痴漢といえば思い出されるのが、昨年12月、JR西日本の執行役員が痴漢で逮捕された4日後に、公園で首を吊って自殺した事件である。
このときのマスコミ各社の反応は、今回とは真逆と言ってもいい。逮捕が警察発表されたわずか数時間後には、新聞とテレビが一斉に報じている。もちろんすべて実名報道だし、テレビにいたっては過去の映像を使用して執行役員の顔までさらしていた。
ここで考えてほしい。この執行役員と高田の状況の酷似と、その後の展開の大きな違いについてだ。電車の中で女子高生の尻を触ったとして、咎められた。駅事務所に連行され、110番通報された。所轄から捜査員が駆けつけた—ここまではまったく同じだ。この段階で容疑を否認しているのも共通している。
だが、パトカーに乗り、所轄の警察署に到着してからが、まったく違う。
執行役員は即座に逮捕・勾留され、テレビと新聞に顔と名前をさらされた。そして、おそらくはそれを苦に、みずから命を断った。一方の高田は、逮捕されず自宅に帰り、報道もいっさいされていない。
あの人には頭が上がらない
ではいよいよ、なぜこのような「特別扱い」がなされたのか、その種明かしをしていこう。
高田が警視庁の大物OBであることに加え、この事件には前述した「もう一つの重大要素」がある。それについて、警視庁関係者が決定的な証言をする。
「現在の高島平署長は、警視庁生活安全部で高田の『直属の部下』だったんです。
管内で痴漢事件が起き、容疑者が挙がってきたら高田だったから、署内は騒然としたそうです。女子高生の被害申告がしっかりしており、『これは逮捕しないとダメだろう』と言う署員もいた。しかし最終的には、署長の元上司という特別な事情もあり、逮捕はせずに『任意で慎重に捜査を継続する』ということになったんです」
もちろん現段階で、高田の痴漢行為が冤罪である可能性はゼロではない。慎重に捜査をすること自体はいいだろう。
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