9月18日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが7カ月ぶり安値-FOMCが緩和縮小を見送り
18日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが約7カ月ぶり安値に下げた。市場の予想に反して米連邦公開市場委員会(FOMC)は緩和策の縮小を見送り、月間850億ドルの資産購入を維持すると発表したことが手掛かりとなった。
ドルは主要16通貨の中でもブラジル・レアルとトルコ・リラに対して最も大きく下げた。FOMCは会合後に発表した声明で「委員会は資産購入ペースの調整を行う前に、情勢の改善が持続的なものになるというさらなる根拠を待つことを決めた」と述べ、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0%から0.25%のレンジで据え置いた。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想によると、米国債 の購入額が50億ドル引き下げられるとみられていた。
英ポンドは対ドルで上昇。18日に公表されたイングランド銀行(英中央銀行)の議事録によると、今月の金融政策委員会(MPC)では金融政策の現状維持を全会一致で決め、景気見通しの改善に伴い、一段の刺激策は必要ないとメンバー全員が判断した。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は「縮小が見送られ、目安とする失業率も調整されなかったことがドルを押し下げる材料となっている」と述べ、「考え得る限りにおいて最もハト派的な結果の一つだった」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ブルームバーグ米ドル指数 は1.1%下げて1008.28。ドルは対ユーロで1.2%安の1ユーロ=1.3521ドル。2月7日以来の安値だった。対円では1.2%下げて1ドル=97円94銭。
ブラジル・レアルやトルコ・リラが上昇ブラジル・レアルは対ドルで3.1%上昇、トルコ・リラは2.6%上げた。英ポンドは対ドルで1.5%高、8カ月ぶりの高値に上昇した。
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は5月22日に月間債券購入のペース減速を示唆。これを受けてブルームバーグ米ドル指数は大きく上昇した。
みずほ銀行の為替ストラテジスト、シレーン・ハラーリ氏(ニューヨーク在勤)は電話取材に対し、「市場は9月の緩和策縮小開始観測を強めてきたが、ここにきて失望した」と述べた。
FOMCの予測FOMCが発表した政策金利予測によると、大半の会合参加者は初回利上げが2015年に決定されると見込んでいる。
FRB正副議長および3人の理事と地区連銀総裁12人を対象にまとめた予測中央値では、2016年末時点のFF金利誘導目標は2%となっている。完全雇用と物価安定が実現した際のFF金利は4%が妥当だと予測されている。
ゲイン・キャピタル・グループ(ニューヨーク)のシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「FOMCが現在の資産購入のペースを継続すると決めた結果、ドルが売られ、相場が下げている」と指摘。「この日に緩和策の縮小が発表されると広く予想されていた。その縮小が発表されなかったことで、見通しが覆されている」と続けた。
バーナンキ議長はかつて、失業率が7%程度に改善した場合は、14年の年央あたりに終了する可能性があると述べてきた。
米銀が決済機関デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)へ提出したデータをブルームバーグがまとめたところによると、この日の外為オプションの店頭取引は合計205億ドル。前日は170億ドルだった。対円でのドルのオプション出来高は42億ドルで、シェアは21%と最大。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、ドルは今年に入り1.8%上昇。ユーロは4.7%上昇。一方、円は11.1%下げている。
原題:Dollar Falls to 7-Month Low as Fed Unexpectedly RetainsStimulus(抜粋)
◎米国株:過去最高値を更新-FOMCの量的緩和維持で買い膨らむ
米株式相場は続伸。連邦公開市場委員会(FOMC)が大方の予想に反して資産購入規模を据え置いたことから、S&P500種 株価指数は過去最高値を更新。5年前の緩和開始以降、相場は155%上昇している。
高配当銘柄が選好され、S&P500種の業種別10指数のうちでは公益事業が特に高い。ニューモント・マイニングとバリック・ゴールドなど、資源株も買いを集めた。住宅建設株指数も7月以来の水準に上昇。輸送のフェデックスも高い。四半期決算の利益が予想を上回った。
S&P500種株価指数は前日比20.76ポイント(1.2%)高の1725.52。8月2日に記録したこれまでの過去最高値1709.67を上回った。ダウ工業株30種平均は147.21ドル(1%)高の15676.94ドル。これも過去最高値で終えた。
ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクのエリック・デービッドソン副最高投資責任者(CIO)は「誰もがやや度肝を抜かれた」と指摘。「このような水準で株式を保有できるのは素晴らしいことだ。しばらくはマネーが出回るなら、おのずとバリュエーションが高まる」と述べた。
借り入れコストの上昇で景気鈍化の兆候が表れていることから、バーナンキ議長率いる当局者は資産購入の縮小を見送った。議長が初めて資産購入縮小の時期に言及した5月以来、米国債利回りは急上昇している。
「さらなる根拠を待つ」FOMC声明は「委員会は資産購入ペースの調整を行う前に、情勢の改善が持続的なものになるというさらなる根拠を待つことを決めた」と表明。「景気と労働市場の見通しに対する下振れリスクが昨年秋以降、総じて小さくなってきたと認識しているが、ここ数カ月に見られる金融状況の逼迫(ひっぱく)が長く続いた場合は経済と労働市場の改善ペースが鈍化する可能性があると考えている」と説明した。
コモンファンド・グループ(コネティカット州ウィルトン)のチーフ投資ストラテジスト、マイケル・ストラウス氏は「要するにFOMCが言いたいのは、今はまだ縮小しないが、そのうちするつもりだということだろう」と述べた。
ブルームバーグがエコノミスト64人を対象に実施した調査によると、33人が米国債の購入規模が50億ドル、あるいはそれ未満縮小されると予想。31人が100億ドル、あるいはそれ以上の縮小を見込んでいた。
ダウ輸送株平均は1.5%上昇して過去最高値に達した。景気敏感株で構成するモルガン・スタンレー・シクリカル指数は1.4%上げて、これも最高値。ナスダック100種株価指数は1.3%上昇し、2000年11月以来の高水準を記録した。
住宅建設株は反転S&Pの住宅建設11銘柄で構成する指数は6%上昇。FOMC結果発表前は1.4%下げる場面もあった。米商務省の発表によると8月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算、以下同じ)は89万1000戸と、前月から0.9%増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は91万7000戸だった。前月は88万3000戸と、速報値の89万6000戸から下方修正された。住宅の着工許可件数は3.8%減の91万8000戸。市場予想は95万戸だった。
D.R.ホートンは6.9%高。レナーは6.5%、パルトグループは5.5%値上がりした。
航空貨物輸送で最大手、フェデックスは5%高。2007年以来の高値に達した。消費者が一段と安い輸送手段を求める中、対応策としてのコスト削減が奏功した。
デザインソフト最大手、アドビ・システムズは9.2%の急伸。6-8月(第3四半期)の売上高と利益はアナリストの予想を下回ったものの、オンライン定額制プランの加入者が47%増となり、一部のアナリスト予想を上回った。加入者急増は、オンラインサービスへの移行を推進するシャンタヌ・ナラヤン最高経営責任者(CEO)の戦略の正しさを示すものだ。
原題:S&P 500 Climbs to Record as Fed Refrains From ReducingStimulus(抜粋)
◎米国債:2011年以来の大幅高-FOMCが債券購入の現状を維持
米国債相場は約2年ぶりの大幅高となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)が市場の予想外に債券購入 ペースの現状維持を決めたことが背景。
FOMC会合後に発表された声明では、「委員会は資産購入ペースの調整を行う前に、情勢の改善が持続的なものになるというさらなる根拠を待つことを決めた」と記された。また参加者の大半は政策金利 の最初の引き上げは2015年になると予想した。
ブラックロックの米州債券担当の共同責任者、リック・リーダー氏は「もはや来年半ばまでの量的緩和終了を見込めるか私には分からない」とし、「経済データが緩和の引き揚げ開始の必要性を強く示唆するまで量的緩和の選択肢を維持する道が開かれた」と続けた
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回り は前日比16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.69%。この低下幅は2011年10月31日以降で最大。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は1 11/32上げて98 11/32。
ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査では、FOMCが米国債の購入額を月50億ドル減らし400億ドルとし、住宅ローン担保証券については月400億ドルを維持すると見込まれていた。
出来高は増加米政府債のディーラー間ブローカーで最大のICAPによると、米国債の出来高は52%増の4570億ドルと、6月26日以降で最高。年初来の平均は3164億ドル。
ダブルライン・トータル・リターン・ボンド・ファンドを運用するジェフリー・ガンドラック氏は電子メールで、「刺激策の解除をいったん始めてしまったら、すぐ逆に戻すことはできない。金融当局は景気回復を自律的な回復に委ねることをためらっている」と述べた。
住宅ローン金利などの指標となる10年債利回りは5日に一時3%に上昇。5月21日は1.93%だった。5月22日には、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が「今後数回の会合」で債券購入ペースの減速を決定することもあり得ると発言した。
SEIインベストメンツ(ペンシルベニア州)で80億ドル相当の資産運用に携わるショーン・シムコ氏は「金融当局は経済データを注視し、日ごとに様子を見ようという姿勢だ」とし、「今回の決定を受けて向こう数週間は市場のトーンが定まるだろう。その後は議事録待ちの展開となる」と続けた。
FF金利予測FRB正副議長ならびに3人の理事と地区連銀総裁12人を対象にまとめた予測中央値では、2016年末時点のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は2%となっている。完全雇用と物価安定が実現した際のFF金利は4%が妥当だと予測されている。
17人のFOMC会合参加者のうち12人は2015年の初回利上げを予測しており、2人が16年と予測していた。また3人は14年の初回利上げを予測している。
またFOMCの経済予測(中央値)によると、16年のGDP予測は2.5-3.3%増となっており、同年の失業率は5.4-5.9%、インフレは1.7-2%上昇が見込まれている。
原題:Treasuries Rally Most Since 2011 as Fed Maintains Pace ofBuying(抜粋)
◎NY金:上昇、8週間ぶり大幅高-FOMCが緩和縮小見送りで
ニューヨーク金相場は8週間ぶり大幅上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)が債券購入の縮小を市場予想に反して見送ったことを受けて、買いが優勢になった。
FOMCは会合後の声明で、資産購入のペースを調整するには景気回復のさらなる証拠が必要だとの見解を示した。これより先には、FOMCが緩和縮小に着手するとの観測を背景に金直物はほぼ6週間ぶりの安値をつけていた。
ペンション・パートナーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・ゲイド氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「今回の決定は相場の流れを変えるものだ。緩和縮小をめぐる不安を背景に流出していたマネーの一部が戻ってくるだろう」と指摘。「強気なセンチメントが回復している」と述べた。
ニューヨーク時間午後2時34分現在、金直物相場は2.3%高の1オンス=1341.03ドルと、7月22日以来の大幅上昇。一時は1.4%安の1292.02ドルをつける場面もあった。
原題:Gold Jumps Most in Eight Weeks as Fed Refrains From QETaper(抜粋)
◎NY原油:3週ぶりの大幅高、FOMCが資産購入規模を維持
ニューヨーク原油先物相場は3週間ぶりの大幅高。連邦公開市場委員会(FOMC)が資産購入プログラムを現状規模で維持したことから、一段高となった。
FOMCは住宅ローン担保証券(MBS)と米国債の購入規模を月額850億ドルで据え置いた。米国の原油在庫が2012年3月以来の水準に減少し、特にオクラホマ州クッシングの在庫が11週連続で取り崩されたことから、原油先物はFOMC発表前から堅調に推移していた。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「FOMCの決定は商品価格を押し上げるだろう」と指摘。「市場は国債購入規模の大幅縮小を織り込んでいた。今後、さらなる資金が原油などの市場に流入し、価格を押し上げる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比2.65ドル(2.51%)高の1バレル=108.07ドルで終了。年初からは18%の値上がり。
原題:WTI Crude Rises Most in Three Weeks After Fed MaintainsStimulus(抜粋)
◎欧州株:ストックス600上昇、5年ぶり高値付近-FOMC決定控え
18日の欧州株式 相場は上昇し、指標のストックス欧州600指数は5年ぶり高値に接近した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の債券購入縮小をめぐる決定が注目されている。
ドイツのエンジニアリング会社、シーメンスは2年ぶり高値を付けた。同社はラルフ・トーマス氏を最高財務責任者(CFO)に起用し、SAPのジム・ハガマン・スナーべ共同最高経営責任者(CEO)を監査役会メンバーに指名した。独セメント会社のハイデルベルクセメントは1.4%上昇。同銘柄の投資判断をゴールドマン・サックス・グループが引き上げた。
ストックス欧州600指数は前日比0.4%高の313.28で終了。16日に付けた5年ぶり高値まで0.1%未満に迫った。年初来では12%上げている。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのルーシー・マクドナルド最高投資責任者(CIO、株式担当)はブルームバーグテレビジョンに対し、FOMCで「いかなる措置も取られなかった場合は疑問が生じ、成長に対する懸念が強まるだろう」と語り、「景気回復は引き続きしっかりしているという安心感が必要なのは明らかだ」と続けた。
FOMCはこの日、2日間の会合を終了する。米国債と住宅ローン担保証券(MBS)合わせて月850億ドルの資産購入額を減らす判断が見込まれている。
この日の西欧市場では、18カ国中15カ国で主要株価指数が上昇。独DAX指数は0.5%、仏CAC40指数は0.6%それぞれ上げ、英FTSE100指数は0.2%安となった。
原題:European Stocks Advance Before Fed’sDecision on Bond Purchases(抜粋)
◎欧州債:ドイツなど中核国債下落、FOMC決定控え-英国債も下げ
18日の欧州債市場ではドイツなど中核国の国債が下落した。米金融当局が大幅な量的緩和縮小は見送るとの観測から、域内で比較的安全とされるこれら国債の需要が後退した。
スペイン10年債のドイツ10年債に対する上乗せ利回り(スプレッド)が縮小し、ここ2年で最小の幅となった。オーストリアとオランダ、フィンランドの国債は続落。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)は国債の月間購入額を50億ドル減の400億ドルとし、住宅ローン担保証券(MBS)については400億ドルで据え置くとの予想が示された。
ダンスケ銀行(コペンハーゲン)のチーフアナリスト、アラン・フォンメイレン氏は「米当局は利回りの大幅上昇を回避するため、ハト派的な姿勢を取ろうとするだろう」と発言。さらに、「単に資本を守るよりも、ある程度のリターンを得られるのはどこかに投資家が注目する平常時の状況に戻りつつある。こうした過程が進行中で、ドイツ債利回りにはもう少し上昇圧力がかかるだろう」と続けた。
ロンドン時間午後4時23分現在、ドイツ10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.01%。一時2.02%と、13日以来の高水準 となった。同国債(表面利率2%、2023年8月償還)価格は0.37下げ99.955。
ドイツ10年債とスペイン10年債のスプレッドは4bp縮小し240bp。一時は2011年7月5日以来で最小となる239bpまで縮まった。イタリア10年債とのスプレッドも4bp縮小の240bp。一時は8月23日以来で最小の237bpとなった。
英国債市場では10年債相場が下落。同利回りは7bp上昇の3%と、11日に達した11年7月27日以来の高水準(3.05%)に近づいた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格はこの日0.54下げ93.595。
イングランド銀行(英中央銀行)がこの日公表した今月の金融政策委員会(MPC)の議事録によれば、景気見通しの改善に伴い、一段の刺激策は必要ないとメンバー全員が判断していた。
原題:Germany Leads Europe’s Bonds Lower BeforeFed Tapering Decision(抜粋)Pound Advances to Eight-Month High on BOEMinutes as Gilts Slide(抜粋)
更新日時: 2013/09/19 07:09 JST