ホストクラブ経営者の遺体を薬剤で溶かす　カセイソーダ使用か

玄地栄一郎容疑者は１８日午前、警視庁に連行された

１８日午前９時すぎ、警視庁に連行される阿部卓也容疑者（中央）

　東京都八王子市で３年前から行方不明になっていたホストクラブ経営者・土田正道さん（当時４３歳）の遺体を遺棄したとして、警視庁捜査１課は１９日までに、死体損壊・遺棄などの疑いで土田さんの店の元店長、玄地（げんち）栄一郎容疑者（３１）＝八王子市＝ら男女７人を逮捕した。捜査関係者によると、遺体を処分する際に、カセイソーダとみられる薬剤を使い、遺体を溶かしていたことが判明。玄地容疑者らはいずれも容疑を否認している。

　複数のホストクラブを手がけ「西東京のカリスマ」などと呼ばれていた土田さんが、こつ然と姿を消したのは２０１０年１１月２５日。妻に「店の関係者に会いに行く」と言い残して自宅を出たのが最後だった。事件から約２年１０か月で、事件に関与したとみられる容疑者が続々と逮捕された。

　捜査１課は１８日、八王子市内で土田さんの遺体を損壊、遺棄した疑いで玄地容疑者、ホストクラブ元従業員の阿部卓也容疑者（２６）と父親の秀樹容疑者（５９）ら５人を逮捕。

　玄地容疑者らは、土田さんと金銭トラブルを抱えていたとされる。卓也容疑者は、土田さんが経営するホストクラブで客引きをしている際にトラブルを起こし、営業停止を招いたとして、土田さんから金銭を請求されていたという。土田さんも失踪直前に、周囲との金銭トラブルがあったことを明かしていた。

　今年４月、捜査１課は秀樹容疑者の自宅を家宅捜査し、浴室の汚水槽から人の顔の骨とみられる骨片とインプラント（人工歯根）を発見。骨のＤＮＡ型は照合できなかったが、同型のインプラントが国内で約６００個しか作られていないことが分かり、捜査１課は歯科医院などの捜査で土田さんのものと特定。土田さんが既に死亡し、遺体が処分されたと判断した。

　損壊・遺棄の疑いの５人に続き、１９日には同ほう助の疑いで、無職の玄地紗希容疑者（２８）と飲食店経営・玄地栄美容疑者（２８）が逮捕された。同課によると、２人は栄一郎容疑者の元妻と妹。遺体の処分に使う薬剤を購入し、損壊・遺棄を手伝った疑いがもたれている。

　捜査関係者によると、薬剤は業務用の洗浄剤で、カセイソーダとみられる。警視庁の実験で、人体の一部を溶かし、骨を砕きやすくする効果が確認された。

　土田さんが行方不明となった直後に、２人が洗浄剤を大量に購入した記録が残っていた。土田さんのインプラントなどが見つかった秀樹容疑者の自宅では、この時期の水道使用量が普段の約３倍に上っていたことが判明。７人とも「身に覚えがない」と容疑を否認しているが、警視庁は、洗浄剤で遺体を溶解するなどした上、排水溝に流して処分した可能性があるとみている。

　◆カセイソーダ　強アルカリで工業用に広く使われる化学品。水酸化ナトリウムとも呼ばれる。主用途は上下水道や工業廃水の中和剤。家庭用のキッチンや浴槽の排水溝用のパイプクリーナーにも含まれている。人体に付着すると化学熱傷を起こし皮膚が溶けたり、失明する恐れがある。毒物及び劇物取締法では原体及び５％を超える製剤は劇物に指定されている。

（2013年9月20日06時03分スポーツ報知）