松山市議会:議長に出席停止7日間の懲罰可決 寺井氏、続投の意向強調 /愛媛
毎日新聞 2013年09月19日 地方版
松山市議会が寺井克之議長(松山維新の会)の進退を巡って空転した問題で、同市議会は18日の本会議で、寺井議長に対し地方自治法に基づく出席停止7日間の懲罰を科すことを賛成多数で決めた。議員への懲罰動議が成立したのは1966年以来2度目で、議長に対しては史上初めて。
出席停止は同日から24日まで。本会議では冒頭、寺井議長が清水宣郎副議長(自民)に議事進行を委ねて退席した後、議長の出席停止を決めた17日の特別委員会の検討結果が報告された。公明党などの議員が「(議長1年交代の慣例破りで)議場の秩序を保持する議長の責務を放棄し、議会に混乱を生じている」などと賛成討論を行い、松山維新の会や一部の無会派の議員が「地方自治法の趣旨に沿った議論がされていない」などと反対討論。採決の結果、棄権2人を除く出席38人中24人が賛成した。
本会議後、寺井議長は議会内で記者会見。「結果は重く受け止めるが、内容に納得はしていない」と不満を示し「従来申し上げてきた通り、議長職を務めていきたい」と続投の意向を強調した。来年5月の議員任期満了まで続ける方針という。
地方議会の議長に対する懲罰では1992年、京都府八幡市議会の議長が申し合わせの任期1年を守らなかったとして、「議会の秩序を乱した」ことを理由に議員除名の懲罰を科され、失職した例がある。【伝田賢史】
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■解説
◇「党利党略」の非難免れず
1年交代の慣例を破って就任3年目となる寺井克之議長(松山維新の会)の進退問題は、松山市議会124年の歴史で初となる議長への懲罰動議成立に発展した。今後も松山維新と他会派の間で歩み寄りがなければ、議会運営の混乱が続く可能性は高い。
寺井議長は記者会見で続投理由を「会派間の意思統一を少しでも図り、(来年の改選後の)次期市議会に引き継ぎたい」と説明。松山維新の会も「全国市議会議長会副会長の要職を担っている」「議長の1年交代はあしき慣例だ」などと彼を擁護してきた。
しかし、この説明には疑問が残る。田坂信一前議長(同)は約1年で辞職。副議長も1年交代が定着しており、6月まで寺井議長とペアを組んだ森岡功前副議長(同)も慣例に従った。それなのに寺井議長だけ続投する正当性を訴えても、説得力に乏しい。