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「はだしのゲン」は平和教育の参考書か不良図書か…松江市教委が閲覧制限を撤回した理由とは
当時教育長だった福島律子・市総合文化センター館長も「最初は『はだしのゲン』が10巻あることも分かっていなかった」。福島氏も通読は初めてだった。
11月の市議会教育民生委員会では、議員の一人から「大変過激な文章や絵がこの漫画を占めている。『はだしのゲン』そのものが、不良図書と捉えられる」と指摘もあがる。ただし、市議会としては「図書室に置くことの是非を議会が判断すべきではない」として、12月に不採択とした。
一方で市教委は、「市教委の判断で適切な処置をすべきだ」との注文が付いたことを“忖度(そんたく)”し、幹部5人で協議を続けた。
意見拮抗の末「折衷案」
福島氏ら当時の市教委幹部は、10巻の描写について「作者が戦争の悲惨さを伝えるために描いたのは分かっているが、発達段階の子供たちに見せるのはどうか」と考えたという。
協議では「子供たちの心理的な影響が危惧される」「学校図書館と一般図書館は違う」などの意見が出された。「一部を制限しては」との意見もあったが「墨塗りみたいになる」として消えた。平和教育の参考書として作品を評価する意見と、不良図書とする意見が拮抗(きっこう)したあげく、「折衷案」として閲覧制限を求めることにしたという。
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