靖国と侵略を考える市民のつどい:元長崎大学長・土山さん「政教分離の危機」 /長崎
毎日新聞 2013年09月20日 地方版
元長崎大学長で被爆者の土山秀夫さん(88)は18日、県教組などが開いた「靖国と侵略を考える市民のつどい」で「靖国が現代に問いかけるもの」と題して講演。「自民党などが戦争遂行に大きな役割を果たした靖国神社の国営化を目指している」と指摘し、保守政治家が「天皇の靖国参拝を実現させ、以前のような天皇制の復活を目指している」と危機感をあらわにした。
土山さんによると、靖国神社は戦時中、国家と一体となり、陸海軍は「死んだら靖国で会おう。靖国には天皇陛下が参詣される」などと言って青少年を勧誘した。戦後は米国が政教分離を打ち出し、靖国神社は民間の立場で出直したが、自民党などには最近、A級戦犯の分祀(ぶんし)を認める代わりに靖国を国営化する動きが出るなど「政教分離の境界があやしくなってきている」と指摘した。
また、安倍晋三首相らについて「憲法を変えることで天皇の持ち範囲を広げ、天皇の名のもとに、治安維持法のような国家権力による統制が厳重な世界を復活させようとしている」と批判。「憲法改定の国民投票になった時に改定を阻止できるよう、今からいろんな階層の人たちに問いかけることが必要だ」と話した。【大場伸也】
〔長崎版〕