「遅刻するヤツは社会人失格だ」?そんな息苦しい常識、押しつけないでください

2013/09/19


家入さんが相変わらず面白いことを言っています。


人間頑張ったって遅刻するし、しょうがないじゃん


これは良い感じに意見が分かれそうですね。ぼくは同意でございます。


善悪感覚という観点から整理してみると、

①遅刻をするAさん
②遅刻をした人間を許さないBさん
③遅刻をしないCさん
④遅刻をした人間を許すDさん

という4人のうち、誰がもっとも悪いかといえば、「②遅刻をした人間を許さないBさん」であって、誰がもっとも善いかといえば、「④遅刻をした人間を許すDさん」ということだと解釈できそうです。

家入さんは「①遅刻をするAさん」を「基本的にはダメなヤツだ」と考えているようです。「遅刻は悪いことじゃないし、遅刻したっていーじゃん!」ではなく、「人間、頑張っても遅刻することだってあるし、仕方ないじゃん!」と言っているのです。多分ですが。ここをはき違えると、家入さんが単にモラルのないおじさんに見えるので要注意です。

何度かお会いしていますが、家入さんは、とても倫理観に優れた方だとぼくは認識しています。悪いことはやらないし、自分の意思ではできない方です。


上で引用した発言は、家入さんにとっては「②遅刻をした人間を許さないBさん」が、もっとも悪く感じられる、ということなのでしょう。

そしてこれは、ぼくも同感です。人間ウンコも漏らしますから、誰だって遅刻はします。ぼくも時々派手な遅刻をやらかします。悪いなぁ、とは思いますが、同時に「まぁ、しょうがないよなぁ」とも思ってしまいます。

「遅刻するヤツは社会人失格だ!」と言う人って、ウンコ漏れたりしないんでしょうかね。ぼくのお腹は割と不安定なので、しばしばギリギリな状態になります。で、電車を1本逃して遅刻する、と。

そんなわけで、ぼくは他人が遅刻しても別段気にならないです。アポをすっぽかされることも年に1〜2回ありますが、別に気にしません。再調整すればいい話ですから。ぼくもミスってすっぽかすことはあるかもしれませんしね。


「③遅刻をしないCさん」も善いですが(まぁ、「決して遅刻をしない」なんて人はいないでしょうけど)、困難なのは、「遅刻をしない」という行為とDさんの「④遅刻をした人間を許す」を両立させることです。

Dさんの想いを言語化すると、「私は遅刻が悪いことだと思うので、遅刻は基本的にしません(仕方がなくてしてしまうことはあるけれど)。他人が遅刻することは悪いことだと思わないので、断罪はしません」という表現になります。

遅刻をしないということを美徳に掲げる人は、他人の遅刻を許せなくなりがちです。ゆえに、③と④は両立が困難なわけです。自分に対する執着を捨て、他人に対する慈しみの心をもたないと、この二つは両立しないでしょう。

「他人にも自分にも優しく。」と語る家入さんは、この困難さを知っているがゆえに、「だったらいっそ、遅刻したからといって自分を責めるのもやめようよ。自分も許してあげようよ」というスタンスを取っているようにも見えます。


「遅刻するのは悪いことだ」と考え、その善悪感覚に沿って生きるのはすばらしいことです。

しかし、それをひとたび他者の行為にも適用し(「常識」化し)、遅刻するヤツは社会人失格だ!と他人を罵るようなことをしてしまえば、その美徳は一気に輝きを失います。

その人は「寛容」という、もっとも人間的な美徳を失っているわけですから。ぼくはそういう人の近くにはいたくないですね。いつ攻撃されるかわかったもんじゃない。危険危険。


僕らは隙間時間の使い方が下手になっちゃってるんだと思う。相手に遅刻されたり、なかなか電話に出てもらえなかったりする時は、その事ばかり考えてイライラするんじゃなく「時間の余白が出来た」と思って妄想や頭の整理をしたらいいさ。自分の時間を他人に依存するから遅刻を許せなくなる。

これもまた金言だと思います。自分を肯定するようでアレですが、ぼくはアポの相手が遅刻すると嬉しくなります。だって、その時間にブログが書けるじゃないですか。すっぽかされると1時間以上空くので、もっと嬉しい笑 というわけで、ぼくとの面会は、遅刻やリスケは気にしないで大丈夫です。


そんなわけで、家入さんの言葉について考えてみました。10/6の午後に「家入一真講演会!自分を晒してとことん自由に生きろ!」というイベントを開催しますので、よろしければぜひ。ぼくが聞き手としてお話を進める予定です。万が一家入さんが遅刻する場合は、ぼくが家入一真論を語って場を繋ぎます。遅刻するのはしょうがないですからね。


ツイッターの反応

色々と意見を頂いたので転載させていただきます。ありがとうございます!

この立場の意見は共感しますね。

けんすうさんのご意見。もうちょっと深く訊いてみたい。

法的な正義との関係について。

ごもっともな意見です。「遅刻を許せないやつはダメだ」というのも、押しつけでしょうね。

連絡があればOKだという、テクニカルな話。

「許すというのはもはやビジネスではない」というのは本質的な指摘に聞こえます。

そうなんですよねぇ。ぼくは潔癖なのでそういう「善悪の揺らぎ」は美しくないと感じてしまいます。

他者を否定することで、自分を肯定しているのでしょうね。そういうやり方は危険だとぼくは考えています。

これは面白い問いですねー!マイケル・サンデル的。考えてみます。


みなさんは「遅刻すること」についてどう考えますか?ぜひコメント欄でご意見をください。


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