贈賄:フタバ産業、中国税関にも4500万円
毎日新聞 2013年09月12日 15時00分(最終更新 09月12日 15時14分)
自動車部品メーカー「フタバ産業」(愛知県岡崎市)の中国の子会社を舞台にした贈賄事件で、不正競争防止法違反容疑(外国公務員への贈賄)で逮捕されたフタバ産業元専務、寺田武久容疑者(68)が、逮捕容疑となった中国の地方政府の幹部だけでなく、同国税関幹部にも現金計約4500万円を渡していたことが、捜査関係者への取材で分かった。子会社は当時、中国税関当局の査察を受けており、寺田容疑者は愛知県警捜査2課の調べに対し、「金で解決しようと思った」との趣旨の供述をしているという。【川崎桂吾、石山絵歩】
寺田容疑者がトップを務めていた子会社は2006年、工場の設備を巡って中国の税関当局から税制上の手続き違反を指摘された。最も重い処分の場合、操業停止に追い込まれる可能性があった。このため寺田容疑者は調査を行った税関幹部らに多額の現金を渡した上で、処分に影響力を持つ地方政府の幹部にも賄賂を贈った。こうした工作の結果、処分は日本円で約300万円の罰金で済んだ。
寺田容疑者の逮捕容疑は07年12月、広東省東莞市内の高級中華料理店で、同市大嶺山鎮(鎮は日本の町村に相当)の地方政府幹部の男に3万香港ドル(45万円相当)や女性用バッグを渡したとしている。捜査2課の調べでは、この幹部には02年ごろから約600万円が子会社側から渡されていたという。
同課は、フタバ産業が01年に中国へ進出して以降、寺田容疑者が地方政府や税関の幹部ら計5人に総額5000万円超の賄賂を渡していたとみているが、逮捕容疑以外は時効(5年)が成立したという。
愛知県警は12日午前、寺田容疑者が所管していた部門がある岡崎市在家町向前田のフタバ産業六ツ美工場に家宅捜索に入った。押収資料から、寺田容疑者の供述の裏付け捜査などを進める。