【佐藤仁彦、山田雄一】台風18号の上陸から一夜明けた17日、線路に土砂が流入した影響でJR飯田線の一部区間が不通となるなど、県内では列車の運休や道路の通行止めなどの影響が続いた。復旧作業も本格化したが、一部は長期化しそうだ。
JR東海によると、飯田線は、線路への土砂流入の影響で、平岡(天龍村)―天竜峡(飯田市)駅間の運転を終日見合わせ、バスが代行輸送した。線路上の土砂の撤去で1週間かかるといい、復旧には時間がかかる見込み。豊橋(愛知県豊橋市)と飯田を結ぶ特急も全区間で運休となった。
JR東日本の飯山線も、戸狩野沢温泉(飯山市)―森宮野原(栄村)駅間で終日運休、代行バスが運行された。途中の中条川にかかる橋の橋脚などが土石流で被害を受けたためで、長野支社は「当分、区間運休を続ける」と話している。
県内の県道などで17日午後5時以降も通行止めが続くのは28カ所。上田市と松本市を結ぶ国道254号の三才山トンネルは、県道路公社が上田市側で土砂の撤去作業を進めたが、開通まで2、3日かかるという。
■阿智の工場、操業不能に
河内(こうち)川の濁流が流れ込んだ阿智村伍和(ごか)の車内装部品加工業「タケダ加工」(竹田則和社長)では17日、従業員らが工場の部品を運び出す作業に追われていた。
工場内は土砂に洗われて操業不能の状態。前の村道は濁流でえぐられ、脇の駐車場も半分ほど削られて数台の車が落ちたという。
また、栄村では16日午後2時過ぎ、2011年の県北部地震で土砂崩れが起きた中条川で土石流が発生。直撃を受けた村森林組合の建物が半壊。重機などが流された。佐久市でも国の重要文化財の旧中込学校のしっくい壁が一部落下した。
■農作物被害は2億6700万円に
【森川愛彦】県農業政策課は17日、台風18号による県内の農作物被害総額が2億6700万円に上ると発表した。リンゴやナシなど果樹が1億1594万円、ゴボウなど野菜が1億2662万円、花きが246万円だった。
中野市など県北信事務所管内が最も被害が大きく、1億4256万円だった。小布施町など長野事務所管内は8256万円、上伊那事務所管内は3279万円、佐久事務所管内は878万円、下伊那事務所管内310万円。県は被害農家に対し、技術指導を行うほか、資金貸し付けなども検討する。
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