大飯原発出力低下全原発停止へ9月15日 18時19分
国内で唯一運転している福井県にある大飯原子力発電所の4号機について、関西電力は15日夕方、定期検査に向けて出力を下げる作業を始めました。
16日未明には原子炉を止める計画で、この結果、国内の原発は50基すべてがおよそ1年2か月ぶりに運転を停止することになります。
大飯原発では、3号機が今月2日、発電を停止し定期検査に入ったことから、残る4号機が国内で唯一運転を続けてきました。
関西電力は、大飯原発4号機で、15日午後4時40分から、定期検査に入るために原子炉の出力を下げる作業を始めました。
4号機では、午後11時ごろに発電を停止し、16日午前1時半ごろには原子炉を止める計画です。
この結果、国内の原発は50基すべてが、およそ1年2か月ぶりに運転を停止することになります。
一方で、大飯原発を含む6つの原発の合わせて12基が、運転再開を目指し、ことし7月から原子力規制委員会の安全審査を受けていて、規制委員会は審査の期間について「半年程度」としています。
しかし、審査は電力会社の対応によって実際にどの程度かかるか分からないうえ、原発の運転再開の前には自治体の了解も必要で、運転再開は具体的な見通しが立っていません。
全原発停止までの経緯
国内の50基ある原発のうち、おととしの原発事故の前には37基が運転していましたが、東日本大震災の影響や定期検査のため、順次、運転を停止してきました。
そして、去年5月、北海道電力の泊原発3号機が定期検査に入り、国内の50基すべてが停止しました。
国内の原発がすべて停止したのは、原発のれい明期だった昭和45年に、2基が同時に停止して以来、42年ぶりでした。
その後、福井県にある大飯原発の3号機と4号機は、当時の民主党政権が安全性を確認し必要性を判断したことを受けて去年7月、運転を再開し、国内で唯一、運転を続けてきました。
大飯原発を巡っては、原発の運転の前提となる新たな規制基準が導入されることから、一時、運転を止めるかどうかが注目されましたが、原子力規制委員会は、安全上の確認を行い、ことし7月「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」として、今月までの運転継続を認めていました。
地元・おおい町の住民は
国内で唯一運転している関西電力・大飯原子力発電所4号機が15日から定期検査に入ることについて、地元・おおい町の住民からは、運転を再開してもらいたいという声の一方で、安全対策を万全にしてもらいたいという声が聞かれました。
70代の男性は「福島の現状を見ていると、福井で原発事故が起きたときに国や電力会社が適切に対応できるか疑問だ」と国などの危機管理について不信感を示しました。
そのうえで「地元住民の仕事や生活は、原発が運転することで成り立っているので、危機管理を万全に行ったうえで運転再開してもらいたい」と話していました。
また、60代の女性は「原発のすべてがよいというわけではないが、原発で働いている人の生活のためには早く再開してもらいたい」と話していました。
地元・おおい町長は
地元・おおい町の時岡忍町長は「トラブルなく、ことしの夏の猛暑を乗り切るために電力供給地としての責任を果たせたと思う」と去年7月に3号機4号機が運転を再開してからのおよそ1年間について振り返りました。
また「地元としては速やかに運転を再開することを強く望んでいる。規制委員会にはなるべく早く審査に入ってもらいたい」と述べたうえで、「国は新たなエネルギー政策を早期に確立し、原発のリスクに対する一元的責任をもつという姿勢を示してもらいたい」と話していました。
関西電力は
関西電力の豊松秀己原子力事業本部長は「安全を最優先とした厳重な監視体制のもと、きょうまで運転することができた。先月、管内の火力発電所がトラブルで相次いで停止するなど、電力需給が非常に厳しい時期もあったが、大飯原発が運転を続けていたことで、安定的に電力を供給することができたと思っている」と振り返りました。
また、4号機が停止することで再び国内のすべての原発が運転を停止することについて「原子力発電は、エネルギーの安全保障や経済性などの観点から、日本という国が持続的に発展するために必要なものだ」と強調したうえで「安全確保を最優先に規制委員会からの審査に真摯(しんし)に対応し、安全性が確認された原発は地元の理解を得ながら運転再開を進めていきたい」と話していました。
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