルメットアザラシ数頭を捕獲。スカフルフィッシュの集団が陸に打ち上げられる。この地では他の毒性の食料とあわせ中和して食べるがそれだけでは毒であるし，味も悪い。陸にあがってから土にもぐりウトラの虫になる魚で、食べるのはやめようという話になる。落ち込みルテリンを受け入れかねるトレスをオディンは慰める。船は海賊のいる島を通った後、いよいよ目的地に近づき男性の彫像が見えてくる。
地球では「ガイアが自分の息子に犯され」放射能で氷河期に突入し，地上の生物は壊滅状態となったが，海の生態系は維持され、やがて温室効果で氷河が溶け、海から陸へ生命が再発展し，再び人類が現れた。ヘリコニアからの通信は専らアンドロイドが管理していたが、人々はヘリコニアを再発見し，アオツ・ルーンらに深い興味を抱き，エンパシイを送ることにした。それも、ヘリコニア人よりむしろ死んだ精霊（ゴッシー）に向かって。
９ 静かなる上陸の日
船は目的地に着き、オディムの弟オドゥに保護される。ルテリンはファシュに北へ行こうというが、ファシュは船で南に行くという。ファシュはトレスに手をつける。ルテリンは知人に連絡を取り橇を手配する。北へ行く巡礼の団体もいた。軍人の姿を見て船の存在に気づかれたと思ったルテリンはオディムに告げに行くと到着の感謝の礼拝に参加を誘われる。礼拝の間に軍がオドゥの家に来る。窓からこれを見たファシュは発火棒をガス庫に落とし爆破して軍を混乱状態におとしいれトレスと逃げる。そしてルテリンを呼び，一緒に北へ行くという。
１０ 死者は政治を語らず
一方首都の教会では１５人牧師が定期会合をし，保護を求めた南征軍の将軍（フォゴルの奴隷になるなどして命からがら逃げてきた）の告白でオリガークの理不尽な圧制を知り、断罪の布告を頒布する。これがオリガークの目にとまり死罪に値するとして出廷を求める。牧師と将軍は宮殿に赴きオリガークと対峙、弾圧すれば人々は教会側につき政府に反旗を翻すぞと説得を試みるがオリガークはききいれず、焼身の刑を告げる。
１１ 旅人への過酷な試練
ルテリンらは川を北上し、シャラガトでオンドッド（ノンダッドの親類）の橇人夫を雇う。ベランダのベッドでルテリンのいない間にファシュはトレスと関係を続ける。オンドッドのリーダーはウウンダアンプ。角犬（アソキン）のリーダーも同じ名前。この犬に橇を引かせるのだ。ウウンの指示でルテリンは犬と仲良くなるためリーダー犬に餌をやる。ウウンの言葉はたどたどしくなまっており、「イシュト（わかる、よい）」「ガムター（うまい、ありがとう）」など独自の言葉が混じる。ルテリンはウウンにその妻を紹介され妻にプレゼントを与えると、ウウンはルテリンに妻も同行すること、同中御礼にいつでも妻と寝てよいことを伝える（それがオンドッドの風習）。ルテリンは南に戻りスピリットで飲んだくれるファシュを拾って出発する。ある程度北上し，夜になりキャンプを張る。トレスはルテリンが夜ベッドに入ってこないことを屈辱に感じそれを前日ルテリンに伝えていたがこの夜もルテリンはトレスのところへこずウウンの妻と寝てしまう。何を隠そう，子供のころ童貞を与えた相手もオンドッドの女だったのだ。ゆれる音でそれに気づいたトレスは翌朝、ルテリンに苦情を言うがルテリンは「それがオンドッドの風習だ」と平然といい，逆に「今夜は君がウウンと寝る晩だ、それが風習なのさ」と言われ逆上し、ファシュと寝ていることを喋ってしまう。ルテリンは激怒し、「今は追っ手に追いつかれたときに彼の助けがいるから何もしないが着いたら殺してやる」という。
他方アヴァナスでは内戦は多少落ち着いたものの人肉以外食う肉がない。過酷な環境に絶えるため人々は多重人格に陥る。またミュータントは神と悪魔の間の存在として恐れられる。早期に逃げ出した技術者達は惑星アガニプの基地に避難し、ドームを作り，地球とアヴァナスに救難信号を送るが、まったく答えはない。
１２ 途上のカクール（犯罪）
ガイアの送ったエンパシーはヘリコニアのゴッシーに届くが、その反応がいかなる形で起こるかは不明である。氷河期は一度終わった後また小さな氷河期に戻る。勢力を持ちなおした人類は人類の邪悪など大した力のないこと，ガイアの真の相棒はミクロの世界にいることを思い知る。核ボタンが押され放射能が地球を覆っても，ミクロには何の影響もなかったのだ。人類は思考と感情を結合しガイアのエンパシーに適合した新しい種族に進化し、スーパーファミリーというより大きな団体を形成し、古い種族の遺伝子は死に絶える。海から多角形の新生物が現れ地球上を飛び回る。人類はヘリコニアの夏，マーデムインガラの物語を視聴し，遠くはなれた二つの世界のエンパシイによる結合に思いをはせる。
アウトランダ―は火星金星からニューアースに至る。海が少なくわずかな海草が取れるだけ。隣の惑星に行くと氷の下に核で破滅した都市が見つかる。探検隊は燃料不足のためニューアースに戻り，核を北極に落として雨を降らし海を広げる計画を練る。しかし失敗してニューアースは滅亡した。
なぜニューアースは再生せず地球はしたのか、ガイアとヘリコニアのオリジナルビホールダーのエンパシイによる相互リンクのためではないか、と新人類は考える。
ファシュがノンダッドの妻に手をつけたカクール（罪）で、「死罪」（スマター）宣告を受ける。トンネルに入ったところでフォゴルがファシュを突き落とし，助けようとしたルテリンも橇から落ちる。二人は後続の橇に轢かれる前に出ようと出口に全力疾走，途中で横穴に入り軍の追っ手の橇をやり過ごした後、間一髪でトンネルを出る。すぐあとに２つの橇が通る。二人はヌーナットにたどり着く。
ヌーナットでルテリンはノンダッドのところに行く。その妻は出産中で、トレスは縛られフォゴルに取引で売られようとしていた。ルテリンは銃をリーダー犬に向けて脅し，トレスを助ける。礼にタバコ３服買ってやり出産を終え、出発しようというとき警官３人がくる。そこへファシュがきて助け，警官３人を縛り橇で北に向かう。他の軍が追って来るが犬を放ち逃げおおせる。途中でノンダッドはファシュに降りろと命じ，ファシュは降りる。ファシュは巡礼に混じり西へ向かうが、オリガーク第１０部隊がブリバールの二大都市を征服したときき、巡礼に混じって南下する事になる。
１３ 古い敵意
二人はカーナバーに着く。ルテリンの屋敷に着き、ルテリンは初めてトレスを抱く。翌朝トレスは一人で目覚め、奴隷として扱われノンダッドのリーダーに抱かれた屈辱とルテリンへの嫌悪を思い出す。妊娠している気がするが少なくともノンダッドと人間の間に子は生まれないはずなのでそれだけは安心する。ここ、車輪の守り手の町で暮らすのは屈辱だが、ルテリンの妻として迎えられるなら多少はましになると思う。何千マイルも離れた故郷に戻れればこれ以上嬉しいことはないのだが・・・。トレスは侍女に案内されて入浴する。ルテリンは父の不在中で、第一執事の力を借りて領主としての仕事を代行しすぐに以前の生活になじむ。ホクスニイがグロッシイに戻って冬眠に入る時期なので、グロッシイを藁にくるんで次の大春まで保護する牧場などを視察する。一方で、ルテリンはファシュを助けなかったことを後悔している。自分の奴隷女に手を出された嫉妬心で気づいていなかったが，実はルテリンはファシュが好きだったことに今更ながら気づく。ルテリンは部下に、南下してファシュを探すように命じる。その後、ルテリンは母に会いに行く。トレスを紹介しなければならない。
ルテリンらはベシの待つボートに行く。ルテリンはファットデスを発病する。ファシュナルギドとベシらはイーダブの元へ行き相談、イーダブはコリアンチュラを捨て遠い親戚のいるシベニンクに行く決意をし、家と会社を売る。隣人芸術家ジェセラベイに父の故郷の時計を与える。出発の日ガーデテラークが逃亡したファシュ隠匿容疑で事務所に来たのでイーデムは彼を竃に突き落とし焼き殺す。そして船でシベニンクに向かう。ファシュは指名手配される。
６ G4PBX／４５８２−４−３
野蛮人化したアヴァナス人達は共食いを始め、ミュータントまでも食う。地球へのデータ送信はシャロンを中継点として続いていたが、アヴァナスへの指示は既に地球上で不必要と決定され途絶えていた。
２１世紀に地球ではたびたび戦争が勃発したが、一部の国が恒星間飛行を開始して以来，攻撃本能が外へ向き、核戦争は免れていた。船はまずアルファケンタウリの惑星の一つに着き中継基地を作り，先に進んだ。事故で船団が全滅したこともあった。ついに生命のいるヘリコニアが発見されるとこの二重星系はタイトルの記号を付与され、自動調査ステーション建造船が派遣され、調査が開始された。このニュースは地球に大きな衝撃を与えた。地球は一大企業がすべてを支配している状態で他の惑星に小さな国が乱立している程度だった。ある日高官の失言から核戦争が勃発し地球は核の雲で覆われ氷河期が到来、ヘリコニアで一度は沸いた恒星間飛行への希望も廃れ、今や地球上を数マイル単位で旅する時代に逆行していた。
いっぽう、新しい季節号ではファットデスが広がり，ルテリンが回復したときには捕虜の妻も発病。甲板には何物かに食われた死体があった。
７ 黄色縞蝿
アスキトシュへの伝令，ファットデスで死亡。後続との間で戦闘開始。感染した部隊を排除せよとのポスターが全土に配られる。コンパンラトではフォゴル復興。極冠地帯では蝿がフレムブラグに寄生し生息。アスパラマンカの部隊ははじめフォゴルら動物を片端から殺していたが、武器が尽きるとフォゴルの奴隷にされた。フォゴルは新しい季節号を狙って近づく。船では奴隷の妻が回復しルテリンと喜びあいセックスする。その後，妻は他の乗員を見に行く。女二人回復，３人が発作中。ベシらは死亡。奥でライフルや陶器発見。浜にフォゴルがいる。襲われる可能性あるので早く出発すべき。フレムブラグの群。フォゴルは船に向かう。しかし氷の下の水を恐れて退却する。ファシュナルギド生存。船長と部下生存。オディム生存。オディムはフォゴルを騙すため陶器のプレートを落としたことに怒るが納得。妻死亡，子も末っ子以外死亡。
ヘリコヴィルスは、二重星系に捉えられ知性を発達させた人を保護する生態系の仕掛けで、人口調節と生存に適切な体重調節を行う。フレムブラグに蝿が必要なのと同じである。
８ 犯された母
ロライ通過。ウスクトシュクとブリバールの不和はまだ続いていた。彼らはどこかで上陸しようと考える。ヘルメットアザラシ数頭を捕獲。スカフルフィッシュの集団が陸に打ち上げられる。この地では他の毒性の食料とあわせ中和して食べるがそれだけでは毒であるし，味も悪い。陸にあがってから土にもぐりウトラの虫になる魚で、食べるのはやめようという話になる。落ち込みルテリンを受け入れかねるトレスをオディンは慰める。船は海賊のいる島を通った後、いよいよ目的地に近づき男性の彫像が見えてくる。
地球では「ガイアが自分の息子に犯され」放射能で氷河期に突入し，地上の生物は壊滅状態となったが，海の生態系は維持され、やがて温室効果で氷河が溶け、海から陸へ生命が再発展し，再び人類が現れた。ヘリコニアからの通信は専らアンドロイドが管理していたが、人々はヘリコニアを再発見し，アオツ・ルーンらに深い興味を抱き，エンパシイを送ることにした。それも、ヘリコニア人よりむしろ死んだ精霊（ゴッシー）に向かって。
９ 静かなる上陸の日
船は目的地に着き、オディムの弟オドゥに保護される。ルテリンはファシュに北へ行こうというが、ファシュは船で南に行くという。ファシュはトレスに手をつける。ルテリンは知人に連絡を取り橇を手配する。北へ行く巡礼の団体もいた。軍人の姿を見て船の存在に気づかれたと思ったルテリンはオディムに告げに行くと到着の感謝の礼拝に参加を誘われる。礼拝の間に軍がオドゥの家に来る。窓からこれを見たファシュは発火棒をガス庫に落とし爆破して軍を混乱状態におとしいれトレスと逃げる。そしてルテリンを呼び，一緒に北へ行くという。
１０ 死者は政治を語らず
一方首都の教会では１５人牧師が定期会合をし，保護を求めた南征軍の将軍（フォゴルの奴隷になるなどして命からがら逃げてきた）の告白でオリガークの理不尽な圧制を知り、断罪の布告を頒布する。これがオリガークの目にとまり死罪に値するとして出廷を求める。牧師と将軍は宮殿に赴きオリガークと対峙、弾圧すれば人々は教会側につき政府に反旗を翻すぞと説得を試みるがオリガークはききいれず、焼身の刑を告げる。
１１ 旅人への過酷な試練
ルテリンらは川を北上し、シャラガトでオンドッド（ノンダッドの親類）の橇人夫を雇う。ベランダのベッドでルテリンのいない間にファシュはトレスと関係を続ける。オンドッドのリーダーはウウンダアンプ。角犬（アソキン）のリーダーも同じ名前。この犬に橇を引かせるのだ。ウウンの指示でルテリンは犬と仲良くなるためリーダー犬に餌をやる。ウウンの言葉はたどたどしくなまっており、「イシュト（わかる、よい）」「ガムター（うまい、ありがとう）」など独自の言葉が混じる。ルテリンはウウンにその妻を紹介され妻にプレゼントを与えると、ウウンはルテリンに妻も同行すること、同中御礼にいつでも妻と寝てよいことを伝える（それがオンドッドの風習）。ルテリンは南に戻りスピリットで飲んだくれるファシュを拾って出発する。ある程度北上し，夜になりキャンプを張る。トレスはルテリンが夜ベッドに入ってこないことを屈辱に感じそれを前日ルテリンに伝えていたがこの夜もルテリンはトレスのところへこずウウンの妻と寝てしまう。何を隠そう，子供のころ童貞を与えた相手もオンドッドの女だったのだ。ゆれる音でそれに気づいたトレスは翌朝、ルテリンに苦情を言うがルテリンは「それがオンドッドの風習だ」と平然といい，逆に「今夜は君がウウンと寝る晩だ、それが風習なのさ」と言われ逆上し、ファシュと寝ていることを喋ってしまう。ルテリンは激怒し、「今は追っ手に追いつかれたときに彼の助けがいるから何もしないが着いたら殺してやる」という。
他方アヴァナスでは内戦は多少落ち着いたものの人肉以外食う肉がない。過酷な環境に絶えるため人々は多重人格に陥る。またミュータントは神と悪魔の間の存在として恐れられる。早期に逃げ出した技術者達は惑星アガニプの基地に避難し、ドームを作り，地球とアヴァナスに救難信号を送るが、まったく答えはない。
１２ 途上のカクール（犯罪）
ガイアの送ったエンパシーはヘリコニアのゴッシーに届くが、その反応がいかなる形で起こるかは不明である。氷河期は一度終わった後また小さな氷河期に戻る。勢力を持ちなおした人類は人類の邪悪など大した力のないこと，ガイアの真の相棒はミクロの世界にいることを思い知る。核ボタンが押され放射能が地球を覆っても，ミクロには何の影響もなかったのだ。人類は思考と感情を結合しガイアのエンパシーに適合した新しい種族に進化し、スーパーファミリーというより大きな団体を形成し、古い種族の遺伝子は死に絶える。海から多角形の新生物が現れ地球上を飛び回る。人類はヘリコニアの夏，マーデムインガラの物語を視聴し，遠くはなれた二つの世界のエンパシイによる結合に思いをはせる。
アウトランダ―は火星金星からニューアースに至る。海が少なくわずかな海草が取れるだけ。隣の惑星に行くと氷の下に核で破滅した都市が見つかる。探検隊は燃料不足のためニューアースに戻り，核を北極に落として雨を降らし海を広げる計画を練る。しかし失敗してニューアースは滅亡した。
なぜニューアースは再生せず地球はしたのか、ガイアとヘリコニアのオリジナルビホールダーのエンパシイによる相互リンクのためではないか、と新人類は考える。
ファシュがノンダッドの妻に手をつけたカクール（罪）で、「死罪」（スマター）宣告を受ける。トンネルに入ったところでフォゴルがファシュを突き落とし，助けようとしたルテリンも橇から落ちる。二人は後続の橇に轢かれる前に出ようと出口に全力疾走，途中で横穴に入り軍の追っ手の橇をやり過ごした後、間一髪でトンネルを出る。すぐあとに２つの橇が通る。二人はヌーナットにたどり着く。
ヌーナットでルテリンはノンダッドのところに行く。その妻は出産中で、トレスは縛られフォゴルに取引で売られようとしていた。ルテリンは銃をリーダー犬に向けて脅し，トレスを助ける。礼にタバコ３服買ってやり出産を終え、出発しようというとき警官３人がくる。そこへファシュがきて助け，警官３人を縛り橇で北に向かう。他の軍が追って来るが犬を放ち逃げおおせる。途中でノンダッドはファシュに降りろと命じ，ファシュは降りる。ファシュは巡礼に混じり西へ向かうが、オリガーク第１０部隊がブリバールの二大都市を征服したときき、巡礼に混じって南下する事になる。
１３ 古い敵意
二人はカーナバーに着く。ルテリンの屋敷に着き、ルテリンは初めてトレスを抱く。翌朝トレスは一人で目覚め、奴隷として扱われノンダッドのリーダーに抱かれた屈辱とルテリンへの嫌悪を思い出す。妊娠している気がするが少なくともノンダッドと人間の間に子は生まれないはずなのでそれだけは安心する。ここ、車輪の守り手の町で暮らすのは屈辱だが、ルテリンの妻として迎えられるなら多少はましになると思う。何千マイルも離れた故郷に戻れればこれ以上嬉しいことはないのだが・・・。トレスは侍女に案内されて入浴する。ルテリンは父の不在中で、第一執事の力を借りて領主としての仕事を代行しすぐに以前の生活になじむ。ホクスニイがグロッシイに戻って冬眠に入る時期なので、グロッシイを藁にくるんで次の大春まで保護する牧場などを視察する。一方で、ルテリンはファシュを助けなかったことを後悔している。自分の奴隷女に手を出された嫉妬心で気づいていなかったが，実はルテリンはファシュが好きだったことに今更ながら気づく。ルテリンは部下に、南下してファシュを探すように命じる。その後、ルテリンは母に会いに行く。トレスを紹介しなければならない。
40. Posted by silvering July 14, 2004 01:28
訂正。ルテリンは船上でファットデスから回復したときトレスと寝ているので、｢初めてトレスを抱く」は「久々に・・・」が正しい。
41. Posted by silvering July 16, 2004 16:34
読了したのだが、不具合でジョルナダと接続できなくなったため、メモは障害が解決次第アップします。
やはりPDAから直接つなげないと、こういうとき困るな……。京セラ何とかしろ。
やはりPDAから直接つなげないと、こういうとき困るな……。京セラ何とかしろ。
42. Posted by silvering July 17, 2004 16:31
とりあえずテキストデータだけはバックアップに成功した。
以下残りのメモ。
１３ 古い敵意
二人はカーナバーに着く。ルテリンの屋敷に着き、ルテリンは初めてトレスを抱く。翌朝トレスは一人で目覚め、奴隷として扱われノンダッドのリーダーに抱かれた屈辱とルテリンへの嫌悪を思い出す。妊娠している気がするが少なくともノンダッドと人間の間に子は生まれないはずなのでそれだけは安心する。ここ、車輪の守り手の町で暮らすのは屈辱だが、ルテリンの妻として迎えられるなら多少はましになると思う。何千マイルも離れた故郷に戻れればこれ以上嬉しいことはないのだが・・・。トレスは侍女に案内されて入浴する。ルテリンは父の不在中で、第一執事の力を借りて領主としての仕事を代行しすぐに以前の生活になじむ。ホクスニイがグロッシイに戻って冬眠に入る時期なので、グロッシイを藁にくるんで次の大春まで保護する牧場などを視察する。一方で、ルテリンはファシュを助けなかったことを後悔している。自分の奴隷女に手を出された嫉妬心で気づいていなかったが，実はルテリンはファシュが好きだったことに今更ながら気づく。ルテリンは部下に、南下してファシュを探すように命じる。その後、ルテリンは母に会いに行く。トレスを紹介しなければならない。その途中、部下がフォゴルを殺すのに出くわす。オリガクがファットデスの原因を全滅させよと命じたのだが，ルテリンは父が帰るまで待てという。母と叔母にトレスと結婚するというと悲しみ、トレスはポウクをしていたので閉じ込められているという。ルテリンはトレスを引き取りもうやめろという。ルテリンはエシカナンツィス家の人々、シルらに会う。シルはルテリンが太ったことに不満を言うが、ルテリンがトレスと結婚するというと怒る。翌日ルテリンはトレスに兄の死体の見つかった場所を案内する。死体は父が見つけた。近くにヤンドル王の石碑もあった。戻ると、シルの手紙、兄の死の真相を教えるという。
１４ 最大の犯罪
ルテリンは狩りに出て、父と会うことを期待しつつさまよい、フォゴルの５人組を襲ってイエルクを射とめ持ち帰ると、父が帰っている。父はオリガークに従うべきだと主張し新しい規則（ファットデスを乗り越え変身したものを殺せ）のビラを見せ、狩りの最中に掴まえ処刑した５人の死体を見せ、車輪を継ぐためにこの死体を斬れと命ずる。一つ目の死体はファシュだった。ルテリンはファシュの遺体を斬った後、父に「あなたがオリガーキだ」と指摘し、動揺する父の心臓を一突きして逃げる。ルテリンの兄は父に挑戦したが弱すぎて殺されたのだった。父を殺し逃走したルテリンは｢父殺しこそ最大の罪だ」と繰り返しながら車輪に逃げ込む。
１５ 車輪の中
ルテリンは車輪の独房に入り囚人となる。この巨大な車輪型監獄はもとは宗教的記念碑であったが途中から監獄になった。周囲に鎖が張られ、中の囚人がこれを定期的になる合図で引いて回す。約１０年で１回転し外に出られる。上の穴から食料や水が送られる。壁にはいろいろ書かれていて車輪の仕組みなどが描かれている。一度誰かがメッセージの紙を落とした。ルテリンの生きがいといえば鎖を引くことだけ。ポウクで父と話し、狩りと称して別のことをしていたことやそれを兄が見つけ絶望して自殺したことを知る。これで罪悪感は消え、自分は真に自由となったのではないか、父も母も家庭や組織のくびきから逃れえなかったのに自分は逃れたのでないかと思う。そして次第にトレスよりもシルのことを考えるようになる。
また車輪についていろいろ疑問を持ち始める。囚人が毎日入るとは限らないから罪人が減れば中の囚人がヘリ車輪を回すに足る人数が集まらなくなるのではという不安が、より根本的な、この車輪が最初に回り始めたとき囚人が二人しか最大で入っていないはずなのにどうして回ったんだという疑問に変わる。
アヴァナスは人々の多重人格が極致に達し性差も混乱し、人口は減り絶滅に向かう。人によるコントロールを必要とするアヴァナスの自律機構自体も停止まであと数世代となる。
地球ではジオノートという細胞から構成されない生命が生まれる。またポリヘドロンが発生するエゴニシティというエネルギーが利用される。古い人類は次第に減少する。テリトリーの概念は消えてゆく。新しい皮質が生まれ脳を支配するようになる。人々はヘリコニアで展開される物語に過去の地球を見る。
１６ 致命的無知
地球上では縄張り主義や所有概念を超越しガイアの一部となった新人類が、ヘリコニアや地球の歴史について語る。彼らは巨大なジオノートの周りでエネルギーを得て移動家屋の集まった都市で暮らし、「再考」のセッションを行う。旧人類の不幸は動物の縄張り本能を克服できない幼年期であったためであること、それはヘリコニアを見ればわかること、結婚こそ人類の未熟の象徴であり所有欲にきざした政治行為であること。人類がヘリコニアにしか地球外生命を見つけられないのは人類型の縄張り主義の生命体は宇宙で極めて特殊で未熟な形態であるためであること。地球人類は核戦争によって縄張り主義を超越し進化を遂げられたが非常に幸運であり、数々の幸運が重なって今の人類があること。ヘリコニアからの通信は途絶えたが、ガイアレベルのエンパシイによる強固なリンクが、両者を結び付けつづけていた。
ルテリンの出る日は次第に近づきついにその日になる。外に出たルテリンは守り手と謁見。インシルの父が継いでいた。ルテリンは「マスター」（村を統治するためその官職が分離された）に会うようにいわれ自宅に案内された。マスターはアスパラマンカの将軍だった。母は病気でボケて寝たきりだった。ルテリンの父殺しのあと、シボーナルは混乱に陥ったが、インシルの父はその状況を利用し、「ルテリンの父が手に負えなくなったためルテリンに殺させたこと、ルテリンが生き残ったのはオリガーキの手先だったためであること」というストーリーを作って説明し、守り手の地位を手にいれた。歓迎の宴が催されそこでルテリンはシルと再会、しかしシルはアスパラマンカに嫁いでいた。シルの口から、シルはルテリンの兄に処女を捧げたこと、兄の死の真相は父がオリガーキであることを突きとめ、父に挑戦し殺され崖から突き落とされたためであったと後で父母の話しを立ちぎぎしたことなどをきく。またシルは魚商人に会うように言い、トレスの名前を出す。
トレスは村近くの教会で息子（ルテリンの子とトレスは思っている）と住んでいる。
１７ 日没
地球では進化を遂げた人々が所有欲の本質は恐怖でなく攻撃性であることを語る。アヴァナスは終にデータ送信機能を失う。
フライヤーの最後の日の出と日没の祭り。この日から何十世代も、この緯度でフライヤーを見ることはできなくなる。祭りの後、ルテリンはアスパラマンカに呼ばれ、シルと親しげに語ったせいか追加１０年の刑を言われるも、フォゴルの兵５人が奇襲しアスパラ殺害、ルテリンは逃げる。約束の場所でシルと会う。ルテリンはシルに求婚するが断られるも、アスパラが死んだと告げるとシルはヒステリーに。例の魚屋に着くとオディンの息子。オディンも南の町で商売に成功。二人は麻薬を買いふかす。トレスが二階に来るというのでルテリンだけ行き再会。トレスに誘われ外に出るとシルはいなくなっている。トレスの話ではシルはアスパラとの初夜で暴力を振るわれて逃げてきてトレスの根城に来た。しばらく看護しつつ、古文書によると、大昔ここへ来たヤンドル王と二人の女、うち一人は宇宙人と会いファットデスの意味をきいて王を追ってきてこの地でそれを書き残した（例の氷商人の娘）ことなどを教え友人になった。
トレスが、ファットデスの効用を知っていればオリガークがフォゴルを殺す必要がないのにというと、ルテリンは、オリガークも教会も知っていてやっているのだ、父は全部知っていて、それでは進歩がないから自然に逆らって変えてみせようとしてわざとやっているのだ、と語る。ルテリンは息子に会いに向かいつつ、守手はアスパラの死に説明を求められるが嘘をつかないよう自分がいさめねば、と考える。ルテリンは自然と歴史の歯車を変えることが出きるのか？ 余韻を残し物語りは幕を閉じる。
最後にヘリコニア世界の解説あり。
以下残りのメモ。
１３ 古い敵意
二人はカーナバーに着く。ルテリンの屋敷に着き、ルテリンは初めてトレスを抱く。翌朝トレスは一人で目覚め、奴隷として扱われノンダッドのリーダーに抱かれた屈辱とルテリンへの嫌悪を思い出す。妊娠している気がするが少なくともノンダッドと人間の間に子は生まれないはずなのでそれだけは安心する。ここ、車輪の守り手の町で暮らすのは屈辱だが、ルテリンの妻として迎えられるなら多少はましになると思う。何千マイルも離れた故郷に戻れればこれ以上嬉しいことはないのだが・・・。トレスは侍女に案内されて入浴する。ルテリンは父の不在中で、第一執事の力を借りて領主としての仕事を代行しすぐに以前の生活になじむ。ホクスニイがグロッシイに戻って冬眠に入る時期なので、グロッシイを藁にくるんで次の大春まで保護する牧場などを視察する。一方で、ルテリンはファシュを助けなかったことを後悔している。自分の奴隷女に手を出された嫉妬心で気づいていなかったが，実はルテリンはファシュが好きだったことに今更ながら気づく。ルテリンは部下に、南下してファシュを探すように命じる。その後、ルテリンは母に会いに行く。トレスを紹介しなければならない。その途中、部下がフォゴルを殺すのに出くわす。オリガクがファットデスの原因を全滅させよと命じたのだが，ルテリンは父が帰るまで待てという。母と叔母にトレスと結婚するというと悲しみ、トレスはポウクをしていたので閉じ込められているという。ルテリンはトレスを引き取りもうやめろという。ルテリンはエシカナンツィス家の人々、シルらに会う。シルはルテリンが太ったことに不満を言うが、ルテリンがトレスと結婚するというと怒る。翌日ルテリンはトレスに兄の死体の見つかった場所を案内する。死体は父が見つけた。近くにヤンドル王の石碑もあった。戻ると、シルの手紙、兄の死の真相を教えるという。
１４ 最大の犯罪
ルテリンは狩りに出て、父と会うことを期待しつつさまよい、フォゴルの５人組を襲ってイエルクを射とめ持ち帰ると、父が帰っている。父はオリガークに従うべきだと主張し新しい規則（ファットデスを乗り越え変身したものを殺せ）のビラを見せ、狩りの最中に掴まえ処刑した５人の死体を見せ、車輪を継ぐためにこの死体を斬れと命ずる。一つ目の死体はファシュだった。ルテリンはファシュの遺体を斬った後、父に「あなたがオリガーキだ」と指摘し、動揺する父の心臓を一突きして逃げる。ルテリンの兄は父に挑戦したが弱すぎて殺されたのだった。父を殺し逃走したルテリンは｢父殺しこそ最大の罪だ」と繰り返しながら車輪に逃げ込む。
１５ 車輪の中
ルテリンは車輪の独房に入り囚人となる。この巨大な車輪型監獄はもとは宗教的記念碑であったが途中から監獄になった。周囲に鎖が張られ、中の囚人がこれを定期的になる合図で引いて回す。約１０年で１回転し外に出られる。上の穴から食料や水が送られる。壁にはいろいろ書かれていて車輪の仕組みなどが描かれている。一度誰かがメッセージの紙を落とした。ルテリンの生きがいといえば鎖を引くことだけ。ポウクで父と話し、狩りと称して別のことをしていたことやそれを兄が見つけ絶望して自殺したことを知る。これで罪悪感は消え、自分は真に自由となったのではないか、父も母も家庭や組織のくびきから逃れえなかったのに自分は逃れたのでないかと思う。そして次第にトレスよりもシルのことを考えるようになる。
また車輪についていろいろ疑問を持ち始める。囚人が毎日入るとは限らないから罪人が減れば中の囚人がヘリ車輪を回すに足る人数が集まらなくなるのではという不安が、より根本的な、この車輪が最初に回り始めたとき囚人が二人しか最大で入っていないはずなのにどうして回ったんだという疑問に変わる。
アヴァナスは人々の多重人格が極致に達し性差も混乱し、人口は減り絶滅に向かう。人によるコントロールを必要とするアヴァナスの自律機構自体も停止まであと数世代となる。
地球ではジオノートという細胞から構成されない生命が生まれる。またポリヘドロンが発生するエゴニシティというエネルギーが利用される。古い人類は次第に減少する。テリトリーの概念は消えてゆく。新しい皮質が生まれ脳を支配するようになる。人々はヘリコニアで展開される物語に過去の地球を見る。
１６ 致命的無知
地球上では縄張り主義や所有概念を超越しガイアの一部となった新人類が、ヘリコニアや地球の歴史について語る。彼らは巨大なジオノートの周りでエネルギーを得て移動家屋の集まった都市で暮らし、「再考」のセッションを行う。旧人類の不幸は動物の縄張り本能を克服できない幼年期であったためであること、それはヘリコニアを見ればわかること、結婚こそ人類の未熟の象徴であり所有欲にきざした政治行為であること。人類がヘリコニアにしか地球外生命を見つけられないのは人類型の縄張り主義の生命体は宇宙で極めて特殊で未熟な形態であるためであること。地球人類は核戦争によって縄張り主義を超越し進化を遂げられたが非常に幸運であり、数々の幸運が重なって今の人類があること。ヘリコニアからの通信は途絶えたが、ガイアレベルのエンパシイによる強固なリンクが、両者を結び付けつづけていた。
ルテリンの出る日は次第に近づきついにその日になる。外に出たルテリンは守り手と謁見。インシルの父が継いでいた。ルテリンは「マスター」（村を統治するためその官職が分離された）に会うようにいわれ自宅に案内された。マスターはアスパラマンカの将軍だった。母は病気でボケて寝たきりだった。ルテリンの父殺しのあと、シボーナルは混乱に陥ったが、インシルの父はその状況を利用し、「ルテリンの父が手に負えなくなったためルテリンに殺させたこと、ルテリンが生き残ったのはオリガーキの手先だったためであること」というストーリーを作って説明し、守り手の地位を手にいれた。歓迎の宴が催されそこでルテリンはシルと再会、しかしシルはアスパラマンカに嫁いでいた。シルの口から、シルはルテリンの兄に処女を捧げたこと、兄の死の真相は父がオリガーキであることを突きとめ、父に挑戦し殺され崖から突き落とされたためであったと後で父母の話しを立ちぎぎしたことなどをきく。またシルは魚商人に会うように言い、トレスの名前を出す。
トレスは村近くの教会で息子（ルテリンの子とトレスは思っている）と住んでいる。
１７ 日没
地球では進化を遂げた人々が所有欲の本質は恐怖でなく攻撃性であることを語る。アヴァナスは終にデータ送信機能を失う。
フライヤーの最後の日の出と日没の祭り。この日から何十世代も、この緯度でフライヤーを見ることはできなくなる。祭りの後、ルテリンはアスパラマンカに呼ばれ、シルと親しげに語ったせいか追加１０年の刑を言われるも、フォゴルの兵５人が奇襲しアスパラ殺害、ルテリンは逃げる。約束の場所でシルと会う。ルテリンはシルに求婚するが断られるも、アスパラが死んだと告げるとシルはヒステリーに。例の魚屋に着くとオディンの息子。オディンも南の町で商売に成功。二人は麻薬を買いふかす。トレスが二階に来るというのでルテリンだけ行き再会。トレスに誘われ外に出るとシルはいなくなっている。トレスの話ではシルはアスパラとの初夜で暴力を振るわれて逃げてきてトレスの根城に来た。しばらく看護しつつ、古文書によると、大昔ここへ来たヤンドル王と二人の女、うち一人は宇宙人と会いファットデスの意味をきいて王を追ってきてこの地でそれを書き残した（例の氷商人の娘）ことなどを教え友人になった。
トレスが、ファットデスの効用を知っていればオリガークがフォゴルを殺す必要がないのにというと、ルテリンは、オリガークも教会も知っていてやっているのだ、父は全部知っていて、それでは進歩がないから自然に逆らって変えてみせようとしてわざとやっているのだ、と語る。ルテリンは息子に会いに向かいつつ、守手はアスパラの死に説明を求められるが嘘をつかないよう自分がいさめねば、と考える。ルテリンは自然と歴史の歯車を変えることが出きるのか？ 余韻を残し物語りは幕を閉じる。
最後にヘリコニア世界の解説あり。
43. Posted by silvering September 04, 2004 04:17
採点しとくかな。
テーマ性 ★
奇想性 ★
物語性 ★★★★★
一般性 ★★★★
平均 2.75点
さすが英国で実際に一般書籍に並んでベストセラーになったシリーズだけに、物語性、一般性は高い。
そこが逆に物足りなくもあるのだが。
テーマ性 ★
奇想性 ★
物語性 ★★★★★
一般性 ★★★★
平均 2.75点
さすが英国で実際に一般書籍に並んでベストセラーになったシリーズだけに、物語性、一般性は高い。
そこが逆に物足りなくもあるのだが。