2012年03月07日 大阪市南エリア/トピックス
浜のミサンガ「環」。1セット1100円(税込)。「環」とは日本古来のブレスレットの呼称。ひと編みひと編み手作業で、復興の思いが込められている。
東日本大震災から間もなく1年。被災地の復興は地域ごとにばらつきがあり、仮設住宅での生活が余儀なくされている被災者も多い。三陸海岸沿いの地域では漁に出始めているが、仕事を失った被災者が大勢いる。
そこで、漁に使用するはずだった未使用の網を使ってミサンガを作り販売することで、仕事を創設し自立に向けた支援を行っていこうと始まったのが、「三陸に仕事を!プロジェクト」だ。広報担当者によると「浜のミサンガ『環(たまき)』作りは、昨年5月、岩手県大船渡市三陸町から始まりました。当初、数人で作っていましたが、(作り手が)浜から浜へと広がり、現在は約300人、宮城県でも作られています」。
「環」をつくる三陸の女性たち。復興には程遠い景色が広がっているものの、手首には自分たちで作った「環」、顔は笑顔。この笑顔をもっと広げるためにも、継続的な支援が必要だ
『環(たまき)』は1セット1100円(税込)。そのうち、576円が作り手に、154円(為替や材料費の変動で変化)が網を切るなどの二次加工を担い、作り手をサポートする現地の被災企業・被災者の手元に届く。「昨年末現在、約12万セットが生産され、約10万セットをご購入頂いています。作り手の皆さんには約6700万円、生産管理者の方々にも約1000万の収入がありました」。もちろん、その金額を作り手などの被災者や被災企業で分け合うのだから、復興に足りる金額には程遠いだろうが、仕事がある、収入がある、みんなで一緒に頑張れるということが大切なようだ。
「『環(たまき)』作りに従事することで、収入面ではもちろんのこと、(仕事をするという)やりがいにつながっています。それに、仮設住宅で閉じこもり気味になっていた方たちがみんなで集まって作ることで、コミュニケーションがとれ、(気持ちが)前向きになっているようです」。男性には震災直後のがれき撤去や浜の掃除などの仕事があるが、漁の手伝いなどをしてきた女性には仕事が少ない状況。何かやりたい、手仕事で家族を支えたい、という思いも強かったのだろう。
(松尾英隆)