多くの乗客が利用する地下鉄などで見受けられる「血気怒気」は、今では日常茶飯事と化している。昨年ソウルの地下鉄4号線では「すれ違いざまに足を蹴られた」として男性に暴言を浴びせ、暴力を振るった女性の動画が、インターネット上で公開された。女性はけんかを止めに入った乗客の髪の毛までも引っ張り回し、「怒り」を抑えることができないようだった。
サービス業に携わる人々にとっては、「カッ」となる人々は恐怖の対象だ。ソウルのある区役所で駐車場を管理している職員は「自動車に近寄るだけでも大声を上げる人は多い。何も言っていないのにまず怒り出すケースが多いため、人が乗っている車には近寄らないことにしている」と話す。京畿道のある公共機関のカウンセラーは「取るに足らないことに対して腹を立て、上司を呼ぶよう怒鳴りつける人が多い。顧客に対し、顧客が怒っている部分について説明しようとしても、言葉を聞く前からすでにカッとなってしまう」という。2月4日、ソウルのある大型量販店では、顧客が「会計が間違っている」と従業員に暴力を振るう事件が発生した。この顧客は、1時間にわたってレジの女性従業員に屈辱的な言葉を浴びせ、下着を投げ付けた上「お前のような○○は警察に突き出してやる」と大声を上げた。量販店の関係者は「怒りを抑えることができずに従業員に暴言を吐いたり、殴り掛かったりする顧客が、1週間に少なくとも1人はいる」と表情を曇らせた。
こうした「血気怒気」は、家庭内でもよく見受けられるようになった。京畿道の議政府警察署は2月13日、自分を叱り付けた父を蹴り倒して踏み付け、死亡させた疑いで、41歳の男を逮捕した。警察の調べによると、男は正月休みだった2月11日午後1時30分ごろ、議政府市虎院洞にある父(71)の自宅で「就職もできずに部屋の片隅でこそこそしているどうしようもないやつ」と言われたことに腹を立て、父を押し倒し、腹や胸に十数回にわたって暴行を加え、内臓破裂で死亡させた疑いが持たれている。男は、警察の調べに対し「父に責め立てられ侮辱されたことで頭にきて、父を押し倒し、腹と胸を蹴った」と話した。