【小説?】PGバトルロワイアル -BROP- 中盤戦
近未来SFサバイバル
PGバトルロワイアル -ディレクターズカット-
※文字制限等々の関係上、簡略化して流れを良くするために、いろいろ省いたりするので個人的には【小説だろうか?】な認識です。
現在 2日目 午前8時25分
-【残り18名】-
http://p.tl/tJGM
禁止区域 2日目午前8時 より
http://p.tl/xIsq
作品中でカットされた設定や、詳しい内容を知ることができます
PGBRwiki http://www43.atwiki.jp/pgbr-himmel/
選手イラスト:http://urx.nu/2ooE(ああ◆ILC.mHQXwA より贈呈)
いままでの投稿 No.605まで
>>610 >>611 >>612 >>613 >>614
※ある意味即席小説なので、原作と世界観を類似させ、少し引用している部分があります。
※この作品はプロット立てずに書いてます。行き当たりばったりです
※強要されて書くわけじゃないので、必要なくなったら書くのをやめます
Page:[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.1 )
プロローグ 三嶋の日記
いつもと同じ一日を過ごす。日の当たらない場所で一日中身体を椅子に預けていると、血管が萎縮してしまうような感覚がいつもやってくる。動いてもいないのに肩は凝る。足は浮腫む。
頭だけがいつも働き続け、かつて行っていた現実での教師としての活動よりも、もっと疲労が溜まるような気がした。子どものため、生徒のためと言われるシステムは、やがて子どもが成長して大人になったときのことなど、考えてもいないのだろう。
時間が短縮されようが、彼らの自由が広がろうが、結局は状況は変わった様子は感じられない。
私だって、子どものときは優秀でもなく、授業中に寝たり、内職をしていたのは変わらない。だが、こうして逆の立場になってみると、恐ろしいほどに、私の中の何かが変わってしまった気がした。未だに手を出したことはないが、異常なほどの、胸にふつふつと湧く何かは、その規模を広げ続けていた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.2 )
毎日のように、親御さんに文句を言われ、生徒に舐められる。同僚の教師は、現実で、ナイフで切りつけられたという噂も聞いた。
もはや、そこに上下関係など存在しない。システム内部は常に、まるで子どもが脳そのままに成長したような腐った連中構成された県教委に見張られ、生徒に手を出そうならば、タダでは済まない。
首を切られるならまだマシな方だ。その後、暴力人間というレッテルは、再就職にまで広く影響していく。情報社会に生きる人間は、もはや社会というシステムに管理される、ひとつのCPUに過ぎないのか。
ただ、文科省の最近の発言は、それよりも危険なものではないかと考える。教育を受けることは国に準ずるための使命であるだの、勉強は他人との戦いに勝るためのものであるなど、危険な思想を漂わせている。
そもそも、この日本が独立を行ってから数年間の間に、何かが狂い始めていた。子どもが大人を見下し、キレるのも無理はないだろう。独立をしたからと言って何が変わったわけでもなく、アメリカにおびえ、中国に敵対し、EUに睨まれる。
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.3 )
戦争はいつ起きても仕方のない状況下で、何が教育だろうか。総理大臣は偉ぶり、軍人は情けのない政治家のために、疑問すら感じずに働いている。そんなやつらに、誰もが蹴りをいれたくて仕方ないのは間違いない。
言論の自由は影で弾圧され、教育現場で教える内容は、もはや真実とはかけ離れたものにすらなってきている。
もし私に、今を変える唯一のチャンスがあったのならば、間違いなく命を投げ出す覚悟はある。
国のためでもなく、教師であるからでもなく、未来の大人のために。私たちのような、無力な大人を生み出さないために。
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.4 )
1.試合開始
午前8時15分
彼は駆け足で階段を上り、寒い廊下を足早に抜けていく。まだ静かな朝の学校には、すれ違う他の生徒さえ見かけられない。
いたとしても、教室の中か、もしくはすでに現実には、その意識は無い。わざわざ寒い廊下に留まっているということは、まずないだろう。
手を擦り合わせながら、カイロのひとつでも持ってくればよかったと、半ば今となってはどうでもいいような後悔をする。
しかし、制服というものが廃止になって、冬の寒さを乗り切るのはまだマシになった方だ。自由な服装で登校をし、適度な温度に保たれた教室へと足を踏み入れれば、もはや外の寒さなど何の意味もなくなる。
ためらいなく教室の扉を開く。本来ならばそこに机がずらりと並び、黒板が立てかけられ、その端の方には、今日の日直やら、誰かの落書きやらが見受けられるのが普通だろう。
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.5 )
あげ
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.6 )
しえん
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.7 )
今日中にレポート終わらせて、明日に手を付けるよ
レポートが結構やばいから
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.8 )
レポート頑張れー
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.9 )
こういうのは誤字指摘とかした方がいいの?
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.10 )
うわ変な奴が来た
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.11 )
変な奴が来たね
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.12 )
>>9
誤字はある程度は自分で気づいてるよ。
後でそこら辺は直すから大丈夫
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.13 )
>>12
わかった
直ってなかったらこれでもかという程バカにしてから指摘するね
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.14 )
変な奴だ
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.15 )
たまに弾かれるから、語句選ばないといけないし、文字数も少ないから極力表現は減らしてるんだけどねえ……
そういうのは慣れてないから、変な部分もあるかもしれない。
別に俺はプロじゃないんだから、バカにする必要はないと思うけど
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.16 )
にゃっはは〜ん
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.17 )
だが今となっては、そこに広がるのは、画面の存在しないデスクトップパソコンと、奇妙な形をしたマウスのようなものが、机と同じようにずらりと配置されている様子だ。椅子にはそれぞれ、いくつものコードが接続された、頭を覆うようなヘルメットが置かれている。
これが、彼らにとっては普通の光景だった。
「お、『だだだ』早いな、おはようさん」
足を踏み入れた彼に、ひとつの声がかかる。長い銀髪の目立つ容姿は、目の端に捉えただけで誰かはっきりとするほどの特徴を醸し出す。
「おはよう『坂田』(坂田銀時)。そりゃ、なんたってアレが楽しみだからな」
「そうだよな。……でも、『安藤』のやつ、もういるかな?」
「何、また自宅からなのか? いくらなんでも面倒くさがりすぎだろ」
「安藤も、お前に言われたくはないと思うぞ……」
そう笑い、坂田は自分の席に座り、頭にヘルメットを被った。数秒経った後に、すぐにヘルメットを外し、だだだに親指を立てて見せた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.18 )
急いで だだだ も自分の席へと向かい、PCの電源ボタンを押して、スタンバイが完了するのを待った。すべての授業は、これを使用して、仮想空間内で行われる。
2011年の現在、もはや教育現場はそれが主流となっていた。
スタンバイのランプが点灯したのを確認すると、だだだは坂田と同じように、頭にヘルメットを被る。真っ暗な視界の中に『STAND-BY』という文字が浮かび上がっているのを確認すると、だだだは両手を、椅子の横の、小さな机の上に置かれていた特殊なマウスの上に手を置き、ぐっと力を入れた。
手に吸い付くような感覚を感じた後、ふっと意識は遠くなる。まるで、魂が身体から剥離していくような感覚を覚えながら、だだだの精神は、BROPシステムの中へと吸い込まれていった。
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.19 )
不正なコメントと、文字数制限の戦いが相変わらず厳しい
Re: [小説]PGバトルロワイアル( No.20 )
支援
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.21 )
2000年より施行されたBROPシステムによる教育法改正。学校という、若者の時間を多く強制してきた制度は、この年をもって変わっていった。
○○インダストリーによるBROP(バイオロジックリアリティングオペレーション)は、現実に非常に近い仮想空間を社が管理するネットワーク上に作りだし、コミュニケーションをより身近に感じようというものだった。
当初は掲示板やチャットと言った、文字だけでやりとりを行うシステムを、人の顔を見て、表情を知り、場の空気を感じながら直接言葉で会話することでコミュニケーション問題を解決するといった施行をされていた。しかし、それが教育現場に反映されるまでに、そう時間はかからなかった。
学級崩壊、いじめ、引きこもり、不登校……時代が進むにつれて、これらの問題は大きく進行していった。学校に時間を取られ、授業は単調なものになり、ただ所属していれば卒業まで行けるという意識が広まったのだろう。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.22 )
その打開策として、BROPシステムは導入された。仮想空間内では、最大、時間の経過を現実の二倍で行うことが可能で、これにより若者を拘束していた時間を削減。自由な時間を与え、彼らが勉強以外の教養を行える機会を増やそうという試みだった。
特に仮想空間内という非物理的な場所を使用することにより、年間のコストを大幅にカットすることに成功し、教育現場は、より勉強面に力を注ぐことが可能となった。
しかし一方で、この施行により、若者の自由はより加速し、大人に対する敬意や恐れと言ったものが見られなくなっていったとも言われる。仮想空間という場所は、生や死の概念も薄くなり、命の重要さでさえ、若者は軽視するようになった。
子どもは大人の本当の姿に愛想を尽かし、大人は子どもの極端で急激な成長に絶望した。そして、恐れさえしていた。子どもは大人になり、彼らはまた、子どもに恐怖する。
日本に、本当の大人と呼べる存在は、もはやいなくなったのである。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.23 )
私怨
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.24 )
数秒ほど経った後、だだだの目の前に空間が広がり始めていた。その形は教室であったが、彼らが先ほどまでいた場所とは違い、昔のように教室に机が整列し、黒板がある光景だ。そこが、彼らが授業を受ける仮想空間であった。
また、彼らの姿も変わり、私服ではなく制服を身にまとっている。あくまで仮想内でのものだが、その堅苦しさは現実のそれとなんら変わりはないように見える。
現実となんら見分けの付かないよう作られた空間。しかし、黒板はシミ一つない綺麗なものであったし、教室には汚れもなく、掃除箱の姿はなかった。汚れることはないのだがあたり前ではあるが、よくよく見れば、違和感は至る所に見受けられる。
目の前が完全に開けると、だだだは椅子から立ち上がった。実際、現実では、未だに彼は椅子に座り、ヘルメットを被って両手をマウスの上に置いているだろう。だが、意識はすべて仮想空間にあり、彼の身体は今、この空間内にある『それ』になっている。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.25 )
「お、おはよう、だだだ……」
低い声にだだだは振り返ると、安藤が引きつった笑いを浮かべて立っていた。わざと引きつらせているわけではなく、彼はこういった笑いしか出来ないらしい。人と話すということに、慣れていないのだろう。
普段はアニメの絵がプリントされたシャツを着たり、フィギュアを集めたりするという、典型的なヲタクであり、たまに仮想空間内にもフィギュアを取り込んでいたりする。どうやっているのかは定かではないが、仮想空間の構造には非常に詳しい。
ちなみに安藤は、授業を行うこの空間には、自宅から特別に繋いでいる。不登校や特別な事情がある生徒には、学校まで来ることをせずに、自宅から授業を受けることが出来、この方法が認められている。
「おはよう。で、準備は出来た?」
「ばっちり……。今から仕掛ける」
そういうと、安藤は手をかざした。するとそこに、半透明なノートPCが浮かび上がる。現実ならば目を見張るような光景だったが、仮想空間では誰でもできる普通のことだ。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.26 )
安藤はそのキーボードをいくつかタッチすると、だだだに画面を向けた。そこには奇怪な数字や文字がずらりと並び、だだだには何を示しているのかはさっぱりだった。
「いたずらプログラム23ver.2。たぶん、上手くできてんじゃね?」
だだだの後ろから、坂田が顔を覗かせながらそう言った。
このプログラムは、本来、現実と相似に作られた仮想空間内に、仮想空間だからこそ出来る異質なプログラムを走らせることによって、現実では出来ないことをしようというものである。例えば、仮想空間内でも重力の概念は存在し、いつでも彼らは地面に足を付けていなければならない。だが、そうじゃないようにすることも可能なのだ。
ただし、現実で行えない一定のことを仮想空間で行うことは、『疑似空間改造法』に抵触すると言われ、法律では禁止されている。ただ、ばれなければいいというのが、結局は法律の甘いところであった。
授業中でも無ければ、仮想空間内は監視もされておらず、一応にはフリーな状態だった。
「アンチウイルスプログラムの対策は?」
「今のところは問題なし。引っかからないと思う」
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.27 )
「それじゃ、さっそく……」
そう安藤がエンターキーを押そうとしたとき、そのPCを取り上げた者がいた。
「うわ、岩村……」
「あんたたち、また余計なことをしようとしてるでしょ。迷惑だからやめてよね」
PCを取り上げ、しかめっ面を浮かべるのは、クラス委員長の岩村ちとせだった。しっかり者で堅物、まるで年上であるかのように振る舞う、悪い人ではないが彼らにとって厄介な存在であった。
ため息をひとつして、ちとせはPCとだだだ達を交互に目を向ける。
「あのさぁ『ちとせ』さんよー。別に授業中にやろうってわけじゃないんだから」
「法律に引っかかるでしょ」
「だからそれにも見つからないように……」
坂田がそう言いながら、すっと手を伸ばして、ちとせが持っているPCに手を伸ばした。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.28 )
だが、それよりも先に、ちとせはPCを叩いていた。手の中から瞬く間にPCは消えていった。
「あー、消しやがったこいつ!」
「いいから、勉強でもしてたら? あなたたち受験生でしょ?」
良い意味でストッパー、悪い意味でお節介極まりない女だと、自分の席へと戻っていったちとせに、坂田はぶつぶつと悪態を投げかけた。これまでにもたびたび、彼らの悪戯というものは邪魔をされて、なかなか成功には至っていない。
確かに、法律に触れれば未成年だろうが重罪ではあった。しかし、ルールは破るためにあるという昔からの言われは、彼らにもきっちりと引き継がれていたのである。
結局、また後で、ちとせやその他に見つからないようにバックアップしていたものを持ってくるということで、その場はお開きとなった。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.29 )
前置き長いけど、もうちょっと辛抱。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.30 )
1日目 午前9時
午前9時。仮想空間内に教師がやってきて、1時間目の授業が始まる。授業自体は、教師が黒板を使って説明する、昔から変わらない方法だ。ただし、ワンタッチで黒板を綺麗に出来たり、教科書は生徒の机の目の前に、ホログラムのような状態で表示されたりと、楽になったところはたくさんある。
ノートを取る生徒は、同じようにホログラムのようなノートに、ペンで筆記していく。取ったノートはデータで保存されて、いつでも簡単に参照できるようになる。キーボード入力でもデータは残せるが、それは認められていない。未だ固着する古い大人の考えが、それを阻んでいた。
こんなにも環境は変わっても、変わらないものがひとつあった。それは、授業のつまらなささである。中学で授業を受け始めた最初こそは、仮想空間内で授業を行うという物珍しいものだったが、慣れてしまえば、至って現実と変わらない内容なのである。
そんな退屈な授業では、これも変わらず、生徒は違うことを考えたり、頭を伏せて眠りに専念したりする。何が変わろうとも変わらないものというのは、意外にも身近に残っていた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.31 )
そんな中で、何とか授業について行こうと、襲い来る睡魔に対抗しながらノートを取る『たんたん』。やはり仮想空間にいようが、脳は常に働いているのだから、前日に夜更かしなどをしていると、すぐに眠気は襲ってくる。
「寝るとまずいかな……。大事なところっぽいし」
黒板には数列がびっしりと書かれていて、教師である三嶋がそれを説明していた。三嶋は彼らの担任でもある。授業のやり方は……見ての通り、真面目なのだがおもしろみもなく、要領も良いとは言えない。悪い教師とも言えないが、その逆もまた言えない。
気分展開に、窓の外へ視線を飛ばす。今日は、窓の外には地平線までずっと広がる草原が映し出されていた。教室の窓の外には、こうして授業にストレスを感じないように、何らかの癒しの空間が形成されている。時には海岸だったり、雪景色の森だったりする。
しばらく外の様子を見ていたたんたんだが、風が吹き抜けて草が揺れる光景以外、何ら変化のない光景にすぐに飽きて、黒板へ視線を戻した。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.32 )
しかし、何か今日は妙だとたんたんは感じていた。前日に夜更かしをしていたわけでもない、朝に特別早く起きたわけでもない。だというのに、異常なほどの眠気があった。
「ああ、くそぅ……。おい、『カマンベール』?」
ふと後ろを振り返り、呼びかけるたんたん。その後ろの席には、カマンベールという男子が座っている。
しかし、返事はなかった。珍しくカマンベールは頭を伏せて、穏やかな寝息を立てていた。
奇妙だった。カマンベールは、クラスでは誰よりも今年の受験を焦っていて、授業中に寝るなんてことは無かった。
それも、カマンベールだけではない。教室内を見回すと、大半の生徒が眠りについていた。いくらおもしろみの無い授業とは言え、こんなにも人が寝ている光景を見るのは、彼は初めてだった。こんな状況だというのに、三嶋は何の疑問も抱かないのか、ひとり誰も聞いていない教室で、授業を進めている。
ふと、たんたんと目が合った人物がいた。福永ユウジである。彼は何かに対抗するように、必死に頭を持ち上げていた。たんたんと目が合った彼は、何かを訴えかけるように目をしばたたかせたのだが……次の瞬間には、力なく頭を机に伏せた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.33 )
「え? おいおい……どうなってるんだ?」
それを見ていよいよ、異常だと、たんたんは直感した。さすがにおかしいと、手を挙げて三嶋に呼びかけようとした。しかし三嶋は脇目も振らずに、数学の解説を続けている。
すぐにたんたんにも、大きな睡魔の波が押し寄せ、頭を抱えた。この状況に、三嶋だけが何の異常もない。それどころか、異常すら感じていないのは何かあるのだが……。三嶋の様子を、たんたんは何とか目に追おうとした。
三嶋は、黒板に向き直ると、再び数式を書き始める。たんたんは、掠れる意識の中で、それを追った。
「BROP……?」
なぜか、三嶋は黒板に突如、その単語を書いた。
「えー、それでは、この方程式の解説はここまでとして、今から、BROP……バトルロワイアルオペレーションを行いたいと思います――」
まるで、授業の一環であるかのように、三嶋はそう言った。その言葉を聞いたと同時、たんたんは耐えきれなくなって、頭を机にもたれたのだった。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.34 )
ゴクリ…
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.35 )
ちょうど区切りなところだから、朝はここで区切るよ。
また今日の暇な時間に書いて、夜あたりに続きうpする
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.36 )
よかったら前スレ見て><
もう募集おわった?
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.37 )
支援あげ
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.38 )
1日目 午後6時
波風(波風華月)は目を覚ました。感覚的には、眠たかった授業がやっと終わり、慣れ親しんだ教室にいるという錯覚だった。
目を開くと、異常に暗い空間が広がっていた。目を凝らしてあたりを見回すと、わずかな明かりが窓から入り込んでいて、それがうっすらと場を浮かび上げていた。
そこは教室の中であることは間違いなかった。それも、仮想空間内の教室であり、いつも通り机が並び、生徒はそれぞれ自分の席に着席していた。ただ……自分以外の生徒はすべて机に突っ伏し、教室は今まで見たことがないほどに暗いところは、初めて目の当たりにする光景だった。
しばらく様子を見ていると、波風以外にもちらほらと意識を取り戻したのか、頭を上げる生徒がいた。彼と同じように、周りを見渡しては動揺の声を上げる。
波風が目を配らせていると、ひとり、驚く人物がそこにはいた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.39 )
「『るく』……いつの間に……」
るくという男子は、数ヶ月前から行方不明になっており、授業にも姿を現してはいなかった。それが、いつの間にか彼の机に座っていたのである。噂では家庭問題のせいで学校には通えなくなり、家にすら居られなくなったと聞いていた。
特別親しかったわけではないが、それなりに会話を交わす相手ではあった。それが突然いなくなるのだから、波風も非常に心配していたのだ。
「おい、外を見ろ!」
誰かが上げた声で、一斉に皆は窓の外をみた。そこには、いつもの癒しの空間ではなく、どこかの島の中なのか、森と海が映し出されていた。
「唯ちゃん、俺どうしよ……」
嫌でも感じる危機的な状況に、波風は無意識にアニメのキャラの名前を口にしていた。もっぱら、三次元などに興味のない彼は大のアニメ好きで、特に、とあるアニメに出てくるキャラを溺愛していた。
立ち上がろうと腰を上げると同時、波風は思い切り、机に脚をぶつけた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.40 )
「痛ってぇ……あれ? え……? 痛い?」
脚の痛みよりも、痛みを感じることに意識が向いた。仮想空間内では、痛みは確かに再現される。しかし、その痛みは非常に微々たるものになり、そこまで激しく感じることはないはずだった。
だが今の痛みは明らかに、現実でそれを行った場合のものと変わらない痛さだった。そして、肌触りや意識的な感覚も、現実のそれと同じものだという気はした。
だとしたら、ここは現実なのかとも波風は思った。しかし、自分の姿を見てそれは無いと判断する。――まだ彼らは、制服を身につけていたからだ。
痛みに身を悶えさせながら、波風は試しに、窓に手を掛けてみた。しかし、窓は鍵のようなものすら見当たらず、はめ込みのようにがっちりと動く気配すらなかった。
そのとき、一斉に教室に明かりが灯り、同時にドアが音を立てて開かれた。そこから入ってきたのは、数学教師の三嶋だった。さらに続いて、軍服、スーツをそれぞれ着こんだ大人が数人、続いて教室へと入ってくる。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.41 )
突然の状況に、クラスは静まりかえる。息を飲む者や、何かに気づいたように表情を硬直させる者……皆がいろいろな反応をしたが、共通しているのは、ただならぬ恐怖感を抱いたことだった。
いつも三嶋は、少しよれよれした見た目のスーツを着こんでいる。仮想空間なのだからわざわざそんなものを着る必要はないのだが、おそらく三嶋は、自分自身の現実の姿を、仮想空間内でもいつも使っているのだろう。
しかし、今は違っていた。地味なカーキ色のスラックス、グレーのロングコートをなびかせ、紅色のネクタイを締め、黒のローファーを履いている。どれもクリーニング帰りのように、ぴしっとした姿。
何よりも生徒の目を引いたのは、胸に政府関係、軍関係者であることを示す、いくつかの特徴的なバッヂがテカテカと輝いていることだった。
三嶋はおもむろに教壇に立つと、まるで授業を始めるかのように、少し張りのない声で言葉を発した。
「えー、おはようございます……。いや、こんばんは、ですね」
三嶋の言葉に、誰も、何も言わなかった。
それを気にもしないかのように、三嶋は言葉を続ける。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.42 )
「えー、今日から三日間、ちょっとした校外学習をします。皆さんも分かっているとは思いますが、仮想空間内での校外学習です。今回は特別に、日本政府、日本連軍の方々にオファーを受け、この様な企画を行うことになりました」
教科書の内容を読むように、三嶋はすらすらとしゃべっていた。しかし、誰もその程度の説明で事態が分かるわけもなく、また話の内容すら、あまり頭には入っていなかった。 始めに生徒の中で言葉を発したのは、『金星』という男子生徒だった。
「先生、意味が分かりません。もっと詳しく説明してください」
全員の視線が金星に集中する。クラスでも一番の成績を誇る金星は、何よりも頼りにされる人物だった。ややいつもよりは張りが無かったが、それでもしっかりとした声だった。最も、彼もまた、何か事故や予期せぬトラブルが起こったのだろうと頭の中で無理矢理にでもシナリオを描いていたのかもしれない。
金星がクラスメイトの視線に気づいて、周りに目を向けると、一斉に皆が口々に疑問を投げかけ始めた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.43 )
「校外学習ってなんだ?」
「そんなのいつ聞いたっけ? 予定表でも見た覚えないんだけど……」
「今日の授業は? 俺ずっと寝てたの?」
「そろそろ家に帰らないと、お母さんが心配しちゃうよ……」
そんな中で、何よりも皆の注目を引いたのは、女子の『英奈』の言葉だった。
「おかしいよ……。仮想空間から抜けられないようになってる……」
本来、仮想空間は、本人達の意志で、自由に現実に戻れるようになっている。しかし現在は、誰が戻ろうと意識を飛ばしても、まったくもって反応はなかった。いよいよ自分たちの身に異常を感じ始め、教室は騒々しくなった。
そんな中で、海(海とピンク)は黙って、少し冷静に状況を考えながら、あたりを見回していた。冷静というよりは、何とかなるだろう、悪いことにはならないだろうと言った根拠のない楽観だが。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.44 )
そんな中で、海(海とピンク)は黙って、少し冷静に状況を考えながら、あたりを見回していた。冷静というよりは、何とかなるだろう、悪いことにはならないだろうと言った根拠のない楽観だが。
海の他にも、何もしゃべっていない人間が他にも数人いた。
まず、福永だ。まるで状況にすら興味がないかのように、教壇の方に表情のない顔を向け、指をいじっている。睨み付けているのか、ただ見ているのかは定かではないが、妙に落ち着いているように見えた。その周りにいる『のび汰(野比のび汰)』や『さまらら』、『レイナ』が話しかけるのにさえまったく構っていない。
もうひとり『黒影』は、完全にそっぽを向いていた。福永とはうって変わって彼に話しかけるような者もおらず、ただ独り、後ろを向いて何かを考えるように腕を組んでいる。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.45 )
特に海の目を引いたのは、クラスのアイドルでもある『凜(日暮里凛)』だった。ジュニアアイドルの有名芸能人である彼女が同じ学校であることも奇跡だが、よもや同じクラスになることは奇跡であり、海はそんな彼女に心を傾けていた。しかし今の彼女は、よほど不安なのか、顔をしかめて、じっと下に顔を向けうつむいていた。
そんな表情を見て海は、出来ることならば近くに行って、肩をそっと抱きしめてやりたいだの、側にいられればいいのにだの、誰でも一度は思うような妄想を繰り広げていた。
ふと現実に意識を取り戻したとき、『一徹』の姿が目に入った。一徹はじっと一定の方向を見据えている。視線を追うと、その先には『美木(安西美木)』の姿があった。お互いに何かをやりとりするように頷き合い、そして表情を和らげていた。そういえば、彼らふたりは付き合っていたような噂を聞いた覚えはある。
「授業中です、静かにしましょうー」
教卓に手をついて、掠れて今にも消えそうな声でひとつ三嶋が声を上げたが、クラスの騒音にかき消されていた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.46 )
ほうほう
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.47 )
それ以上、三嶋は何かを言おうとはしなかった。逆に、三嶋の隣にいた軍服が、ちらりとその様子を見て、一歩前へと出る。同時に、スピーカーで拡声したかのような声で怒鳴った。
「お前ら、静かにしないか!」
巨大な声が、一瞬で教室を静まりかえらせる。それに納得したのか、三嶋は何事も無かったかのように姿勢を整えた。
「えー、今回の校外学習の内容ですが……今日は皆さんに、ちょっと『殺し合い』をしてもらいます」
今度ばかりは、ざわめきは起こらなかった。誰もが一瞬、その言葉の意味を理解出来ずに硬直する。ただ、その中でも数人の生徒は、少し苦笑いをしたり、予想していたように諦めた表情を浮かべていたのを、海は見逃さなかった。
相変わらず、三嶋は表情ひとつ、声色ひとつ変えずに続けた。
「えー、先ほども言いましたが、皆さんは今回の“BROP(バトルロワイアルオペレーション)”対象クラスに指定されました。」
誰かが、うぅっとうめくような声を上げた。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.48 )
いよいよっぽくなってきたな
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.49 )
大独立日本帝国で、このオペレーションを知る人間はまだ少ない。しかし次の学年から、小学4年生の教科書から載る予定の重要な法案だ。それがBROPである。
それは数年前とも満たない、つい最近のことだ。国民は国の政治に無関心で、よもや知らない間に、とある法案が通されていることなど知るよしもなかった。政府は念入りにマスコミに圧力を掛け、メディアの一部からしか情報を得ようとしない国民は、真実を知る間もなく、この法案を施行されることになる。
来期から発効される独日帝国第3版百科事典から引用すると、BROPは次のような内容が見受けられる。
1.ネットにおける掲示板、チャットから、教育現場に使用される現実再現型バーチャルリアリティ。○○インダストリー開発。(以下中略)
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.50 )
2.我が国における教育再編計画と、軍事的視野における若者の戦闘教養および軍部防衛策の研究、考案を行うためのオペレーション。
正式名称『自己防衛力実験14判オペレーション』。2008年4月7日第一回仮施行開始。全国にある中学校の3年生のクラスの中から、毎年5回、各1回ごとに一クラスをランダムで選んで実施、生存方法や国民的防衛力の統計を行っている。
実験は現実の孤島や、BROP仮想空間内のどちらかで行われるが、現実で行う際には土地や環境配備が難しく、現在は仮想空間システムの発展と共に、BROP仮想空間内で行われることが多い。
施行内容は単純なもので、各学級内で生徒を互いに戦わせ、所要時間内でどれだけ生き残れるかなどを調べる。最後のひとりになるまで、所要時間を延長する場合もある。
最終生存者(優勝者)には障害の生活保障と、内閣総理大帝臣直筆の色紙が贈呈される。
このオペレーションは法案によって保護され、妨害、およびオペレーションへの強い批判を行った者には、懲役10年、罰金刑数百万、またはその場で死刑執行を行われる。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.51 )
この法案が通された際の、未だ未発表の通常国会では、当時の総理大帝臣とその党派は、以下のような演説を行い、その様子がネットに流出したのは、まだ記憶に新しい。
「――いまや中国、そしてEU、露西亜までもが我が国を狙っているこの状況で、軍部の増強は急務であり、そのためには模擬的な実験を行わなければデータを取ることなど不可能で(中略)
……だからこそ、このオペレーションは必要なのです。確かに15歳の若き青年達の命が散っていくことに関しては、とても心が痛みます、しかし、彼らの命がこの帝国の満帆の行く末を似ない、我が民族がこれからも独立を維持していくことに役立つのならば、彼らの命はすべての国民の足下を支え、神の国の大地に永遠に語り継がれ(中略)
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.52 )
我が国には、数年前まで徴兵制はもはや、軍部さえ存在しませんでした。国を守るその矛先には、今でも専守防衛を行い、命を張って国を守っている彼ら志願兵達によって構成され、彼らは日夜最前線で危険を身にさらし、我々と国を守っているのです。
このオペレーションを、一種の、この大帝国における唯一の徴兵令と考えていただきたい。未だ世界に劣る此の国を守るためには――(後略)」
この内容が流出した際、一部過激派による暴動が相次いだが、政府はあくまで「現在の政治主導に対する身を持った抗議活動。最善を尽くして、国を良くしていく」と、あくまでオペレーションとは無関係だとして発表を行った。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.53 )
この国会内容を、彼らのクラスでもリアルタイムで見たり、事前に別の情報網から知っていた生徒が何人かいた。当然ながらこの法案が可決されたことを知ると、他人事だった出来事がいよいよ自分たちのこととなり、危機感を覚えた。
しかし、毎年、たったの5クラスだけが選出され、中学3年である帰還はたった1年であるから、よもや数百分の1の確率で当たるわけもない。交通事故、宝くじが当たる確率と同じ程度。これを知った誰もが、自分は関係ないだろう、当たることはないだろうと開き直り、楽観視していた。
安藤もこのプログラムを事前に知ったひとりだった。だがもはや、この国でそんなことを知ったからと言って何が出来るわけでもない。たかが中学生が対抗する手段など持ち合わせているわけもなかった。言論の自由など存在せず、情報はすぐに偽造される。安藤も、心のどこかでこの情報が偽造の物であるのではないかという期待を持っていたことは間違いない。
Re: [小説]PGバトルロワイアル2011( No.54 )
安藤にとって何よりもこの情報に確信を持つようになったのが、従姉妹の突然の死だった。ふたつ上の従姉妹は、BROP仮想空間内でのトラブルにより脳死状態となったということを知った。情報流出の時期と、従姉妹の不自然な死は、否応でもふたつを結びつける結果となる。
ちなみに母親にこのことを聞いた安藤だが、母親は何も答えずに「きっとあなたは大丈夫」と何度もぼやくばかりで、何か口止めすらされているような感じであった。
一時は煙が立つ程度にオペレーションの噂は広がったが、それもすぐに消えさっていった。今の国に対する、言葉にしがたい不信感と焦燥感、そして無力感を残し……。
結局、そんなものだ。
ひとりひとりの、個々の思いだけでは、何かが変わるようなことはありえなかった。
そして今年。いよいよ中学3年になった安藤、他にオペレーションを知る生徒は、自分たちだけは大丈夫だろうと、高校受験という不安の片隅にそれを押しやった。考えたくもなかった。
そう。今の今まで。
Page:[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]