喫煙シーン:映画や舞台の作り手側は苦慮

毎日新聞 2013年09月18日 10時56分(最終更新 09月18日 15時30分)

全国公開中の映画「夏の終り」の一場面。男性の喫煙率が非常に高かった昭和30年代を描き、作家(小林薫)が喫煙するシーンが出てくる(右は満島ひかり)
全国公開中の映画「夏の終り」の一場面。男性の喫煙率が非常に高かった昭和30年代を描き、作家(小林薫)が喫煙するシーンが出てくる(右は満島ひかり)
物理学者で随筆家の寺田寅彦を描いた青年座の舞台「フユヒコ」(2008年)の一場面。2人が吸っているのはたばこ風の医薬品だ=青年座提供
物理学者で随筆家の寺田寅彦を描いた青年座の舞台「フユヒコ」(2008年)の一場面。2人が吸っているのはたばこ風の医薬品だ=青年座提供

 不朽の名作「カサブランカ」でハンフリー・ボガートがゆったりとくゆらせる紫煙−−。映画や舞台で表現方法の一つとして使われてきた喫煙シーンが、時代の中で揺れている。公開中のアニメ映画「風立ちぬ」(宮崎駿監督)には禁煙団体が「未成年者の喫煙を助長する」などとクレームをつけ、話題になった。健康志向もあいまって作り手側は苦慮している。【鈴木隆、木村光則】

 「かつて、たばこが男らしさの象徴だった時代があった」と言うのは「軽蔑」「さよなら渓谷」など若者が主人公の映画を数多く製作している森重晃プロデューサー。「アクションやヤクザものの映画では“良い悪い”ではなく、たばこと酒と女が絡まないなんておかしい。まあ、下手な役者ほど吸いたがるって話もあったけど(笑い)」と映画と喫煙シーンが密接に結びついてきた実情を語る。

 喫煙シーンが社会的に問題視されるようになったのは、主に米国からだ。禁煙団体の抗議を受けた米映画協会は2007年から喫煙シーンをR指定(年齢制限)の判断材料の一つに加えた。米疾病対策センターのホームページによると米国のヒット映画中の喫煙シーンは05年には4000件近かったのが、昨年は2500件前後に減少した。

 日本も同様の傾向だ。映画「ヴァイブレータ」「100回泣くこと」の広木隆一監督は「5、6年前から際立って喫煙シーンが減ってきた」と言う。「昔は新聞記者を描く時、灰皿いっぱいの吸い殻と煙の中で仕事をするシーンがまず浮かんだが、今はもうあり得ない。たばこに代わって世相を表現する必需品となったのは携帯電話」と指摘する。

 スクリーン越しでなく観客が直接、煙に触れる舞台の世界はさらに深刻だ。

 「芝居で喫煙シーンがあると、必ず終演後のアンケートでクレームが寄せられる」と青年座(東京都渋谷区)の紫雲幸一製作部長。約120席というコンパクトな自前の劇場では、たばこの煙は瞬く間に客席へ及ぶ。青年座では5、6年前から、たばこの形状で、火をつけるとたばこのように煙が出るせき止め用の医薬品を使い始めた。

 文学座(同新宿区)が18日まで上演の「熱帯のアンナ」は1920年代の米フロリダの葉巻工場が舞台だが、煙ではなく蒸気を吸う電子たばこの外側を加工し、葉巻らしく見せている。

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