「怒り」を抑えられない韓国人

 今年1月4日午前2時、ソウル市麻浦区倉前洞にあるチムジルバン(サウナ主体の韓国式健康ランド)の仮眠室で、寝ようとしていたクク容疑者(47)とユさん(51)が言い争いになった。クク容疑者が「いびきがうるさくて寝られない」としてユさんを蹴って起こしたことが発端だ。次第に大きな声を出すようになった二人は、1時間にわたって言い争い、やがてもみ合いになった。高血圧を患っていたユさんは、急性心筋梗塞で倒れて死亡した。ソウル市の麻浦警察署は、もみ合いによってユさんを死亡させた疑いで、クク容疑者を逮捕した。

 最近韓国社会では「カッとなる」という言葉で表現される「血気怒気」が日常生活の中で広まりを見せている。昨年3月には、ソウル市の地下鉄7号線の君子駅で70歳の男が77歳の乗客を押し倒し、顔を殴って死亡させる事件が発生した。二人のけんかは、地下鉄に乗る際に乗客が男にぶつかったことで始まった。また、1月には、現職国会議員秘書(37)がソウル市瑞草区瑞草洞にあるコンビニのATM(現金自動預払機)前で「現金の引き出しに時間がかかり過ぎる」として、会社員(31)の髪の毛をつかんだ上、数回にわたって腹を蹴り上げ、逮捕された。この秘書は「相手が先に侮辱する言葉を言ってきた。髪の毛をつかんだことは認めるが、腹部を蹴り上げたというのは誤解」と釈明した。

 昨年にはソウル市中区の南山で、70代の男性が、30代の女性から口にするのも恥ずかしいような暴言を聞かされた。男性が、花を折った女性の息子に「花を折ってはいけない」と注意したためだ。女性は「あんたみたいな○○のような○○のために、この世の生活が嫌になる。警察を呼ぶ」と叫び、男性に殴り掛かった。警察が駆け付けたものの、女性の前ではなすすべがなかった。当時、事件の一部始終を目撃していたある市民は「自分の子どもが花を折るという非常識な行動に出たにもかかわらず、30代の女性は逆に相手の男性に多くの暴言を浴びせた。こんな姿を見て育った子どもが将来どうなってしまうのか、考えただけでも恐ろしい」と話した。

 韓国は、人口の大半が集合住宅で暮らしている。人口住宅総調査によると、韓国の国民の65%はマンションなどの集合住宅で生活しており、91.1%(2011年都市計画現況統計)は人が密集する都市部に住んでいる。しかし、配慮に欠けるというのだ。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者
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