昨年12月の衆院選で自民党の徳田毅(たけし)衆院議員(42)の選挙運動に多数の職員らを派遣し、報酬を支払っていたとして、医療法人「徳洲会」グループが公職選挙法違反(運動員買収)容疑で家宅捜索された事件で、グループ幹部が全国の系列病院に対し、選挙運動にあたっての注意事項を列記した文書を配布していたことが分かった。「読後破棄」と大書され、組織ぐるみで選挙運動を展開している実態を隠蔽(いんぺい)しようとしていた実態が浮かび上がった。【島田信幸】
【ニュースの一報】公選法違反容疑 東京地検、徳洲会東京本部など家宅捜索
毎日新聞が入手した文書には、徳洲会理事長の徳田虎雄元衆院議員(75)の次男である徳田議員の地元・鹿児島で選挙を手伝う際の手続きが詳述されている。「経費関係について」との項目では、「派遣する職員に対しては仮払金を支給し、職員が支払う経費の領収書は、全て職員個人名の領収書をもらうようにしてください」として、グループの関与を隠す狙いとみられる指示が記されている。
派遣された職員らの勤務上の取り扱いについては(1)解散日以降公示日までは有給休暇扱い。有給休暇がない職員は欠勤扱い(2)公示日以降は欠勤扱い−−と指示。欠勤による給与減額分は「賞与で加算支給する」としている。公選法は選挙運動の報酬として運動員に利益を供与することを禁じており、運動が「ボランティア」であると偽装していたとみられる。
現地入りするための航空券の手配についても法人向けシステムを使わずに「必ず各施設で個別に手配をお願いします」、ホテル・レンタカーの手配も「鹿児島本部では手配ができません。各施設でご手配をお願いします」と注意を促している。
内部文書にはこのほか、病院ごとに派遣する職員の人数なども明記されている。
東京地検特捜部は押収資料を分析し、グループ幹部の関与について調べる方針。