愛知県警漏えい:逮捕の警部と漏えい先「別の警官が紹介」

毎日新聞 2013年09月20日 15時00分(最終更新 09月20日 21時17分)

送検のため愛知県警名東警察署を出る倉木勝典容疑者(手前)=名古屋市名東区で2013年9月20日午後0時16分、兵藤公治撮影
送検のため愛知県警名東警察署を出る倉木勝典容疑者(手前)=名古屋市名東区で2013年9月20日午後0時16分、兵藤公治撮影

 愛知県警捜査1課警部による情報漏えい事件で、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕された警部の倉木勝典容疑者(55)が情報の漏えい相手である風俗店グループ「ブルー」の実質的経営者、佐藤義徳被告(56)=脅迫罪で公判中=について「1999年ごろ、当時現職の警察官から紹介された」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。捜査2課は、倉木容疑者は佐藤被告から情報提供を依頼されたとみており、紹介者から聴取するなどして、2人が関係を深めていった経緯を調べる方針だ。

 県警は20日、倉木容疑者を名古屋地検に送検した。捜査2課の調べに対し、倉木容疑者は「ほぼ間違いありません」と容疑を認め、「黙秘はいけないと分かっている」と事実関係を話す姿勢を見せているという。

 捜査関係者によると、倉木容疑者は佐藤被告と「酒を一緒に飲んだこともある」とも供述。頻繁に会う時期もあれば、関係が途切れていた時期もあると説明しているという。

 佐藤被告が関与した脅迫事件の公判では、元警察官が、佐藤被告は少なくとも10人前後の警察官と交遊関係を持っていたと証言。指定暴力団山口組弘道会と密接な関係にあった佐藤被告は、暴力団担当の捜査員にとっては有益な協力者だったとみられ、捜査4課OBも毎日新聞の取材に対し、「仕事上の付き合いはあった」と認めている。

 公判で証言した元警察官も、風俗店への家宅捜索の情報を教える見返りに現金を受け取っていたことを法廷で告白している。県警は倉木容疑者についても、情報漏えいの見返りに金銭の授受がなかったか、贈収賄容疑を視野に慎重に調べる方針だ。

 県警の伊藤昇一警務部長は19日の会見で、捜査情報を捜査対象者側に漏らす「内通者」問題について、「いろんな人と接触しないと捜査はできないが、警察官としての立場をわきまえた対応が必要。法に抵触することがあれば対処していく」と述べ、厳しい姿勢で臨む考えを示した。

 倉木容疑者の逮捕容疑は2012年8月28日ごろ、佐藤被告から依頼され、県警蟹江署刑事課のコンピューター端末で照会した車両の個人情報を伝えたとしている。

 ◇上司の1課長謝罪

 倉木容疑者の逮捕を受け、直属の上司にあたる県警捜査1課の梶浦哲哉課長は20日未明、報道陣の取材に応じ、「部下が逮捕され、県民の皆さんに申し訳ないとしか言いようがない」と疲れ切った表情で話した。

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