Updated: Tokyo  2013/09/20 04:10  |  New York  2013/09/19 15:10  |  London  2013/09/19 20:10
 

木内日銀委員:追加的な対応を「余儀なくされる可能性も否定できず」

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  9月19日(ブルームバーグ):日本銀行の木内登英審議委員は19日午前、北海道釧路市で講演し、2年程度を念頭に2%の物価安定の目標の実現を目指す現在のコミットメント(約束)の下では、日銀が量的・質的金融緩和の長期化あるいは強化を「余儀なくされる可能性も否定はできない」との見方を示した。

木内委員は講演で「2年程度という短期間で2%という高い水準の物価安定目標を達成することを目指すのは必ずしも最適ではない」と言明。同目標を「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現」し、これを安定的に持続するために量的・質的金融緩和を「必要な時点まで継続する」というコミットメントの組み合わせは、同緩和策の「副作用を高めてしまう潜在的なリスクが内包されている」と述べた。

日銀は4月に量的・質的金融緩和を導入した際、これら2つのコミットメントを決定した。木内委員はこれに対し、「中長期的に2%の物価安定の目標の実現を目指す。その上で、量的・質的金融緩和を2年程度の集中対応措置と位置付け、その後柔軟に見直すこととする」との修正議案を金融政策決定会合で出し続けている。

木内委員は修正議案を提出している理由として、①2%の物価目標 を2年程度の期間を念頭に置いて達成するには大きな不確実性がある②量的・質的金融緩和が長期間にわたって継続するという期待が高まれば、金融面での不均衡形成などにつながる懸念がある-と述べた。

副作用がプラス効果上回る可能性も

こうした潜在的リスクを認識した上で、なお同委員自身が量的・質的緩和の具体的な施策に賛成している理由として「政策で生じる経済的なプラス効果の大きさが、それに伴う潜在的なリスクないしは副作用の大きさをわずかでも上回っていると判断しているため」と表明。一方で、「仮に現在の大規模な緩和が長期化あるいは強化されれば、逆に副作用がプラス効果を上回る可能性が高まる恐れがある」と語った。

その上で「この点、現在のコミットメントの下では、金融市場の期待等の外部要因に影響されて」、日銀が量的・質的金融緩和の長期化あるいは強化を「余儀なくされる可能性も否定はできない」と語った。

また、「現時点では、2%の物価目標を2年程度で達成するのは難しい、という見方が国内債券市場ではなお有力である」と指摘。「このため、物価目標の達成時期に関する日銀の情報発信との間には少なからぬギャップが存在しており、先行きの金融政策等に関する債券市場の予想を不安定化させる潜在的な要素となっている」と述べた。

さらに、「この点、2%の物価目標の達成時期を2年程度と特定せず、中長期に変更することで、先行きの景気・物価ならびに金利観に関して債券市場での自発的な期待形成が促され、市場と中央銀行との間のコミュニケーションの改善が図られるのではないか」と指摘。「これによって、債券市場の安定にも貢献すると考えている」と語った。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/09/19 12:26 JST

 
 
 
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