大震災からの復興へ歩みを進める東北で、「三陸に仕事を!」と銘打った支援プロジェクトが話題を呼んでいる。
三陸の沿岸部に暮らす、いわゆる「浜の女性」たちがこのプロジェクトの主役だ。
浜に住む女性が、身近な素材をつかって手仕事でつくりあげる「浜のミサンガ 環(たまき)」。
漁に用いる漁網(ぎょもう)と麻紐をくみあわせて結ぶことで、1本のミサンガができあがる。ミサンガは全国で販売され、材料費や販売経費、 諸経費を除いた金額が、女性たちの賃金となるしくみだ。
「三陸に仕事を!プロジェクト」が多くの人を惹きつける理由とはなんだろう。実行委員会の南部さんにくわしく話をうかがった。
「漁業など、一次産業を生業としている人たちは、生活と収入が一体となっていることが都市部との大きな違いです。今回の地震で、自分たちの収入の源であった漁場・農場・加工場・漁港といった、全ての収入の源が流されてしまったのです。お父さんたちは、瓦礫の片付けといった、復旧にかかわる力仕事はあるのですが、浜のお母さんたちの主な仕事であった、漁の準備や獲ってきた魚の下処理、加工など、すべてが流されて、仕事がまったくない状態です。
そういうときに、お母さんたちにも収入があって、生きがいがあって、井戸端会議でもしながら仕事をする、ということが重要かなと、思うんです」
大震災から4カ月が経ち、仮設住宅に住み始める人が急ピッチで増えている。基本的人権が担保される生活が保障される一方で、避難生活で支払われていた補助金がなくなり、仕事がない・収入がない、という問題がよりいっそう深刻になってくる。
浜の女性たちが、ミサンガを作りはじめての一番の変化は、「笑顔になった」ことだという。
「1日のうち少しの時間でも避難所から出て、どこか別の場所で集中して作業をする。ここをこうやるといいわよ、なんて会話をする。人の話、健康の話、被災の話ではない話をしながら、何かをやる、ということで気が晴れたんでしょう。…