「能美古墳群の歴史的な価値が、さらに高まった」−−。国史跡の和田山・末寺山古墳群（能美市）出土の須恵器の表面に確認された「未」と「二年」の文字。同古墳群は他の古墳群と共に「能美古墳群」として国史跡に統合指定される見込みだけに、同市の前田英夫教育長は１９日、市立博物館（同市倉重町）での記者会見で、「文字が刻まれた須恵器としては国内最古」との発表に胸を張った。

　市教委によると、文字が確認された須恵器２点は１９７７年、和田山・末寺山古墳群の「和田山２３号墳」で行った発掘調査で出土。だが、その後長年、詳細な調査はできなかった。その経緯について、前田教育長は「当時の発掘は、後に能美市に合併した旧寺井町が行った。小さな自治体で専門学芸員もいなかったため」と説明した。

　会見には７７年当時、発掘に携わった石川考古学研究会の河村好光・代表幹事も出席。河村代表幹事はこの時の発掘の報告書で、須恵器の「未」の文字について「文字のようにも思える」と指摘していた。「ずっと気にかかっていたことがやっと明らかになった。文字の広がりを解明する手がかりになる」と笑顔を見せた。

　同古墳群は、国の文化審議会の答申により、市内の別の古墳群と統合して「能美古墳群」として、国史跡に指定される見通しで、古墳群を遺跡公園として整備するために出土品を再調査した結果、文字が確認された。

　文字が刻まれた須恵器２点は２１日から市立博物館で展示される。入館無料。問い合わせは同館（０７６１・５２・８０５０）。【横田美晴】