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東京や愛知などで地価上昇に転じる
9月19日 17時34分

東京や愛知などで地価上昇に転じる
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ことしの都道府県地価調査が公表され、東京都や愛知県などで住宅地、商業地ともに5年ぶりに地価が上昇に転じたことが分かりました。
全国的にも値下がり率は小さくなっています。

都道府県地価調査は、ことし7月1日の時点で都道府県が行った調査を国土交通省がまとめたもので、東京電力福島第一原発の事故による帰還困難区域などを除く全国2万1958か所が対象です。
それによりますと、全国の地価の平均は、住宅地がマイナス1.8%で22年連続の下落、商業地がマイナス2.1%で6年連続の下落となりましたが、いずれも値下がり率は去年よりも小さくなりました。
一方、都道府県別に見ますと、住宅地では、東京都が0.5%、神奈川県が0.1%、愛知県が0.8%、宮城県が0.7%、いずれもプラスに転じました。
住宅地の地価が上昇に転じたのは、宮城県は平成9年以来16年ぶり、そのほかはリーマンショック直前の平成20年以来5年ぶりです。
また、都道府県別の商業地では、東京都が0.7%、神奈川県が0.9%、愛知県が0.8%、大阪府が1.1%、宮城県が0.6%、いずれもプラスに転じました。
商業地の地価が上昇に転じたのは、いずれも平成20年以来5年ぶりで、都市圏で見ても東京、大阪、名古屋の3大都市圏ともに上昇しました。
そのほかの道府県の住宅地・商業地の地価は、ほぼすべてで値下がり率が小さくなっています。
このほか、今回の調査で地価の上昇率が全国で最も大きかった地点は、住宅地では岩手県大槌町の高台でプラス30.5%でした。
住宅地の地価上昇率の上位10地点のうち9地点は、岩手、宮城、福島の各県内の場所が占め、高台移転の需要を背景に被災地で地価が上昇していることがはっきり現れました。
一方、商業地で上昇率が最も大きかったのは、再開発が進む川崎市中原区で、プラス13.4%でした。

専門家「都市圏は底入れ」

今回の地価調査について、民間の調査会社、東京カンテイの中山登志朗上席主任研究員は「低金利のうちに住宅を購入しようという傾向が強まっていることや賃貸に回して収益を挙げようという動きもあって不動産の活用や住宅の購入を考える人が増え、実需と投資の両面でニーズが高まっている。特に利用価値の高い都市圏の中心部では去年末から地価の反転上昇の兆しはあった。こうした地域では、地価は事実上、底入れしたと見ていいのではないか」と話しています。
そのうえで「東京オリンピックの開催決定で開催地エリアは開発や施設整備が進むので、地価は上昇する可能性が極めて高く、周辺も波及効果が出てくる可能性もある」としています。
一方、都市圏以外の地域については「利便性が高い都心部は地価が上昇しやすいが、郊外に関してはなかなか上昇しにくく、今後、『二極化』が大きな傾向になってくると思う」と話しています。

都心部の高級マンション人気高まる

住宅地・商業地ともに5年ぶりに地価が上昇に転じた東京都内では都心部の高級なマンションなどの人気が高まっています。
都心ではこのところタワーマンションや高級マンションが相次いで登場しています。
このうち、豊島区南池袋で建設中の49階建てのマンションは、平均の販売価格が7000万円台で、中には2億円を超える部屋もありますが、発売から2か月足らずで完売しました。
JR山手線の内側に位置し地下鉄の駅に直結しているという立地に加えて、低層階に「区役所」が入り防災面でも安心感があることからシニア層を中心に人気を集めました。
現金で購入した人も多く、4割に上ったということです。
元会社経営の84歳の男性は、郊外の一戸建てから移り住むため購入したということで、「一戸建ては掃除も大変だ。便利な都心にあり災害時にも安心だということで購入を決めた」と話していました。
一方、東京の湾岸地域には、高層マンションの発売が相次いでいて、2020年の東京オリンピック開催が決まったことを追い風に一段と人気が高まっています。
中央区晴海で建設が進む49階建てのマンションは、部屋からオリンピックの選手村や競技会場が望めるようになる見込みです。
オリンピックの開催決定前には週末にこのモデルルームを訪れるのは平均30組程度でしたが、決定後は2倍になっているということです。
すでに購入を決めていた人からは、「眺望のよさや通勤の利便性から購入したが、オリンピックを楽しめると思うと気持ちが高まる」という声が聞かれました。
また、オリンピック開催決定を受けて足を運んだという人は「今後、周辺のインフラの整備も進み不動産価値も上がると思うので購入を前向きに検討したい」と話していました。
マンションを手がける「三菱地所レジデンス」の販売担当の大武麻子さんは「これまでも景気回復や低金利で売れ行きは堅調だったが、オリンピックの開催決定で購入意欲を後押しされているお客様が予想以上に多い」と話しています。

全国1位の岩手・大槌町の地区は

地価の上昇率が全国1位となった岩手県大槌町の大ケ口地区は、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた町の中心部からおよそ2キロ離れた場所にあります。
比較的高い場所にあり、ほとんどの住宅や建物が津波の被害を受けなかったことから被災した人たちの住宅再建や工事関係者の宿舎として土地の需要が高まっています。
大槌町の仮設住宅に住む60代の女性は、津波で自宅が流された場所の復興の工事が進んでいないため、一刻も早く仮設住宅を出たいと大ケ口地区で土地を購入し、移り住むことを決めました。
この女性は、「元の場所で自宅を再建するには何年かかるか分からない。年齢的なことを考えてこれ以上、待つことはできなかった」と話していました。
一方、大槌町の不動産会社には、こうした住宅の再建を希望する被災者や復興需要を見込んだ住宅メーカーなどからの問い合わせが相次いでいます。
このため大槌町の高台の土地の中には、震災前に比べて2倍以上の価格で取り引きされているところもあると言うことです。
不動産会社を経営する家子和男さんは「住宅メーカーがどこかに土地がないかと探し回っていて、売りたいという地主がいたら、その値段で買うという売り手市場になっているのが現状だ」と話しています。

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