原爆残留放射線:影響解明へ 中尾さんら、住民の白血球異常増加 本田医師「西山地区のデータ解析重要」 /長崎
毎日新聞 2013年09月19日 地方版
中尾さんは篠原教授の調査後も米原爆傷害調査委員会(ABCC)などで検査を受けたが、結果を教えてもらった覚えはない。30歳過ぎて、甲状腺疾患と診断され、姉も甲状腺を患っている。2004年には妹が乳がんで、05年には別の姉が肺がんで亡くなった。中尾さんは「自分もがんになるのでは」と不安を抱えながら、「原発事故で苦しんでいる福島の人の救済に、自分たちのデータを生かしてほしい」と話した。
また、中尾さんの兄進さん(87)は、原爆投下時は千葉の工兵学校にいて戦後、西山に戻った。白血球は10月28日の測定で、正常値よりもはるかに多い3万2500個と記録されていた。原爆投下時に長崎にいなかった進さんには、被爆者健康手帳が交付されていないが「相当な残留放射線を受けたはずだ」と考えている。
本田氏は「進さんも残留放射線の影響を受けていたと考えざるを得ない。残留放射線の影響を解明するうえで、西山地区のデータ解析は重要だ」と指摘する。
〔長崎版〕