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「はだしのゲン」は平和教育の参考書か不良図書か…松江市教委が閲覧制限を撤回した理由とは
広島への原爆投下を取り上げ、広く知られている漫画「はだしのゲン」について、松江市の小中学校で起こった閲覧制限問題が明らかになってから1カ月。先月下旬の同市教育委員会議で「要請前に戻す」、つまり撤回することで決着がついたが、市教委事務局が教育委員に諮らずに要請した経緯に疑問が投げかけられるなど、“手続き”論が問題とされ、根本的な議論には踏み込まれなかった。どこが問題となったのか、経緯やその後の状況を検証した。
きっかけは市民の陳情
きっかけは昨年8月にさかのぼる。市内在住の自営業の男性(35)=現高知市在住=が「天皇陛下に対する侮辱、国歌に対しての間違った解釈、ありもしない日本の蛮行が掲載されている。松江市の子供たちに間違った歴史認識を植え付ける」として、学校図書館からの撤去を求める陳情を松江市議会に提出した。
同年9月の市議会教育民生委員会で、市教委は当初、撤去に否定的な見解を示す。しかし議員から「全体的な流れを読んだ上で判断したい」といった意見が出て継続審査に。
実は、このときまで市教委の担当者は「はだしのゲン」を通読していなかったという。担当職員らが全巻を読むなかで、別の観点で「一定の教育的配慮が必要」という意見が出た。汐文(ちょうぶん)社(東京都文京区)版なら10巻に出てくる、旧日本軍が妊婦の腹を切り裂いて中の赤ちゃんを引っ張り出す場面などが過激ではないか-というのだ。
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