【小説?】PGバトルロワイアル -BROP- 中盤戦
近未来SFサバイバル
PGバトルロワイアル -ディレクターズカット-
※文字制限等々の関係上、簡略化して流れを良くするために、いろいろ省いたりするので個人的には【小説だろうか?】な認識です。
現在 2日目 午前8時25分
-【残り18名】-
http://p.tl/tJGM
禁止区域 2日目午前8時 より
http://p.tl/xIsq
作品中でカットされた設定や、詳しい内容を知ることができます
PGBRwiki http://www43.atwiki.jp/pgbr-himmel/
選手イラスト:http://urx.nu/2ooE(ああ◆ILC.mHQXwA より贈呈)
いままでの投稿 No.605まで
>>610 >>611 >>612 >>613 >>614
※ある意味即席小説なので、原作と世界観を類似させ、少し引用している部分があります。
※この作品はプロット立てずに書いてます。行き当たりばったりです
※強要されて書くわけじゃないので、必要なくなったら書くのをやめます
Page:[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.55 )
-【残り32人】-
「わからない、どういうことだ? 一体何の権利があるってんだ!」
椅子を激しく揺らして誰かが立ち上がる音が聞こえ、別のことを考えていた凪(神田凪)は、ふと意識を戻す。後ろに顔を向け、男子生徒――むったに目を移した。
クラスの問題児とも言われるむった。普段から福永を妙に尊敬しているのか、彼の側にいつもいた。凪にとっては、むったはとにかく怖い存在で、出来れば近寄りたくは無い……いやむしろ、誰かをいつも殴っている彼の様子を見て、自分の側から消えればいいとさえ感じていた。
ぴっしりとしているはずの制服は、いつの間にかだらしなく着崩されており、中からは独特の色と柄をしたシャツが覗いていた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.56 )
ただ、このときばかりは、クラスメイトの殆ど、凪も含めて、この意味のわからない状況を打破してくれるきっかけになることを、彼に少し期待していたかもしれない。
いきなり、『殺し合う』だの『バトルロワイアル』などと言われても、そんなことが出来るわけもない。とにかくむったに、どっきりか何かわからないが、この事態を止めてくれさえすればそれでいい。止めてくれれば、今後の見方を改めようかと、凪は半ば神に祈るかのように考えていた。
むったは、ずかずかと教室の中心を歩いていき、三嶋の前に立ちふさがったかと思うと、その胸ぐらをいきなり掴み上げた。ぐっと顔を引き寄せられた三嶋は、少しばかり目を見開いて、むったの姿を見据える。
とっさに軍服の男がむったに近寄ろうとしたが、三嶋はそれを手で制した。
「てめえ、冗談もいい加減にしやがれ! 何が殺し合うだ、BROPだ。ふざけてんじゃねぇぞ」
「……私がふざけていたことが、これまでにあったかな?」
強気の態度で、三嶋はそう言い返した。むったの顔に怒りとも逆ギレとも取れない表情が浮かぶ。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.57 )
強気の態度で、三嶋はそう言い返した。むったの顔に怒りとも逆ギレとも取れない表情が浮かぶ。
よし、いいぞ、もっとやれ――そのときばかりはクラスが団結して、むったの猪突猛進ぶりを心の中で応援していたのだろう。
そのとき、むったの肩に手を置いたのが、のび汰(野比のび汰)だった。少しおどおどとしながらも、のび汰は小さく言った。
「あの、むった。先生に暴力は良くないよ。だって先生だもん」
「意味がわかんねえんだよ、お前は!」
のび汰の手を振り払い、もう片方の拳を振り上げて威嚇した。さすがにのび汰もすぐに諦めて、『待って』と言いたげに手を上げながら、後ろへと引いていった。
舌打ちをして三嶋に向き直ったむった。だが、その口から出た次の言葉は、皆の期待を大きく裏切ることになる。
「俺の親父がどこの会社にいるか知ってるな? このシステムを開発したインダストリーの取締役だぞ? てめぇ、その息子がいるクラスを、こんなふざけたことに巻き込むのかよ、ああん?」
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.58 )
堂々と、恥ずかしげもなく父親を語るむったに、少しクラスメイトは肩を落とした。それが何になるのかという突っ込みを、誰かがいれなかっただけマシな方である。
そんな彼に、三嶋は――誰もが見る、初めての表情を浮かべた。蔑み、哀れみ、もはや苦笑とも取れない歪んだ表情は、むったの勢いを一瞬殺した。
「あのな、むった」
胸ぐらを掴んでいるむったの手を、三嶋はぐぐっと力を込めて掴み返した。異常な力の強さに、むったはすぐに手を離して、数歩後ろへと下がった。
「みんな平等だって、小学校のときに習ったろう? 偉大な研究者だろうが、役人だろうが、何か特別な扱いを受けて言い訳がない。その子どもだって同じ事だ。君らは皆、別の境遇で生まれた。お金もち、貧乏、男、女……それらを、君たちは選んで生まれてきたわけじゃない。だから、そんなことで、君らの価値が決まるわけじゃないんだよ」
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.59 )
しわくちゃになった襟を整えながら、三嶋は教壇から降りて、離しながらむったの周りをぐるぐると歩いた。生徒が三嶋を恐れ、後ずさりをする。
むったは三嶋の動きを警戒しながらも、だるい話をするなと言わんばかりに、思い切りそっぽを向いていた。
「君らはまだ、自分たちの本当の価値を知らない。見つける努力すらしてこなかったんじゃないかな。だけど、大人はそうはいかない。自分の力をきちんと把握して、出来ることをする。それは境遇で得られるものじゃなく、自分の力で得るものだ。
だからね……むった。自分だけが特別だなんて――」
三嶋は、むったの目の前で立ち止まった。
その瞬間、三嶋は目にも止まらぬ早さで拳を振り上げたかと思うと、むったの顔面に思い切り拳を食らわせたのだった。予想外の攻撃に、むったは反応することすらできず、身体ごと後ろへとはじき飛ばされた。
「そんな勘違いを、しちゃあいけないんだ……なぁ?」
まるで、殴った余韻を楽しむかのように、三嶋は拳に手を這わせた。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.61 )
あsげ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.62 )
バトル開始までもうすこしぃぃぃ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.63 )
支援あげ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.64 )
えええ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.66 )
>>65
デスブレイク福永さんちーっす
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.68 )
むったはしばらく顔を押さえていたが、さっと頭を上げると、勢いよく立ち上がって、再び三嶋に駆け出そうとした。しかし、彼の腕を福永は捕まえた。
「おいユウジ、離せよ!」
「そーんな急がんでも、あいつをぶん殴ることなんかいつでも出来る。なんなら、後で俺が『デスブレイク』をあいつにかましてやるから、今は我慢せえや」
シュッシュッと、チョップを空中で2回振りかざす仕草を、福永は恥ずかしげもなくやった。しばらく、むったと福永は目を合わせていた。
先に目をそらしたのはむっただった。鼻を鳴らすと、その場に重たげに座り込む。鋭い目は三嶋に向けられていた。
「さて、少し中断されましたが、続きを話しましょう」
無表情に戻った三嶋は、前に戻って教卓を2回、手で叩いた。すると、モニターが教室の天井から現れ、そこにいくつかの映像が映し出される。国会の映像、何かの文書らしき内容、そして、彼らが現実の教室で、椅子に静かに身体を預けているそれぞれの生徒の映像が、一定時間事で切り替わっていた。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.69 )
「今まで行われてきたオペレーションは、あくまで実験的なものでした。しかし……ついに、オペレーションは意味のある物へとなりました。終了後には、ニュースで世間に大きく報道され、実質的に君たちは、最初の記念すべき選手となるでしょう。
ああ、両親の方には連絡しておきましたので、心配せずにゲームに参加してください。
それと、もう一度言っておきます。君たちがこれから行うのは、生き残りを賭けた殺し合いです」
三嶋が机をもう一度叩くと、映像が切り替わった。それは、おそらく過去に行われたオペレーションの映像だ。彼らと同じような制服をきた生徒が、銃やその他の武器を持って、戦っていた。顔は誰も彼もが必死で、恐怖に歪み、中には笑っているものさえいた。
「皆さんも分かっているとおり、ここはBROPの仮想空間です。今までは現実の方でも何度かやったのですが、あいにく、君たちに提供するような土地は、そこまで現実にありません。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.70 )
というわけで、このBROPでの戦闘がメインとなりました。……が、この仮想空間は、極限まで現実を再現したものです。
血こそ出ませんが、感じた痛みは、君たちの意識に、そのままフィードバックされます」
映像が切り替わったとき、クラスメイトの何人かが、「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。
確かに、血が出ている様子はなかったが、頭に銃痕のような穴を開け、白目をむいて倒れている生徒や、斧のようなものが頭に刺さっている生徒が映し出されていた。
「人間というのは、死ぬのにそれぞれ個人差がありますので、この仮想空間でのオペレーションでは、それぞれにライフ、スタミナゲージというものが設定されます。
出血多量などで死ぬことが無い分、このライフゲージが無くなると、君たちは例外なくゲームオーバーです。
スタミナゲージは、いわゆる体力というものです。仮想空間では、実際の肉体を動かすわけではありませんから疲れが溜まることはほとんどありません。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.71 )
そこで、君たちが現実で受けてきた体育などの授業からそれぞれのアビリティを割り出し、この仮想空間にフィードバックしています。
スタミナが無くなると、身体が異常に重く感じたり、走れなくなったりするので注意してください。君たち、ゲーム好きでしょ? そういうのにあるようなスタミナと同じものだと思ってくれたら結構。
例外として、頭に銃などの強烈な衝撃が加わった場合は、現実と同じで即死します。あ、ここまで質問ありますか?」
しばらく誰も反応を見せなかったが、すっと手を上げた生徒がいた。
「ああ黒影か。なんだ?」
顔に大きな傷のある生徒……黒影は、手を上げたまま、そっけなく言葉を口にした。
「ゲームオーバーになったら、どうなる?」
それは生徒の誰もが気にしていたことで、一斉に黒影に視線が集まった。黒影は気にすることなく、手を下げて、三嶋の言葉を待つ。
「この先に言おうと思っていたが、まあ良い質問だ。先生、きちんと話を聞いてくれて嬉しいぞ」
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.72 )
見たことのないような満面の笑みを浮かべると、三嶋は机を叩く。映像が切り替わり、病院のベッドらしき映像に切り替わった。そこには、いろいろな機器を身体に取り付けられ、両親らしき人に見守られた女の子の姿があった。
「この仮想空間は、君たちの意識を、身体から引き離すギリギリのところまでダイブさせるようにできています。だからこそ、身体に大きな痛みや、現実にほど近い感覚を与えているわけです。
そのため……仮想空間での死のフィードバックは、君たちの脳に大きな影響を与え……例外なく脳を殺します」
さすがにこれには、生徒も衝撃を抑えきれずにザワザワとし始めた。そのとき、『風』がものすごい剣幕で声を張り上げた。
「ばっか野郎、うるせぇお前ら! 先生の話が聞こえねえだろ!」
「おい風、お前はこれに賛成なのかよ!」
「賛成なわけねえだろアホ! だからって逃げられるのかよ!」
風と数人の生徒は、キリのない言い合いを始めた。そのとき、もうひとり、三嶋に近い席にいた直子(新庄直子)がおどおどと小さく手を上げた。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.73 )
「あの、先生……もし生き残ったら、家に帰れるんですか?」
小さな声だったが、一気にクラスは静まりかえった。そう、誰もがそれは、影ながら気にしていたことだった。
「“生き残って優勝すれば”家に帰れます。ただし、これも後で言うつもりだったのですが、今回は二人一組のチームなので、ふたりだけ生き残ることが条件です。あと、一生遊んで暮らせるだけの賞金も出ます」
「賞金?」
思わずそう口にしたのは、レイナだった。彼女の家は貧乏で、普段から彼女自身も生活に苦しんでいることは誰もが知っていたが、このときばかりは、全員の蔑むような視線を、レイナはもろに受けた。周りの空気に気づいた彼女は、はっとして口をつぐむ。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.74 )
「自分の欲望にどん欲なのは良いことです。誰もが、生きる目標が同じとは限りません。金のため、家族のため、自分のため、国のため……どんな目標でも、生きることに望みがあるのなら、それはいいことなのです。ただし、逃げてばっかりで楽な道を進もうとするのは、真面目に生きているとは言えませんねー」
そう言った三嶋は、視線をルイズに向けた。目が合ったルイズは、思わず身体を震わせる。何もかも、三嶋には見通されているのだと、ルイズはここで思った。
「えー、話を進めます。試合期間は3日です。その中で、誰かを殺すもよし、隠れているもよし、自分のやりたいことをやるもよし。……ですが、ひとつだけ注意点があります。
もし、3日以内にふたりだけ生き残らず、数人が一気残っていた場合――全員、ゲームオーバーです。イコール、全員死にますね」
数学の公式でも言うかのように、三嶋はすらすらと、簡単に言い終わったとき、その目がある方向を向いた。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.75 )
福永の口調ワロタ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.76 )
俺夜神みたいな開幕。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.77 )
それは、教室の後ろの方で身体を横に向け、裕太と小声で話をしていた太鼓侍だった。裕太の方はすぐに視線に気づいて口を紡いだが、何かを熱心に話しているのか、太鼓侍は三嶋の視線には気づかなかった。
静かに、音もなく三嶋は教卓から降り、教室の真ん中を早足で歩いた。生徒が慌てて避ける中をずんずんと進み、一瞬で太鼓侍の後ろに立った。
ようやく異常に気づいた彼は、ふと頭を後ろに向けた。
「なに私語してんだ? 授業中に私語をしたらいけないだろ」
「いや、だけど――」
「言い訳するんじゃねえ!」
三嶋は恐ろしい形相をして、太鼓侍の髪の毛と頭を掴むと、思いきり、椅子ごと後ろへ勢いよく引き倒した。太鼓侍は身体のバランスを取る暇もなく、後ろへと引き倒され、頭から地面にぶつかった。
聞いたことの無いような鈍く大きな音と共に、太鼓侍は動かなくなった。目を見開いているが、ピクリともしない。
「あーあ、すみませんね。私が殺したらルール違反ですかね?」
頭を掻きながら、三嶋は軍服の大人に目を向ける。“軍服”のひとりは、軽く肩をすくめるだけだった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.78 )
「やりやがったなあ、三嶋あああぁぁぁ!」
そのとき、福永に腕を捕まれていたむったが、ついにその手を振り払って三嶋へと飛びかかった。身体ごと三嶋を引き倒すと、顔めがけて拳を振り下ろした。しかし三嶋の方が反応は早く、いとも簡単にその拳を手で受けて止めていた。
「ほんとに仕方ないなあ、君は。これ以上、先生にルールを破らせないでほしいんだが……」
「黙れ黙れ黙れ黙れ!」
「おいむった、やめろ!」
福永の呼びかけにすら答えず、むったは三嶋に馬乗りになったまま、どうにか捕まれた拳を引きはがそうと躍起になっていた。
三嶋は面倒くさそうにむったを一瞥した後、どこに持っていたのか、いきなり腰から黒光りする何かを、もう片方の手で取り出すと、むったのふとももに当てた。次の瞬間『ズドンッ』という音と共に、むったは悲鳴にも似た声を上げたのだった。
馬乗りになっていたむったは落ちて、床の上を声を上げながら転げ回った。三嶋の手には、禍々しく光を反射する拳銃が握られている。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.79 )
「残念だなあ、むった。たぶん今ので、君のライフゲージは半分ぐらい減ったんじゃないかなあ? ほんとは先生、こんなことするのはルールに反するんだけど、仕方ないよね。自業自得、自己責任ってやつ?」
涙を浮かべ、ふとももの激痛に耐えながらも、むったはまだ怒りの表情を三嶋に向けていた。今にも再び飛びかかりそうな彼を、しっかりと、その周りにいた凜や星屑、福永が無意識のうちに押さえていた。
金星がどうにか事態をまとめようとしたのか、こんなことを三嶋に投げかけた。
「先生、ルール違反なら、せめてむったの痛みを和らげるのと、そのライフゲージを元に戻してやるってのは?」
しかし、そう言ってから、金星は自分が何を言っているのかに気づく。ライフゲージや痛みが元に戻れば、むったは自分の命を脅かすかもしれない存在のひとりになる可能性がある。それは自分で自分の死を早めているのと同じだった。
奇妙なことを言うもんだという表情を、一瞬だけ金星に向けた三嶋は、結局何も答えずに前へと戻っていった。
-【残り31名】-
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.80 )
しえn
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.81 )
太鼓侍死ぬの早すぎwwww
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.83 )
その後、試合が行われるこの島の説明と、再びルールの詳細を三嶋は話した。ほとんどの生徒が、あの後は食い入るように説明を聞き、何かざわめくようなこともなかった。
未だに、クラスメイトがひとり死んだという事実を受け止めきれていない部分もあるのだろう。太鼓侍の動かなくなった身体は、軍服の連中が、教室の前の隅に運んで、横たえてある。誰もが無意識のうちに、そこから視線を外した。
あらかたの説明を終えたところで、軍服が教室に、いくつもダッフルバッグを運び込み始めた。おそらく生徒全員分あるそのバッグは、太鼓侍の身体の横に、すぐにうずたかく積まれた。一見して何の違いも無いように見えるが、よくよく見れば、何か棒のようなものが入っていたり、バッグいっぱいに何かが詰め込まれているものもあった。
「えーっと、それじゃ、これからこのバッグと、私が君たちに渡すこのPDAを持ってここを出て行ってもらいます。その際に、ペアも発表します。ペアは先ほども言ったように、50メートル以上離れてると、このPDAが警報を発してくれます。離れているとライフゲージが減っていくので、くれぐれも注意するように。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.85 )
もしペアがやられても、諦めずに、同じようにペアを失った子を見つけてくださいね。そうすれば、もう一度ペアを組めますから。
あ、そうそう、さっき太鼓侍が死んじゃったわけだけど、そのペアの子は特別に、ひとりで出発してもらいます。ただ、1日以内に誰かペアを見つけないと、これまた死んじゃいから、頑張ってください。
このバッグの中には、スタミナを回復するための食料と武器が入っています。武器はそれぞれ違います。まあもともと、君たちは不平等の中にいるので、ここだけ平等にしたら、不平等が埋まらないわけですね。まあ不確定要素というか、そういうのが必要なわけです」
三嶋が机を叩く。今度はスクリーンに、舞台となる島の地図が示された。PDAには、縦に数字、横に英語が割り振られた図形地図があると先ほど説明があったが、その内容がそれらしかった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.86 )
「この、今君たちがいる教室は、U−14です。いいですか、U−14ですよ。後で覚えて、PDAの地図に上書きしておいてくださいね。最後のペアが出て行ったとき、ここは立ち入り禁止エリアに指定されるから、間違っても足を踏み入れたら駄目ですよー。一応禁止エリアに足を踏み入れたらPDAが音で知らせてくれますがね。あ、死人は関係ないですよ?
まあ、みんなが隠れていたら試合になりませんからねえ。それを避けようってわけです。
あと、PDAは、電池が一日と半分ぐらいしか持たないから、あんまり当てにしないように。もしくは、誰の電池を貰えば大丈夫かな。
さて……」
三嶋はスクリーンを叩き、それを教室の上へと戻した。
「ここから出たら、どこに行ってもいいですからね。ただ、一定時間事に複数の場所が禁止エリアになります。そのときに、島に放送を流すので、しっかり聞いて、書き加えてくださいね。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.87 )
むったは回復したのかな?
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.88 )
>>87
回復はしてない。三嶋が言ったように、自業自得ってやつだな
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.89 )
マジカヨ…
原作と同じ流れだね
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.90 )
最終的に生き残れるのが2人って言うのが良い味出しそう。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.91 )
最後に、アドバイスというか、助言というか――。まだ、クラスメイトを殺すなんて、っておもっている子がいるかもしれないけど……他のやつは、殺る気になってるぞ?」
誰もがびくりとして、思わず周りに目を向けていた。何より、黒影や福永に目を合わせた生徒は、しまったと言わんばかりに勢いよく目をそらした。
誠(片桐誠)は、注意深く回りを観察した。確かに、誰が何を考えているのかはまったく分からない。見た目で判断したら、間違いなく殺される。それは考えるまでもなかった。
そのとき、彼は自分の横に座っていた『るく』から、信じられない呟きを聞いたのだった。
「いつ始まるんだろ……早くしてくれないかな」
背中が凍るような感覚に襲われ、誠はるくの方を振り返ることが出来なかった。彼の発言がどういう意図なのかは安易に想像できたが、それ以上の何かさえあるような気がしてならなかった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.92 )
「さて、と。お、もうすぐ午後7時か。それじゃ、これからペアで3分刻みで出て行ってもらいます。最初に出て行く子はくじ引きで決めようかな? その後は、その子から名簿順で。誰か、くじ引きたい子いますかね――? いないか、じゃあ先生が引こうかな」
軍服が持ってきた、箱の中からひとつ、三角くじを取り出す三嶋。意地悪でわざとゆっくり開いているのか、多少もたついていた。
「だんし、ななばーん、金星! それのペアは、女子1番、安西美木! それじゃ、このPDAとバッグを受け取って、教室から退室してください」
金星は静かに立ち上がると、脇目もふらずに三嶋の前へと歩き、PDAとバッグを受け取った。美木も金星の後に続いた。美木は緊張はしていたが、相手が金星だったせいか、少し安心した表情を浮かべていた。
ふたりが出て行って丁度3分後、次が呼ばれる。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.93 )
「男子8番、黒影。ペアは女子7番、灼眼のルイズ。受け取って退室してください」
黒影が立ち上がると、周りにいた生徒は少し恐れた様子で身を引いた。黒影は前だけを見据え、駆け足で前へと行くと、ひったくるように三嶋からPDAを受け取って、バッグ自分でひっつかんで出て行った。
「ちょ、ちょっと待って! なんでひとりで行くの!?」
ルイズも慌ててふたつを受け取ると、黒影の後を追って走り去っていった。
「あのペアはなかなか大変そうだなあ。それじゃ、次、男子9番、坂田銀時。あ、君は太鼓侍とペアだったんだが、言ったように、ひとりで出発な」
「えー、マジすか」
喜ぶとも嘆くとも言えない声を上げた坂田は、かったるいと呟きながらゆっくりと前へと歩いて行き、ふたつを受け取って教室を出て行く。
「はいはい次。男子10番、さまらら。ペアは男子19番裕太――」
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.94 )
その後も順繰りに名前を呼ばれていった。やがて、最後のペアである女子12番レイナと、男子14番の波風華月が呼ばれた。
「はーい、じゃ最後ね。PDAとバッグを受けとって出て行ってくださいー」
閑散とした教室で、自分の番をひたすら緊張しながら待っていたふたりは、少し息を吐いた。
先にレイナに受け取らせて、波風もPDAとバッグを受け取って教室を出て行こうとした。しかし、ふと思いとどまって立ち止まった。
「ちょっと、早くしてよね」
レイナに怪訝な表情を向けられる波風。もともと、オタクの部類になる波風は、レイナと仲が良いわけもなく、このペアであることがわかったときは少し落胆した。
「悪い、少し待って」
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.95 )
波風は教室へ再び足を踏み入れると、もうひとつ残っていた、本来は太鼓侍のものであったであろうバッグを指さした。
「これ、貰って行っちゃ駄目か?」
「駄目に決まってるだろうが。早く行け!」
軍服はそう突き返そうとしたが、それを三嶋が止めた。
「残しても仕方ないだろう。第一、そういうのも頭の良さのひとつとも言える。いいでしょう、持っていきなさい」
「よし」
波風はバッグを二つ背負うと、レイナと共に最後のペアとして出て行った。軍服は不満そうにその後ろ姿を見ていたが、このゲーム内では三嶋が最高責任者である以上、逆らうことは出来なかった。
生徒が誰もいなくなった教室で、三嶋はしばらく無表情で突っ立っていた。
Re: [小説] PGバト( No.96 )
本番入りまーす
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.97 )
うっかりだなあ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.98 )
あげ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.99 )
俺微妙なところでかっけーw
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.100 )
あ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.101 )
げ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.102 )
あげげげげ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.103 )
早く書いてよ〜
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.104 )
ちょwwwイラストうますぎまろwww
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.105 )
ぐぬぬ…更新はまだか
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.108 )
ぐぬぬぐぬぬ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.110 )
ぐぬぬぬぬ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.111 )
俺もぐぬぬって言いたいわ
中国語のテスト勉強面倒くせええ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.112 )
んー……ガンバ!
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.113 )
天メルテストがんばw
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.114 )
はよテスト終わらないかなあ
終わらないとさすがに集中できない。
そろそろ本業の方も手をつけたいし……
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.115 )
ヒンメル〜
応援してまっす!
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.116 )
がんばれ!
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.117 )
なぁ、こいつミナモじゃねぇだろうな?
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.118 )
支援です
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.119 )
おうよー
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.120 )
>>117
ミナモってなんだ
おいしいのか
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.121 )
っつか知らない奴ばっかwwwwww
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.122 )
>>120
おや?それに反応するとは怪しいね?
ミナモとは。
忍者のミナモ、賢者のミナモ、盗賊の(ry
と様々なコテを持ち、「ゲーテ」や「リーフィアん」というような名前も使っていた。
情報板で小説「バトルロワイヤル」で住民を本人の許可なく勝手に使用したり、勝手に殺害するなどの最低小説を書いてしまったため、当時(2006年〜2007年)では最も嫌われていた。
その後ポケモンバトルの小説を書くが途中で挫折し、ポケガイにはその名前では来なくなった
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.123 )
>>122
初耳だわ。
過去でこのお話でバトロワは書いたことあるけど。
少なくとも他人に許可無く人物を引用したり、実在人物として使用することはないなあ。
創作するひとりとして。
情報板にも行ったことはないしなー
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.124 )
バトロワ系は色々あったようななかったような
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.125 )
>>123
ホントかよ。その言い方とかミナモにそっくりで仕方ない。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.126 )
ちなみに、ミナモの作成したスレ(バトロワではない)
http://www.pokemon-guide.net/bbs_info/show.php?kiji_id=77267
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.127 )
>>125
証拠も出せないけど、俺のポリシーとして、絶対に他人に許可無しでキャラとして登場させたりすることはない。それは昔から一貫してる。
自分が楽しむのもあるが、あくまでこういう小説は他人に対して発信して楽しんでもらおうって思ってやってるし。
自己満足の小説なら自分のサイトかHPでやるわ。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.128 )
>>126
おま……
台本書きなんて、小説始めたころにすら書いたことはない。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.129 )
そういや勝手に住民を使うバトロワ小説もあったね。
ヒンメルのが落ちたちょっと後に。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.130 )
>>127
しかし、前に批判されたこともあったからそれらを踏まえて・・
もういいや('A`)
とりあえずミナモであったことは否定するのか?
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.131 )
本人が否定してんのにしつこいな
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.132 )
>>129
マジか。そういうのは良くないな
>>130
それはないよ、マジで;
その頃、ポケガイに来てたかどうかさえ怪しいところ。
まだ小説カキコあたりにいたんじゃないかなあ、その頃は
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.133 )
>>131
お前新参だろ
ミナモがどんな奴か知ってて言ってんのか?
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.134 )
>>132
分かったZE
疑ってうまなかった
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.135 )
>>133
3年前から居ると言ったら?
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.136 )
>>135
ミナモの存在は知らないだろうな
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.137 )
>>134
いえいえ。
こういうことは多々あるから。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.138 )
>>136
はあ
決めつけるような態度にイラッとしたのでね
スレ汚しになるから俺は落ちるよ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.139 )
知らない名前がいっぱいあるけどオリキャラもいるのか
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.140 )
>>139
できればすべてをポケガイ住民でやりたかったけど、さすがに集まらないから、半分はオリキャラだねぇ。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.141 )
俺も出たかったぜ・・・ヒック・・・・・・グスッ
もしかしたら・・・少しは有名にいやなんでもない
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.142 )
ガンバ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.143 )
ヽ(`Д´)ノウワァァァアアン
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.144 )
あと一週間で更新停止から1ヶ月だぞ…
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.145 )
いや5日だ
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.146 )
ヒンメル…
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.147 )
午前7時04分
教室のあった建物を出た『一徹』は、夜の島に目を凝らした。月が出ているおかげでそこまで暗いということはなかったが、誰かが潜んでいたとしても分からないぐらい、あたりは木や草が茂っている。
彼の後ろから、ペアとなった『片桐誠』が横に並んだ。
「何かいるのか?」
「そういうわけじゃないんだけど……。ほんとに、これから僕たちって――」
「言うな。今更、言わなくてもいいだろう。覚悟を決めるしかないんだ」
一徹は小さく頷くことしか出来なかった。これから自分たちが行うことへの恐れや、非現実的ともいえる状況に、思考はすでに麻痺しかかっている。それでも足が勝手に前に向かおうとするのは、それよりも死に対する“逃走心”のようなものが働いているからだろう。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.148 )
キタアアアアアアアアアアアアア!!!!
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.149 )
ktkr!
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.150 )
誠に促され、一徹は足を進めた。少し斜面になった森の中を、とにかく前へ向かって進む。ここでふと一徹が気がついたのは、森の中だというのに、虫の声ひとつしないことだった。風が吹いて、さわさわと木の葉がこすれ合うような音はするのだが、他に生き物の気配が全くない。フクロウ一匹、さえずることもない。
間違いなく、ここが仮想空間であることを示すような、そんな発見だった。
「俺たちは、U−14から南西に向かって歩いているようだ。地図の上じゃ何も確認できないが、地形的には南と西にある半島が、何かしらありそうだな」
いつの間にかPDAを取り出した誠は、器用にそれを操作していた。
「冷静だね……」
「冷静? いや、これまで人生にないほど緊張してるよ。全国大会の決勝戦直前の緊張感なんて、比にならないほどね」
それでも、静かな口調で誠は答えていた。実際、確かに誠は緊張していた。これから自分が行うであろう行為を、頭の中で考えられずにはいられない。だからこそ、何か言葉を口にして冷静さを保とうとしている。
それが同時に、一徹の心をも少し和らげるのだった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.151 )
「誠は、剣道とか柔道とか、いろんな大会に出てたんだよね?」
「ああ、そうだが」
「それって、こういうときに役立つの?」
一徹の質問に、誠は少しきょとんとした表情になる。そして苦笑いをした。
「武芸はあくまで、対等な立場で意味を成す物だよ。そりゃ、その練習でつけた体力とか反射神経とかは役に立つかもしれないけど、飛び道具とか使われたらどうしようもないしな」
「それでも、なんか頼りになる気がするよ」
「そうか?」
誠は肩をすくめる。実際、こんな状況で、自分がやってきたことが何かの役に立つのかどうかなど、予想すら出来なかった。
一徹もPDAを取り出して、他にどんな情報があるのかを確かめた。地図情報の他に、バッテリー駆動時間、自分の体力、スタミナ情報と思われるふたつのゲージ。
そして――
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.152 )
「武器……?」
武器と書かれた項目があった。一徹のそこには、大きく『工具セット』と書かれていた。実際に気になって、先ほど教室を出るときに貰ったバッグを開けてみる。
パッケージのない、透明な液体の入った(おそらく水である)500ミリリットルペットボトル、固形栄養ブロックの食べ物の箱、そして、布袋の中では、なにか金属がこすれあって音を立てている。
「なんだ?」
「武器……これだって」
布袋を開き、一徹は中身を取り出してみた。おおよそ、自動車整備に使われるようなタイヤレンチ、モンキーレンチ、バールのようなもの、その他何に使われるかわからないような特殊なものが、いくつか入っていた。
とても武器と言えるようなものではないことは、確かである。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.153 )
「誠の方はどうなの?」
「俺? 俺は――」
そう、誠がおもむろに自分のバッグに手を伸ばしたとき――森の静寂を切り裂く、鋭い音が鳴り響いた。それは誰が聞いただけでもわかる、銃声だった。
反射的に身をかがめた二人。さらにその後、数発の銃声が森の中に響き渡った。少し遠い場所で起こった音らしく、森の中に音がこだましていった。
「俺たちじゃないようだな」
「誰が……?」
「余計なことは考えるな。とりあえず、銃声は北のほうかららしい。急いで離れたほうがいいだろう。行くぞ」
大きな身体をものともしない軽い動きで進む誠の後ろを、一徹は必死についていく。いつ後ろから銃弾が飛んでくるかもしれないという恐怖は、彼らの気持ちをひたすらに焦らせた。
その結果、その先で潜んでいた『海とピンク』に、誠ですら気がつかないという失敗を引き起こしてしまうのだった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.154 )
「うらあああぁぁ!!」
海は一気に飛び出して、先頭にいた誠に飛びかかっていった。その手には、彼の少し小さな手には収まりきらないような、ギラギラとした光を反射するサバイバルナイフ――。
誠に向かって、海は勢いを付けてナイフを頭の上から振りかざした。ナイフを使ったことなど今まで一度もなかった海は、素人によくあるような大きな動作をしてしまう。
隙の多い振りに、かろうじて頭を反らして避ける誠。海の動きには明らかな隙も多かったが、おおよそ不意打ちに慣れていない誠も、とっさには動くことが出来なかった。
さらに、斜面になった地面に、ふたりとも足を取られて転倒した。隣同士になりながら、ふたりは斜面を数メートルほど転げ落ちていった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.155 )
「誠!」
一徹はふたりの元へ駆け出そうとしたが、その足が何かに引っかかって、思い切り顔から地面に転げた。自分の足をみると、そこには白く比較的太い縄が巻き付いていた。すぐに抜け出そうとする一徹だったが、縄は予想以上にきつく巻き付いている。
「ご、ごめん……。だけど、ぼ、僕だって……!」
地面でもがく一徹を、草むらの影から出ていたカマンベールが取り押さえた。縄に気を取られていた一徹は、抵抗する間もなくカマンベールの持っていた縄で、腕を後ろ向きに縛られてしまう。
「や、やめてよ! そんなプレイ、男同士で――」
「僕はそんなんじゃない!!」
一徹の顔を、グーパンチで思い切り殴ったカマンベールだったが、人を殴り慣れていけわけでもない彼は自分の拳をも痛めてしまう。殴られた一徹だったが、顔が腫れぼったく感じる以外は、さほどの痛みも感じていなかった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.156 )
その一方で、誠と海の戦いは続いていた。先に立ち上がった誠は、まだ堅くナイフを握っている海に飛びかかり、その腕を身体を押さえつけた。地面に押しつけられたカマンベールはがむしゃらに動くものの、柔道の寝技に近い形で身体を封じられては、彼では誠に太刀打ちできるわけもなかった。
しかし、その場が畳の上でなかったことが、彼の強さを奪うことになる。砂の上では誠は踏ん張りきることが出来ずに、カマンベールの激しい動きに隙を与えてしまう。カマンベールはここぞとばかりに、誠の手を振り切って、そのナイフを彼の背中に突きつける。
鋭く、貫くような痛みに、誠は身体を仰け反り返す。刺す角度が悪かったために、複数回刺すようなことは出来なかったが、そのうちにカマンベールは誠の下から抜け出していた。
「海……! 待て、戦う必要なんかない! 俺の話を聞け!」
痛みに耐えながら、誠は頭に浮かんできた言葉をそのまま口にした。その言葉に、海は引きつった笑い声で返した。
「ははは、何を言ってるんだよ、誠。いいか、理由なんか必要ないんだよ! 俺は戦う! 俺はお前を殺す! 俺は生き残る! 俺は――」
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.157 )
狂気気味に声を張り上げる海に、誠は地面に落ちていた手のひらサイズの石を投げつけていた。石は彼の胸元に直撃して、その言葉を遮った。
よろめいた海に、誠はありったけの力を込めて、身体ごとぶつかっていった。
「うわああぁぁぁ――!」
もろに誠の突撃を受け、海の身体は少し宙を浮いたかと思うと――その後ろの斜面へと再び転がり落ちていった。叫び声は遠のいて、その姿も草木に紛れて見えなくなる。
「……無駄口を叩いてる暇があったら――俺の話を聞けばよかったものを!」
海が消えていった斜面をのぞき込みながら、誠は吐き捨てるように言った。
彼が死んでしまったかどうかはわからないが、誠には彼を殺す気はなかった。密かに心のどこかで、話し合えばなんとかなるのではないかという希望を持っていた。だが、結局は自分も追い込まれた状況では、他の殺る気になっている奴らと何も変わらないのだと思い知らされる。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.158 )
お話再開!
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.159 )
>>157は後に修正
カマンベール → 海
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.160 )
誠は、海が転げ落ちていく際に落としたナイフを拾ってからあたりを見回した。一徹の姿はどこにも見当たらない。少し斜面を転がり落ちたらしいが、登れない角度ではなかった。
声を上げようとするも、思いとどまる。海がいたということは、そのパートナーもこの近くにいるということでもある。そのもうひとりに襲われる可能性は充分に考えられた。
ふと、自分がナイフで刺されたことを思い出して、慌てて背中に手を伸ばした。傷や出血は感じられなかった。先ほど感じた痛みも、すでにどこにもなかった。
「これが仮想空間の特色というわけか……。まるでゲームのキャラクターだな」
試しにPDAでライフゲージを確認してみると、ゲージは3分の2ほどに減少していた。スタミナの方は、ライフゲージほどの減りは認められなかったが、ほんの少しだけ減少しているようだ。
他に、PDAには何の反応も無いということは、少なくとも、半径50メートル以内に一徹はいるということでもあり、まだ彼が死んでいないということにもなる。いずれにせよ、彼が死んでいないのと、自分がまだ生きていることに、誠は少し胸をなで下ろすのだった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.162 )
一徹が縛られてから少しの間、誠と海の声が彼の耳に聞こえていたが、どちらかの叫び声以降、何も音が聞こえなくなったことに、一徹は焦りを感じていた。誠がやられたのか、それとも襲撃してきた海がやられたのか――。
何より、自分を縛っているカマンベールが何をしたいのか、一徹にはわからなかった。彼を縛って以降、カマンベールは何かそわそわしながらあたりを見回し、例えば一徹を殺したりする気配すら見せなかった。
そのとき、規則的な電子音がどこからか響きだした。警告音を連想させる音に、ふたりはビクリと身体を強ばらせる。音の発信源は、カマンベールの制服のポケットからだと、いち早く一徹は気づいた。
「な、なあ、お前のポケットから響いてると思うんだけど……」
「え?」
ポケットにさっと手を入れて、カマンベールはそこからPDAを取り出した。けたたましい音は、そのPDAから発せられているらしい。一徹からは、画面に何が出ているのかは読み取れなかったが、何かの警告が出ているようではあった。
Re: [小説] PGバトルロワイアル2011 -BROP-( No.166 )
ああ
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