FOMC声明(全文):金融逼迫続けば経済改善ペース鈍化も
9月18日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)が18日に発表した声明は以下の通り。
7月の前回会合以降に入手した情報から、経済活動は緩やかなペースで拡大していることが示唆された。雇用市場の状況を表す指標の一部は、ここ数カ月における一段の改善を示しているが、失業率はなお高い水準にある。家計支出と企業設備投資は増加し、住宅セクターは力強さを増した。ただ住宅ローン金利は一段と上昇し、財政政策が経済成長を抑制しつつある。インフレは、エネルギー価格の変化に伴う変動を除けば委員会の中長期的な目標を下回る水準で推移している。ただ、中長期におけるインフレ期待は引き続き安定している。
連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、適切な政策緩和により経済成長が最近のペースから上向き、失業率は委員会が二大責務と一致すると判断する水準に徐々に低下すると見込んでいる。委員会は、景気と労働市場の見通しに対する下振れリスクが昨年秋以降、総じて小さくなってきたと認識しているが、ここ数カ月に見られる金融状況の逼迫(ひっぱく)が長く続いた場合は経済と労働市場の改善ペースが鈍化する可能性があると考えている。委員会は、インフレ率が長期にわたり目標の2%を下回れば経済にリスクとなり得ると認識しているが、中期的に目標水準に戻っていくとみている。
連邦政府の歳出削減の度合いを踏まえれば、委員会は1年前に資産購入プログラムを開始して以降の経済活動および労働市場環境の改善は、より幅広い経済情勢が底堅さを増しつつある状況と一致していると認識している。しかしながら、委員会は資産購入ペースの調整を行う前に、情勢の改善が持続的なものになるというさらなる根拠を待つことを決めた。従って、委員会は政府支援機関の住宅ローン担保証券を毎月400億ドル、期間が長めの米財務省証券を毎月450億ドルのペースで引き続き追加購入することを決定した。また政府機関債と住宅ローン担保証券の償還元本を住宅ローン担保証券に再投資し、米財務省証券の償還資金を入札で再投資する現行方針を維持する。総合すると、こうした政策は長期金利に下向きの圧力をかけ続け、住宅ローン市場を下支えし、より広範な金融環境を一層緩和的なものにする一助となるだろう。そしてそうした状況はより力強い経済の回復を後押しし、インフレ率が時間とともに確実に委員会の二大責務に最も一致する水準になるための助けとなるだろう。
委員会は今後数カ月間、経済・金融情勢に関する情報を注視し、物価安定の下で労働市場の見通しが大幅に改善するまで、米国債および政府支援機関の住宅ローン担保証券の購入を続けるほか、必要に応じて他の政策手段も導入する。資産購入ペースを落とす時期の判断にあたっては、委員会は今後の会合において、入手する情報が、労働市場の状況改善が継続しインフレ率が中長期的な目標に戻るという委員会の予想を引き続き支持しているかどうかを精査する。資産購入の方向性はあらかじめ決まったものではなく、購入ペースをめぐる委員会の判断は、今後も委員会の経済予測および購入によって見込まれる効果とコストの評価に左右される。
最大限の雇用確保と物価安定に向けた進展を継続させる一助として、委員会はきょう、資産購入プログラムが終了し景気回復の力強さが増した後も相当な期間、非常に緩和的な金融政策スタンスが引き続き適切になるとの見解を再確認した。具体的には、委員会はこの日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0%から0.25%のレンジで据え置くことを決定した。FF金利のこの異例な低水準のレンジは少なくとも、失業率が6.5%を上回り、向こう1-2年のインフレ率予測値が、委員会の中長期的な目標である2%を0.5ポイントを超えて上回らず、中長期におけるインフレ期待がしっかりと抑制される限り適切になると現在想定している。非常に緩和的な金融政策スタンスを維持する期間の決定に当たっては、委員会は労働市場の状況を示すさらなる指標、インフレ圧力やインフレ期待を示す指標、金融情勢を表すデータといった他の情報も考慮する。委員会が政策緩和の解除開始を決定する時には、最大限の雇用および2%のインフレという中長期的な目標と一致するバランスの取れたアプローチを取る。
このFOMCの金融政策に対し、バーナンキ議長、ダドリー副議長、ブラード総裁、エバンス総裁、パウエル理事、ローゼングレン総裁、スタイン理事、タルーロ理事、イエレンFRB副議長が賛成した。反対票を投じたのはジョージ総裁で、大規模な金融緩和の継続で将来的に経済と金融に不均衡が生じるリスクを高めるほか、今後時とともに長期のインフレ期待を引き上げる要因になりかねないとの懸念を示した。
原題:Federal Open Market Committee Sept. 18 Statement: FullText(抜粋)
更新日時: 2013/09/19 05:14 JST