「ソーシャル視聴」で変わるテレビの可能性9月18日 19時56分
ドラマやスポーツ中継をテレビで見ながらソーシャルメディアに感想などを書き込み、多くの人と感動や興奮を共有する「ソーシャル視聴」と呼ばれる視聴スタイルが、日本でも広がりつつあります。
ソーシャル視聴を活用した広告ビジネスなどについて研究している、アメリカのツイッター社のデブ・ロイさんが18日に東京都内で講演し、「ソーシャルメディアによって新たなテレビの可能性が開かれた」と話しました。
「ソーシャル視聴」は、テレビを見ながらパソコンやタブレットを操作して、ツイッターやフェイスブックなどに書き込む視聴スタイルのことです。日本でも野球やサッカーの試合中継などを見ながらファンが応援のメッセージを書き込んだり、人気アニメーションの主人公のセリフを一斉にツイートしたりといったソーシャル視聴が盛り上がりを見せています。
18日に東京で開かれたITや広告業界のイベント「アドテック東京2013」では、ソーシャルメディアとテレビとの関わりや可能性について研究している米ツイッター社のデブ・ロイさんが講演を行いました。
認知科学の専門家としてMIT=マサチューセッツ工科大学の准教授もつとめるロイさんは、「もともとテレビの特徴は同じ体験を同時に多数の人に提供できる点にあったが、一人一人がテレビを持つ時代になると個人のコンテンツの好みが生まれ、社会性が消えていった。それがツイッターでつながることで多くの人が同時にイベントを見ることができるようになり、新たなテレビの可能性が開かれている。ソーシャルメディアはテレビの『増幅器』になっている」と話しました。
特定の視聴者に直接宣伝も
「ソーシャル視聴」は広告ビジネスにも刺激を与えています。
講演の中でロイさんは、ソーシャル視聴を活用した広告ビジネスの例として、特定の番組に関するツイッターの大量の書き込みを分析し、書き込んだ人に直接、番組のお知らせやスポンサーの広告を送る手法を紹介しました。こうした手法はテレビとソーシャルメディアを活用した「ターゲティング広告」として、アメリカではすでに展開されているということです。
「ネットはテレビを殺さない」
日本の視聴者によるいわゆる「バルス祭り」にも注目しているという、ロイさん。講演では魅力的な番組を「美しい夕日」に例え、多くの人と体験を共有することで感動が増幅する、と語りました。
テレビ業界を巡っては、「若い年代を中心にネットに視聴者を奪われ、テレビ離れが進むのでは」という危機感も以前から指摘されています。
ロイさんは「新しいメディアは古いメディアを殺しはしない。テレビの視聴者の数や関連するビジネスは増えている」と語りました。
一方で「ツイッターは曇り空を夕日に変えることはできるか」という質問に対しては「そうは思わない」と答え、ツイッターなどのソーシャルメディアは番組の力強さを変えるものではなく、あくまで元の番組の力を増幅するものだという考えを示していました。
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