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【家庭医が教える病気のはなし】(21)薬の研究と利益相反
2013.9.10 07:35
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論文捏造(ねつぞう)が問題となっている降圧剤のディオバンに関する記事で、「利益相反」という言葉を見かけることがあるでしょう。薬の研究における利益相反とは、本来中立的な立場で薬の評価をしなければならない研究者が特定の製薬会社から研究チームの人材派遣を受けたり、研究費を受けたりすることで、「研究結果をゆがめてしまうこと」と説明することができます。
ディオバンでは、東京慈恵会医大や京都府立医大の研究者が製薬会社「ノバルティス」の元社員を統計解析の担当者として受け入れ、同社から多額の研究費を提供されていました。こうした行為は明らかに研究者の利益相反に当たります。ただ、こうした利益相反行為はディオバンでだけ行われていたわけではありません。薬の研究をするとき、製薬会社から協力を得ることは珍しいことではないのです。
こうした利益相反行為が研究結果にどういう影響を与えたかを検討した論文があります。最も有名なものの一つは1998年に報告されたカルシウム拮抗(きっこう)薬(降圧剤)に関するものです。その研究結果は予想通りという面もありますが、かなり衝撃的なものでした。
その論文では、カルシウム拮抗薬の副作用を検討した論文のうち、「副作用の危険がない」とする論文の著者の96%がカルシウム拮抗薬を販売している製薬会社から資金提供を受けていました。一方で、「副作用の危険がある」と報告した論文の著者で資金提供を受けていたのは37%にすぎませんでした。
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