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【大相撲】

碧山 涙の金星 亡き先代に贈る

2013年9月19日 紙面から

碧山(右)が押し出しで日馬富士を破る=両国国技館

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◇秋場所<4日目>

 ブルガリア勢が活躍した。西前頭2枚目の碧山(27)=春日野=は横綱日馬富士を押し出して破り初金星。大関琴欧洲(30)=佐渡ケ嶽=は関脇妙義龍を上手投げで下して全勝を守った。日馬富士は2敗。新入幕の遠藤は2日目から3連勝とした。

 感極まった碧山は座布団が舞ったことにも気づかなかった。192センチ、193キロの大男は土俵の上で肩を震わせ涙した。

 「言葉がないくらいうれしい。毎日毎日、頑張って、頑張って、やっといい相撲が取れるようになりました。うれしさが強いから、どんな人間でも涙が出ます。座布団? 見てないです」

 琴欧洲も手にしていない、ブルガリア勢として初の金星。碧山は、支度部屋に戻ってまた目を赤くした。

 昨年2月13日。師匠だった田子ノ浦親方(元幕内久島海)が虚血性心不全で亡くなった。吐血した親方に人工呼吸をしたが、救えなかった。この日の金星、「喜びを誰に伝えたいか」と聞かれた碧山は「師匠(春日野親方)と田子ノ浦親方と、おかみさん(久嶋綾子さん)も喜んでくれてると思います」

 前師匠が好きだった青色が、碧山も大好きだ。形見にもらった青いハンドタオルと同じ色で、場所入りに着る染め抜きを仕立てた。ハンドタオルは使っているうちにボロボロになり「同じ色のものを買った」。月命日には今も必ず墓前に手を合わせに行く。

 8月13日に綾子さんを訪ねたときは「けがをしないように頑張ってください」と声をかけられたという。

 春日野親方への感謝も忘れない。「これ以上できるかわからない」と言うほど、激しい稽古を積んだことが金星につながった。

 太もも99センチ、上腕は62センチ。その名の通り山のような男は、部屋までの帰り道、「今からすぐに稽古したい。四股を踏みます」。2人の師匠へ、これからも恩返しを続けていく。 

  (岸本隆)

 

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