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【コラム】「李石基」はただの役者、監督は「歴史教科書」だ
- 朝鮮日報
- 2013年09月20日07時29分
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「李石基(イ・ソッキ)事件」で従北勢力(北朝鮮に追従する勢力)に目を奪われている間に、私たちはそれよりももっと深刻な「反大韓民国勢力」が足元に忍び寄っていることに気付いていない。大韓民国建国そのものを否定的な視線で見てきた左派寄りの歴史教科書に対抗し、建国の正当性を掲げた新教科書が集中砲火を浴び、「殺害脅迫」に直面する事態が起こっているのだ。
韓国の教科書出版社「教学社」がこれまでの高校韓国史教科書で歪曲(わいきょく)されてきた部分を修正し、新教科書を発行するや、左派学者や関係者らがハチのように群がってきて、新教科書の記述ミス数カ所を針小棒大に取り上げ、教学社を脅迫した。参考書など教科書以外の出版物に対する不買運動を恐れた教学社は、教科書発行を一時取りやめることまで考えた(検定手続き上、著者との合意がなければ発行を放棄できないようになっている)。記述ミスを修正できる機会が用意されているのにもかかわらず、左派は頑として取り合わなかった。結局、教科書の記述ミスを問題にしているのではなく、発行そのものをやめさせようという意図があることを恥ずかしげもなくさらしたのだ。
ややもすると、李石基式の従北行動などは一見突出した事件に見えるが、取るに足らない泡沫(ほうまつ)的な部分だ。しかし、大韓民国の建国勢力を「親日」と罵倒し、建国そのものを認めない者たちによる歴史の歪曲は、韓国人の現在と未来をむしばむ慢性的・長期的な持病そのものだ。それにもかかわらす大韓民国の国民たちは「おでき」に驚きながら、慢性病の病原菌にはそれほど嫌悪感を示さない。これが現在のこの国の問題なのだ。
どの国のどの民族でも自国の建国に誇りを持ち、建国に至る過程を美化するのが正しい道だ。例え建国の過程にどのような論争の種があったとしても、それを覆い、傷を治しながら子孫に対して建国の思いを伝えていくのが民族の誇りだろう。ところが、なぜこの国の反体制的な左派は「米軍は占領軍、ソ連軍は解放軍」「李承晩(イ・スンマン)と朴正煕(パク・チョンヒ)は親日派」「金日成(キム・イルソン)は独立闘士」などと大韓民国の建国に泥を塗り続けるのか? では仮に、彼らの主張通り、大韓民国の建国と建設に何らかの問題があったとしてみよう。そうだとしても、だからどうするというのか? 再び国を作り直そうというのか? さもなければ大韓民国を丸ごと誰かにささげるとでも言うのだろうか? あるいは大韓民国をなくしたり、歴史から消し去ろうとでも言うのか?
「反大韓民国」というのは、大韓民国の体制に反対することで、一見、北朝鮮の体制とは無関係のように見えるが、実は従北よりも次元の高い高等な手法だ。大韓民国を変えてアップグレードさせようということではなく「お前らはそもそも生まれてきたこと自体が間違っている存在だから滅びるべきだ」というのが反大韓民国勢力の根本的な考え方だ。言い換えれば「李石基」は役者であり、「歴史教科書」は監督というわけだ。
大韓民国は1970年代から90年代にかけて「維新」「新軍部独裁」「5・18光州(光州事件)」などを経て、被害者や反対者を量産してきた。これは、大韓民国の暗い一面であり、恥ずべき陰の部分だった。この被害意識と反対意識が当時の反体制を形成し、悔しさや憤りに歯ぎしりした人々が反大韓民国へと向かうよう「歴史教育」を推し進めた。その道具こそ反体制的な視点から書いた歴史教科書であり、この30年間の歴史教育現場は彼らの独壇場も同じだった。その教科書によって「教育」された小中高生や大学生が現在、30代後半から50代半ばになっている。李石基らが逮捕されても意気揚々としていたのは、こうした人々の潜在力を信じているからなのかもしれない。
今も彼らは高校の韓国史教科書の全てを握っており、それに挑もうとした一出版社の新教科書を根本から絶とうと試み、殺害すると脅してまでいる。自分たちの独占領域にわずかな隙間やひびも許せないというわけだ。特に、考え方の偏りや理念的な信念があまりない現代の若い世代が、自分たち反大韓民国勢力の歴史教科書にもう染まらなくなることを恐れ、新教科書の出現を神経質なほどに邪魔しようとしているように見える。
大韓民国の政治が本来の進むべき道を見いだし、経済が国民の生活を支え、包んでくれる状況に向かって行けば行くほど、反大韓民国勢力の居場所は小さくなるだろう。現在の大韓民国に問題があるなら、われわれはそれを解決し、回復に向かえばいいのであって、それを口実に国の存在自体を否定してわれわれの生活基盤を、そしてわれわれを壊滅させようとして敵にささげるような行為ができようか。いや、できるはずがない。
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