米国が金融緩和政策を縮小すると発表して以降、インド、インドネシア、ブラジル、トルコが衝撃に見舞われた。それに対し、韓国政府は10億ドルの外貨建て国債を過去最低の金利で発行したことを喜んだ。「最優良」の国家として扱われたという誇りだ。政府当局者は韓国だけがうまくいっていると余裕を見せた。
現在の金融危機の波紋は二つの形態に分類できる。1997年と2008年に韓国が経験した為替の混乱が一つ。もう一つは日本のように自国通貨が上昇することだ。韓国は外貨不足で自国通貨が暴落するショックを骨身にしみて味わっており、それを改めて説明する必要はない。しかし、日本のように困難な経済状況とは無関係に自国通貨が突然上昇し、不況を加速させるという衝撃は韓国がいまだかつて経験していない。
スイスとデンマークは08年以降、そうした不況を経験している。ユーロ圏に属さない両国は、自国通貨が上昇して頭を痛めている。ドルとユーロが暴落した結果、デンマーククローネとスイスフランが買われた格好だ。スイスはスイスフランの上昇を防ぐため、通貨発行を増やし、外貨を買い続けた。1000億ドルにも満たなかった外貨準備高は、現在では5000億ドルを超えた。デンマークは政策金利をマイナスに引き下げ、ショックを最小化しようと必死だ。それでも過去4年間の成長率は、デンマークがマイナス0.85%、スイスが0.98%にとどまった。両国はいすれも危機回避に膨大なコストをかけている。
不吉なことに、ウォン相場は上昇の兆しを見せている。急激なウォン高はまず輸出企業に打撃を与え、次にホットマネーを呼び込むことになる。そうした傾向が3カ月以上続けば、ソウル外国為替市場は一定のタイムラグを置き、再び混乱することが避けられない。
素人の目には韓国の外貨準備高3300億ドルが大きな額であるように思える。専門家はその資金がどこに縛られているかや、危機が起きても速やかに引き出せないことを知っている。韓国経済と米国の金融市場をつなぐロープは、米中間のロープと同様に連鎖爆発を起こす確率が高い。
二度の危機が外部からの衝撃による「外傷」だったとすれば、今の韓国経済は体内で内臓がやられる「内傷」に苦しんでいる。ドアを閉ざした飲食店が増え、企業の投資意欲は極度に低迷している。地方自治体はデトロイトのような破産状態に向かっている。われわれだけ地雷を避けられたと笑っている場合ではない。