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中国豪華客船差し押さえで乗客1600人が韓国で身動きとれず、三面記事の裏側のすごい事情

2013年09月16日

■中国豪華客船差し押さえで乗客1600人が韓国で身動きとれず、三面記事の裏側のすごい事情■


中国の豪華客船、差し押さえ=乗客ら航空機で帰国―韓国・済州島
時事通信、2013年9月15日

中国の海航旅業控股集団は、中国本土初の豪華客船「海娜」号が韓国・済州島の港に停泊中、現地の裁判所の差し押さえを受け、出港できなくなったと明らかにした。乗客約1650人が韓国クルーズの途中で、同社はチャーター機を用意し、同島から順次、乗客らを帰国させている。

「中国の豪華客船、韓国で差し押さえを食らい出港できず」というニュースがありました。韓国企業ともめたんかいな、と思ったのですが、差し押さえを申請したのはなんと同じ中国企業。ロンドンの海事仲裁委員会で勝っておけば、世界中どこの港でも差し押さえ申請が可能とのこと。韓国の裁判所が悪いことをしたわけではないのに、「多数の中国人の利益を損なうとは何事であるか」と中国で軽くバッシングされているのがかわいそうであります。

ついでに差し押さえを申請した沙鋼船務有限公司についても、海航旅業控股集団は「交渉で解決することなく、乗客を巻き込むとは許しがたい。損害賠償を請求する」と居丈高な対応にでています。報道的にも韓国と沙鋼船務有限公司がちょっぴり悪者扱いされています。

で、その沙鋼船務有限公司が反論を発表したのですが、これがちょこっと面白いのでご紹介。

・沙鋼船務有限公司が大新華公司と貨物船Dong-A Astreaのリース契約を締結。大新華公司の親会社である海航旅業控股集団が支払いを保証する契約。

・2010年4月に貨物船Dong-A Astreaは大新華公司に引き渡されたが、なんと同年10月からリース料の未払いが発生。わずか半年の早業であった。

2011年2月、沙鋼船務有限公司は支払いを求めてロンドン海事仲裁委員会に訴え。515万ドルの支払い命令を勝ち取るも海航旅業控股集団は無視。同年4月に2回目の訴え、231万ドルの支払い命令を勝ち取るもやっぱり無視。

2011年3月にインドで海航旅業控股集団子会社の船舶Bulk Peaceを差し押さえ。これを受け、ようやく第1回、第2回の支払い命令を履行する。ただしその後も未払いは続く。

第3回、第4回、第5回と支払い命令を勝ち取るもやっぱり無視される。

2011年11月には香港裁判所に海航旅業控股集団の口座差し押さえを申請、受理される。

2012年1月、沙鋼船務有限公司は貨物船Dong-A Astreaの奪還に成功。しかし貸出期間中の未払い金は残る。債務返還を求めてロンドンで訴訟。

2012年11月、沙鋼船務有限公司が勝訴。海航旅業控股集団に計5800万ドルの支払いが命じられたがやっぱり無視される。

2013年4月、沙鋼船務有限公司は債務の生産を求めて香港の裁判所に提訴し認められる。でもやっぱり無視される。

2013年9月、韓国の裁判所に客船・海娜号の差し押さえを申請。認められる。

【イマココ】「乗客の利益を損なうとは何事か。損害賠償を求める」と海航旅業控股集団。

とまあなかなかすさまじい展開。もっとも沙鋼船務有限公司の一方的な主張であることは抑えておくべきですが。

「2010年からの海運不況が……」とか「船舶業界ではこんなの当たり前よ」とかあるのかもしれませんが、私にはさっぱりわからないので詳しい人にはぜひぜひ解説をお願いしたいところ。

ただ一つ言えるのは、今回は客船を差し押さえしたということで一般市民を巻き込んだのはまずかったのではないか、と。というのも世論的な構図として「沙鋼船務有限公司=悪」というのが固まり、政府的にも「一般市民の権益守る=どちらかというと海航旅業控股集団に肩入れ」という状況になってしまったためです。お支払いがなくてむかついても差し押さえは慎重に、という教訓をくみ取るべきかも知れません。

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コメント一覧

    • 1. Chongov
    • 2013年09月17日 12:48
    • 特亜の内紛は日本にとってどうでもいいことですな。

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