大阪市の橋下徹市長は２０日、市職員が堺市長選の候補者の政策などを記したビラを市役所内で配布していたことを明らかにした。市は、職員労働組合支部の役員が配布したとみて、公職選挙法違反（法定外文書頒布）などの疑いで刑事告発も検討している。

　市によると、ビラはＡ４の両面にカラー印刷された労働組合機関紙の号外。今月１８日の昼休みと勤務時間終了後、市役所７階の都市計画局の組合員の机に置かれていたという。ビラは今月２日発行で、１５日告示の堺市長選の候補者の顔写真や政策、期日前投票の説明などが記され、組合が推薦を決めたことも紹介。組合の会長名で「ご支援を心からお願いします」と組合員に呼びかける内容だった。

　市は他の職員らの指摘を受け、約１０部を回収。組合支部の役員４人が配ったとみて、事情を聴いている。

　橋下市長は記者団に「これはもう選挙運動で、アウトだ。公選法違反なら刑事手続きもとる」と述べた。一方、組合の弁護士は、「上部団体の機関紙を傘下組織の組合員に配ったのは正当な組合活動であって何ら制約されるものではない。勤務時間外であれば問題ない」と話している。【茶谷亮、津久井達、村上尊一】