大坂夏の陣から8年。復興に沸く町に、軍師真田幸村の嫡男・大助を伴い、天下人太閤秀吉の血を引く娘・茜が還ってきた。ともに身代わりを立て戦火を生きのびた弟を捜すために――。
豊臣家の隠し財宝と、その秘密を握るとされる生き残りの姫君をめぐり、異なる思惑と野望を秘めた新興商人や幕府の残党狩りの連中が、一斉に動きだす。過渡期の町・浪華を舞台にした、胸躍る、新感覚青春時代小説!

冒頭部分の立ち読みはこちらからどうぞ!→

 
今からおよそ400年ちかく前の大坂が舞台です。
天下人・太閤秀吉亡き後の豊臣家滅亡をはかり徳川家康の仕掛けた二度の戦が、「大坂冬の陣」(1614年)と「大坂夏の陣」(1615年)。
勇将で知られた真田幸村の奮戦もむなしく、夏の陣で大阪城は落城。太閤のお世継ぎ・秀頼は母である秀吉の側室・淀君らとともに自害し、豊臣家は滅びました(秀頼、享年23)。
こうして大坂は徳川幕府の支配下におかれ、天下は徳川家のものとなりました。
戦場となった大坂は荒れ果てましたが、商人が主導し徐々に町の復興が進められました。
京は帝(みかど)の町、東京は武士の町、そして大阪は商人の町、と言われるようになるのです。
ときは、1623年。戦から8年を経て、その傷跡が癒えつつある過渡期の町に、美しい娘に成長した秀頼の遺児・茜が真田幸村の嫡男・大助を伴って戻ってきたことから、この物語は大きく動き始めます。

 
  (あかね) …………………… 天下人秀吉の孫娘であり、秀頼の娘。母親は秀頼の側室初瀬の方。16歳。
  真田大助(さなだ・だいすけ) …… 真田幸村の嫡男。大坂城落城の折り、茜をつれ大坂城を脱出。
  才蔵(さいぞう) ………………… 大助につかえる、若き忍び。茜が大助のつぎに信頼する陪臣。
     
  甲斐(かい) …………………… 新興の商人「鴻池屋」の用心棒。龍笛を吹く、謎につつまれた人物。
  山中新六(やまなか・しんろく) 鴻池屋主人。造り酒屋で成功をおさめ、本格的に廻船業に乗り出そうと目論む新興商人。
  山中龍(やまなか・りゅう) ……… 新六の娘。父親の仕事を手伝う、おてんば娘。茜を揉め事に巻き込んでしまう。

 
「豊臣家の血を引く者は、大坂の陣の後も秘かに生き延びていた」。江戸時代からすでに語られていた伝説です。そ
の伝説にずっと感じてきた浪漫を、ヒロイン茜に託しました。戦乱の後、新たな時代の風を受けて生まれ変わる大坂
の町で、若者たちがそれぞれの道を探しながら成長していく姿を、楽しんでいただければ嬉しいです。
築山 桂

 

築山桂 Tsukiyama Kei
京都府生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得。著書に、NHK土曜時代劇でドラマ化された「浪花の華」の原作『緒方洪庵 浪華の事件帳』や『甲次郎浪華始末』『銀杏屋敷捕物控』『家請人克次事件帖』(以上、双葉文庫)、『一文字屋お紅実事件帖』(廣済堂文庫)、『寺子屋若草物語』(徳間文庫)などの各シリーズがある。
公式サイト http://tsukiyama-kei.jp/




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