放射性廃棄物:仏に最終処分場計画 10万年先へ耐久試験

毎日新聞 2013年09月19日 09時00分(最終更新 09月19日 09時12分)

フランス北東部ビュール村の地下480メートルの試験施設内。粘土質の地盤の強度や水の浸透性などを調べている=2013年6月25日、宮川裕章撮影
フランス北東部ビュール村の地下480メートルの試験施設内。粘土質の地盤の強度や水の浸透性などを調べている=2013年6月25日、宮川裕章撮影
フランスの放射性廃棄物最終処分場の完成予想図
フランスの放射性廃棄物最終処分場の完成予想図

 フランス北東部ビュール村(人口95人)の地下に放射性廃棄物最終処分場の建設が計画されている。建設中のフィンランド、建設認可手続き中のスウェーデンに続き、2025年の操業開始を目指す世界最先端の計画の一つだ。住民の反対運動などで建設認可のための最終手続きが難航しているが、既に完成した地下480メートルの試験施設内では、貯蔵期間10万年を想定した耐久試験や地質調査が行われていた。【ビュール(フランス北東部)で宮川裕章】

 10人乗りのエレベーターでゆっくりと降下する。約7分後、試験施設に到着した。直径約5メートルの半円形のトンネル内をフォークリフトが行き交う。巨大なドリルが粘土の岩盤を掘削する光景はSF映画の宇宙基地のようだ。

 「数千年単位の期間を想定し、トンネルの壁面の粘土のわずかな動きを計測しています。廃棄物を収容するコンテナが風化しても、粘土が放射性物質を閉じ込め、外に漏れるまでに10万年以上かかる計算です」。施設を管理する放射性廃棄物管理機関(ANDRA)リスク管理部長のファブリス・ボワシエさんが説明する。

 放射線を遮断する厚さ120メートルの粘土層の存在が、計画地に選定される決め手となった。年間1億ユーロ(約134億円)に上る実験費をフランス電力などが負担する。

 試験施設と同じ場所に計画される最終処分場は広さ15平方キロで、1万立方メートルの高レベル放射性廃棄物と7万立方メートルの中レベル放射性廃棄物をガラス固化などで処理後、特殊なコンテナに入れて封じ込める。

 フランスで稼働中の原発58基と建設中の1基の寿命を50年と仮定した量で、既に北西部のラアーグ再処理工場などに保管されている放射性廃棄物や、廃炉による解体物も運び込む。

 ANDRAは15年に政府と原子力安全機関に建設認可を申請し、19年に着工したい考えだ。「文明も言語も異なるかもしれない未来の人類に、地下の危険をどう伝えるか」。ボワシエさんは語る。10万年後の地球を正確に予想することは不可能だ。人類は、核という魔力を、最後の行き場を深く考えないまま手にしてしまった。ボワシエさんの表情に、重圧と戸惑いを感じた。

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