愛知県警:漏えい警部、接待漬け 風俗店主「タダ酒」指示
毎日新聞 2013年09月21日 02時30分
愛知県警捜査1課警部による情報漏えい事件で、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕された警部の倉木勝典容疑者(55)に対し、漏えい相手である風俗店グループの実質的経営者、佐藤義徳被告(56)=脅迫罪で公判中=が、知り合った当初から自分の店で頻繁に接待し、「無料で酒を飲ませていい」と従業員に指示していたことが20日、捜査関係者らへの取材で分かった。県警捜査2課は、佐藤被告が倉木容疑者を情報源として抱き込もうとし、倉木容疑者もこれに応じて親交を深めていったとみて捜査している。
捜査2課は、佐藤被告についても、情報提供を依頼した地方公務員法違反(そそのかし)の疑いがあるとみて調べている。
捜査関係者らによると、2人が知り合ったのは1999年ごろ。倉木容疑者は「当時現職の警察官から紹介された」と供述している。そのころから倉木容疑者は佐藤被告が名古屋市内で実質的に経営するキャバクラ店に訪れるようになった。多い時は月2、3回来店し、同僚の警察官を連れてくることもあった。2人は親しげな様子で、倉木容疑者は「倉さん」と呼ばれていたという。
一方、佐藤被告は、店の従業員に「無料でいい」「(倉木容疑者が払う場合も)向こうの言い値だけもらえ」などと指示していた。通常の料金は2万円程度だが、倉木容疑者は一円も支払わないこともあれば、数千円だけ払うこともあったという。
また、佐藤被告の店には、倉木容疑者とは別に接待を受けていた警察官が複数いて、こうした警察官に対しても、佐藤被告は無料にしたり、料金を安めに抑えたりするよう従業員に指示していた。タクシー代と称して現金を渡す場面もあったという。
佐藤被告が2011年4月、指定暴力団山口組弘道会のナンバー2と共に逮捕されると、倉木容疑者の来店は減ったという。捜査関係者は「複数の警察官と親しくして、必要に応じて利用するのが佐藤被告のやり方。倉木容疑者は関係を切ることができなかったのだろう」と話している。