杉内は黙々とキャッチボール。2003年の苦い思い出を教訓に胴上げ投手を目指す(撮影・川口良介)【拡大】
時計の針は着々と“その時”に向けて進んでいる。この日午前9時のJR名古屋駅。東京行きの新幹線を待つ原監督はプラットホームでせっせとペンを走らせていた。取り囲んだファンのために、発車直前まで即席サイン会を開催していた。
「原さん、あした決めてね!!」「頑張ってよ」「日本一だぞ!!」
興奮気味のファンの声援にニッコリと笑った指揮官。前日19日の勝利で優勝マジックは「1」。連覇は目前まできているが、いたって冷静だ。
「(昨年の優勝が)決まったのって、何日だったの? 21日? その通りにいくかどうかだね。勝負は分からないから。普段通り? そう、その通り。いつもと同じように戦います」。慌てず、騒がず。悟りを開いたかのように自然体だった。
21日の広島戦のチケットは指定席、立ち見席ともに既に完売。東京ドーム周辺には待ちきれないG党が集結するなど、周囲のVムードは最高潮に達している。マジック対象の2位・阪神は午後2時プレーボール。午後6時開始の原巨人は、勝てばもちろん連覇が決定。阪神が負けた場合は、試合前に優勝が決定する可能性もある。球場の開門は午後4時。球団はファンのために、オーロラビジョンで阪神戦のスコアを速報することも検討している。当日券こそないが、入場者はセ・リーグでは史上初の試合前Vを見届け、直後にほっかほかのV戦士に拍手喝采を送れるわけだ。