さらに、13年度一般会計予算では、国債費22兆2415億円を計上しているが、その内訳は債務償還費12兆3388億円、利払費等9兆9027億円だ。債務償還費は国債整理基金特別会計への定率繰り入れで必要というが、それは世界でもまれな制度だ。世界標準で定率繰り入れを止めれば、財源となる。
これまでも何回も定率繰り入れは日本でも停止したことがあるが、それで問題になったことはない。利払費では、予算積算金利が1・8%と市場金利より高めになっているので2〜3兆円ぐらいの財源捻出は容易だ。
このほかにも、景気回復による自然増収もある。景気回復局面での税収弾性値(名目GDP=国内総生産=が増えるごとに税収が増える割合)は3程度なので、4〜6月期のように名目4%成長であれば、4兆円以上の税増収が期待できる。
以上でわかるように、財源はたっぷりとある。しかし、財務省は、特別会計関係や利払費等は一切言わずに、一般会計剰余金が1・3兆円と、少なめに見積もった自然増収だけで景気対策を組もうとするだろう。
その背景には、自然増収分を早く処理して、自然増収だけで財政再建が可能であると悟られないようにするという意図がある。名目4%成長になるとほぼ財政再建できるが、それは増税を主張したい財務省に不都合な事実なのだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)