消費税増税による景気失速懸念から、景気対策を実施するという流れになっている。規模は5兆円程度といわれているが、9月13日、麻生太郎財務相は、経済対策では基本的には国債発行をしない方向で検討するとの認識を示した。
財政再建のために増税し、それでは景気が危ないからといって、補正予算を組むだけでも、愚か者といわれそうだ。まして、その補正予算に財源が足りないというので国債発行したら、それこそ大馬鹿者といわれそうだ。それをなんとか回避したいために、財務省は補正予算では国債発行しないようだ。
補正予算の財源は何があるか。まず、2012年度の一般会計剰余金1兆2952億円がある。このほかに、復興分として1兆1252億円の剰余金もある。これは東日本大震災復興特別会計に繰り入れる予定であるが、その分、復興予算に余裕ができる。カネに色はついていないので、補正予算財源になりうる。
また、12年度の特別会計剰余金も35兆5211億円ある。このうち国債の大量償還を円滑に行うために、借換債を前年度に前倒して発行する「前倒し債」などで必ずしも財源とは言いにくい国債整理基金特別会計を除いても13兆719億円もある。
このうち積立金として積み立てられたのは3兆8225億円、13年度当該特会の歳入に繰り入れられたのは7兆2222億円、13年度一般会計に繰り入れられたのは1兆9633億円。その積立金は一応「必要」なものとして積み立てたが、本当に必要かどうかをよく精査すべきだ。これは、小泉政権の時に行われた「埋蔵金」である。財政当局は必要だといいつつ、結果として40兆円の財源がひねり出せた。