「読み通りズバリ的中したな」
IOC総会の1回目の投票で東京が42票、2回目の投票で60票を獲得すると、招致委員会副理事長の水野正人氏(70)は、周囲にそう誇らしげに語った。交流の深いIOC委員たちの話から、事前に正確な獲得票数を把握していたのである。
五輪招致の〝陰の立て役者〟と言われる水野氏は、祖父の利八氏が創業したスポーツ用品メーカー『ミズノ』の3代目社長。「御曹司にありがちな軟弱さはなかった」と同社関係者が振り返る。
「自ら世界各国を回り、自社の商品を売り込んでいました。若い頃は、1年のうち3ヵ月は海外にいたでしょうか。ただ米国の大学を出ているので英語は堪能でしたが、アフリカや南米など他の言語圏の国々ではなかなか商談をまとめられなかった。そのことがよっぽど悔しかったのでしょう。『1年以内に話せるようになってやる』と宣言して、独学でフランス語やスペイン語をマスターしたんです」
兵庫県芦屋市出身の水野氏は '88年に社長に就任すると、「関西では情報が遅れる」という理由で東京の高級住宅街・田園調布に147坪の豪邸を構えた。会長時代の年収は約5000万円で、所有する土地の価格は4億円を下らないという資産家だ。その自宅に要人を招き夫人が手料理を振る舞っていた。前出の『ミズノ』関係者は、〝アフターケア〟も完璧だったと語る。
「水野さんは、会食相手と必ず写真を撮るんです。そして直筆の礼状とともに、その写真を送る。手紙には自ら描いたちょっとした風景画も添えられ、多くの人がその気遣いに感激していました」
象徴的なエピソードがある。 '06年に水野氏が会長就任後しばらくして東京で開かれた、海外のスポーツ記者との懇親会でのことだ。参加したのは20人ほど。水野氏はいつも通り、出席者たちと記念写真を撮っていた。すると2日後には、参加者全員の宿泊先に礼状と写真が届く。しかも手紙は英語ばかりでなく、相手の母国語に合わせてドイツ語やフランス語でも書かれていたのだ。前出の関係者によれば、ある参加者は「今後はどんな協力も惜しまない」と話していたという。
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