「検索の逮捕歴削除を」 京都の男性、ヤフーを提訴
インターネットの大手検索サイト「ヤフー・ジャパン」で自分の氏名を入力すると自身の逮捕歴が明らかになり、名誉を傷付けられているとして、京都市の40代の無職男性が18日までに、同サイトを運営する「ヤフー」(東京都)に、逮捕歴に関する検索結果を表示しないことなどを求める訴訟を京都地裁に起こした。
訴状などによると、男性は昨年冬に京都府迷惑行為防止条例違反容疑で逮捕され、今年に入り執行猶予付の判決が言い渡された。現在も氏名の検索結果表示で、報道機関の記事を転載したサイトのアドレスと犯罪事実に関する記事の冒頭が掲載され、男性に逮捕歴があることが分かる状態になっている。
原告側は、無名の私人で、軽微な犯罪で既に判決を受けていることなどから、内容が事実でも検索結果の表示を続けることは名誉毀損(きそん)で違法だと指摘。「逮捕歴が採用担当者や顧客に分かってしまう恐れがあり、再就職の道が閉ざされ、将来を絶望している」と主張している。ヤフー広報室は取材に対し「個別の訴訟の内容については答えられない」とした上で、「情報を探し出すという検索サービスへの信頼を守るため、基本的に検索結果の表示を削除することはない」と回答した。
■更生の妨げ恐れ
ネット上の違法有害情報問題に詳しい神田知宏弁護士の話 記事が次々と転載されてしまえば、個別のサイト管理者に削除依頼してもきりがなく、内容が残存し続けることで更生の妨げになりかねない。一方、表現の自由や知る権利の観点から、公益性のある犯罪報道を削除できる要件は厳しい。ネット社会の新しい問題を浮き彫りにしている。
【 2013年09月19日 11時40分 】