5 予備校の指導通りに勉強して最終合格する。
5・1 答案だけではなく、合格体験記も似通ってきている。それは次のようなものである。
5・11 受験1回か2回で合格。予備校の入門講座か基礎講座に行ってそこの講師の言うとおりにきちんとハイハイ言われるままにやったら合格してしまいました、ハハハ。運がいいだけですよ。それでも僕なりに苦労したんですよ。ほらこんなに・・・。(井藤公量「P&C方式速攻司法試験突破術」)
5・12 予備校の指導通りに勉強しても合格しない人はいる。
5・121 確かに、予備校の指導通りに勉強して最終合格する人もいます。しかし、その合格者の背後には、その合格者と同じ予備校で勉強した何十倍もの不合格者がいるということもまた事実であって、このことを絶対に忘れてはなりません。(中里和伸「司法試験論文の力をつける本」)
5・122 時に、基本書を中心とする勉強法に対しては「苦節十年コース」等と揶揄されることがあります。あたっているところも確かにあるのですが、本当の「苦節十年」の人は、むしろ、予備校のテキストからスタートした人のほうが多いようです。(シンプル答案)
5・13 「私の司法試験合格作戦」(エール出版)は二分冊である。「現役合格作戦」が司法試験の表だとすると、「合格作戦」は裏を語っている。
5・14 苦節十年とは次のようなものである。
5・141 苦節十年、やっとこの受験生活から解放された…。退職金も貯金もすべて五四年度合格必勝に費やした私は、その秋に全くの無一文になってしまった。
………どうしても後一年やりたい……。
そこで、今までいたアパートをひきはらい、学生下宿の四畳半に移り、金目のものも処分し、本と机と蒲団とラジオだけが残った。
冬がきて身が凍る寒い冬には毛布を幾重にも体にまきつけて手に手袋をして真夜中の一時ごろまで寒さにふるえながら勉強した。寝る段になっては、ヤカンに湯をわかし、買ってきた湯タンポにお湯をいれ、それで蒲団をあたためた。そのさい蒲団があたたまるまで健康をかねて約二〇分ばかり町内会をジョギングした。吐く息は白く、手は冷たかったが、「合格!合格!」とかけ声をかけながら走った。
二月頃、友人が見るにみかねて電気ゴタツを買ってくれた……。生活の切り詰めはさらに食費にまで及び、朝はパン一個と牛乳、昼は学生食堂でウドン、夕方は湯を何杯も何杯も飲み、それで空腹感をみたして寝た。……。「ああ三十歳すぎてこのざまか、……」うす汚れたタタミ、割れたガラス窓から入ってくる風に身をそぼみながら、そう思うと涙がでることもしばしばであった。……。…来年こそ絶対合格してこのような生活から抜け出るという必死のおもいであった。……。…最低十二時間をメドにして懸命に勉強した。勉強することによって寒さも、腹がへるのも忘れようとした。…朝から晩まで勉強した。……。
…昭和四十六年から択一に合格しているが、当時中学生であった年齢の合格者に教えを乞うという態度で接し、いろいろとアドバイスしてもらった。……。
合格という終着駅に着くのに特急の如く早くたどり着く人もいれば、私のように鈍行列車で各駅停車でたどり着く人もいる。
しかし鈍行であっても決して卑下する必要はない。鈍行は鈍行なりに人生の切なさ悲しさ苦しさをひきずって走ってきたのであり、そうした体験がいつかよき法律家として生かされると信じる。(エール出版「私の司法試験合格作戦‘81年版」)
5・2 「論文」に合格するには、「基礎」「過去問」「答練」をやればよい。そして、必ずフォローする。この3つ以外はやらないことだ。(成川豊彦「成川式・司法試験合格論文の書き方」)
5・21 入門講座でインプットする。
5・211 2004年度司法試験合格者1,483人中462名が入門講座出身です。(LEC)
5・2111 90%以上の合格実績を誇るLECがいちばん自信をもってオススメできる講座が入門講座です。(LEC)
5・2112 LECは20年以上にわたって司法試験の受験指導を行ってきました。「司法試験を目指すなら、LECの入門講座」、これは業界の鉄則です。(LEC)
5・212 知的好奇心を満足させるために「応用」に走ると、「基本」だけを繰り返しているのがバカバカしくなる。特に勉強を長く続ける人に良く見られる傾向だが、これは罠だ。自分で仕掛けた罠に自分でかかっているようなもので、永遠に脱出できなくなる。司法試験は地球で行われているのに、アンドロメダ星雲に迷い込むようなものである。(「成川先生の特別講義司法試験」)
5・213 特に確固とした理由がないのなら、まずは受験用テキストから始めることをお勧めします。そして、その上で基本書を読み進めていけばよいのです。作業量は2倍になりますが、結果的に基本書だけを読み進めていくよりも早く理解できます。(伊藤真「司法試験最短最速合格法」)
5・2131 受験用テキストは「できるだけ明快に、それこそチャート式参考書のように明快に」(浅田彰「構造と力」)説明している。
5・22 過去問つぶしは絶対の基本である。(藤本大学)
5・221 論文試験に過去出題された問題は分かっています。これをしっかりと研究することで、何が司法試験で問われているかを把握できるようになります。
ですから、できるだけはやく過去問を検討してみることをおすすめします。(「伊藤真の司法試験合格塾!」)
5・222 過去問は一度だけでなく何度も解いてみましょう。その都度新しい発見があって勉強になります。(同前)
5・223 「答案構成」を浴びるほどやっておくことです。(同前)
5・3 情報を一元化する。
5・31 論文試験の場合、試験当日の2日間に6科目の過不足ない知識が頭に入っている必要があるのですから、試験直前に短時間で見直せる資料が必要になります(基本書を試験直前に全て読み直すというのはなかなか大変です)。(加毛明「私の司法試験現役合格作戦‘02年版」)
5・311 一元化といっても、何度も言うようだが、必ずしも一冊にする必要はなく、基本知識カード、答案集、論証カードというように複数になってもよい。(1時間)
5・32 基本的な論証は事前に準備しておきましょう。
5・321 基本的な論証は事前に準備しておきましょう。これは、「論証パターン」を事前に作っておくということです。(「伊藤真の司法試験合格塾!」)
5・3211 論証パターンは、論文本試験で一時間でやらなければならないことを考えたとき、「とても現場で論証など考えていられないはずだ」という発想から始まっています。最初にお話した「ゴールから考える」という“目的思考”です。(同前)
5・322 論証パターンには次のような欠陥があるとされる。
5・3221 その最大の理由はカード程度の大きさの論点(ブロック)そのものを単独で問う問題が出題されることが司法試験ではありえないということだ。(井藤公量「P&C方式速攻司法試験突破術」)
5・3222 第2の欠陥を指摘しよう。論点ブロック学習法は、各論点を独立した論点として検討するため、全体の中での論点の位置づけが把握できなくなってしまう。(同前)
5・3223 第3に、(中略)司法試験から見ると必要ないくらい学説の分類が細かくなっていき、さらに理由付けと批判が不必要に増大してしまうということにある。(同前)
5・3224 第4の欠陥は、予備校の論証例の盲目的記憶を学習方法としていると、見たことのない問題が出題されたとき、記憶に頼るので自分の頭で考えて結論を出すことができなくなってしまう。(同前)
5・323 反論してみよう。
5・3231 上三法は答案を覚え込むよりも論証カードなどで「バラバラ」な記憶として覚え込んだほうが本番で有効である。これに対して、下三法はむしろ答案をガッチリ記憶し、カードなどで補充するという方法が有効である。(1時間)
5・4 問題をストックする。
5・41 「イオシリーズ・事例本」(引用者注・「えんしゅう本」の前身)は勉強の後半で問題ストックする際の基礎となる(藤本大学)
5・5 弱点を見つけ、これを克服する。
5・51 まず、論文の再現を多くの人に読んでもらった。そして、それによって「知識不足」と「答案パターンの未確立」という弱点を見つけ、これを、…克服した。(1時間)
5・52 論文試験に受からない人の半分以上は「知識不足型」です。(永山在浩「これが司法試験の正体だ!」)
5・53 ただ、「量」も重要なんですよ。ベテランといわれる人でも「量」が不足している人は意外と多いんです。(同前)
5・6 「ゴールから考える」という“目的思考”に立ち、計画を立てる。
5・61 最初にお話した「ゴールから考える」という“目的思考”です。(「伊藤真の司法試験合格塾!」)
5・62 司法試験最終合格のための勉強時間、これはどのくらい必要なのだろうか。受験生にとっては終始つきまとう疑問である。世間では1日に10時間くらい必要だといわれることもある。これは真実なのか。(1時間)
5・621 司法試験は正しい勉強法をとれば、二〇〇〇時間で合格できる力がつきます。ただ、一〇〇〇時間で合格できるなどという人がいたら、ちょっとまゆつばものです。(「伊藤真の司法試験合格塾!」)
5・622 福田大助は「司法試験驚異の1000時間合格法」(早稲田経営出版)を出している。
5・63 試験なんか、何年かかったっていいじゃないですか。一回の受験で合格することもあります。「もう大丈夫、絶対合格する」と言われて、それからさらに三度目の正直で合格することもあります。でも、だから見ることができた風景もあるはずです。どちらもかけがえのない、価値がある生き方なのです。堂々と胸を張って過ごしてください。(「伊藤真の司法試験合格塾!」)
5・7 諸注意を与える。
5・71 図書館や自習質で勉強している人も、自宅の勉強ではしゃべりまくるようにしよう。これだけで記憶量は飛躍的に増える。(「合格への道」研究会「公務員試験受ける勉強法落ちる勉強法」)
5・72 マーカーは単色で十分。カラフルに塗り分けたところで、教材がかえって読みにくくなり、やる気も効率も落ちるだけだ。(同前)
5・721 松崎龍一「司法試験論文逆転合格法」は「最初のインプットの段階で「口述」過去問を5色に「色分け」しながら読むことを推奨する」(司法試験研究会編「司法試験合格する参考書・ムダな参考書02年版」)。
5・8 健康を崩さない。
5・81 私が選んだのは「リポビタンD」。毎日、飲み続けました。「病中病後1日1本」って書いてあったので大丈夫かなとは思ったのですが、さすがに副作用が怖くなって大正製薬に問い合わせました。「大丈夫です」って返事をもらってからは、安心して飲み続けました。(伊藤真「司法試験最短最速合格法」)