蹴球探訪
5・15 J誕生20年 ラモス氏に聞く 満員の国立「幸せ感じた」(6月3日)
トップ > 中日スポーツ > モータースポーツ > ニュース一覧 > 9月の記事一覧 > 記事
【モータースポーツ】<今宮雅子のGPテラス>シンガポールの…光と影2013年9月19日 19時23分 今週末はシンガポールGPです。現場では夜仕事が続きます…普段から夜型の生活に慣れているだけに、みんなそろって、堂々と(?)、昼間のように仕事している風景は少し不思議。ナイトレースは今年で6回目でも、チームから「○○のインタビューは、金曜の夜、午前1時30分で大丈夫?」なんてメールが来ると、一瞬“?”と思ってしまいます。 いまでは多くのスポーツでナイトゲームが行われ、オリンピックや世界大会も人気種目は夜。でもF1が他のスポーツと異なるのは“走行後の仕事が長い”こと。金曜・土曜のドライバーはセッション後も技術ミーティングやプレス対応に追われ、ガレージではメカニックたちが作業を続け…基本はヨーロッパ時間のまま生活している彼ら。他のレースで金曜夜9〜10時まで仕事をしているドライバーは、シンガポールでは夜中の3時を過ぎてからサーキットを後にします。 野球でもサッカーでも、夜の試合の後、午前1時30分から取材に応えてくれる選手なんていないですよね、きっと――メディア対応もF1の特徴なら、世界中どこに行っても、あくまで同じスケジュールを貫くのもF1。腕時計をヨーロッパ時間のままにしている関係者も多いですが、シンガポールの街はヨーロッパ時間で動いているわけではなく、レストランは閉まり、電車も止まります…そんなわけで、シンガポールGPと聞くと浮かぶイメージは、白い照明の中、真夜中のコースを歩いて汗だくで帰って行くチームのメンバーたち。プレスにとっては、晩ごはんを食べない週末。 日本からのファンもたくさんやって来るこのグランプリは、新規開催のなかでも数少ない成功例のひとつです。ナイトレースはテレビ映像的に美しく、宿泊施設が豊富な都会のレースは個人旅行で現地観戦を目指すにも便利。グランプリ期間はホテルも高騰しますが、コースサイドに宿がとれれば部屋からゆっくりF1を楽しむことも可能で、早めにサーキットに足を運ぶとドライバーやチーム関係者と一緒になるチャンスも大きい立地です。 走行が始まれば自由に移動して観戦できるゾーンも多く、至近距離を通過していくF1マシンを楽しめる――新規開催のなかでも、F1とファンの間に大きな垣根がなく、マシンが大きく見えるのがシンガポール現地観戦の最大の魅力かもしれません。ドライバーもみんな徒歩“通勤”、移動時間に余裕があるため、サーキットに入るときにもファンに応える姿をよく見かけます。 ヨーロッパの古い町並みに慣れたF1関係者にとっては、マリーナ地区の超近代的な風景も、私たち日本人が思う以上に魅力の様子。「パリは美しい街だと思うけど、博物館みたいだ」と、若いジャーナリストが言いました――旅先では、みんな日常と違うものを求めるんですね。 テレビで見て楽しく、現地観戦をすれば他のグランプリと違うプラスアルファがいっぱい。でも、市街地コース、夜の走行によって、シンガポールGPはドライバーやチームにとって他よりずっと負担の大きなイベントです。 照明があってもアブダビのような照度ではなく、暗いところは暗い――時速300km/hからブレーキを踏むのに路面の凹凸は見えにくく、ここの舗装はモナコなどと比べても凹凸だらけ。評判が悪かったターン10のシケインは今年はなくなりますが、いままで、ターンインで失敗したドライバーがスポンサーロゴの入った大きな縁石に当たってしまったのは…アウト側に若干のスペースがあってもそこが真っ暗なことも影響しています。1周23ものコーナーは、大半が本当にブレーキを踏み、ハンドルを切り、アクセルを踏むという操作が必要。大きなダウンフォースをつけて走行しても、元来、F1のようなマシンが走るべき道ではないサーキットではレース時間も2時間におよび、高温多湿の気候が発汗を妨げドライバーを苦しめます。彼らがシンガポールを嫌わないのは、そこにドライビングの喜びがあるというよりも、困難を克服して勝利したときの征服感が大きいから…。 真夜中のコースを歩いて帰れば、ホテルはレストランもすべて閉まっていて静か。部屋では遮光シェードを下ろしても、朝になると町が動きだす気配が伝わってきます――ナイトレースのため、通常の街の機能と時間帯がずれた状態で続ける仕事には、大きなストレスと疲労がともないます。 それでもF1がこのグランプリを楽しみにしているのは、テレビや現地で見守るファンがたくさんいるから。年に1度のユニークな祭典を、みんなが歓迎しているから。観客と接する機会が自然に生まれ、直接声援を受けられるのも、後押しの力になっていると思います。 イタリアGPの後にはライコネンのフェラーリ入りが発表され、大きな話題になっています。シンガポールの現場でも、アロンソ、ライコネン、フェラーリとロータスのチーム関係者たちが、何度もこの話題について質問されることと思います。ふたりのチャンピオンが同じチームで走ることに、早くもネガティブな説を唱えている人たちもいますが…速いドライバーふたりの組み合わせは、純粋に見れば楽しみ。“マッサが相手ならNo.1ドライバーだったアロンソが”なんて論調も見かけますが、アロンソとフェラーリの契約に“No.1優先”という条項があれば、ライコネンがサインするはずがないですよね。 ライコネン/ロータスが生みだす、絶妙のギャグを楽しみにしてきたファンには少し残念ですが、フェラーリが速くなれば言うことなし――大切なのは、マシンが速くなること。伝統のチームでふたりのトップ争いが実現すれば、至福のレースが期待できます。 PR情報
おすすめサイトads by adingo
|