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「入っててよかった」は早計? 竜巻の火災保険はここが限度

【生活】

楽天SocialNewsに投稿!
2013年9月17日 掲載

新築に建て替えたら足が出る


屋根だけだと…/(C)日刊ゲンダイ
 埼玉県越谷市や千葉県野田市の竜巻のほか、栃木県、三重県、高知県でも竜巻とみられる突風の被害が出た。思わず、「ウチの火災保険は竜巻も補償してくれるのか?」と、家族で保険証書を見直した人は多いはずだ。

 テレビのニュースを見ていたら、竜巻で自宅屋根を吹き飛ばされた越谷市のおじさんが、「火災保険に入っていてよかったよ」とカメラに向かって安堵(あんど)したように話していた。別の女性も「火災保険だから、てっきり火事だけ補償されるものと思っていた」と、いい意味の勘違いにホッとした様子だった。

 確かに、火災保険の大部分は「竜巻や台風の風災も補償しています」(JA共済・事業広報担当者)。地獄に仏とはまさにこのことだ。

 だが、屋根を飛ばされたおじさんを悲しませるつもりはないが、大喜びも出来ない。共済や損保会社は「全額、補償します」とは一言も言っていないのだ。

「竜巻で家が跡形もなく消える全損なら、これは実に分かりやすい。家を新築しても(これまでと同程度の家)、全額が保険で賄われます。ただ、屋根が飛ばされた程度だと、半損がせいぜい。2000万円で家を建て替えたら、1000万円は自腹になります」(保険アドバイザー)

 例えば、大手損保各社の火事の認定基準だが、屋根がすべて焼失しても一部損としか認められない。支払われる保険金は、建物にかけた火災保険金額の5%だ。

「あくまで一般論で、これから損害宅の調査に行く査定員の判断次第ですが、屋根が飛ばされたのなら外壁や軸組も破損しているでしょう。当然、損害割合は大きくなる。それでも全損認定までは難しいと思います」(前出・JA共済広報)

 JA共済「むてき」(木造・耐火造り、最高2000万円補償)の掛け金は、年11万1020円。損保ジャパン「ベーシックⅠ型」(最高1800万円補償)も、年11万4000円ほどだ。加入しないのは不安が残るが、過度の期待もしない方がよさそうだ。

 もうひとつ、気になる点がある。90年代以前に加入した火災保険は、基本的に損害額を時価で算定するのだ。

「これだと、毎年1.5%ほど経年減価で減らされます。30年前に2000万円で建てた自宅を建て替えようとしても、5割程度しか補償されません。ローンを組む時、勧められるまま火災保険に入り、同じ内容で更新している人は危ないですね」(前出の保険アドバイザー)

 もちろん、家を建て替えたり、補修しなくても保険金は下りる。高齢ならば、それを貯蓄に回して息子宅に引っ越したり、賃貸に移り住むケースもある。

【損害認定の基準】
◆被害/支払われる金額
◇全損・建物時価の50%以上/時価の全額
◇半損・建物時価の20~49%/時価の50%
◇一部損・建物時価の3~19%/時価の5%限度
(※07年10月以降契約)
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