【コラム】「李石基」はただの役者、監督は「歴史教科書」だ

 「反大韓民国」というのは、大韓民国の体制に反対することで、一見、北朝鮮の体制とは無関係のように見えるが、実は従北よりも次元の高い高等な手法だ。大韓民国を変えてアップグレードさせようということではなく「お前らはそもそも生まれてきたこと自体が間違っている存在だから滅びるべきだ」というのが反大韓民国勢力の根本的な考え方だ。言い換えれば「李石基」は役者であり、「歴史教科書」は監督というわけだ。

 大韓民国は1970年代から90年代にかけて「維新」「新軍部独裁」「5・18光州(光州事件)」などを経て、被害者や反対者を量産してきた。これは、大韓民国の暗い一面であり、恥ずべき陰の部分だった。この被害意識と反対意識が当時の反体制を形成し、悔しさや憤りに歯ぎしりした人々が反大韓民国へと向かうよう「歴史教育」を推し進めた。その道具こそ反体制的な視点から書いた歴史教科書であり、この30年間の歴史教育現場は彼らの独壇場も同じだった。その教科書によって「教育」された小中高生や大学生が現在、30代後半から50代半ばになっている。李石基らが逮捕されても意気揚々としていたのは、こうした人々の潜在力を信じているからなのかもしれない。

 今も彼らは高校の韓国史教科書の全てを握っており、それに挑もうとした一出版社の新教科書を根本から絶とうと試み、殺害すると脅してまでいる。自分たちの独占領域にわずかな隙間やひびも許せないというわけだ。特に、考え方の偏りや理念的な信念があまりない現代の若い世代が、自分たち反大韓民国勢力の歴史教科書にもう染まらなくなることを恐れ、新教科書の出現を神経質なほどに邪魔しようとしているように見える。

 大韓民国の政治が本来の進むべき道を見いだし、経済が国民の生活を支え、包んでくれる状況に向かって行けば行くほど、反大韓民国勢力の居場所は小さくなるだろう。現在の大韓民国に問題があるなら、われわれはそれを解決し、回復に向かえばいいのであって、それを口実に国の存在自体を否定してわれわれの生活基盤を、そしてわれわれを壊滅させようとして敵にささげるような行為ができようか。いや、できるはずがない。

金大中(キム・デジュン)顧問
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