徳洲会公選法違反:運動員成果、虎雄氏に報告 「優秀」は毎回動員
毎日新聞 2013年09月19日 東京朝刊
医療法人「徳洲会」グループを巡る公職選挙法違反容疑事件で、全国の系列病院から派遣された職員が実施した選挙運動の一日の結果がまとめられ、グループ幹部らが出席する会議で報告されていたことが、関係者の話で分かった。徳洲会理事長の徳田虎雄氏(75)も入院先の病院からテレビモニターで会議に参加し、活動結果をチェックしていたという。【近松仁太郎、島田信幸】
また、選挙運動に派遣された病院職員らに日当が支払われていたことも判明。東京地検特捜部は公選法が禁じた運動員への利益供与が組織的に行われていた疑いがあるとみており、虎雄氏や次男で自民党から当選した徳田毅(たけし)衆院議員(42)=鹿児島2区=の関与がなかったか慎重に調べる方針。
関係者によると、昨年12月4日の衆院選公示日以降、会議は朝と夜に「朝礼」や「終礼」として開かれた。派遣された運動員の活動状況が記載された文書が作成され、訪問先の感触について「300人回って×人が『◎』、×人が『△』」などと報告されたという。会議には筋萎縮性側索硬化症(ALS)で神奈川県鎌倉市の病院に入院している虎雄氏がモニター画面を通じて参加したほか、徳田議員ら親族や徳洲会の幹部職員が出席したケースもあったという。
毎日新聞が入手した内部資料によると、徳洲会から派遣された職員らは(1)衆院解散から公示までは有給休暇扱い(2)公示日以降は欠勤扱い−−などとされた。欠勤による給与の減額分は賞与で加算支給するほか、1日3000円の日当が賞与に上乗せする形で支払われていたという。
ある徳洲会関係者は「虎雄氏が立候補した2003年の衆院選から職員を欠勤扱いにして選挙運動に参加させていた。虎雄氏ら上層部が運動員の成果を評価し、優秀な職員は選挙の度に動員がかかったようだ」と証言した。