状態変化系SS及びネタ投稿板


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[141] ミライネットSAKATA Name:ルパンガンバー 2010/07/16(金) 12:29 [ 返信 ]
坂田「みなさんこんにちは!!ミライネットSAKATAの時間です。
本日紹介する商品はこちら、サイバ&デスト社の大ヒット商品「トランスキューブ」の最新型「トランスキューブ リベンジ」!!
商品名のリベンジはですね、前のトランスキューブで出来なかったシステムを追加できて
見事リベンジを果たしたことから来てるんですね。
トランスキューブというのはですね、
キューブの中に入ってコンピュータに変身したいもののデータを入力することで、
自分の変身したいものに出来るまさに夢のような道具。
前のトランスキューブでは年齢・体型・性別等を変えたり、動物や物や食べ物等に変身できるんですが、
今回のトランスキューブリベンジは何とパラレルワールドのシステムを追加したすごいものですよ!!
変身した後にもしもボックスでおなじみのパラレルワールド機能を駆使する事で、
より変身を楽しむことが出来るシステム。
赤ん坊に変身したらその世界での母親と父親等の家族で甘えたり、
幼稚園児に変身したら幼稚園に通ったりお年寄りに変身したらやその世界の孫と遊ぶ等が可能!!
しかも胎児になって妊娠の体験が出来たり、自分の分身を作り兄弟や家族を作るのも可能なんですよ!!
しかも!!もし何が起きても大丈夫な保険もありますのでご安心を!!
さぁ、「トランスキューブ リベンジ」のお値段は、
変身の思い出を残すためのカメラ機能つきデジタルビデオカメラのセットも付いて、
新発売記念サービスのなんと98000円!!限定100台のご奉仕ですよ。
今すぐお電話を!!なお、送料・手数料はすべてミライネットSAKATAが負担させていただきます。」


[142] かべ紙保育園&かべ紙幼稚園 Name:ルパンガンバー 2010/07/16(金) 12:30
キャシリン「ねえ、ディロン。」
ディロン「どうしたんだ、キャシリン。」
キャシリン「私ね、近所の子供がね幼稚園に行くところ見たらね、急に幼稚園に行きたくなっちゃった。」
ディロン「まぁ、確かに誰でもそういう時はあるものだ。そういう時にはこれ、かべ紙ハウスシリーズの新製品「かべ紙保育園&かべ紙幼稚園」!!」
キャシリン「新型なの?」
ディロン「あぁ、この壁紙のドアを開けると中は保育園や幼稚園に成っているんだ。しかも中には園児ロボットや保育士ロボットがあるんだ。これでお子様の保育園&幼稚園入園練習には持って来いモンだよ。」
キャシリン「でも、ディロン。大人の私が入ると恥ずかしいわ。」
ディロン「ノープロブレム。この「かべ紙保育園&かべ紙幼稚園」にはARマシンが搭載されているんだ。これを使えば幼稚園児や赤ん坊に変身出来るから大人でも大丈夫だ。これさえあれば仕事のストレスもパーっとなくす事も出来る。」
キャシリン「凄い!!私もすぐに使いたくなっちゃった。」
ディロン「「かべ紙保育園&かべ紙幼稚園」。今ならお値段9800円!!」
キャシリン「今すぐお電話よ。」


[143] ミライネットSAKATAのCM Name:ルパンガンバー 2010/07/16(金) 12:31
子供に戻りたい。大人だったら誰でもそう思うときはある。

仕事に追われて、自分のやりたい事が見つからなくなってしまった時。

彼女か彼氏に振られてしまった時。

人に裏切られてしまった時。

失敗をして、叱られてしまった時。

試験がうまくいかなかった時。

子供に戻って純粋な気持ちで心行くまで遊びたい。思いっきり存分に。

その時、あの人の声が聞こえた。

坂田「さあ、今回紹介するのは大ヒット商品「メルモドリンク」!!これさえあれば赤ちゃんからお年寄りまで変身する事が出来ます!!」

あなたの欲しい道具はここにある。ミライネットSAKATA。

坂田「ミライネットSAKATAは今度大セールを行います。詳しい事は明日の朝刊の折り込みチラシをご覧ください!!」


[144] ガリバーエイジトンネル Name:ルパンガンバー 2010/07/16(金) 12:32
吉野「みなさんボンジュール!!フラッグマンテレフォンショッピングの時間です。
司会は島根の吉野です。
本日紹介する商品はこちら「ガリバートンネル」の最新型「ガリバーエイジトンネル(略称GAT)」!!
では、開発者のリオナルド博士に説明いただきましょう。」
リオナルド「おう。ガリバートンネルは一方の口が大きく、一方の口が狭いトンネルの形をした道具で、
大きい口から小さい口に向かって進むと人体やそれに付随している物(洋服など)が小さくなるのでおなじみの道具だが、
今回のGATは若返りとして体が小さくなれるんだ。
マシンの内側にあるメモリを調整し大きい口からトンネルに入ると、たちまち子供に変身しちまうんだ!!
しかも、服もそのまま同じサイズになるからで大丈夫だ。
コンピュータでセットすれば、幼稚園児から赤ん坊に、
しかも、服等も園児服からベビー服まで変化する事も可能だ。」
吉野「凄いですね!!ちなみに元に戻る時はどうすればいいんですか?」
リオナルド「おう、小さい口から入れば自動的にリセットされ、元に戻るんだ。」
吉野「今回は僕の著書の一日で鳩の言葉をマスター出来る「鳩語マスターBOOK」を付けて、
お値段59800円!!」


[145] AR・APライト Name:ルパンガンバー 2010/07/16(金) 12:32
ゴヤッキー「はーい、全国の女子高生の皆さん、スケルトンテレフォンショッピングの時間ですよ。司会は女子高生のアイドルのゴヤッキーですよ。
本日ご紹介するのはこれ、「AR・APライト」!!」
テンズラー「ゴヤヤン、これはどういう商品や?」
ゴヤッキー「はいはいテンちゃん、今紹介します。
このAP・ARライトはこのメモリを調整し、人間に向けってスイッチを押しますと、
ビームが出ましてなんとあたった人間は若返ったり、急成長しちゃいます!!」
ダロンジョ「では実際に使ってみましょう。
体験してもらうのは我が社のモデルの男性のギンちゃんと女性のコイちゃんです。」
ゴヤッキー「ほーらこの通り。中学生の二人があっという間に幼稚園児に大変身!!
これさえあれば、一人が大人で一人が子供になって親子ごっこ、一人が老人で一人が子供のお年寄りと孫の遊びも可能!!」
テンズラー「今ならAP・APライト、お値段たったの39800円でまんねん!!」


[146] 人生やり直し機Z Name:ルパンガンバー 2010/07/16(金) 12:33
後藤「オッス!!オラ後藤!!今回紹介する商品はコプセルコーポレーションの最新作のこいつ「人生やり直し機Z」だぞ!!
人生やりなおし機は、過去の人生を振り返り「あの時こうすれば良かった」「今ならあんな失敗はしない」などと思ったとき、その時点からの人生をもう一度やり直すことのできる機械。
内容は本体と、本体にコードで接続されたヘッドバンドとで構成され、ヘッドバンドを頭に装着して本体の機械で年齢を指定して作動させると、周囲の時間はその時代へ、そして使用者はその年齢の肉体へと戻り、人生を歩み直すことができる。
その時、本人の知力、体力、記憶などは元のままなので、基本的に同じ失敗を二度と繰り返さずに済む道具でおなじみであまりにもそのまんまなネーミングと機能から、しばしば伊集院光がネタにする道具ですが、今回は環境変化の機能もついてるんだぞ!!
これを使えば、過去に戻らなくても、体だけが若返り、現在のままで人生をやり直せる事が出来るんだぞ!!昔に戻った事により現代に帰りたいという不満もこの昨日により解消出来るんだぞ!!
環境変化の機能によって使った後は服装も自動にセットされた年齢に合わせた服になり、しかも部屋も持ち物や友人関係等も年齢に合わせて変化しますのでご安心を!!
「人生やり直し機Z」今回は税込み価格で99900円!!
なお、新生児からやり直したい人は新生児に変身出来る「人生やり直し機00」もあるぞ!!」


[147] RE:ミライネットSAKATA Name:メダぱに団 2010/07/21(水) 23:25
お初にお目にかかります。メダぱに団と申します。
こちらの新炎館様の投稿掲示板をお借りさせて頂いて、取るに足らない駄文を投稿している者です。

ご作品の方、拝見させて頂きました。
年齢変化はあまり見たことはございませんでしたが、とても楽しく読めました。
ルパンガンバー様が宜しければ、また色々なお話を読んでみたいと思いました。
今後とも宜しくお願い致します。

それではこの辺りで失礼致します。

[148] RE:ミライネットSAKATA Name:トキ 2010/07/23(金) 21:50
はじめまして。今回は、SS投稿ありがとうございます。
とても独創的な話、とても楽しく読まさせて頂きました。
メダぱに団さん同様、あまり見ることのない話で、新鮮味を感じたように思えます。

今後ともよろしくお願いします。

[149] ミライネットSAKATAについて Name:ロマー 2010/07/30(金) 04:58
突然の書き込み失礼します

某所掲示板にて、全く同じ作品を発見しました。
状態変化ジャンルとはまた違う一面を持つ分野ですので、URLの貼りつけなどは控えさせていただきます。

某所掲示板とはHNも違うようですが、ルパンガンバー氏は本作品の作者様でしょうか?

[150] 書き込みOKですよ Name:ルパンガンバー 2010/08/03(火) 10:42
メダぱに団さんへ
コメントありがとうございました!!
メダぱに団さんの小説にミライネットSAKATAの商品を使ってもいいですよ(笑)。オリジナルの商品をここに書き込んでも大丈夫ですよ(笑)。

トキさんへ
コメントありがとうございました!!
年齢変化もある意味状態変化の一種ですよね(笑)。

ロマーさんへ
コメントありがとうございました!!
某所掲示板のも自分ですよ(笑)。やっぱり自分の作品をたくさんの人々に読んでもらいたいから、いろんなところに書き込んでいます。
HNはサイトのジャンルによって変えています。

PS自分はロリコンではありません。幼児化が好きな人です(笑)。自分の頭の中で若返りの犠牲になるのはドラえもんののび太と静香ちゃんと野比ママ(玉子)です(笑)。


[151] 家庭内オカンゲリオン初号機 Name:ルパンガンバー 2010/09/10(金) 20:38
アサカ「はーい、みなさんナルフテレビショッピングの時間わよ。」
センジ「今日紹介するのは、我が社の青木レツコ博士の最新作「家庭内オカンゲリオン初号機」!!」
ロイ「赤ちゃんや幼児に変身した時に、
独身や一人暮らしの人は自分を世話してくれる人がいないと困りますよね。
そんな時に「家庭内オカンゲリオン初号機」!
このロボットは掃除や炊事に育児等の家事全般が大得意で、
母親のような愛情も兼ね備え、母親のしつけも出してくれますよ。
お客様が赤ちゃんに変身した時は授乳もしてくれて、
しかも付属の機械を使えば,胎児になり、妊娠の体験も出来るのですよ。 」
カイル「早速試してみましょう。今回体験してくれるのは我が社の人気モデルのミサキさんです。」
アサカ「ほら、オカンゲリオンの妊娠モードでこの通り。
ナイスバティのミサキがあっという間に胎児に大変身しちゃいました。
環境変化の装置もありますから、変身後の環境の適応も心配ありません。」
ミリ「今なら、アシスタントロボとしまして「秋葉原メイドゲリオン」もおつけしますよ。
特徴は猫耳で猫のしっぽ付きで語尾に「にょ」が付きます。
リモコンでお好きモードにチェンジ出来ます。
歴女系・ツンデレ系・ぽっちゃり系・メタボ系等に早変わりします。」
センジ「「家庭内オカンゲリオン初号機」お値段は77700円!!」


[187] 2011年ウサコッツ年 Name:ルパンガンバー 2011/01/04(火) 09:22
新年あけましておめでとうございます!!
昨年はお世話になりました。
本年度もよろしくお願い申し上げます。


[189] 亜歩都奇新師蜂録旧 Name:ルパンガンバー 2011/01/18(火) 11:50
桃子「な、なによこれー!!」
モルメ「これぞおうぎ「あぽときしんしはちろくきゅう」よ!!じつはあたちもあなたとおなぢじゅうだいなのよ。でもあたちのほんちょうのねんれいのからだよりないちゅばでぃだから、どうちぇならおなじようじょでたたかいまちょ。」
富蟹「何よあれ?!桃子がどんどん若返っていくわー?!!」
虎巻「乙女塾の1年生の中でもトップクラスのナイスバディの桃子がだんだんと幼児体型になっていくわ―!!」
雷壇「馬鹿な・・・信じられないわ。あの幻の秘薬亜歩都奇新師蜂録旧だと・・・」

「亜歩都奇新師蜂録旧(あぽときしんしはちろくきゅう)」
人類にとって、不老不死に次ぐ夢は若返りである。その夢を実現した薬こそ亜歩都奇新師蜂録旧である。
その薬を服用すると、特殊なホルモンが体全体を回り、DNAを作り替え、神経組織を除いた骨格、筋肉、内臓、体毛などのすべての細胞が幼児期の頃まで後退化する事が可能である。材料の調合次第で若返る年齢と時間は調整可能である。
なお、この薬の材料がとれる地域ではこの薬を格闘に使う者もいるといわれている。年齢変化を自在に扱う事により大人の利点と子供の利点を巧みに使い分ける正に優れた戦法であり、向かう所敵なしであったという伝説が残っている。
ちなみに、この薬の開発者の名は「書多魂(しょたこん)」と彼の妹の「露里魂(ろりこん)」であり、少年を対象に抱く愛情・執着を表す「ショタコン」、幼女・少女にのみ性欲を感じる異常心理の「ロリコン」の語源は前出の書多魂と露里魂から来ているのはいうまでも無い。
萬明書房「究極のアンチ・エイジング術」より

どんな摩訶不思議な事も、どんなに些細な事も載っている。本を読むなら萬明書房!!
「私が乙女塾塾長江戸島撫子である!!!!」で同じみの乙女塾塾長の江戸島撫子も読んでいます。


[194] 猿般智の術 Name:ルパンガンバー 2011/03/15(火) 11:12
モルメ「なんで?!なんでげどくざいあげてないのにおとなにもどれるの?!!」
シノ「引っかかったわね!!亜歩都奇新師蜂録旧を私に飲ませれば幼児化してあなたが有利になると思ったでしょう。
実はあなたを油断させるために飲んだ振りをしたのよね。忍法を使えば幼児化もたわいないわよ。」
桃子「亜歩都奇新師蜂録旧なしで幼児化する方法があるなんて・・・」
雷壇「そうか!!猿般智の術を使ったのね!」
 
忍法「猿般智の術(さるぱんちのじゅつ)」
戦国時代、武将達は自分達の身を守るためや、敵を混乱させる事等のために影武者と呼ばれる身代わりとさせた人物を作った。
中には「猿般智の術」を使える忍者を雇った武将もいたのである。 
この術は特殊な薬草と餅米で「眼太紋(めたもん)」という餅を作り、
その餅を顔に塗り付けて変身したい顔を念ずれば餅が変化しその人物の顔に餅が変化したのである。
変化するためには精神力と念の力を鍛えなければならない。
この術を極めれば、体全体に眼太紋を体中に付ける事により、
顔どころが体型や年齢、性別、身長、声等も変えられる事が可能であり、変装というより変身といっても過言でもない。
石川五右衛門や鼠小僧次郎吉もこの術を使い盗みに役立てたという伝説もある。
ちなみにこの術で有名な忍者に「流潘山星(るぱんさんせい)」がいる。
萬明書房刊「ドッペルゲンガー=影武者伝説」より

どんな摩訶不思議な事も、どんなに些細な事も載っている。本を読むなら萬明書房!!


[195] エイジタマテボックス48 Name:ルパンガンバー 2011/05/24(火) 11:52
バッスン「さあ始まりましたラケットダンステレビショッピング!!」
カメコ「今週も新商品満載やで!!」
ツイッチ「(コンピュータ声)今週の目玉はこちら「エイジタマテボックス48(通称ATB48)」!!
なお、48はこれ一つで48人同時に変身できる事からきています。
さぁ見てください!!この美しい黒のボディ!!」
バッスン「この機械は浦島太郎で有名な玉手箱をモチーフに作り上げた年齢操作機械です。
まずはこちらのリモコンに変化したい年齢と人数を設定し、
ATB48に向けて送信ボタンを押します。
そしてふたを開けますと中から煙が出てきましてその煙を浴びますと、セットしました年齢に変化する事が出来ます。」
カメコ「早速試してみるで!!人数は3人で年齢は3歳児にセットや。」
モクモク
バッスン「このとおりにへんしんしました。」
カメコ「りもこんのそうさしだいふくもへんかするで。」
ツイッチ「もとにもどりたいときはりっせとぼたんをおすだけ。」
バッスン「いますぐおでんわを!!」


[190] 美の秘訣 Name:ハム 2011/01/21(金) 03:09 [ 返信 ]
「本当にお綺麗ですね」「私なんて…」「そんな〜喧騒しないで下さい…私が惨めですよ…」

ここは、某所にある部屋の一室。そこで今話題の人を取材をしている

話題の人とは、年齢に不釣合いなほどの肌と噂になりこうして取材を受けるまでになっている

「何か秘訣とかあるんですか?」「そうね〜。秘訣かどうか判らないけど…」

新米の記者は、興味津々の感じで自然と体が前のみれになる。

「そうねー…。薬風呂かしら?」「え…?薬…お風呂…?」「ええ…。特別製のね」

そう言ってウィンクする。それを見た記者はポカーンとした顔で『そうですか…』とポツリと言う

取材が終了し、記者が帰ろうとした時に呼び止められる

「はい…何でしょうか?」「知りたくない?薬について?」「え…!?教えてもらえるんですか?」

「知りたくないんだったら無理に…」「いえ!是非!お願いします!」

記者は首をブンブンと振り、目を輝かせながら必死にそう言う

「これは、他言無用よ。いい?」「判ってます。言うはずないです!うん!」「そう…なら安心ね」

そっと記者の耳元に手を沿え囁くように言う

「薬風呂の材料はね…」


[191] 美の秘訣 そのA Name:ハム 2011/01/21(金) 03:10
手ごろなベンチに座り、携帯をいじる。その際も行きかう人々を観察する

しばらくして、私の前を三人の女学生が通り過ぎる。気が疲れないように目でその姿を追う

そして、携帯のカメラで三人を撮影する。すると、楽しげに話をしていた三人は時間が止まったかのように微動だにしなくなる

三人が止まっていることに誰も気がつかない。最近の世の中なんてこんなもんよだなと思いう

携帯をしまい、三人に近づき手をかざす。すると、三人は光に包まる

かざした手をギュッと握ると、光は手と連動するようにギュッと小さくなる

最終的に、三つの四角形ができる。パチンと指を鳴らすと、光が消えて三つのそれは地面に落ちる

三つのそれは、一つずつきちんと包装されていた。パッケージには、それぞれ変化する前の姿が印刷されている

あの写真で撮った瞬間の顔とまったく同じ。それを持ってその場からさる


[192] 美の秘訣 そのB Name:ハム 2011/01/21(金) 03:11
部屋に入り、本日の収穫をテーブルに並べて側に置いてある箱を持ってくる

その箱の中には、同じようにパッケージされた物が沢山入っている

「さて、今日はどれにしようかな〜?」

そんな事を言いながら、一つずつ手に取って確かめる。しばらく悩んだ末、一つを残してあとは箱に入れる

風呂場に行って浴槽にお湯をためる。程よくたまった後にパッケージを破って中身を取りだす

それは薄い赤色で粒の集合体の四角形をしている。それを浴槽へと落とすと、泡をだしながら徐々に小さくなって、やがて影も形も残らず消えてしまう

手元にあるゴミを捨てて服を脱いで湯船に体を浸す

「う〜ん〜。やっぱり、これはやめらないわね〜」

浴槽の中で大きく伸びをする。しばらくして、お湯の中へ全身を沈める

浴室からでる時に栓を抜いき、吸い込まれていくお湯に

「バイバイ…名も無き記者さん…」

そう言って、吸い込まれていくお湯に手を振って、脱衣所に置かれているバスローブを羽織る


[193] あとがき Name:ハム 2011/01/21(金) 03:16
入浴剤にされた人は、お湯に溶かされて入浴した人に美を提供する。
こんな感じで書いてみました。
僕自身、こんな風呂なら入りたいですな〜(^^ゞ


[179]  Name:ハム 2010/12/27(月) 03:18 [ 返信 ]
私は、先ほど知り合った魔女っ娘と一緒に歩いている。魔女っ娘と言っても仮装した女の子だ

友達とハロインをするらしく、この格好をしているらしい

きっかけは、私と彼女がぶつかって彼女が膝をすりむいたことが始まりだった

その際に波長が合ったのか、仲良くなりこうして歩いているのだ

「ここでお別れだね」「そうね。そうだ!このままだと悪戯されたらやだから〜」

彼女は『そんな事しないよ〜』プーッと頬を膨らませるが『私の気持ちだから。ね?』と言う

それを聞いて彼女は不満そうな顔をしながら頷く。腰にある袋を彼女の前に差しだす

「その袋を覗いてごらん」

彼女はゆっくりと袋の中を覗きこむ…

[180] 袋 そのA Name:ハム 2010/12/27(月) 03:19
家に帰り、腰にある袋を逆さまにして振ると中から一つのフィギュアがコロンとでてくる

それは、魔女っ娘が楽しげに空を飛んでいるような姿をしている。その足には伴奏が確りと張ってある

本日の収穫っと

それを見て、笑みを浮かべる。袋をその側に置いて椅子に座る

「最近はいいよね〜。いろんな行事ごとがあってさ〜。クリスマスとかね〜」

そう一人で言いながら、フィギュアを指先で揺らす

すると、家の呼び鈴が鳴る。少しムッとしながらドアを開ける

そこには、仮装をした三人の子供が立って居た

『』とお決まりの台詞を言う

左から吸血鬼・魔女・狼おとじゃない狼娘の順に立っている

「お菓子くれないと…」「あ、そうよね。ちょっと待ってね」

ドアを閉め、先ほど置いた袋を取りに戻る。その際、先ほどのフィギュアが目に入る

「そうよね。一人だと寂しいわよね?待てて…すぐにお友達を持って来てあげるからね」

そう言いながらチョンとフィギュアを触る

[181] 袋 そのA Name:ハム 2010/12/27(月) 03:24
「お待たせ〜」

そう言いながらドアを開けると、三人は手を前に差しだす。魔女の娘の手の上に袋を置く

両サイドの娘達と一緒に袋の中を覗きこむ。すると袋が大きくなり二人を飲み込む

飲み込んだ後、袋はモゾモゾと動く。その間も騒ぎ声が袋から聞こえているが、次第にそれも小さくなってやがて聞こえなくなった

残った一人は腰を抜かしてその場に座り込み、小さな水溜りできていた。結局、その娘も袋の餌食になった


テーブルの上で袋を振るとコロンと三つのフィギュアがでてくる

吸血鬼はポーズを決めて。魔女っ娘はさっきの娘とは違って魔法を唱える瞬間のようなポーズをとっている。

狼娘は遠吠えを叫んでいるポーズだったが、どこか愛らしく。それを先ほどの魔女っ娘の横に並べる

「良かったわね。お友達が出来て。やっぱり私は、食べるより…こうしてコレクションするのがイイよね」

しばらくそれを眺めたのち、汚れないように戸の付いた棚へと並べて置く。今度は、サンタとドレスを着たフィギュアを取りだす

「もうじき、この時期ね。楽しみ〜♪」

その二つを棚に置いて戸を閉め『おやすみ』と言って部屋の電気を消す

[182] あとがき Name:ハム 2010/12/27(月) 03:25
えっと…最初に言い訳です。ハロインを目標に書いてました。でも、ムリでした。
だから、御免なさいこんな時期はずれの投稿をお許し下さいm(__)m

[185] RE:袋 Name:メダぱに団 2010/12/30(木) 01:24
お久し振りです。

大量のSS投稿お疲れ様です。
御作品の方、読ませて頂きました。
どれも面白いと思いました。
個人的には砂化がお気に入りですね。
女の子によって色が変わるっていうのがいいですよね。
状態変化界のあの方のあのキャラクターならどんな色になるのか、色々考えてしまいますww
今後のハムさんのご作品を楽しみに待っております。

来年も宜しくお願い致します。
では…。

[188] 感想有難うございます Name:ハム 2011/01/06(木) 02:03
>大量のSS投稿お疲れ様です。
そんな事ないですよ(^^ゞ
ちびちびと書き足していった物なので…。

>どれも面白いと思いました。
そう言ってもらえると、書きがいがありますね。

>個人的には砂化がお気に入りですね。
そうですか。失敗作かと思ってましたが…。
変化の手順とかもっと考えるかも知れませんしね(^^ゞ

>女の子によって色が変わるっていうのがいいですよね。
これは、香水と一緒です。個人色って感じですね。
正直、色をつけるべきか悩んだんですけどね。

>状態変化界のあの方のあのキャラクターならどんな色になるのか、色々考えてしまいますww
たしかにそうですね。メダぱに団さんのキャラは何色になるんでしょうかね?

[156] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 前書き Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:09 [ 返信 ]
こんばんは。
メダぱに団です。

クリスマスに間に合わなくて、大変申し訳ございません。
クリスマスのお話を書き終わりましたので、投稿致します。
今回もかなり長いのでいくつかに分けます。

では、どうぞ。



[157] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 1 Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:10
女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚〜
(物品化・食品化・動物化)


(1)


誰もが待ちに待ったクリスマス。
その1週間前の12月半ばのある日のこと。
郊外にぽつんと佇む一件の古い住宅、ここに一人の老人が住んでいた。
小太りの体型で白髪頭、あごには白い髭をたっぷりと蓄えた老人である。
老人は、窓際に置かれた椅子に腰掛けており、時折窓の外を眺めては、ふうと溜息をついていた。
「こんにちは。ご隠居。」
と、ふいに声が掛けられた。
老人は特に驚きもせずに声の方を振り向く。
部屋の入口に若い男が立っていた。
長身の男で、髪を後頭部で結い、顔には楕円形のレンズの眼鏡をかけている。
老人は再び溜息をついて言う。
「なんじゃ、お前か…。」
「お久し振りです。…ところで、どうしたんですか? 溜息などついて…。」
「ん…。ちょっとのお…。」
男の問いかけに老人はそう答えて、窓の外に視線を移した。そして、やがてぽつぽつと語り始めた。


「なるほど…。それで私達が用意をすればいい訳ね。」
男が老人のもとを去ってから数時間後のこと。
都内某所にある寂れた神社の境内に、数人が集まっていた。全員の視線は長身の男に向けられている。集まっている人間は老若男女様々だが、皆一様に形容しがたい異様な雰囲気をまとっていた。
今声を出したのは、茶色のロングヘアーの美しい女性であった。
「まあ、そういうことです。忙しいところ申し訳ありませんが、どうか力を貸して頂けませんか?」
長身の男はそう答えると、この場に集まった他の全員に対して、ぺこりと頭を下げた。
「ふぉふぉふぉ。そういうことなら手伝わせてもらうぞい。」
ベージュのコートを着て杖を持った白髪の老人が答えた。
「ふふふ…。いいわよ。あの方にはお世話になってるしね…。」
60代と思われる上品な雰囲気の老女が頷く。
「ふむ、わかった。力を貸させて貰おうか…。」
白髪交じりの髪に皺の刻まれた顔の男が、顎に手をあてて答える。このような場所にも関わらず、白衣を着ている。
「もちろん、私もOKよ。」
「おう。困ってる人がいるなら、手を差しのべるのが男ってもんだ。」
茶髪のロングヘアーの若い女性と、いかつい顔の中年の男がそう答える。
「ええ、喜んでお手伝いしますよ。」
「あたしも、手伝わせてもらいますね。」
「うん、おっけーだよ〜!」
高校生と思われる温厚そうな眼鏡の少年と、少年と同じ年位の背丈の茶髪ツインテールの少女、そして小学生位の小柄な少女が続けて答えた。
Dと呼ばれた男は笑みを浮かべると、集まっている全員を一通り見渡したあと、全員に聴こえるように言った。
「では、皆さん。今週末の日曜日に決行しましょう。あの方の準備もありますし、早い方がいいですからね…。それでは…。」
男の言葉が終わると同時に境内に強い風が吹いた。風はまだ残っていた落ち葉を巻き上げて、男達の姿を隠してしまった。その後、風が止んで木の葉が辺りに散らばったときには、彼らの姿は跡形も無く消え去っていた。


(2)


日曜日当日の午後。
都内のとある小学校。
その一室で10名程の女子生徒が賑やかに談笑していた。
日曜日にも関わらず学校にいるのは、何かの部活動だろうか。
すでに活動も終わり、各自思い思いの談笑しており、教室の中は和やかな雰囲気であった。
と、唐突に教室の扉が音を立てて開かれた。入ってきたのは、白髪混じりの髪に皺の刻まれた顔をした白衣の男である。
突然のことに女子生徒達は男をぽかんと見つめたまま固まっていた。
と、男が行動に出た。懐から液体の入っている小瓶を取り出すと教室の中央に向かって投げた。幸い女子生徒達には当たらなかったが、床に落ちた衝撃で小瓶は割れ、中に入っていた液体が気体と化して教室内に充満する。それを確認すると男は扉を閉めた。
「きゃあっ! なに!?」
「く、臭い!」
「……あれ、何か体が変…。」
「ち…力が、ぬけて…いく…。」
「フィーーーー。」
男からは扉の曇りガラスごしに中の少女達の影が見えた。その影が人の形を崩して、徐々に四角い姿へと変わっていく。それに並行して少女達の声も聞こえなくなっていった。
中が静かになってから、白衣の男は教室の扉を開けた。男はそのまま室内に入ってくると、教室の床に落ちてあったある物を手に取った。
男が手に取ったものは、四角い袋のようなものであった。中には黒い灰のようなものが詰まっており、ほんのりと暖かい。それは、いわゆるカイロであったが、その袋は、縞模様や水玉模様など女子小学生らが着ていた服と同じ模様をしていた。
「フフ…。この時期は寒くてかなわんからな。これ位あれば問題はなかろう。」
白衣の男はそう呟き、持っていた袋の中にカイロを入れると、その場から姿を消した。


(3)

同日夕方頃。
人通りの少ない通りを、二人の女性が走っていた。
大学生と思われる二人は、運動部に入っているのか、いずれも肉付きのよい体をしている。一方が赤、もう一方が青のジャージを着用している。
と、彼女達が走っていると、前方から60代位の上品そうな雰囲気の老女がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。大学生達は、すれ違うときに軽く会釈をして、そのまま通り過ぎようとした。
と、老女が異様な行動に出た。持っている鞄から黒く長いゴムひものようなものを取り出すと、大学生達に向けて投げつけたのである。それは、彼女らの首にギュッと巻きついてきた。
「なっ…!?」
「えっ?」
突然のことに驚き呆然とする大学生達。しかし、すぐ後に気を取り戻し、ゴムひもに手をかけてそれを外そうとした。老女はそんな二人を見て微笑むと、持っているゴムひもを握り、すっと目を閉じた。同時にゴムひもとそれに繋がれている大学生達の体を淡い光が包んだ。
と、大学生達に異変が起こった。彼女達の手の指が癒着し一塊になったかと思うと、形を変え始めた。彼女達の足も靴ごと変形し、手と共に蹄のように変わってしまった。腕や脚も細くしなやかになっていく。
大学生達の顔も徐々に形を変え始め、馬のような顔になってしまった。その過程で彼女らの両耳の上が突き出始め、徐々に大きくなり、角のような形になった。
そして、淡い光が収まり、彼女達の変化が止まった。
女子大生達は二匹のトナカイへ姿を変えてしまった。トナカイの顔は茶色の毛で覆われているが、まるでトナカイに服を着せたように、二匹の胴体の毛は赤と青になっている。
老女はトナカイを見ると、笑みを浮かべて言った。
「ふふ…。あなた達大学生駅伝の選手なんですって? だったら持久力もありそうね。ちょうど良かったわ。ぴったりの仕事があるのよ。ちょっと手伝ってくれないかしら…。」
老女は、そう言うと二匹のトナカイを繋いでいる手綱を引き、どこかへと消えてしまった。しばらくの間、トナカイ達の助けを求めるような悲痛な泣き声が辺りに響き渡っていたが、それに気付く者はいなかった。


(続く)

[158] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 2 Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:10
(続き)


(4)

同時刻。
都内の大型ショッピングモール。
クリスマス前の日曜日ということもあって、中は人でごった返していた。
そんなモール内のある一角。ここで二人の女性が大声で喋り合っていた。
二人ともいわゆるギャルという風体で、派手に染められた髪に不自然なまでに焼けた黒い肌をしている。服装もそれっぽく派手派手であった。
どうやら片方は結婚しているらしく、その子供と思われる少女達が辺りを走り回っていた。本人達が望んでそうしたのかは不明だが、三人の少女達はまだ小学生位にも関わらず、不自然な茶色の髪と母親と同じくらいの黒い肌をしていた。
走り回る子供達に他の客は不快な顔をしたが、母親もその友人もお喋りに夢中で注意すらしない。
と、子供達のうちの一人が他の客とぶつかったようである。
「いってーな! 気をつけろよ!」
小学校三年生くらいの小さな女の子は、眉間に皺を寄せて幼い顔には似合わない言葉を吐いた。ぶつかられた相手である茶髪のロングヘアーの若い女は少女の顔を見て、にこやかな表情で言った。
「もう、悪い子ね…。」
女は膝を曲げて屈むと、少女の黒い頬にそっと手をあてた。
「えっ!?」
と、少女の表情が虚ろなものへと変わった。それと同時に両腕をだらんと下ろした姿勢になった。いつの間にか、少女の着ていた服は消え去っており、少女は生まれたまま姿で黒い肌をさらけ出していた。
「悪い子は、こうしてあげる。」
女は虚ろな表情の少女に向かってウインクをした。
と、少女の体が形が少しずつ変わり始めた。頭部の方は細くなり、逆に足の方は幅が広くなってゆく。同時に少女の体はふかふかとした感触に変わっていく。目鼻や腕などは変化していく過程で黒い体と一体化していき、少女の体が円錐のような形になるころには、完全になくなってしまっていた。
遂には、少女はふかふかとした三角形の帽子となってしまった。色は彼女の肌に近い茶色である。
女はモノ言わぬ姿となった少女を手に取ると、にっこりと微笑んだ。
と、遠くから声がした。
「おい、なにやってんだよ。」
「勝手に変なとこ行くんじゃねーよ。」
茶髪で黒い肌の少女が二人、こちらに向かって走ってくるのが見えた。見たところ小学四、五年生位であろう。
「あらあら。悪い子のお姉ちゃん達ね。ちょうどよかったわ。あなた達も連帯責任よ。」
女はそう呟くと、先程と同じように二人の少女に向かってウインクをした。
すると、彼女達も妹と同様に、虚ろな表情のまま気をつけの姿勢になった。同時に彼女達の服も脱げて、生まれたままの姿をさらけ出していた。
二人の少女の体が円柱状に変わってきた。その過程で円柱の内部を貫通するように、彼女達の頭部から穴が出来始めた。円柱状の体の中で足だけは大きく広がり、その中も空洞になっていた。また、妹と同じくその体も茶色一色に染まってきた。
変化が終わった二人の少女は、茶色の一対のブーツになっていた。
モノに変わった三姉妹を見て笑みを浮かべると、女はその母親の方に視線を移した。
娘達に起こった異常にも気付かずに、ギャル母はまだ友人とのお喋りをしていた。
女は二人に近付くと、彼女達に向けてパチンと指を鳴らす。
「「ヒィッ!」」
と、彼女達は、娘達と同じように直立姿勢のまま硬直してしまった。同時に服もなくなり、黒い肌を周囲にさらけ出している。ただ、意識があるためか二人とも驚いたような表情を浮かべている。
「子供の粗相は親の責任よ。あなたもモノにおなりなさい。ついでにそのお友達も同罪ね。」
女はその言葉とともに、もう一度指を鳴らした。
「ヒィィィ!! なにこれっ!?」
「イヤアアアアア!」
悲鳴とともにギャル母と友人はその体が変化していく。変化の過程で色は茶色一色に染まっていく。しばらくして、二人の黒ギャルは、ふかふかの上着とズボンに変化してしまった。
女は、上着を手に取ると、満足そうに微笑んだ。
「ふふ…。これで全部揃ったわね。ちょうどいい娘達が見つかってほんと良かったわ。」
女は上着とズボンを持っていた紙袋に押し込んだ。そして、それと既にブーツや帽子を入れてある紙袋を持つと、その場を去っていった。


(5)

同時刻。
同じショッピングモールの小物売り場で、二人の女子中学生が商品を物色していた。
「ねえ、これなんかどう?」
「え〜? 高いよ。私そんなお金もってないよ。」
二人は制服姿で、黒い襟に白のラインが二本入った白いセーラー服に黒のスカートを履き、白の靴下を履いている。一方は黒い髪を二箇所で縛ってお下げにしており、もう一方は黒髪を後頭部でポニーテールにまとめている。二人とも実に可愛らしく、また髪型以外はよく似ている。恐らく双子なのだろう。
と、そこに小さな人影が近付いてきた。小学校低学年と思われる小柄な少女である。黒い髪を上の方で左右二つにまとめており、走るたびにそれがぴこぴこ揺れて、実に愛らしい。
少女は女子中学生らの側によると、お下げの中学生のスカートの端を引っ張って言う。
「ねえ、せーらーふくのおねえちゃんたち。おねがいきいてもらってもいい?」
突然のことで戸惑った表情で顔を見合わせる双子達。少女は構わず続ける。
「あのね。あ〜ちゃんねえ、あったかいくつしたをさがしてるの。」
「え? 靴下なら、あっちに…。」
お下げの女子中学生は、靴下売り場の方を指差す。しかし、少女は納得いかないという表情をする。
「ちがうよ。あ〜ちゃんがほしいくつしたは、おねえちゃん!」
「ええっ? もしかして私の履いてる靴下が欲しいの?」
彼女は戸惑いながらも、自分の足を包んでいる白の靴下を指差す。少女は違うといわんばかりに頬を膨らます。そして、怒鳴りつけるように言った。
「だ〜か〜らぁ、ちがうってば! おねえちゃんがくつしたになるの!」
「ヒィッ!?」
少女の言葉が終わった直後、お下げの女子中学生に異変が起こった。両目は大きく見開かれ、開かれた口の奥の歯は食い縛られている。彼女の体は直立不動のまま、ピクピクと痙攣していた。
その様子を見て少女は、その外見にそぐわない邪悪な笑みを浮かべた。その両目が怪しい光を放っているのだが、硬直している女子中学生も、それを呆然と見ているもう一人も気付くことはなかった。
「さ〜て、じゃあおねえちゃん。くつしたになってぇ〜〜〜。」
「ヒィィ!」
短い悲鳴を発した直後、女子中学生に変化が起こり始めた。
まず、女子中学生の頭部が後ろに反り返り、その口が「あ」の音を発音するときのように大きく開いた。それは開口できる限界を越えて、まさに顔全体が口になるまで開いた。
次に、女子中学生の上半身が前に曲がり、ちょうど平仮名の「く」の字のような体勢になった。そのまま、彼女の体から厚みが少しずつ失われていった。同時にその体の形状も変化していく。上半身は体の凹凸がなくなって寸胴型に、下半身は足を入れられるような形の袋状に変わっていった。変化の過程で、女子中学生の髪や肌、制服は、その模様が簡略化されて靴下の模様になりつつあった。
時間にして1分も経たないうちに、女子中学生は一足の靴下となってしまった。膝下くらいまでのハイソックスであった。その柄はセーラー服の黒や白、肌色など、変化前の女子中学生を簡略化したような模様になっていた。
変化の一部始終を見ていた少女は満面の笑顔をして、奇妙な柄の靴下に駆け寄った。
「えへへ〜〜。おねえちゃんくつしたのできあがりだね〜。」
そう言って靴下を手に取ると、靴下の足を入れる口の部分、女子中学生の口だった部分を大きく広げて、その中に自分の手を入れた。
「うわ〜。なかもきもちい〜。あったか〜い。よかったね〜、おねえちゃん。こんないいくつしたにしてもらえて〜〜。」
無邪気な笑顔を浮かべて、かつて女子中学生だった靴下をもてあそんでいた少女だったが、ふと視線を後ろに向けると、この中学生と同じ顔の黒髪ポニーテールの少女が目に入った。
「お…、お姉ちゃん…が、く…靴下に…?」
ポニーテールの女子中学生は目を見開いてガタガタと震えていた。姉が変わりゆく光景を目の当たりにしたのだから、無理もない。少女は、妹を見て思い出したように言う。
「あ、そうか。いっそくじゃたりないよね。くつしたはふたつなきゃね。というわけで、おねえちゃんもあ〜ちゃんのためにくつしたになってね!」
「ヒッ! ヒィィィィ!」
自分の身の危険を感じたポニーテールの妹は、悲鳴をあげながらその場から逃げようとした。しかし、少女の不思議な力でそれは叶わず、体が硬直してしまった。そして、姉と同じような変化を遂げて、姉と同じ柄の靴下になってしまった。
「えへへ〜。これでじゅんびかんりょーだねっ!」
少女はそういうと、奇妙な柄の靴下を持ってその場から去っていった。


(続く)

[159] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 3 Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:11
(続き)


(6)

同時刻。
同ショッピングモールの1階広場にて。
制服姿の女子高生達が大声で下品にはしゃいでいた。
彼女らは、皆、だらしなく着た白いブラウスの上から明るい紺色のブレザーをこれまただらしなく着て、短い紺色のスカートからのびる足を白のルーズソックスで包んだ姿である。
恐らく、学校の補修帰りにクリスマスプレゼントでも買いにきたのだろう。
と、彼女達が散り散りに分かれた。各自自由行動で、また後で合流するのだろう。女子高生達はそれぞれ思い思いの方向へ別れていった。
と、先程から女子高生達を見つめる視線があった。
彼女達の後方の柱、その影から高校生位の少年がじっと見つめていた。
中性的な顔に丸いレンズの眼鏡をかけた、大人しそうな雰囲気の少年であった。
女子高生達が立ち去ると、眼鏡の少年は、携帯電話を取り出すとどこかへかけた。
「もしもし…。Dさんですか? ええ、僕です。…そうです。ちょうどいい娘達を見つけました。…はい、では一人を僕が使いますんで、あとをお願いします。Oさん達にも伝えてください。…では。」
少年は電話を切ると、女子高生達の紺色の背中を見つめて静かに呟いた。
「…では、仕事を始めるとしますか…。」


その数分後。
「う〜ん。彼氏へのプレゼントどれにしようか。」
モール内にある小物売り店で、先程の女子高生の一人が商品を物色していた。
体の大き目な黒い髪の地味目の少女で、先程の女子高生達の会話から、彼女はメグミという名前のようである。
メグミが彼へのプレゼントをあれこれ悩んでいたそのとき、
「あの…、すいません。
眼鏡をかけた温厚そうな少年がメグミに声をかけてきた。メグミは思わず少年の方を向く。と、
「あ…れ…?」
二人の視線があった瞬間、メグミの動きがピタッと止まった。まるで催眠術にもかかったかのように、メグミはトロンとした目、半開きの口といった虚ろな顔をしている。彼女の持っていた荷物が床にトンと落ちた。
彼女の様子を確認した少年は、懐から紙に包まれたものを取り出す。そして包み紙の中の赤い飴玉を手に取り、メグミに向けて言った。
「はい。おいしい飴あげるから、口開けてね〜。」
メグミは何の抵抗もなく、大きく口を開けた。その中に飴玉が転がり込んでいく。虚ろの表情のままぺろぺろと飴玉を舐めるメグミ。しばらくそうして舐めていたが、
「フヒィィッ!?」
メグミが目を大きく見開き、小さな悲鳴を漏らした。しばらくそのまま固まっていたメグミだったが、
「ヒッ、ヒィィィィィィィ!」
突如、悲痛な叫び声をあげて、両手で胸を押さえた。そのまま前屈みの体勢になったメグミの体は、ピクピクと小刻みに震え始めた。地味目だが可愛い方といわれるメグミの顔は、異様な苦しみによって、眉間に皺を寄せ、目を強く閉じ、歯をきつく食い縛り、苦痛に歪んでいた。顔や手、太腿からは大量の脂汗が噴出していた。
「うああアアあアアあア! 苦しいぃぃいぃ! ヒイイィィイィイィ!」
メグミは、悲痛な声をあげ、顔を脂汗で汗だくにしながら大柄な体を震わせていた。そんなメグミを前に、眼鏡の少年は微笑みを崩さず、彼女が悶え苦しむ様子をじっと見つめていた。そして、メグミに向けて指をパチンと鳴らした。
「ヒーーーーーッ!」
大きな悲鳴をあげたメグミは、胸を押さえていた両腕を体の側面に沿ってだらんと下ろし、背筋をピンと伸ばした直立姿勢を取った。すると、メグミの大きな体から厚みが失われ始めた。まるで、見えない壁に前後から押し潰されているかのように、彼女の体は少しずつ薄くなっていった。
それと同時に、メグミの全身から少女の持つ体の丸みが失われ、徐々に角張ってきた。彼女の体の形が縦に細長い長方形に整形されてきていた。丸みを帯びていた顔は四角く変化し、顔のパーツも全て簡略化された絵と化し、手は指同士が癒着し肌色の一塊に、足は左右が癒着して一枚の厚い帯のようになってしまった。
メグミの体は更に薄くなっていった。厚みがなくなるごとにメグミの胴体がその長さを増し、反対に手足は胴体に収納されるように短くなっていった。その過程で、ブレザーの紺色がメグミのブラウスや校章などを飲み込んで、メグミを紺色一色に染め上げてしまった。そして、手足が完全になくなったころ、元の面影をすっかり失くしてしまった四角い頭部が、紺色の体に引き込まれて消えた。
変化を終えたメグミの体は床にヒラヒラと舞い降りた。メグミは自分の着ていたブレザーの紺色一色で無地の細長い布となってしまっていた。
床に横たわるメグミの成れの果てを、少年はじっと見つめた。
「ふう。これで第一段階終了っと。いつもの『仕事』だとこの反物で完成なんだけど、今日はもう一工程やらないとね。」
誰に言うともなしに呟いた少年は、懐から小瓶を取り出す。そして、蓋を開けて中に入っていた粉をメグミの反物に振り掛けた。
すると、縦に細長かった反物の幅が少しずつ広がっていき、長さと変わらないくらいの正方形の紺色の布になった。また、反物の厚みが少し増えたような感じになった。
「ん。できた。これでOK。」
眼鏡の少年は小瓶を懐に戻すと、紺色の布を手に取り、それの一辺を持つと上下に大きく広げた。ぽっかりと空いた大きな口が見える。メグミは反物から大きな紺色の袋になったようだ。
「さて、僕の役目はこれで終わり。後はおまかせしますよ…。」
反物を巻くかのようにできあがった袋を器用にくるくると巻いて紙袋に入れると、眼鏡の少年は人ごみの中に消えていった。



(7)

ほぼ同時刻。
同ショッピングモール内のハンバーガーショップ前に、少女が一人立っていた。
茶色の髪をツインテールにした、吊り目の気の強そうな高校生位の少女である。
彼女は容姿こそ可愛らしいのだが、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。
と、少女がある方向へ視線を向けた。
そちらから二人の女子高生がこちらに歩いてくるのが見えた。
一方は、黄色に近い茶髪に黒い肌といかにもコギャルといった容姿である。もう一方は、肌こそ透き通るような白であるが、ウェーブのかかった茶髪に派手な化粧とこちらも真面目な女子高生とは程遠い外見である。会話の内容から黒肌がユウコ、白肌がシオリという名前のようである。
どうやら、先程連絡を受けた女子高生達らしい。恐らく、後で集まって談笑する場所を探しに来たのだろう。
それを確認した少女は持っていた紙袋から大きな水筒を取り出した。そしてその水筒の蓋を開けると、女子高生達に口を向けて、何やらもごもごと口ずさみ始めた。そして最後にシオリの名を口にした。
「えっ? 何これ?」
と、突然シオリの体が宙に浮いた。自分の身に起こった異常事態に呆然としているシオリ。
「シ、シオリ?」
突然のことに隣にいたユウコも状況を掴めないでいる。
ツインテールの少女は、水筒の口をシオリに向けると、指先でトンと水筒のボディを叩いた。
「ああああああああああああああッ!」
直後、シオリが頭から水筒に吸い込まれ始めた。小さな子供でも入れないような小さな入口に、それより大きなシオリの体が吸い込まれていく。膝まで飲み込まれてしまったシオリは、ルーズソックスを履いた足をばたばたさせるが、抵抗も虚しく、シオリの体は完全に水筒に吸い込まれてしまった。
それを確認すると、ツインテールの少女は水筒の蓋を閉めた。中からシオリの助けを求める声がした。
「出してぇ。ここから出してぇ〜〜。」
シオリのその声はもちろん少女にも聞こえていたが、彼女はそれを無視して水筒を振り始めた。振り続けているうちに、シオリの声がだんだん小さくなっていった。同時にチャプチャプと水のような音がし始めた。シオリの声が聞こえなくなると、少女は蓋を開け中を確認する。
中にはドロッとした白い液体が入っていた。液体には紺色や茶色が混ざり、濁った白となっていた。
少女は蓋を閉じて再度振り始める。しばらくそうしていたのち、再び蓋を開けて中身を見る。
水筒の中の液体は、透き通るような綺麗な白になっていた。また、先程確認したときはドロッとした感じだったが、今後は滑らかな感じになっている。
「フフ…。いいミルクができたわ。」
少女はそれを見て笑みを浮かべると、水筒の蓋を閉じる。そして、まだ状況が把握できていないユウコに体を向けて、静かに言った。
「さて、次はあなたね…。」
「ヒッ! ヒィィッ!」
身の危険を感じたユウコは慌てて逃げ出そうとするが、時すでに遅し。ユウコの体は気をつけの姿勢のまま硬直して動かなくなってしまった。
「ヒィィィ。おい、やめてくれ。助けてくれーーッ!」
涙と鼻水を流しながら懇願するユウコに向けて、少女は指を鳴らした。
「ヒィッ!」
ユウコが硬直したまま前に倒れ、ショッピングモールの床にうつぶせになった。そして、彼女の変化が始まった。
ユウコの紺色の制服に包まれた大きな背中とお尻が全体的に四角形になってきた。その過程で、ユウコの黒い顔や脚が彼女の胴体に引き込まれるように消えていった。体の側面に張り付いていた腕も胴体と一体化した。形の変化が終わったユウコは、紺色一色の大きな直方体の板のような姿になっていた。
次に、直方体が少しずつ押さえつけられていく。高さが低くなるにつれ、幅と長さがその分増していった。その変化は高さが5cm位になって止まった。同時にユウコから甘い香りが漂い始めていた。変化が止まったユウコは、先程より薄く広がった固そうな見た目の紺色の板のような形状となった。
変化の一部始終を見ていた少女は、ナイフを取り出すと紺色の板に刃を入れた。固そうに見えたそれは意外と柔らかく、すっとナイフで切ることができた。少女は板から小さな直方体を切り取ると、荷物として持っていた紙皿に乗せた。
ユウコは甘い香りのケーキと化してしまった。外側の紺色は表面をコーティングしていただけのようで、中は綺麗な茶色となっている。恐らくチョコレートケーキなのだろう。その色はユウコの肌の色を思わせる色であった。
「フフ…。美味しいケーキとミルク、これで用意はできたわね…。」
ツインテールの少女は微笑むと、小さな箱を取り出した。箱を蓋を開けてユウコケーキに向けると、シオリと同じようにケーキが箱に入っていった。そして、ケーキが入ったのを確認すると、少女はその場を立ち去った。


(続く)

[160] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 4 Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:11
(続き)


(8)


同時刻。
ショッピングモールの女子トイレ。
「ちょっとぉ〜、早くしてよ。」
「ちょっ。もう少し待ってよ〜。」
先程の女子高生のうちの一人が、洗面所で前髪をいじっていた。もう一人がそれを見て早くするように促している。
洗面所で前髪をいじっているのが、黒髪ショートカットのセイコ、そして、セイコを促している茶髪のショートカットがカズヨである。運動部に属しているのか、二人とも女子高生にしては体が大きく、背中、肩幅とともに広いがっしりとした体型である。
「もう、先行…。」
「どうしたの? カズヨ。」
待ちきれなくなったのか先にトイレを出ようとするカズヨだったが、何故か足を止めた。友人の不可解な行動に彼女の方を向くセイコ。
二人の女子高生の視線の先には、二人の男がいた。長めの髪を後頭部でちょんまげのように結った、長身で眼鏡の若い青年と、ベージュのコートを羽織って杖をついた、温和そうな白髪の老人である。いずれも本来こんな場所にいてはいけない人間である。二人はじっと女子高生達を見つめていた。
「ちょっ、ちょっと何なんですか!?」
「ここは、女子トイレですよ! 人呼びますよ!」
我に帰ったセイコとカズヨは抗議をするが、女子高生達の声など聞いていないかのように、青年と老人は彼女達を物色するように眺めている。
「Uくんの言ってた女子高生ってこの娘達みたいですね…。Oさん、どう思います? 私はいいと思いますが…。」
「ふぉふぉ。そうじゃのう。がっしりしていて結構いい『素材』じゃのう。こりゃいいものが出来そうじゃわい。」
「ならば、いきますか。」
長身の青年は両腕をあげ、業を煮やして二人の間を強引に抜けようと近付いてきた女子高生達に向かって、指を鳴らした。
「「ヒィッ!!」」
女子高生達の体がビクッと震え、そして硬直したように動かなくなった。彼女達は目を見開いた驚愕の表情をしていた。そのまましばらく硬直していたが、やがて異変はやってきた。
「ヒィィィッ! 助けてェェェェッ!!」
「く、苦しいィィィィィィィィィィッ!!」
セイコとカズヨが手で胸を押さえて、悶え苦しみ始めた。ブレザーに包まれた大きな体はビクビクと痙攣している。眉間に皺が出るほど目をきつく閉じ、歯を食い縛った顔は、元の面影がない程に歪んでいる。それだけ苦痛なのだろう。女子高生達の肌からは大量の脂汗が噴き出て、トイレの床を黒く濡らしていた。
「イイイイイイイイイイ!」
「アアアアアアアアアア!」
と、女子高生達の体の震えが強くなったかと思うと、床に膝をつき、そのまま前に倒れ、両手で体を支えた姿勢になった。いわゆる四つん這いの体勢であった。紺色の大きな背中を上に向け、ガクガクと震えながら、セイコとカズヨは悶え苦しんでいた。
と、ここで笑みを浮かべて女子高生達の苦しむ様子を眺めていた二人の男が行動に出た。
「フフフ。もういい頃合いですね。Oさん、どちらにしますか?」
「ふぉふぉ。ならばワシは茶髪の方にしようかの。こっちが柔らかそうじゃし。」
「でしたら私は頑丈そうな黒髪の方ですね。では、早速『加工』しますか…。」
そう言うと、長身の青年はセイコ、白髪の老人はカズヨに近付いていった。


「さてさて、あなたの担当は私がしますね。」
「あ、あたし…たちに、な…、何をする気…なの……?」
四つん這いのセイコは、その身を震わせながら尋ねた。
「まあ、それはやってからのお楽しみということで…。では、始めましょうか。」
青年はセイコの側に立つと、懐から小瓶を取り出した。そして蓋を開け、中に入っていた桃色の粉を一つまみすると、セイコの背中に振り掛けた。振り掛けた粉は彼女の背中に着くと、その体に沈みこむように消えていった。
「ちょっ、ちょっと!」
それを確認した青年は、小瓶を傾けて中の粉を振り掛けた。桃色の粉が宙を舞い、セイコの全身に満遍なく振り掛かる。
「やッ! やめてェッ!」
セイコの叫びを無視して、青年は全ての粉を目の前で四つん這いになっている女子高生に振り掛けた。自由の効かない体に異様なものをかけられていたセイコは、ひどく狼狽していた。
「こっ、これは一体なんなの? あたしに何をかけたの?」
「ん? まあ、言ってみれば『魔法の粉』ですね。」
「魔法の粉?」
怪訝な顔をするセイコに、青年などこか不気味な笑みを浮かべて答えた。
「そ。これをかけた女の子を、モノに生まれ変わらせることができる粉なんだよ。」
「!? モ、モノに!?」
セイコがそう叫んだときに、彼女の体に異変が起こった。四つん這いのセイコの全身がビクッと震えたのであった。その直後、
「ああああああ!! く、苦しいよぉぉぉぉっ!!」
セイコの体の震えがかなり強くなった。顔は苦しみの為異常なまでに歪み、肌から流れる脂汗も尋常じゃなくなる位になっていた。
「イ、イヤアアアア! モノになんかなりたくないッ!! たッ! 助けてェッ!!」
悶え苦しみながら命乞いをするセイコを見て、青年はただあの笑みを浮かべているだけであった。そして、彼女に向けて静かに言った。
「フフフ。では、モノになってくださいね。」
「ヒーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
大きな悲鳴とともにセイコの変化は始まった。セイコの腕が肘で曲がり、ちょうど肘と膝で四つん這いをしているような格好になった。
と、セイコの大きな紺色の背中が少しずつ大きくなっていった。その過程で彼女の背中が四角くなり大きな板のようになった。背中に整地されたように綺麗に平らになっていた。
次に、変化した胴体が少しずつ高くなっていった。具体的にはセイコの背中の四角形から少し小さな四角形を分けるように、その小さな四角形の外側が高くなっていった。
同時に、セイコの腕と足にも変化は起こっていた。腕と足が徐々に薄くなっていった。その中で腕と足がくっつき左右一枚ずつの細長い板のようになった。手であった先端は上に向かって軽いカーブを描いていた。また、二の腕と太腿は細くしかし丈夫になり、紺色の板の胴体と細長い板の両腕両足とを繋いでいた。
最後に、残った頭部が変形した紺色の胴体にゆっくりと飲み込まれていった。それが完全に消えたころ、青年はふうと溜息をついた。
「フフ…。やっと完成ですね。結構いいモノになりましたね。」
セイコは、一台のソリになってしまった。ソリの土台部分はセイコの制服の色である明るい紺色で彩られていた。そして、スキー板はセイコの腕と足を一枚にまとめた、紺色と白、肌色と不思議な柄になっていた。土台と板を支える棒は紺色と肌色に分かれていた。
ソリは、変化して間もないのかビクビクと痙攣するように震えていたが、やがてそれも収まり、ただのソリと化してしまった。


「さて、お嬢ちゃん。始めようかの…。」
「……始める? な、なに…を……?」
老人の言葉にカズヨは震えながらも片目を開けて、老人を見た。
「ふぉふぉふぉ。そんな心配するでない。できるだけ痛くないようにやってやるでの。」
老人はそう言うと、カズヨの背中に手を乗せて力を入れた。
「ヒィッ!」
カズヨの腕が曲がり、四つん這いの体勢から高さが低くなる。
「次はこっちじゃ。」
老人がカズヨの尻を軽く掴んで上に向けて引っ張ると、粘土を引っ張るかのようにカズヨの尻が大きく伸びた。
「ほっほ、よく伸びたのう。では形を整えるとするか。」
斜め上に向かって長く伸びた尻に手をかざすと、尻の形が四角くなり、板のような感じになった。
「厚みもよくせんとのお…。」
板のように変化した尻に手をあてると、その厚さがちょうどいい感じに変化した。
「ふう。とりあえずこっちはこれで良し。」
カズヨの尻は大きな紺色の板のようになっていた。そこには制服のスカートの襞が縦線の模様のように入っていた。
「ヒィィ。わ、私のお尻が…。」
自分の身に起こったことが信じられないというように、カズヨはガタガタと震えていた。そんなカズヨの正面に老人は周ると、両手をかざして言った。
「次はこっちじゃな。始めよう。」
「イ…イヤアアアア!」
カズヨの大きな背中が縦に縮まり始めた。そして、カズヨの肩幅と同じ位の長さで止まった。その過程で背中のわずかな凹凸が整形されて、カズヨの背中を紺色の平面としてしまった。
胴体は前後にも伸び始め、カズヨの腹と床の間の空きを詰めてしまった。その中で両腕と両足は胴体と一体化していた。
「ふぉふぉふぉ、これで良し。」
老人は手を止めて、変形してしまったカズヨを見た。
カズヨは大きな椅子へと変化していた。背中が腰掛部分、尻が背もたれ部分になった椅子であった。色はカズヨの制服と同じ紺色で、背もたれ部分は彼女のスカートの襞が模様となり、いくつもの縦線が等間隔で引かれていた。
満足そうに見ていた老人だが、あることに気付いた。
「た…、たす…たすけ……。」
椅子の腰掛部分の先にカズヨの頭部があった。涙と鼻水を垂れ流しながら必死で助けを求めている。
「おうおう、忘れておったわい。さてと…。」
老人はカズヨの顔の前に座ると、彼女の鼻先を指で押した。
「や、やめっ! ヒーーーーッ!!」
カズヨの頭部がゆっくりと紺色の腰掛の中に沈んでいく。抗うこともできずにカズヨの頭部は消えていき、腰掛部分に描かれた絵のようになった。眉間に皺を寄せ、目をきつく閉じ、歯を食い縛った顔であった。
次に老人はその顔の前で指を左右に振った。すると、カズヨの顔の絵が左右に伸びていき、縦には縮んでいった。そして、カズヨの顔は紺色の腰掛部分の模様となってしまった。肌色と白の縞模様という彼女の歯とそれ以外でできた模様であった。


「ふう、やっと出来たぞ。」
「ああ、Oさん終わったんですか。こっちもいいモノができましたよ。」
「おお、これはなかなかいいモノになったのう。これは楽しみじゃわい。」
「では、いきますか。」
「うむ…。」
紺色のソリと紺色の椅子を軽々と抱えて、男達は女子トイレから去っていった。


(続く)

[161] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 5 Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:12
(続き)


(9)


次の日。
日が落ちて外は真っ暗となり、しんしんと雪が降っていた。
郊外に佇む老人の家に、何人もの人間が集まった。皆あの時寂れた神社にいた面々である。
皆の顔を見回してから、長身の男が話し始めた。
「さて、では皆さん。各自頼んだものをお願いしますね。」
「じゃあ、まず私から。今年使う仕事の服用意しましたよ。上着とズボン、後は帽子とブーツね。色揃えるの大変だったのよ。」
ロングヘアーの女性が、サンタクロース用の衣装を渡す。
「ん。私はこのカイロだ。この時期は寒さがさぞ身に堪えるだろうからな。大量に用意したから
と、白衣の男が様々な模様のカイロを出す。
「はいはいは〜〜い! あ〜ちゃんはねえ〜、このくつしたあげるぅ〜〜。どんなにさむくても、これであしはぬくぬくだよぉ〜〜。」
小柄な少女が、奇妙な柄の靴下を手渡す。
「僕は、プレゼントを入れる袋です。できるだけ破れにくいものを用意しました。」
眼鏡の少年が大きな紺色の袋を取り出す。
「あたしはモノじゃないんですが…、元気をつけて貰おうと思って、ケーキとミルクを用意しました。ケーキは表面を別色でコーティングしてますけど、チョコケーキですからね。ミルクはよく温まってますよ。」
ツインテールの少女が差し出したミルクを飲んだ老人は、
「おお、みんな。ありがとう…。」
「お礼を言うのは早いですよ。まだ、一番大事なものが残ってますからね。さあ、外へ…。」
長身の男に促されるまま外に出た老人は、驚きに目を見開いた。
赤い毛と青い毛をした二匹のトナカイに引かれるように、明るい紺色を基調としたサンタクロース用のソリが目の前にあった。ソリには紺色の椅子が付けられている。
「今年使うソリですよ。何とか頑丈な土台といい椅子の素材が見つかったんで。それを私とOさんで加工して…。」
「それを、俺が組み立てたって訳よ。」
長身の男の台詞を、中年のいかつい男が引きついだ。
「ちなみに、トナカイを用意したのは私ですよ。」
最後にウィンクしながら老女が言った。
「皆…。」
呟く老人の前に立って、長身の男が言った。
「ご隠居は私達より遥かに仕事歴が長い。それ故私達では到底計り知れないことがあったのでしょう。ですが、余り一人で悩まれないで下さい。私達にとってご隠居は大事な同士なのですから。」
老人はしばらくうつむいていたが、ゆっくりと顔をあげた。その顔は小さい子供のように涙でグシャグシャになっていた。
「おう…、おう、本当にありがとう。ワシごときのためにここまで骨を折ってくれて…。今まで、世間によいクリスマスをと思って毎年働いてきたんじゃが、年々体も弱くなってくるし、今年から止めにしようと思ってたんじゃが、これでしばらくは仕事を続けることができるわい…。本当にありがとう…。」
白髭の老人は、涙を流しながら何度も頭を下げる。
「おじ〜ちゃん、なかないでよ。あ〜ちゃんまでなけてきちゃうよぉ。」
「ふぉふぉ。聖夜の悪魔と呼ばれた”ブラウンサンタ”の名が泣くぞい。」
「聖夜の悪魔も中身は人間ってことかい。」
サンタの涙に集まった皆がそれぞれ声をかける。皆にこやかな表情を浮かべていた。
と、長身の男が軽く咳払いをする。その手には液体の入ったグラスが握られていた。
「では、我らがブラウンサンタの復活を記念しまして…。ちょっと早いですが、メリークリスマス!!」
その声に皆の声が響き渡る。少し早いクリスマスパーティが始まった。

今年もまた、茶色の服のサンタクロースの手によって、悪い子達はモノに変えられてしまう、という事件が人知れず起こり、そして『悪い子をモノに変えてプレゼントにしてしまうサンタクロース、ブラウンサンタ』の噂がクリスマスの夜に広がってゆくことになるのであるが、それはまた別のお話…。


End

[162] 女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 後書き Name:メダぱに団 2010/12/26(日) 07:13


以上です。
久々のお話でしたが、楽しく読んで頂けましたでしょうか。
誤字や脱字、文法上の間違い等ございましたが、ご指摘下さい。

昨年のクリスマスのお話を読んで下さった方はご存知かと思いますが、
今回のはそのときに登場したブラウンサンタのお話です。
例のごとくほぼ全部物品化です。
変化の数はやたらと多いですが、その分一回一回が淡白になっているところが多いです。
いろいろやりたかった状態変化を一気に詰め込んだ結果。こんなことになりました。
過去でやったような変化も結構あります。

あと、今回は別の回でお話した「整形師」達が一斉に登場しております。
設定上ですと、彼らは「女性を物品に加工して、それを販売して生計を立てている」人達です。
いずれ出すつもりでしたが、今年の執筆ペースですといつになるか分からないと思い、
とりあえず顔見せということで今回登場させました。
なお、整形師は皆アルファベット一文字で呼び合っていることが多いです。(D、O、Uなど)

もうすぐ2011年になります。
このご時勢、先行きが不安ですが、色々と実りある一年にしたいと思ってます。
……あ、テレビを地デジ対応にしないと…。

それでは、
皆様にとって2011年が良い年でありますように。
では…。

[163] RE:女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 前書き Name:トキ 2010/12/27(月) 02:12
おおっ〜、新作お疲れです
非常に多彩かつ、信じられない程の多いさ…
テンション上がりまくりでした
これだけの量の多さ、さぞ大変だったでしょう
しかもこれだけのバラエティ
私には無理です

クリスマスに似合った(?)腹黒満点のSS
お疲れさまでした

[164] RE:女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 Name:ハム 2010/12/27(月) 02:40
新作を読ませてもらいました。
これだけの物を書くとなると、かなりの時間が掛かったのでは?
前回みたいに、プレゼント系で来るかと思ったら、これは以外でした。
大変お疲れ様でした。

[183] RE:女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 前書き Name:名無し 2010/12/28(火) 02:20
今年も大作になりましたね。
今回は獣化がいい感じにアクセントになってるような気がします。
状態変化に入るかどうかは謎ですけどね。
これでようやく今年のクリスマスが来たような気がします。
また来年もよろしくお願いします。


[184] RE:女変奇譚すぺ〜クリスマス奇譚 Name:板図らっこ HOME 2010/12/29(水) 20:34
 いやぁー、楽しませてもらいました、ありがとうございますw
 これだけの長さのお話をクリスマスという期限内、そして途中で投げ出さない(これ重要!)で書けるというのはとても難しいし、凄い事だと思います。
 どの話も本当に良く出来ていて、どの状態変化もしっかりと萌えさせていただきましたwありがとうございます。

 もう2010年も終わりですね。2011年にも、ブラウンサンタがどこかの家に(じ、自分以外の家に!性格が悪くても可愛い子の家に!!)行くように期待しましょうw ……欲張りすぎですかね?
 それでは、良いお年をー。


[186] ご感想有難うございます Name:メダぱに団 2010/12/31(金) 05:58
ご感想大変有難うございます。
昨年ほどではないですが、今回も見事に長くなりました。
肝心の変化も数がやたらと多い分、変化シーンは結構適当になってしまいました。
今年は私事で忙しく、数える程しかお話を書けませんでした。
だから、色々入れたくて、こんなに長くなったんだと思います。
やっぱり、時間を見つけてちょいちょい書いていかないといけませんね…。


>>トキさん
いつも投稿させて頂きまして有難うございます。

>これだけの量の多さ、さぞ大変だったでしょう
見た感じは長いですが、変化表現などは過去作からのコピペが結構ありますので、そういう面ではそこまできつくはなかったです。
ただ、文章の表現力に乏しいので、似たような言い回しが多くなってしまい、それをどう変えていくかが大変でした。
…あまり変わってませんけどw(言った、呟いた、笑みを浮かべて、微笑んで…などなど)

>しかもこれだけのバラエティ
>私には無理です
いえいえ。面白いゲームを作られているではありませんか。
絵も上手でお話も面白く、ゲームを作る知識も力もある…。非情に羨ましいですw
正直に言って、どれか少しだけでも分けて欲しい…ww

来年も、またこちらの投稿掲示板をお借りするかと思いますが、そのときは宜しくお願いします。


>>ハムさん
どうも有難うございます。
お話の筋が決まったのがクリスマスの週の頭くらいでしたので、実際に書いたのは1週間位でした。
最後は、日が変わってから外が明るくなるまでの間に半分位を一気に書いたんで、日曜日だったとはいえ、その日はきつかったですww

>前回みたいに、プレゼント系で来るかと思ったら、これは以外でした。
当初はプレゼント系のお話でいこうかと思ったんですがね。
ある程度筋が決まってきたところで今回の形式が思い浮かび、急遽変更した次第です。

では、感想有難うございました。


>>名無しさん
いつも読んでいただきまして、有難うございます。
獣化は初めてやったので、結構適当になってしまったのですが、そう言って頂けてほっとしております。
状態変化には入る…のかな? 変化してることは間違いないのですけどね…。

>これでようやく今年のクリスマスが来たような気がします。
そう言って頂けた事を凄く嬉しく思います。

それでは、ご感想有難うございました。


>>らっこさん
有難うございます。
折角お褒めの言葉を頂いた後に言いにくいのですが、…期限過ぎてしまってますw
それに、今回は何とか書き上げましたが、途中で投げ出したものも多くありますw
ちょっと調べてみましたら、途中で放置してあるお話が100個近くありましたww
来年はこの溜まったブツを何とか完成させていきたいと思います。
…全部終わるのはいつになるんだろうか。

>どの話も本当に良く出来ていて、どの状態変化もしっかりと萌えさせていただきましたwありがとうございます。
いえいえ。変わり映えのしない制服JKの物品化中心ですが、そう言って頂ければ幸いです。

>2011年にも、ブラウンサンタがどこかの家に(じ、自分以外の家に!性格が悪くても可愛い子の家に!!)行くように期待しましょうw ……欲張りすぎですかね?
……来年も頑張らせて頂きますw(サンタでは無くなるかもしれませんが)

それでは、どうも有難うございました。


今年はあまりお話を投稿することができませんでしたので、2011年は、色々とお話をつくっていきたいと思います。
ただ、決して無理はせず、自分のできるペースで進めていこうと思ってます。
また、結構間が空くかもしれませんが、そのときは申し訳ありません。

2011年が皆様にとって素晴らしい年であることを願っております。
それでは、来年も宜しくお願い致します。

[174] ○○の砂 Name:ハム 2010/12/27(月) 03:05 [ 返信 ]
ここは、どこにでもある公園。その公園で楽しそうに一人で遊んでいる少女が居る

そんな少女の後ろから、一人の女性が話しかけた


「〜♪」「ねぇ…お砂は好き?」「うん。大好きだよ」「そう。だったら、これも好きかな?」

そう言うと、女性は鞄から小さな瓶を取り出す。その中にはキラキラと輝く粉のような物が入っていた

少女は、何だろうと思って振り返る。そして、その瓶を受け取るって眺める

「綺麗〜お砂?」「正解よ。でも特別な砂なのよね〜光にすかしてみて」

少女は、言われるがまま瓶を光に透かすと、中に入っている薄い青色の砂がキラキラと輝く

それを見て、少女は目を輝かせる。『凄い〜!凄い〜!』と嬉しそうに女性に何度も言う

女性は、それを笑顔で見続ける。あることを思いついたかのように少女にある提案をする

「ねぇ?これの作り方を知りたくない?」「え…教えてくれるの?」「本当は企業秘密なんだけど…特別にね」

女性はウインクをしながらそう言うと、少女は喜んで飛び跳ねる。その誘いが…


「じゃあね〜」「うん。バイバ〜イ」

私は友達と別れ、家へと帰ろうとした時に公園の前を通りかかる。そこで砂場に居る久美ちゃんと大人の女性が話をしているのに気がつく

誰だろ?知り合いの人かな〜?もしかして…

足を止めて公園の入り口へと向かう。その時は、何かモヤモヤしたものが胸の辺りにあったからだった

[175] ○○の砂 そのA Name:ハム 2010/12/27(月) 03:06
女性は、少女から瓶を受け取って鞄にしまって別の空瓶を取りだす

「これを使うのよ」「他に何も使わないの?」

少女が不思議そうに問いかけるが、女性は『そうよと』と答える

女性は瓶を地面に置いて蓋を開ける。最初は、瓶の周囲の風だけが強くなりだす

次第に、少女の居る場所も辺りの風も強くなり始め、最終的には少女を宙に持ち上がる

「え…助けて〜お姉さ〜ん」

少女は、目に涙をためながら必死になって女性に手を伸ばすが、その光景を楽しそうに眺めている


あれ〜?この公園ってこんなに広かったかな〜?

足を止めて辺りを見渡して、首をかしげる。中に入って三十秒ともせずにすぐに行けるはずだ

今は、三分くらいは歩いているがまるで行き着く気配すらない

「だ〜!どうなってるのよ〜!」

そう叫んだ時に、耳に聞きなれた声が聞こえた気がする。気のせいかと思ったが、ゆっくりとそっちへと歩いて行く

何といったらいいのか判らないが、空間のゆがみ?のようなものがあることに気がつく

それにそっと手を触れると、バチッと弾かれる。手を見てみると、怪我はしていなかったが、少し黒ずんだ煤のような物がついていた

「何よ…これ…。いったい…この公園で何が…」

[176] ○○の砂 そのB Name:ハム 2010/12/27(月) 03:06
少女は、バタバタと手足を動かしてどうにかしようと必死になってもがく

女性は『もうじきね』と呟くと、少女の指先から少しずつ削りとられるかのように粉になってゆく

「い、イヤ〜。わ、わ…指…」「始まったわね」

少女の姿は徐々に砂へと姿を変える

「わ…わた…す……な…」「やっと理解したのね。でも…貴女なら必ず綺麗な砂になれるわよ」

女性がそう言うと、風はさらに勢いをまして少女を砂へと変えるの加速させる

「お……た……て」

最後には、少女が居た場所には着ていた服だけが残り、風がそれを遠くへと飛ばす

女性は満足そうに言うと瓶を持ち上げて、少女の方へと入り口を向ける

「さぁ…いらっしゃい」

風は、砂と一緒に瓶の中へと入って行く。すべての砂を取り込んだのを確認した女性は栓を閉める

瓶の中を満足そうに眺める。瓶の中には、薄らとピンク色の砂が入っていた

「やっぱり…汚れを知らない娘のって綺麗よね〜」

それだけ言うと、鞄にそれをしまって歩きだそうとした時、誰かに手を掴まれる

「待ちなさい…」「驚いた。ココまで来られる人が居るなんて」

[177] ○○の砂 そのC Name:ハム 2010/12/27(月) 03:09
「元に戻して!」「何を言ってるのかしら?」「しらばっくれないで!私は、全部見てたんだから」

私がそう言うと、彼女は驚いた表情すらしなかった。逆に人を見下した顔で、こっちを見てきた

その反応に意表をつかれて握った手を少し緩めてしまう

その隙を見逃してくれるような人じゃなく、今度は私の腕を掴んで地面に押さえ込まれる。そのまま上に乗られてしまう

「くっ…」「ココまで来たことは褒めてあげる。可愛そうにボロボロじゃない」

彼女はそう言うと、何やらブツブツと言いながら考え事をし始める。その間も私は必死にもがくがびくともしないかった

「そうか…貴女も能力者だったのね」「能力者…?」「そう!それも……敵対側のね」

何を言って…

「まぁ…力を持っていても、このざまじゃあね〜」

彼女は小ばかにしたように笑う。その笑い声を聞かされ、悔しさのあまり奥歯を噛み締める

「さ、貴女も同じように…」

彼女が、私の顔を上から下へとなでる

「私は…まだ……あきらめ…て」

私が薄れゆく意識の中で、最後に聞いた声は『お・や・す・み』だった


「すいません。これ下さい」「はい、千円です。確かに」

ここは、あの女が品を販売している露店だ。この露店の目玉は『匂い袋』だ

男性に大人気で、すぐに売切れてしまうと有名だ。その中身は、企業秘密だ

「今日も売れたわね〜。さすが、能力者だた一味も違うのかしらね」

首から下げた『匂い袋』と砂の入った小瓶を見ながら言う

「こんなに近くに居ても助けることすら出来ない。無力って罪よね〜」

そういってほくそ笑むのだった

[178] あとがき Name:ハム 2010/12/27(月) 03:17
また、ワンパターンな瓶系です(x_x;)シュン
星の砂を思い出して、なんとなく書いてみたんだけどね(^^ゞ
でも、女の子の粉が入った匂い袋って売れるのかな〜?

[170] クリスマスハウス Name:ハム 2010/12/27(月) 02:55 [ 返信 ]
「何を見てるんですか?」「あ〜これ?これは、サンタ袋よ」「サンタ…袋?」

マキは首を傾げる

「サンタの持っている袋ですか?」「何か物を入れれば望んだ物にしてくれって代物なのよ」」

マキは『へー』と驚いた顔をする

「貴女にあげるわ」「え?良いんですか?」「私に不要な物だから」

マキにその袋を渡すと、しばらくジッとその袋を眺めていたが何を思ったか、私にかぶせる

しばらくして、ぬいぐるみという無様な姿で袋の外へと吐きだされる

マキは、嬉しそうにそれを拾い上げギュッと抱きしめる。その瞬間、ぬいぐるみもまんざら悪くかな?と思った自分が居た

マキはそのままベットまで私を連れて行き、枕の横に置く

「今日は一緒に寝ましょうね〜」

マキは笑顔でそう言うとイソイソと着替えを始める。ぬいぐるみなので視線をそらす事も出来ず直視する形になってしまった

『や、役得だ〜!』と心の中で絶叫する

着替えを終えたマキは、イソイソと布団に入り私を再度抱きしめて『おやすみなさい』といって目を瞑る

[171] クリスマスハウス そのA Name:ハム 2010/12/27(月) 02:55
「起きて下さい。そろそろお時間ですよ」「ん…ん〜?」

私が目を開けるとカグヤが立っていた。辺りをゆっくりと見渡すがマキの姿はなった

「夢…?」「何がですか?」「え!?な、何でもないわよ…で、何の用事かしら?」

「準備が出来たので。お迎えにあがったんですよ。忘れてます?」

カグヤのその発言にキッと睨みつける。カグヤはビクッとし何度も平謝りをする

ホールでクリスマスのパーティをするのだったわね

「そうね〜。貴女に何か楽に…」「それだけは〜」「冗談よ。行きましょ」

[172] クリスマスハウス そのB Name:ハム 2010/12/27(月) 02:56
パーティが始まり、皆はそれぞれに楽しんでいた。マキが私の所へとやってきて、不恰好にラッピングされたプレゼントをさしだす

「開けてもいい?」「はい。でも…あまり期待は…」

中から出て来たのは、これまた不恰好なマフラーだった。マキはオドオドしていた

私は何も言わずに黙ってそれを首に巻き『有難う。嬉しいわ』とマキに告げる

マキは嬉しそうに笑う。カグヤも『良かったわね』と声をかけている

不器用なこの娘が頑張って作った物が嬉しくないわけ無いしね

「私からもあるのよ。プレゼント」「え?私にですか?」

黙って頷き、一つの箱をマキに手渡して開けるように促す。中には一つのドールハウスが入っていた

「ドール…ハウスですか?」「そうよ。何か?」「いえ…」「ついてらっしゃい」

マキを連れて庭に出て、適当な場所にそれを置いて指を鳴らす。するとドールハウスが煙に包まる

煙が晴れた時に出てきたのは、家を見てマキは目に涙をためる

「これが私からのプレゼントよ。存分に家族との時間をすごしなさい」

ゆっくりと歩きだしたマキはピタッと歩みを止める

「駄目です。私…帰れません…」「え?この家じゃなかったの?」「そうじゃなくって…」

マキはグイッと私の腕を掴む

「二人じゃないと嫌なんです。だから行きましょう」「まったく、貴女は…」

二人で、その家の中へと入ってマキとその家族との時間を過ごした

[173] あとがき Name:ハム 2010/12/27(月) 02:59
おなじみの二人+1のお話です
夢のないようについては、完全に暴走です。はい…(・・;
不器用な娘が頑張るそれだけで、プレゼントは十分に価値があると思うのは僕だけかな(・・;

[165] 貸衣装 Name:ハム 2010/12/27(月) 02:41 [ 返信 ]
『はぁ…』と溜息をつきながらトボトボと歩いている。最近になって出来たらしい貸衣装店へ向かって

自分の籤運の無さを呪いながら歩いていると、いつの間にか店の前についていた

店のドアを開けて中に入ると、店の名前にもなっているが人形が沢山置いてあった

「あ、いらっしゃいませ」

カウンター越しに執事のようないで眼鏡の似合う男の人が声をかけてきた

「本日はどういった物をご希望でしょうか?」「えっと…サンタの…」「サンタですか?かしこまりました。少しお待ち下さい」

男性はそう言ってにこやかに微笑み、店の裏へと消えて行った。それを見て、頬をほんのりと赤らめる

私はその間、店の人形を眺める。どれも精巧に作られているのに驚いた

「どうですか?どれもカワイイ人形でしょ?」

私は急に声をかけられて、小さく飛び上がる


「では、衣装ですが。こちらからお選び下さい」

彼がカウンターに数枚の衣装を並べる。でも、それはどれも人形が着るサイズの服だった

もしかしてこれって…からかわれてる?あ、これはサンプルで選んだら本物を持ってくるんだ

「えっと…」

並べられた数点の服を見ながらとあることを思いだす。『ミニスカよ!ミニスカ!』といった由香のことを

イヤだな〜ミニスカって凄く恥かしいし…でも、由香も怖いし〜!

「これで…お願いします」「こちらですね。かしこまりました」

結局、選んだのはミニスカのだった。彼は、私の額にそっと触れられるとフッと意識を失いその場に倒れた

[166] 貸衣装 そのA Name:ハム 2010/12/27(月) 02:43
頭がぼんやりするなか、なにやら聞こえる声で目を覚ます

「あ、お目覚めですか?もう少しですのお待ち下さいね」(あ、はい…あれ?声が…それに体も…)

その時、初めて気がついた。体は動かず視線さえも動かすことも出来ないことに

「おや?どうかなさいましか?」(声が…体も…)「それは、当然でございます」

え!?当然…?

「ご覧下になられたほうがご理解頂けるとかと」

彼がそう言うと、私の前に小さな鏡を置く。そこに映ったのは生まれたばかりの私の姿だった

「どうですか?ご理解頂けましたか?」(な、なにを〜)「ご安心下さい。私は、人形を見て欲情などしませんので」

そんな問題…え?人形…?

「さ、時間もありませんので…」

もしかして…私……人形なの〜

あまりの出来事に、再度意識を失う

[167] 貸衣装 そのB Name:ハム 2010/12/27(月) 02:46
「いかがでしょう?何か不都合はございますか?」

私は、自分の手を握っては開きを数回繰り返す。私の体は今は来た時と同じ人間に戻っている

違いは私服ではなく、ミニスカサンタの衣装を着ていることくらいだった

「不都合は無いようですね。では、お客様の衣装はこちらで大切に保管させていただきますね」

「あの〜。私は…人間に戻った…」「まさか、御自分が人形だとでも仰るんですか?」「そ、そうよね…」

あはは…私ったら何を聞いてんだろう

「一つだけ注意事項をお伝えしますね」「注意事項?まさか!汚したり…」

「あ、いえ。それはお気になさらないで下さい。24時間の間にココに戻ってきてもらえれば良いだけですから」

「え?それだけですか?」「はい。他には何も制約は御座いません。では、楽しいお時間を…」

彼がパチンと指を鳴らすと、眩い光が辺りを包みこむ。光が消えると由香の家の前に立って居た

訳がわからず混乱していると中から由香がでて来て、強制的に中へと引っ張り込まれる

[168] 貸衣装 そのC Name:ハム 2010/12/27(月) 02:47
「いかがでしたか?」(楽しかったわ。有難う)「さようで。それは何よりです」

彼は、最初とは逆のことをしている

(貴方って…何者なの?)「それは残念ながらお教え出来ません」(ケチ〜)「さ、終了です」

私の額に触ると私は人間のサイズへと変化する。帰ろうとした時にハッとあることを思いだす

「あ、御代…」「結構ですよ。私への御代は皆さんの満足ですから」

彼は、そう言ってにこやかに笑う。私はまた頬を赤らめる

店を出ようとした時に足を止め、背を向けたまま一つの疑問をなげかける

「もし…時間を守らなかったら…」「それは、ご想像にお任せします」「そっか…やっぱりね」

ドアを開けて外へと出る。ドアが閉まるの僅かの時間に彼の声が聞こえてくる

「ドールハウスはいつも皆様のお望みを提供します。またのご利用をお待ちしおります」

[169] あとがき Name:ハム 2010/12/27(月) 02:53
今回は、ちょっと路線を変更してみました。
半永久的に物などになるのではなく、こういった感じもありかな〜って思ったので。
構想自体はかなり前からあったんですけどねf(^^;)

注意事項を守らなかったらどうなるかは…簡単に察しがつきますよね〜(・・;

[152] 女変奇譚7 Name:メダぱに団 2010/12/12(日) 01:39 [ 返信 ]
女変奇譚7
(反物化)


ある秋の日、辺りがすっかり暗くなった頃、一人の女子高生が人気の無い道を歩いていた。
制服からしてこの近くの高校の生徒であろう。白のブラウスに白と黒の縞模様のネクタイをし、その上から明るい紺色のブレザーを着ている。下は、紺色のスカートに膝下までの白の靴下という格好である。
女子高生にしては身長が高く、また肩幅が広く体ががっしりしているようである。
いつもなら夕方頃に友人と帰路に着いているはずだが、彼女は生徒会の役員であり、今日は会が予定以上に長引いた為、このような時間帯に歩いている訳である。大柄な女子高生は少し歩く速度を速めた。
と、何気無く前方を見ると、一人のスーツ姿の男が立っていた。茶髪を後頭部でまとめた眼鏡の男である。こんな時間に何の用か、じっと立っているその男は女子高生の方を見ているような気がした。女子高生は少し恐怖を感じ、その足を速めた。
横を通り過ぎようとしたそのとき、男が女子高生に声をかけた。
「あの…、すみません。ちょっと…。」
「えっ!?」
男の言葉に女子高生は思わず足を止めて男の顔を見た。すると、
「…い!?」
男と目が合った瞬間、女子高生の動きが止まった。まるで催眠術にでもかかったかのように、女子高生は虚ろな表情をしている。目はトロンとし、口は半開きになっている。手に提げていた鞄がトンと地面に落ちたが、女子高生は気づく様子も無かった。
男は、笑みを浮かべると女子高生を手招きした。
「ふふふ…。女子高生さん。こちらへ…。」
虚ろな表情のまま、女子高生はうなずくと、おぼつかない足取りで男の後を追った。


男がつれてきたその場所は、広い公園であった。
女子高生を自分の目の前に立たせると、懐から紙に包まれた何かを取り出した。そして、中身の赤い飴玉を指先で掴み、女子高生に声を掛けた。
「女子高生さん。口開けて〜。」
女子高生は虚ろな表情のまま、大きく口を開けた。男は自分の身長よりも高い位置で開けられた口の中に、飴玉を投げ入れた。女子高生の口が閉じ、虚ろな顔で飴玉をぺろぺろと舐める。男はその様子を静かに見ていた。しばらくの間女子高生は飴玉を舐め続けていた。すると、
「…ふえ?」
女子高生の口から間の抜けた声が漏れた。直後、体から力が抜けたように両腕をだらんと体の側面に沿って垂らした気をつけの姿勢をとる。その体勢のまま、女子高生はまたしばらくの間飴玉を舐め続けていた。
と、女子高生の体に変化があった。突如、女子高生の体が伸び始めた。女子高生の胴体部分が粘土細工を伸ばすかのように、縦方向に長く長くなっていった。頭部やお尻や足はそのままで、胴体部分のみが伸びていった。女子高生の側面に沿って下ろされた両腕も胴体と一緒に長くなっていった。女子高生の着ている紺色のブレザーも中のブラウス、ネクタイも胴体と共にぐんぐん伸びていった。しばらくの間、女子高生の胴体は伸び続け、約十メートル程でようやく止まった。
異常なまでに長く伸びた自分の胴体を支え切れず、女子高生は前に倒れた。地面にうつぶせになっている胴体の長い女子高生の姿はかなり異様であり、一緒に伸びた紺色のブレザーのため、地面に紺色の道が引かれているようにも見えた。
今までの女子高生の身に起こった異常な現象を涼しげな表情で眺めていた男は、倒れた女子高生に近付くと誰に言うともなしに呟いた。
「フフ…、そろそろですね…。」
男のその呟きに反応したかのように、女子高生の変化はやってきた。うつぶせで倒れている制服姿の女子高生の体が薄くなってきた。空気が抜ける風船のように、女子高生の上からプレスにかけられているかのように、気をつけの姿勢のまま女子高生の体は厚みを失っていきながら、その体を薄く伸ばされていった。
それと同時に女子高生の体全体の形が長方形に近付いてきた。女子高生の丸みを帯びた顔はほとんど四角形になっていた。女子高生の少しだけ丸みを帯びた肩も、四角形の辺のように真っ直ぐになってしまった。長い紺色の背中も全体的に長方形になってきた。長くなってしまった腕も締まった足も角材のように角張ってきた。女子高生の体の女の子らしい丸みもほとんど失われ、四角くなってきた。女子高生は細長い紺色の四角い板のようになっていたが、角張った見た目に反してなんとなく柔らかそうに見える女子高生の体は紺色の蒟蒻のようでもあった。
長い板になった女子高生の体は更に変化した。その形を変えながら、イカがスルメになるかのように女子高生は更に薄く薄く伸ばされていった。女子高生の体からは厚みがほとんど失われてしまっていた。
厚みがなくなる過程で女子高生は更に変化した。女子高生のブレザーの袖に包まれた長くて角張った腕は、厚みを失う過程で、体の側面に張り付くように一体化した。同時に女子高生の手は指同士が癒着し、四角く一塊になったあと、腕と同じように紺色の体に張り付くように一体になった。腕と同じく角張った女子高生の足は、薄くなる過程で左右の足が癒着し一塊になってしまった。膝下までの白い靴下も表面のリブがなくなり、白い平面の塊になった。履いている革靴も例外ではなかった。女子高生の足は太ももから靴下、革靴まで一本の布のようになってしまった。それぞれの間にあった厚みも無くなっていた。
女子高生の長くなった胴体は、紺色の背中がそのまま薄くなっていった。そしてブレザー全体の形も四角くなってきた。また、スカートもひだが無くなり、全体が長方形へと整形されていった。人間ならできる女子高生の制服全体の皺も伸ばされてなくなってしまった。
女子高生の頭は、うつぶせのため、後頭部しか見せていないが、薄くなる過程で全体が四角くなっていった。髪の毛はボリュームをなくし、ペッチャンコになっていた。
限界まで薄くなった女子高生の体は、薄くなるのを止めた。女子高生の体は十メートル程もある細長い長方形になっていた。男は笑みを浮かべて、モノに変わりゆく女子高生の姿を見つめていた。
「さて、あとは仕上げですね…。」
男の呟きの通り、女子高生の変化は仕上げに入った。胴体の側面に張り付いていた腕や手が完全に紺色の中に溶け込んでしまった。伸び切った女子高生の紺色の胴体は、紺色のスカートもその先の三色に分かれていた彼女の足を引き込んでいき、そして足は完全に紺色の中に消えてしまった。また、黒と少しの肌色の四角形と化した女子高生の後頭部は、足と同様に紺色の体に少しずつ飲み込まれていき、こちらも最後には完全に一体化してしまった。
ついに、女子高生の変形が止まった。彼女に起こった変化の一部始終を観察していた男は微笑みを浮かべると、身を少し屈め、女子高生のなれの果てをじっと見つめた。
女子高生は反物になってしまった。横幅こそ女子高生の肩幅と同じであったが、長さは約十メートル程もある。長い反物となってしまった女子高生は、公園の端から端まで届いていた。色は明るい紺色一色で、女子高生の着ていた制服の紺色のブレザーの色であった。男が反物の端を持ち上げて、裏側を覗いた。うつぶせになっていた為に分からなかったが、裏面でも女子高生の反物化は進んでいたようである。彼女も顔もブラウスやネクタイの跡もない、紺色一色となっていた。
よく言えばシンプル、悪く言えば地味な柄の反物を見て男は笑みを浮かべた。
「ふふ…。女子高生さん、いい反物になりましたね。反物になった感想を……って聞いても答えようがないですね。」
そう言いながら男は腰を下ろすと、紺色の反物に手を置いた。そして、反物にされた女子高生の体をどことなくいやらしい手つきでそっとなでて言った。
「う〜ん…。肌触りがあまり良くないですね。少しゴワゴワしてます。「あの人」も言ってたけどこの年代の娘達は大半はこんな感じになるみたいですね。色も少し濃い目ですね。」
しばらくなでていると、紺色の反物がピクピクとまるで痙攣でもしているかのように小刻みに震え始めた。男は特に驚きもしていない。
「まあ、反物になった直後は、いわゆる「不安定期」ですからね…。まだ人間のときの意識などがあるようですね。早く楽にしてあげましょう…。」
男は女子高生反物から手を離し立ち上がると、懐から別の何かを取り出した。それは小さな小瓶であった。中には光る粉のようなものが入っている。これは、染色粉といって反物になった女の子に振り掛けると、色を綺麗にしたり、肌触りを良くしてくれる、柄を変えてくれるといった、要するに反物に仕上げをしてくれるものである。また、他に反物になったばかりで苦しんでたりしたときに、反物化を早めて「安定」させ、反物になった女の子を楽にしてくれるという効果もある代物である。
男は小瓶の蓋を開け、中の粉を反物にされた女子高生に振りかけた。宙を舞い、光る粉が紺色の反物に降り注がれていった。すると反物の紺色が先程より少しだけ明るい紺色に変わっていった。先程見られた反物の小刻みな震えも徐々に収まっていき、完全に止まってしまった。
「ふふ…。綺麗な反物になりましたよ。名も知らぬ女子高生さん。いい反物にしてもらえて幸せな娘ですこと。」
眼鏡の男は女子高生反物を改めて見た。幅や長さ、模様などはそのままだが、先程に比べて鮮やかな明るい紺色一色の反物ができあがった。「仕事」を終えた男は、公園に長く横たわっている女子高生反物をじっと見ながら、パチンと指を鳴らした。すると紺色の反物の片方の端がくるっと丸まり、そのまま自動的にくるくると巻かれていった。巻き終わり、ロール状になった紺色反物を手に取り、男は静かに溜息を漏らした。
「ふう…。注文の品、紺色の鮮やかな反物はこれでいいでしょう。」
そう呟いた男は、巻かれた反物の片方を掴み少し広げ、鮮やかな紺色の反物をじっと見つめた。
「一目見たときからいい反物になると思ってたけど、それ以上に上質の素材でしたね。」
そう言うと男は反物を元に戻すと、傍らに置いてあった紙袋を取り寄せた。紙袋の中には、ロール状に巻かれた反物が数個入っていた。
「さて、あなたもこの中に入って下さいね。」
男は紺色の女子高生反物を持っていた紙袋に突っ込んだ。突っ込んだときに反物が少し震えたようだったが、男は気にしなかった。
「さてと、後はこれに似合う帯ですか…。これまた苦労しそうですね…。」
眼鏡の男が立ち去ると、一人の女子高生がいなくなったことなど無かったかのように、夜は静かに更けていった。


End

[153] 女変奇譚7 後書き Name:メダぱに団 2010/12/12(日) 01:40
お久し振りです。メダぱに団です。
長い間を空けてしまい、申し訳ありません。
久し振りの投稿ですので、誤字脱字があるかと思いますが、そのときはご指摘お願い致します。

今回は私が好きな女子高生の反物化です。
新作というよりは、昔書いたお話を再構成したものです。
今回の変化は、鬼太郎のアニメ4期の妖怪反物の話の鬼太郎の反物化場面をイメージしました。

現在、クリスマスのお話を考えておりますが、まだ、何に変化するかなども固まっていない状態ですので、
お流れになる可能性が多々あります。
何とか25日には完成させたいとは思っておりますが、どうなるかは分かりません。

それでは、この辺で失礼致します。

[154] RE:女変奇譚7 Name:トキ 2010/12/15(水) 01:03
久しぶりに覗いてみたら、投稿されていて驚きましたw
メダぱに団さんのオハコ、反物化。堪能させて頂きました。
非常に細かな描写でとても分かりやすかったです。
毎回被害者、加害者、細かな設定が違い、同じシチュエーションでありながら、新鮮さが感じられるよう思えます。

ご投稿、ありがとうございます。

[155] ご感想ありがとうございます Name:メダぱに団 2010/12/18(土) 16:18
ご無沙汰しておりました。
お久し振りです。
そして、ご感想ありがとうございます。

う〜ん…。オハコと言っていいのかどうか…。
状態変化の中では一番好きな変化というだけで、反物化が多くなっているだけですしねw
(平面化+形状変化というのがツボですw)
ただ、毎回同じ場面というわけにはいきませんので、変化の仕方や変化後の模様などをほんの少しずつ変えてはおります。
被害者が女子中学生〜高校生というのは変わりませんがw

お話のネタは出てくるのですが、文章にすることができず、しばらく何も書かない状態が続いてましたが、
状態変化wikiのはゆもさんやこあさんのご作品を拝見しているうちに、何か書かないとという気持ちになりました。
今はクリスマスのお話を書いてる途中ですが、間に合うかは不明です。
今年こそは何とか25日には間に合わせたいとは思っておりますが…。

トキさんのゲームも楽しみに待っております。
寒い日が続きますが、風邪など引かないように気をつけて下さい。
では…。

[134] 女変奇譚〜七夕奇譚1〜 Name:メダぱに団 2010/07/07(水) 02:31 [ 返信 ]
女変奇譚〜七夕奇譚1〜
(物品化)


とある年の七月六日。
都内にある大型スーパーの1フロア。
ここは、女の子向けの可愛い小物が充実しており、毎日のように若い女性達でごった返していた。
今はまだ平日の昼2時であるにも関わらず、今日もフロア内は買い物中の若い主婦や、講義のない女子大生など女性達で溢れ返っていた。
不思議なことに、フロア内には若くて美しい女性以外の姿は全く見られない。しかし、彼女達はそのようなことは気にも止めてないようである。
と、フロア内に異変が起こった。フロアに少しずつ光が満ち始めた。それは段々と明るさを強め、あっという間に周囲が見えないほどに強くなった。女性達は悲鳴を上げる暇もなく、その光に包まれてしまった。
しばらくすると、光はゆっくりとその眩さを失い始め、その後、フロアは異変前の元に明るさに戻った。
フロア内は先程の盛況が嘘のように、しんと静まり返っていた。それもそのはず、先程までここを賑わせていた女性達は皆姿を消していた。
変わりに、そこには『飾り』が落ちていた。星型の飾りや、天の川を模したような吹流しなど、七夕で使うような様々なものがあった。彼女達は一瞬の間に七夕の飾りに変えられてしまったのである。
しんと静まり返ったフロア内に人影が現れた。
60〜70代位と思われる、白髪の混じった髪をした上品な雰囲気の老女であった。
老女は上品ではあるがどことなく不気味な笑みを浮かべると、近くに落ちていた星型の飾りを手に取った。
「フフ…。みんないい飾りになったわね。これならあの子達も喜んでくれるわ…。」
老女はそう呟くと、手に持っていた紙袋を開いて足元に置き、拍手を打つように手を叩く。すると、フロアに落ちていた飾りが宙に浮いたかと思うと、一斉に老女の足元の紙袋に飛び込むかのように入っていった。
全ての飾りが紙袋に入ったことを確認すると、老女はそれを持ってフロアから去っていった。
静まり返っていたフロアに再び日常の喧騒が戻ってきたが、先程までいた女性達の姿がなくなっていることに気付く者はいなかった。


大型スーパーで起きた事件から数時間後。
白髪交じりの頭の老女が、紙袋を手に住宅街を歩いていた。老女は上品な笑みを浮かべていたが、ふと立ち止まると、困ったような表情を浮かべて呟いた。
「あら、嫌だわ。私ったら短冊を用意するのをすっかりと忘れてたわ…。何か手頃な『材料』を探さないと…。」
と、周囲をキョロキョロと見渡す老女の目に、三つの人影が飛び込んできた。
女子高生が三人、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。白い半袖の夏用ブラウスに短くした紺色のスカート、そして膝下までの白の靴下を履いている。三人の女子高生は他愛もない話をし、ときおり笑い声をあげながら歩いている。おそらく下校中なのだろう。腕時計を確認すると、もうそんな時刻である。
「…決めたわ。あの娘達にしましょう。」
老女はそう呟くと鞄からスプレー缶のようなものを取り出すと、女子高生達の下へと向かった。そして、彼女達へスプレー缶の中身を思い切り吹き付けた。
「きゃっ!」「な、何!?」「ヒィッッ!!」
突然のことに慌てふためく女子高生達であったが、直後、トロンとした表情をしたまま立ち止まってしまった。老女はそれを見て微笑むと、静かに言った。
「さあて、いい短冊にお成りなさい。」
老女のその言葉が終わると同時に、女子高生達は体をビクンと震わせ、背筋を伸ばし、両腕を体の側面に沿って下ろした「気をつけ」の姿勢をとった。と、次の瞬間、女子高生達の体が薄くなり始めた。彼女達の体をプレス機にかけてゆっくりと前後から押し潰しているかのように、彼女達の体は平面へと変化しつつあった。
それと同時に女子高生達の体の形が四角く変化し、長方形の板のようになってきた。
体の変化と同様に女子高生達の腕も薄い長方形の帯となり、四角い胴体へと吸い込まれていった。女子高生達の頭部もその可愛らしい顔が簡略化された絵のようになった後に、胴体の中へ消えていった。
女子高生達の足は、薄くなる過程で左右の足が癒着して一塊となっていた。白い靴下に包まれた部分も表面のリブと呼ばれる凸凹がなくなり、白い平面と化していた。その後、彼女達の肌と靴下の白の二色となった足は、少しずつ幅を広げていき胴体と同じ幅となった。その過程で靴下の部分が肌を完全に飲み込み、女子高生達の足を白一色としてしまった。
女子高生達の変化が終わった。老女はどことなく不気味な笑みを浮かべたまま、変わり果てた女子高生達に近付いた。
三人の女子高生達は、それぞれ大きな厚紙となっていた。上から白、紺色、白の二色でできた厚紙で、彼女達の着ていた制服、ブラウス、スカート、靴下の色であった。
「フフ…。とりあえずいい感じの厚紙になったわね。さてと、短冊を作りましょうか…。」
老女が軽く指を鳴らすと、三つの女子高生模様の厚紙に縦横幾つもの切り込みが入った。それらは縦に細長い長方形を均等に形作っていた。そして、老女がもう一度指を鳴らすと、それらが切り込みに沿って分かれ、幾つもの白と紺色の長方形となった。それらは宙に舞い上がると、まるで意思のあるかの如く老女の手に降りていった。
しばらくすると、老女の手の上には大量の『短冊』が置いてあった。材料となった女子高生達には白の部分が多かったため、白い短冊が紺色のそれの二倍位はあった。老女は短冊の束をゴムで結ぶと、七夕飾りの入っている紙袋へと入れた。
「さて、これで必要なものは全部揃ったわね。帰って準備しましょうか。フフフ…。」
老女はそう呟くと、まるで掻き消えるようにその場から姿を消してしまった。その後には、主を失った三つの通学鞄だけが残されていた。


翌日。七月七日。
都内のとある幼稚園では、七夕会が開かれていた。
この幼稚園の七夕会は、幼稚園の行事というよりは地域の行事といった方がよく、その規模もかなり大きい。会には、園関係者の他に、近隣の住民らが多数参加している。
園には、一際目立つ大きな笹竹が何本も立てられ、様々な飾りがそれを綺麗に飾っていた。また、所々に白と紺色の短冊がぶら下がっている、短冊にはここの園児や近くの学校の小学生の願いがつたない字で込められていた。
園児のお遊戯や小学生達の発表など、七夕会は特に問題もなく、大盛況の内に幕を閉じた。
ただ、園児や小学生などの小さな子供達の中には、笹飾りがシクシク泣いただの、願い事を書こうとした短冊がピクピク動いただのと訴える子が何名かいた。
結局はその子達の気のせいということで落ち着き、その後は子供達も気にしなくなった。
少なくとも、昨日、都内のとあるスーパーで起こった女性達の一斉失踪事件との関連を示唆する者は、参加者の中にはいなかった。
ただ一人、この幼稚園の園長である白髪の混じった頭の老女を除いて…。


End

[135] 女変奇譚〜七夕奇譚2〜 Name:メダぱに団 2010/07/07(水) 02:32
女変奇譚〜七夕奇譚2〜
(物品化???)


七月七日の昼下がりのある地方のとある女子校。ここの校長室に三人の男の姿があった。
一人はでっぷりと太った初老の男で、また一人は、40代位と思われる黒髪の男である。
そして、最後の一人が少し長めの茶髪を後頭部でちょんまげのように束ねた、20代位の男である。長身で楕円形のレンズの眼鏡をかけている。
その眼鏡の男が静かな口調で言った。
「校長先生。今一度お聞きしますけど、本当にいいんですね?」
その言葉に太った初老の男が静かにうなずく。
「ああ、彼とは昔からの知り合いじゃから…。」
と、思いつめていたような表情の黒髪の中年男が弾かれたように顔を上げると、眼鏡の男と校長と呼ばれた男にすがり付かんばかりの勢いで言った。
「あ、あの…! イ、イデさん! 校長先生! ほ、本当にお願いしてもいいんでしょうか!?」
そんな男の様子を見て、イデと呼ばれた眼鏡の男は少し苦笑する。
「…フフ。分かりました。ご依頼のもの、用意させて頂きますね。ではまた後程…。」
眼鏡の男はそう言うと、視線を窓の外に移した。
外は暗く、七夕だというのに空は厚い雲で覆われ、どんよりとした空気を作り出していた。


夕方四時頃。
先程行われていた三人の男の話し合いなど知る由もなく、女子校の校舎内は、授業も終わり帰宅を待つ女子高生達で煩い位に賑やかだった。
それは、ここ2−A組の教室でも同じだった。白い半袖ブラウスに紺色のスカート、膝下まである白のハイソックスという夏の制服姿の女子高生達は、皆会話に花を咲かせていた。
と、教室内に異変が起こった。教壇の上に取り付けられているスピーカーから、鈴の鳴るような音が出てきたのだ。しかし、それは注意して聴かないと聴こえない程微かな音で、教室内の女子高生達は誰一人としてその音に気付く者はいなかった。
しかし、本当の異変はその直後にやってきた。異変の元となったのは、教室の前の方、すなわちスピーカーからの音が一番最初に耳に入る位置にいた黒いショートカットヘアーの女子高生であった。
その女子高生が突然ビクッと震え、すぐに背筋を伸ばした直立不動の姿勢になった。そして、彼女の体がCG処理したかのようにグニャリと歪んだかと思うと、土粘土を丸めるかのようにゆっくりと丸くなり始めた。女子高生は自らの体に起きていることを把握していないかのような呆然とした表情を浮かべていた。女子高生の腕や虚ろな顔など、体から突き出ている部分も巻き込むように、その体は丸く丸くなり、段々と球状に変化してきた。最終的には、黒髪ショートカットの女子高生は、直径1mくらいの球になってしまった。彼女の着ていた制服のような、白と紺色で彩られた球であった。
異変は彼女だけに止まらなかった。次に、彼女の近くにいた黒いロングヘアーの女子高生も、ショートカットの子と同様の変化をし、同じような制服模様の球となった。そして、その近くにいた茶髪のコギャル風の女子高生、更には茶髪の子と話をしていた、色黒の女子高生といった風に、連鎖反応を起こすかの如く、2−Aの女子高生達は球に変わっていった。
同様の変化は、2−Aだけでなく他の全てのクラスで発生し、終には女子校にいる全ての生徒達が制服模様の球とかしてしまった。


学校中で異常事態が起こっている中、女子校の校庭に一人の男がいた。長身でちょんまげ、楕円形の眼鏡のイデと呼ばれた若い男であった。
「ふむ。これで全部終わりましたね。では、始めましょう…。」
イデはそう言うと、軽く指を鳴らした。すると、校庭を埋め尽くすほどの大量の球が現れた。それは、すっかり変形してしまったこの女子校の全生徒であった。
「さてとまずは…。」
イデは、手頃な球を五つ選ぶと、手を天にかざして、パチンと鳴らす。と、その中の4つの球が宙に浮かんだかと思うと、凄いスピードで上空で向かって飛んでいった。それはある一定の高さでピタリと止まると、配置を整えるかのように動き、菱形を描くような配置で止まった。それが終わると、残っていた一つの球が上空へ飛んでいった。この球は、現役女子高生アイドルとして活動している、学校一の美人と言われている女子高生であった。それは、先程作られた菱形の近くに止まった。五つの星の配置は、星座の「こと座」を思わせるもので、アイドル女子高生は織姫星ことベガの位置に配置されていた。
次に、また手頃な球を八つ選び、天に向けて指を鳴らす。すると、一つを除いて上空へと飛んでいき、「こと座」の左下の位置に「わし座」のような配置で動きを止めた。そして、先程と同じように残った一つの球が飛んでいく。この球は、女子野球部のキャプテンをつとめている、可愛いというよりも男らしいといったイメージの女子高生が変化したものであった。彼女とアイドル女子高生は、いわゆる「カップル」という仲ではないかと校内では噂されていた。眼鏡の男はそれを知ってか知らずか、野球部キャプテンの女子高生をアルタイル、いわゆる「牽牛星(彦星)」の位置に置いた。
そして次に、八つの球を上空へ向けて飛ばした。それらは、片仮名の「ト」の字を描くように、「こと座」の左上に配置された。更に、もう一つの球を上空へ送る。この球は、キャプテンとアイドルの仲を探ろうとしていた新聞部の部長をつとめている女子高生であった。「カップル」にとって彼女は、二人の仲を脅かす迷惑な存在だったであろうが、七夕の夜くらいは二人をフォローする役割を担って欲しい、そんな想いを込めているのかは定かではないが、イデは新聞部部長を「はくちょう座」のデネブの位置に配置した。
「さてと、メインはこれでOKですね。後は…。」
「こと座」「わし座」「はくちょう座」という夏の大三角を構成する七夕の主役達を配置したイデは、まだ校庭に残っていた大量の球に向けて指を鳴らした。すると、それらは一斉に宙へ向けて飛び始めた。互いにぶつかることなく上空高く飛んでいったそれらは、「織姫星」と「牽牛星」の間に帯を作るかのように配置された。七夕の空には欠かすことのできない「天の川」が完成した。
一通り仕事を終えたイデは、額の汗をぬぐうと静かに溜息をついた。
「ふう…。フフフフ。これで例のモノは完成ですね。後は雨が降らなければいいんですがね…。」
そう呟いた眼鏡の男は、女子高生達でできた七夕の夜空を見上げ、しばらく静かに微笑んでいたが、やがて、依頼の報告をする為にしんと静まり返った校舎内へと消えていった。


同日夜七時頃。
昼間の女子校の近くにある小学校。
周囲は薄暗くなっていたが、校庭は小学生達で溢れ返っており、とても賑やかであった。それもそのはず、今、ここでは子供会主催の七夕会が行われていた。空は曇っているにも関わらず、何故か綺麗な『星空』が浮かび上がっていた。子供達は皆、実に楽しそうにしていた。
その校庭の隅で、長身の眼鏡の男が鉄棒にもたれかかりながら、はしゃいでいる子供達をじっと見つめていた。手には有名メーカーのカップ酒があった。少し酔っているのか、整った顔がほんのりと赤い。
と、男に二つの影が近付いた。昼間、近くの女子校の校長室で面会した男達である。校長は笑みを浮かべると、男に声を掛けた。
「おお、イデさん。どうもお疲れ様です。」
そして、校長の隣にいる黒髪の男が、二人に頭を下げた。
「校長、そしてイデさん。大変有難うございます。私が会長になる以前から、こちらの子供会では七夕会をやってきたのですがここ数年はずっと曇りか雨で、その度に子供達は星空が見られなくてがっかりしてきたんです。今年こそはと思ったのですが、やっぱり今年も悪天候で…。でも、子供達の喜ぶ顔が見られて、とても良かったです。お二人とも本当に有難うございます。」
先程から恐縮過ぎる程頭を下げる子供会の会長に、彼と昔馴染みの校長が声を掛ける。
「まあまあ。少なくとも私はそこまで頭を下げられるようなことはしてはおらんぞ。『素材』を提供しただけじゃから…。礼なら私よりイデさんに言ってくれ。」
そう振られたイデは、顔の前で手を振りながら苦笑したような表情を浮かべた。
「いえいえ…。別にお礼を言われることじゃないですよ。七夕なんて最後にやったのは、もう何十年も昔のことですしね…。久し振りにやってみたいと思ったから、ご依頼を受けただけです。こうやって子供達の嬉しそうな顔を見られるだけでもいい気分ですよ。あ、ご心配なく。彼女達はお祭が終わったら、記憶を消して、皆元に戻しますんで。フフフ…。」
そう言って見上げた男の視線の先には、変わり果てた姿の女子高生達が、本物の七夕の夜空のようにきらきらと瞬いていた。


End

[136] 後書きなど Name:メダぱに団 2010/07/07(水) 02:33
大変ご無沙汰しており、誠に申し訳ございません。
メダぱに団と申します。

今日が七夕ということで、駄文を投稿させていただきました。
今回は一応、七夕に関する二つのお話を書きました。
いずれも物品化となっております。(二つ目の方は何ともいえませんが…。)
久し振りの投稿ですので、誤字脱字、分かり辛い表現、その他間違い等があるかと思われますが、何卒ご容赦下さい。

今後は特に決めずに、お話が書けましたら投稿させていただくという形になるかと思います。
それでは、またいつかお会いできることを願いまして…。

[137] RE:女変奇譚〜七夕奇譚1〜 Name:名無し 2010/07/09(金) 01:12
そういえば七夕なんてありましたね…。
今回は今までの中で最も被害者が多いようですね。
2のほうは球体にひねりを加えて、人間関係も利用したあたり、感銘を受けました。
今回も面白かったですよ。


[138] RE:女変奇譚〜七夕奇譚1〜 Name:ケンガー 2010/07/10(土) 02:42
まさか球体化で星座を作るとは……すごい発想ですw女の子が飾りに短冊に星に……まさに七夕らしい変化ネタでした、ごちそうさまですw

[139] RE:女変奇譚〜七夕奇譚1〜 Name:名無し 2010/07/11(日) 19:14
作品楽しませていただきました。理不尽な大量変化に萌えです。女の子に設定があったのが特によかったです。

[140] ご感想有難うございます Name:メダぱに団 2010/07/15(木) 23:31
こんばんはです。

当方、日頃の不摂生が災いして、体調を崩してしまい、その為に返信が遅くなってしまいました。申し訳ございません。
ご感想を下さいまして、誠に有難うございます。

>7/9の名無しさん
有難うございます。
面白く読んでいただけましてようで、ほっとしております。

そうですね。たぶん被害者数は一番多いんじゃないでしょうか。
あまり大量変化はやりませんので。
2つ目の星座は、こんな変なのよく思いついたな、と今更ながら思いますw
人間関係は書いてる途中に何となく入れたくなってしまいましたw
入れてよかったですw

>ケンガーさん
どうも有難うございます。

七夕の話をネタを作った当初は、「1」のみのつもりでしたが、ふと、星座の話を思いつきまして、それで急遽3日くらいで作ったのが、「2」の話ですw
今改めて見ると、よくこんな阿呆みたいなネタを思いついたなと書いた本人でも思いますw
て言いますか、私、やれば早く書けますやん…。それなのに、何故半年も間空けるんだ…orz

>7/11の名無しさん
有難うございます。
楽しく読んで頂けましたようで、私としては幸いです。

理不尽な変化…。大量の変化…。どちらもいいですね。
あまり大量変化ネタは行わないのですが、書いてみて楽しかったです。
変化シーンの描写も割合簡単にできますしw(←オイ)
被害者の子の設定は書いてる途中で思いついたもので、当初の予定にはなかったんですが、良かったと言って頂けましたので、入れてよかったと思います。


お三方ともご感想下さいまして、誠に有難うございました。
これからは、特に予定を決めず、自分のできる範囲で書いていこうと思っております。
当方、遅筆な駄文書きでご迷惑をおかけするかと思いますが、今後ともよろしくお願い致します。

[131] 女変奇譚1.5.2 Name:メダぱに団 2010/05/16(日) 00:26 [ 返信 ]
※作者注

今回のお話は、新作ではなく、以前投稿した「女変奇譚1.5」の被害者の娘を変えただけのものです。
話の流れは以前のものと全く同じです。
完全な新作を期待して下さった方は、大変申し訳ありません。



女変奇譚1.5.2
(反物化)


周囲がすっかり暗くなったある日曜日の夜、とある駅のトイレに一人の少女の姿があった。
「しまったな…。すっかり遅くなっちゃったな。早く帰らないと…。」
洗面所の鏡を見ながら、前髪をいじっている。
少女は見た目から高校生位と思われる。目元のホクロが印象的な美しい少女である。白と黒の太目の縞模様のTシャツに青いホットパンツを履き、脛の真ん中位までの白の靴下を履いている。黒いショートカットの女子高生は運動部に所属しているのであろうか、女子高生にしては身長が高く、また肩幅が広く体ががっしりしているようである。
こんな時間まで居るのは、友人と遊んでいたら遅くなってしまったとかそういう理由であろう。彼女は一人である。大柄な女子高生は早く帰ろうとして、洗面所から出ようと出口へ向きを変えた。
と、いつの間にか洗面所の入り口の辺りに若い女が立っていた。茶色のロングヘアーでコートを着たスレンダーな体型の女である。身長は大柄な女子高生よりも少し小さい。バッグを肩に掛け、洗面台に紙袋を置いてある。紙袋の中にはロール状に巻かれたものが複数入っていたが、それが何かは女子高生には分からなかった。
女子高生はトイレの中を見回した。現在このトイレには、女子高生とこの女しかいない。ふと思ったが女子高生が鏡を見ているときから周囲が異様なほど静かである。女子高生は薄気味の悪さを少し感じながら、バッグを持ちトイレの出口に向かおうとした。
女の隣を抜けようとしたそのとき、ふいに女が声を掛けた。
「ちょっと縞々の服のお嬢さん。」
「はい?」
女子高生は思わず返事をして女の方を見た。すると、
「…い?」
女の瞳を見た瞬間、女子高生の動きが止まった。催眠術にでもかかったかのように、女子高生は虚ろな表情をしている。目はトロンとし、口は半開きになっている。手に提げていたバッグがトンとトイレの床に落ちたが、女子高生は気づく様子も無かった。その様子を見た女が女子高生に尋ねた。
「お嬢さん。お名前は?」
「…島田志麻子。あだ名はシマシマ…。」
虚ろな表情のまま、女子高生は答えた。それを聞いた女は微笑みを浮かべ言った。
「ふふふ…。シマシマちゃんね。」
女はバッグから紙に包まれた何かを取り出した。包み紙を外すと、赤い飴玉が出てきた。飴玉を指先で摘むと、女は目の前に立っているシマシマに声を掛けた。
「シマシマちゃん。おいしい飴あげるね。はい、お口開けて〜。」
シマシマは虚ろな表情のまま、大きく口を開けた。女は自分の身長よりも高い位置で開けられた口の中に、飴玉を投げ入れた。女子高生の口が閉じ、虚ろな顔で飴玉をぺろぺろと舐める。女は微笑みを浮かべ、その様子を静かに見ていた。しばらくの間シマシマは飴玉を舐め続けていた。すると、
「…ひっ!」
シマシマの口から小さい悲鳴が漏れた。先程までの虚ろな表情ではなく、その目は大きく見開かれ、驚いたかのような表情をしている。腕を少し挙げたままの体勢で、シマシマは少しの間固まっていた。
「いいいいいいいいいいいいいいいい!!」
直後、シマシマは悲痛な叫び声をあげ、両手で胸を押さえた。そのまま前屈みになったシマシマの体は、小刻みに震え始めた。シマシマは眉間に皺を寄せ、歯をきつく食いしばっている。可愛らしいその顔は異様な苦しみによって歪んでいる。シマシマの顔や太ももからは大量の脂汗が噴出し、トイレの床にぽたぽたと垂れて黒い染みを作っていた。あだ名と同じ縞模様のシャツを着た大柄な体を震わせている女子高生を前に女は微笑を崩さず、彼女が悶え苦しむ様子をじっと見ていた。そしてシマシマに顔を近づけて静かに言った。
「…さあ、シマシマちゃん。いい反物になってね。」

(続く)

[132] 女変奇譚1.5.2(続き) Name:メダぱに団 2010/05/16(日) 00:27
(続き)

女のその言葉の直後、シマシマの体に変化が起こった。シマシマの体がビクンと震え、前屈みのまま、胸を押さえていた両手を体の側面に沿って下ろし、両足を揃えた気をつけの姿勢になった。その後1分程の間、何度もビクビクとシマシマの体が震えた。しばらくの後、シマシマに新たな変化が起こった。
シマシマの体が前後からプレス機にかけられているかのように、気をつけの姿勢のまま薄くなってきた。少しずつではあるがシマシマの体の厚みが失われ、その体を薄く薄く伸ばされていった。
それと同時にシマシマの縞模様のTシャツを着た体の形が細長い長方形の様になっていった。シマシマの丸みを帯びた可愛らしい顔は四角形になり、シマシマの体や白い靴下に包まれた足も角ができ、四角い板のようになってきた。肩も背中も腕もお尻も角材のような形になった。シマシマの体にあった女の子らしい丸みもほとんどが失われて、四角になってきた。可愛い女子高生島田志麻子はそのあだ名の通りの白黒の縞模様の四角い板のようになってしまった。
板になったシマシマの体は更に変化した。その形を変えながら、イカがスルメになるかのようにシマシマは更に薄く薄く伸ばされていった。シマシマの体からは厚みがほとんど失われてしまっていた。
シマシマの変化は薄くなるのみではなかった。薄くなる過程で女子高生は更に変化した。シマシマの縞模様のTシャツから伸びた角張った腕は、厚みを失う過程で、体の側面に張り付くように一体化してしまった。同時にシマシマの手は指同士が癒着し、四角く一塊になったあと、腕と同じように縞模様の体に張り付くように一体になった。腕と同じく角張ったシマシマの足は、薄くなる過程で左右の足が癒着し一塊になってしまった。白い靴下も表面のリブがなくなり、白い平面の塊になった。履いている靴も同様に変化しながら白い靴下に飲み込まれていった。シマシマの足は太ももから靴下まで一本の布のようになってしまった。それぞれの間にあったわずかな厚みも無くなっていた。
シマシマの胴体では、白と黒の縞模様のTシャツに包まれた体が四角くなってきた。Tシャツに出来る皺もアイロンで伸ばされるかのようになくなっていった。青いホットパンツも皺がなくなり、シマシマの丸みを帯びたお尻と共に全体が長方形へと整形されていった。
シマシマの顔は悶え苦しんでいたときのまま、変化していった。髪はボリュームをなくし、耳や鼻はぺちゃんこになってしまった。眉間に皺を寄せ、きつく閉じられた目は簡略化された絵のようになってしまった。口だけは歯を喰いしばった「い」の形から左右に引き伸ばされていた。
各々変化しながら限界まで薄くなったシマシマの体は、薄くなるのを止めた。シマシマの体は細長い長方形になっていた。その姿は正に反物に近く、女子高生をそのまま反物に押し込めたような状態となっていた。
シマシマの変化は仕上げに入った。胴体では張り付いていた腕や手が完全に白黒縞模様の体に溶け込んでしまった。青いホットパンツもTシャツに飲み込まれ一体化してしまった。ホットパンツの先の肌色と白の二色に分かれていたシマシマの足を飲み込んでいった。白と黒の縞模様となったシマシマの胴体は、彼女の元の身長に合わせるように長く伸び始めた。しかし、どれだけ伸びても縞の本数はシマシマの着ていたTシャツの縞のそれと変わらないため、シマシマの縞の太さが段々と太くなっていった。
シマシマの顔は、開いていた口が閉じ、白い歯を隠した。そして、更に簡略化してしまった目と同様に横に長い一本線になってしまった。髪はほとんど一本の黒いラインのようになっていた。そして、縞模様と化した体に少しずつ飲み込まれていき、最後には完全に一体化してしまった。
シマシマの変形が止まった。薄くなった体では自らの体重を支え切れず、シマシマはトイレの床にヒラヒラと舞い落ちてしまった。一部始終を見ていた女は微笑みを浮かべると、身を少し屈め、縞模様の反物を手に取ると全体が見えるように床に広げた。
女子高生島田志麻子は反物になってしまった。彼女の身長と同じ長さ、彼女の肩幅と同じ横幅の反物であった。白と黒の縞模様の反物で、シマシマの着ていた白と黒の縞模様のTシャツと同じ模様であったが、反物全体の縞の本数も変化前のシマシマの着ていたTシャツの縞の本数と同じなので、異常に太い縞模様となっていた。シマシマというあだ名通りの縞模様の反物を見て女は笑みを浮かべた。
「うふふ…。シマシマちゃん、いい反物になったわね。あなたのあだ名と同じ縞々の反物よ…。どう、反物になった感想は…。」
そう言いながら女は腰を下ろすと、縞模様の反物に手を置いた。そして、反物にされた女子高生の体をどことなくいやらしい手つきでそっとなでて言った。
「少しゴワゴワしてるわね。女子高生は皆こんな感じなのかしら。色も少し濃いわね。…それに、体臭かしら。少し臭うのよね。…でもやっぱりこの縞模様の柄は不自然ね。縞が太すぎるわ…。」
そのようなことを言いながらしばらくなでていると、異常に太い縞の模様の反物がピクピクとまるで痙攣でもしているかのように小刻みに震え始めた。すると、縞模様の白い布地の中に二つの目が現れた。横に引き伸ばされているが、目元にあるホクロからそれは紛れも無くシマシマの目であった。シマシマの目は縞模様の柄の中で助けを乞うような眼差しを女に向けていた。見慣れた現象なのか女は特に驚きもしなかった。
「ふふ…。シマシマちゃん、まだこの体に慣れていないようね。それにまだ意識が残っているみたい。聞こえるわ、あなたの声が。『ひいいいいい! いやああああ! 縞々のシマシマ反物なんでいやあああ! 元に戻してえええ!』って声が…。ふふふ…。安心しなさい。すぐに楽にしてあげるから…。」
女は縞々の反物から手を離し立ち上がると、自分のバックから何かを取り出した。それは小さな小瓶であった。中には光る粉のようなものが入っている。
「シマシマちゃん。これは染色粉といって反物になった女の子に振り掛けるの。色を綺麗にしたり、柄を修正したり、いやな臭いを無くしたり、肌触りを良くしてくれるの。まあ、要するに仕上げをしてくれるの。他に反物になったばかりで苦しんでたりしたときに、楽にしてくれるわ。シマシマちゃんはやっぱり柄が問題ね。ふふ…大丈夫よ。縞模様は変わらないから。じゃあ、いくわよ…。」
女のその言葉に、シマシマの目は恐怖に歪んだ。それに構わず、女は小瓶の蓋を開け、中の粉を反物にされたシマシマに振りかけた。宙を舞い、光る粉が縞模様の反物に降り注がれていった。シマシマは身を捩るようにピクピクと震わせたが、逃れることは不可能であった。
すると反物の太い黒い縞が、変化前にシマシマが着ていたTシャツの縞と同じ太さに変わっていった。黒い縞が同じ太さになると、次に縞模様が消えた白い部分に既存のものと同じ太さの黒い縞が現れ、シマシマのTシャツの縞模様と同じ間隔で白地に引かれていった。同時に縞模様を構成する白と黒が、先程より少しだけ明るい色に変わっていった。そして、縞の布地に現れたシマシマの引き伸ばされた二つの目が徐々に細くなり、白黒縞模様の反物と化したシマシマの体の中に溶け込んで消えてしまった。反物の小刻みな震えも徐々に収まっていき、完全に止まってしまった。
「うふふふふ…。綺麗な縞模様の反物になったわ。シマシマちゃん。あだ名と同じいい反物にしてもらえてあなたも幸せ者ね。」
女は縞々のシマシマ反物を改めて見た。幅や長さはそのままだが、白と黒の縞模様がシマシマの着ていたTシャツと同じ太さになり、鮮やかになった色も含め、美しい反物になっている。綺麗は白と黒の縞模様の反物ができあがった。「仕事」を終えた女は、縞々のシマシマ反物をじっと見ながら、溜息を漏らした。
「ふふ…。注文の縞模様の反物はこれでいいわ…。」
女は身を屈め反物を両手で掬い上げた。綺麗な縞模様の反物をじっと見つめ、肌触りを確かめるように撫で回した。そして、反物に顔を近づけクンクンと臭いを嗅いだ。女子高生特有の甘い香りと汗の臭いが微かにしたが、先程よりは良くなっている。
「色良し。デザイン良し。肌触り良し。臭いも…まあ気にならないか。いい反物になったわ。この子、思った以上に上質の素材だったわね…。」
そう呟くと、女は縞模様の反物をくるくると巻いた。ロール状に巻かれた反物を片手に、洗面台の所に置いてあった紙袋を手に取った。紙袋の中には、色や模様の様々な反物がロール状に巻かれていくつも入っていた。その中に白と黒の縞模様の反物を入れると、女は紙袋を持ち静かに呟いた。
「さてと、あと必要なのは何かしら…。」
茶髪ロングヘアーでコートを着た女が立ち去ると、何事も無かったかのように日常の喧騒が戻ってきた。トイレの床には女子高生のバッグだけが無造作に置かれていた。


End

[133] RE:女変奇譚1.5.2 Name:メダぱに団 2010/05/16(日) 00:28
五ヶ月以上も間を空けてしまいまして、大変申し訳ありません。
お久し振りです。メダぱに団です。

新作の方は書いてはおりますが、未完成です。
とりあえず、以前書いたお話を投稿させていただきました。
冒頭にも書きましたが、今回のお話は、以前こちらに投稿させて頂いたお話の被害者の子を、別の子に変えただけのものです。
お話の流れなどは全く同じです。

既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、私はコギャル制服JKの他にも、縞模様の服を着た女子を物品・反物化などの被害者にすることが多いです。
理由は、もちろんゲゲゲの鬼太郎の反物化を始めとした様々な物品化の影響です。その他に私の好みもありますw
このお話にはそれが気持ち悪い位にモロに出ていますww
かなりうっとおしい位に出てますので、イラッとしてましたらすみません。

まだ少し忙しい日々が続きますが、空いている時間にでも少しずつ書いて蓄積していこうと思います。
とりあえず一ヶ月に1〜2話位のペースを目標としていこうと思ってます。

それでは…。


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