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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

道州制についての意見

和歌山県知事 仁坂 吉伸

はじめに

  • 地方分権とは、住民が自ら幸せになるために様々な選択をすることができる社会を実現することである。
  • このような社会を実現するためには、まず国が責任をとるべき事務、地方が責任をとるべき事務は何かということを整理し、地方が責任を負う事務については国から関与を受けることなく、財源も保障されることが必要である。
  • 言い換えれば、国と地方は、それぞれの役割を自己責任のもとに果たしていかなければならない。また、すべての制度は、国民の生活が良くなる方向に、それぞれの行政当局が合理的に行動するようなインセンティブに配慮して作られていなければならない。
  • 地方公共団体には、このような自己責任のもとに、住民の必要とする財源を、偏在性の少ない税源の割当てにより確保させなければならない。ただし、いかなる地域に住む国民も日本人として保障されるべきナショナルミニマムと考えられるサービスは与えられなければならず、そのための財政面の調整を行うメカニズムは必要である。
  • 道州制は、このような地方分権を推進するためのものでなければならないと考えており、道州制下における資源配分が、現在、和歌山県に居住する住民にとって現状よりも有益な制度となるように期待している。

道州と国の役割分担について

  • 全国知事会がとりまとめた「道州制に関する基本的な考え方(平成19年1月)」では、「内政に関する事務は基本的に地方が担うこととすべき」としているが、そのように断じることはできない。
  • 日本国民である限りは、最低限これだけの権利は保障するという観点、また、経済分野において国際競争力を高めるという観点などから、内政に関する事務であっても、国が統一的基準やルールを設定すべき分野があると考える。
  • 道州の自治立法(道州法)のあり方についても、国としての統一を保つために必要なものは、バラバラな形にならないような配慮が必要である。各地の制度が不必要に異なることのないよう、何れの分野で国が定めた制度の道州法での変更(いわゆる「上書き」)を認めるかについては是々非々で見極めていくことが必要である。

道州の税財政制度について

  • 国と地方の役割分担を明確化するためにも、国が責任を果たすべき分野は国の財源で、地方が責任を果たすべき分野は地方の財源で賄う制度にすべき。
  • 道州制のもとでも、地域に住んでいる人たちに日本国民として最低限保障されるべきナショナルミニマムが確保されるような税財政制度を構築する必要がある。
  • そのためには、道州間の財政調整制度のみならず、道州内の財政調整制度のあり方についても、十分な議論が必要と考える。

「道州制に関する第3次中間報告(素案)」について

  • 以上のような観点から素案を拝見すると、8ページ「道州の税財政制度」の項において、「最低限全国一律に義務づけられる事務処理の適正な執行を確保する観点に立って、必要な財源保障、財政調整を国の役割において行うこととすべき」とされているのは、まさにそのとおりであると賛成するところである。
  • また、道州と国の役割分担に係る今後の議論においては、国民のナショナルミニマムを保障し、経済分野における国際競争力を高めるという観点から、国に残す必要のある業務・仕事というものも明示していただけることを期待する。

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